寒桜そこが死に処かもしれぬ
保坂加津夫
会者定離
199900
重文の門のうちなる寒桜
武久昭子
風土
200003
今生にあみだ母みた寒さくら
塩貝朱千
京鹿子
200005
膨らみし母校並木の寒桜
金子里美
船団
200006
西新井大師に少し寒桜
熊谷みどり
いろり
200104
寒桜見えて坂照る裏通り
竹内美智代
酸漿
200104
良妻の顔して咲けり寒桜
松田都青
京鹿子
200202
碧天に白まぎれなき寒桜
小路紫峽
円虹
200203
まみゆる日再びなくて寒ざくら
山田暢子
風土
200203
寒桜上野の森の一ところ
夏目満子
酸漿
200204
寒桜誰かに似たる石仏
岡本幸枝
ぐろっけ
200204
桜咲く便りを寒く聞いている
延川五十昭
六花
200205
寒桜見て不思議なく住み馴れし
嶋田摩耶子
ホトトギス
200206
首里城の栄枯をひそめ寒ざくら
寺出訓三
ホトトギス
200207
右靴が一齊に鳴り寒ざくら
佐藤喜孝
あを
200212
近海の波降りきたり寒櫻
小澤克己
遠嶺
200304
寒ざくら透けり後生は見えねども
中尾杏子
沖
200403
はるばるとせつせつと寒ざくらかな
田村みどり
京鹿子
200405
寒桜日がな一日鎚の音
赤座典子
あを
200503
温泉町つらなる伊豆に寒桜
松崎鉄之介
濱
200504
渺々と咲きをる寒の桜かな
植松美根子
槐
200504
寂光の一輪づつの寒桜
桑田青虎
ホトトギス
200504
寒桜触れさうに行く山の辺を
芝宮須磨子
あを
200504
寒桜崖のホテルに径つづき
寺岡ひろし
雨月
200506
寒桜ぴくりぴくりと風に耐へ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200601
ほつほつと省略ぎらひの寒ざくら
村田冨美子
京鹿子
200605
寄贈して霊木となる寒桜
村上和子
ぐろっけ
200605
寒桜末梢神経研ぎ澄まし
中野英歩
八千草
200607
震へ咲く寒桜てふ運命かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200701
バスで来し熱海に目立ち寒桜
嶋田一歩
ホトトギス
200706
海光に枝ひろげたる寒桜
足立武久
酸漿
200803
曇天のひかりまとへり寒桜
足立武久
酸漿
200803
咲ききりてはや暮色なる寒桜
加瀬美代子
朝
200803
大念珠くぐる鬼門に寒桜
大井邦子
ぐろっけ
200804
寒桜くらき運河に錵なせり
上谷昌憲
沖
200804
さまよへる母の御霊や寒櫻
鳥居恭宏
遠嶺
200804
表鬼門少し離れて寒櫻
東良子
首座星
200804
牧野邸の大寒桜咲きゐたり
中島伊智子
酸漿
200806
寒桜咲きて周りを明るくし
三原利枝
璦
200904
雨戸閉め主おらずとも寒桜
猿橋二三雄
ぐろっけ
200904
寒ざくら野辺に天使のドレス色
伊東和子
璦
200905
黒潮の風の岬の寒桜
大坪景章
万象
200905
寒ざくら悲史を伝へて皇子の墓
水田壽子
雨月
200905
三木清溺れし池や寒桜
浅井青陽子
ホトトギス
200906
ちりちりと空に微塵の寒桜
三嶋隆英
馬醉木
201003
しろたへの蘂を張りけり寒桜
鳳蛮華
空
201004
あかつきの卓の上なる寒桜
中島陽華
槐
201004
池の面に咲く一輪の寒さくら
四條進
峰
201004
寒さくら梅と並ぶも神の山
四條進
峰
201004
豆剣士鋭い打ち込み寒桜
小林武弘
笹
201004
励み合ふ連衆のあり寒櫻
曷川克
遠嶺
201005
寒桜見上ぐる空の雲迅し
松尾芳子
万象
201005
寒ざくら川音黙しゐたりけり
上山永晃
春燈
201005
立寄らで過ぎて悔無し寒桜
嶋田摩耶子
ホトトギス
201006
寒桜当麻曼荼羅拝し来て
石垣幸子
雨月
201104
見ごろとも思へぬ見ごろ寒ざくら
今村征一
ホトトギス
201105
寒桜家の新装終りけり
家塚洋子
酸漿
201105
一ト声をかけたし寒に咲くさくら
堀田こう
雨月
201204
露地うらをとつとつと来て寒桜
伊藤希眸
京鹿子
201206
静脈の華やぐ日あり寒桜
林昭太郎
あまねく
201210
体内に引潮ありて寒桜
遠山陽子
面
201212
杉木立間にぽつぽつ寒桜
和田勝信
かさね
201302
沼杉を背にほのと寒ざくら
土居通子
ろんど
201303
山中の湯に映ゆ白き寒桜
後藤克彦
かさね
201305
寒桜咲き満ちてなほ淋しかり
有本惠美子
ろんど
201403
声ありて頭上におぼろ寒桜
四條進
峰
201403
開きつつ色の失せゆく寒桜
笹村政子
六花
201404
寒ざくら渚に二人逃げる追ふ
森理和
あを
201404
舞殿の雨拍子かな寒桜
北村淳子
ろんど
201405
寒桜真つ直ぐに立つ母の杖
林徹也
空
201406
死出の衣をくれなゐと決め寒桜
荒井千佐代
空
201503
寒桜人の温もり感じつつ
伊吹之博
京鹿子
201504
寒ざくら成さねば背より夕昏れる
塩貝朱千
京鹿子
201504
幹咲きは直情型や寒桜
福永尚子
ろんど
201504
東京に二花三花咲く寒桜
神蔵器
風土
201504
寒ざくら子はそれぞれの新戸籍
熊川暁子
槐
201505
突然のごとく咲くとよ寒桜
嶋田一歩
ホトトギス
201507
喧騒の街に一本寒桜
村上和義
万象
201605
逆転のサムライシュート寒桜
品川古市
末黒野
201606
寒桜己が余生を読み切れず
石田きよし
鴫
201703
神さぶの光の中の寒桜
水谷文謝子
雨月
201704
美しき齢は問はず寒桜
本郷桂子
ホトトギス
201706
広小路より歩き来て寒桜
丑久保勲
やぶれ傘
201805
山寺の清々しきは寒桜
河合公八郎
鴻
201905
摩天楼の街に一樹の寒桜
本田豊明
鴻
201905
咲きゐしに違ひなきこと寒桜
嶋田一歩
ホトトギス
202006
梅を見に来しに満開寒桜
嶋田一歩
ホトトギス
202006
久に会ふ友と見上ぐる寒桜
佐藤まさ子
春燈
202102
雉鳩の番飛び来る寒桜
佐藤まさ子
春燈
202202
久女忌のひたすら風の寒桜
南うみを
風土
202204
朝日浴び湯気立つ幹や寒桜
林れい
空
202210
2022年12月21日
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