懸巣鳴き何やらおこる胸さわぎ
大橋敦子
雨月
199903
栗の実を草にかくして懸巣立つ
海上俊臣
酸漿
199912
懸巣とび里に残れる糸車
田中呑舟
火星
199912
草むらに墓石傾ぶき懸巣鳴く
千明武
遠嶺
200012
落人の谿の吊橋懸巣鳴く
乾佐知子
春耕
200012
宿去るに深山懸巣は騒ぎ呉れ
有働亨
馬醉木
200101
春立つてゐる山の木の懸巣かな
岡井省二
槐
200106
懸巣来てときに錻力の声を出す
櫛原希伊子
百鳥
200201
頭上より懸巣の声や山晴るる
石田邦子
遠嶺
200202
蒼穹の懸巣の眼もて野を見たし
斎藤道子
馬醉木
200202
樹海ゆくおぼつかなさに懸巣鳴く
西山美枝子
酸漿
200204
懸巣鳴きこきこきと切るパイン缶
田中重子
雲の峰
200211
山せみの巣をうかがへば懸巣鳴く
今井妙子
雨月
200301
みよし野の山気を乱し懸巣鳴く
西村しげ子
雨月
200302
道逸れて突と懸巣に鳴かれたる
岡淑子
雨月
200402
初霜や懸巣の声が庭を過ぐ
長田秋男
酸漿
200411
縄文の竪穴住居懸巣鳴く
阿部範子
濱
200412
朽ちかけて森の木橋や懸巣鳴く
三澤いつ子
万象
200501
虚子塔の辺りのしじま懸巣鳴く
味村志津子
雨月
200501
懸巣鳴き霧氷の樹々を醒ましゆく
根岸善雄
馬醉木
200504
山の日に耳たぶ焼くや懸巣鳴く
渡邉友七
あを
200510
鮮かに懸巣あらはれ栃の花
瀧春一
常念
200606
秋霞懸巣のこゑは誰も知る
瀧春一
常念
200606
明け暮れの水上家屋懸巣飛ぶ
井村和子
万象
200612
懸巣鳴く浅間小浅間雲の中
山下佳子
馬醉木
200702
年賀客帰りし庭に懸巣来る
菊池ゆう子
濱
200703
懸巣鳴くからまつの金の針こぞり
原田しずえ
万象
200703
原始林のおほふ高麗山懸巣鳴く
千葉冴子
濱
200801
己が二基の句碑を巡るに懸巣鳴く
松崎鉄之介
濱
200812
浅間嶺の噴煙ますぐ懸巣鳴く
山下佳子
苑
200901
なにくれとなく氣を配る懸巣かな
高橋将夫
槐
201002
茫々の山の畑や懸巣鳴く
石田邦子
遠嶺
201002
鳴きまねをする懸巣をり庭二日
長田秋男
酸漿
201003
廃校や百葉箱に懸巣の巣
園部蕗郷
春燈
201005
懸巣鳴き古刹の屋根に日の豊か
家塚洋子
酸漿
201104
最も巧し籠の懸巣の猫鳴きは
小林清之介
風土
201201
若き日に真似鳥の懸巣を飼ひしが
小林清之介
風土
201201
しらじらと明けそむ峠懸巣鳴く
滝浪紀久子
万象
201201
太陽のやさしさに鳴く懸巣かな
杉本綾
璦
201201
懸巣鳴き俄かに空の邃くなる
上谷昌憲
沖
201201
懸巣鳴く小学校に脱穀機
原田しずえ
万象
201201
葬列を追ふやうに鳴く懸巣かな
宮崎知恵美
万象
201202
枝わたる懸巣ひそやか梅雨の入
細野恵久
ぐろっけ
201307
今泣いた懸巣の笑ふ里の暮
葦原葭切
春燈
201502
懸巣鳴き沼に影おく白骨樹
大上充子
馬醉木
201802
2022年11月3日
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