案山子 1 99句
雨ふれば人によく似る案山子哉 成美
奥能登の夕日に縋る案山子かな
山田弘子
春節
199503
銃音のとうんとこたふ案山子かな
多田櫻朶
ホトトギス
199509
大案山子かつがれてゆく賀茂日和
丸山佳子
京鹿子
199810
剣聖の地や六尺の案山子翁
足立典子
雨月
199811
かかし踊り一番列車送り出す
金子里美
船団
199812
案山子翁折り重なつて焚かれをり
阿部静雄
銀化
199901
小用を足しぬ案山子と目が合ひぬ
宮嵜亀
船団
199903
今晩はと声をかければ案山子でした
大木石子
海程
199904
棒立ちの案山子に痒き足のあり
宇都宮滴水
京鹿子
199910
案山子立つ裸の底の底見せて
保坂加津夫
いろり
199910
棒の先鴉止まりし案山子なり
熊谷みどり
いろり
199910
タイガースのメガホンを持ち案山子なり
田中敏文
ぐろっけ
199910
任侠の案山子に頼る農なさけ
鈴鹿仁
京鹿子
199911
さうさうに案山子たてねばとぞ思ふ
保坂加津夫
いろり
199911
コンバイン案山子を積みて戻り来る
清水かつ
酸漿
199912
己が丈に合はせて立つる案山子かな
徳丸峻二
風土
199912
葛城の夕日を抱ける案山子かな
山田弘子
円虹
199912
雀らに嗤はれ案山子しよげてゆく
鈴鹿仁
京鹿子
199912
その顔は秋田小町といふ案山子
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
隠れ里案山子の背丈みな小さし
松原フクヱ
ぐろっけ
199912
五人来て二人のほめる案山子かな
夏秋明子
火星
200001
役目終へ土堤に凭れし案山子どち
乾フヂ子
俳句通信
200001
まつすぐな視線くづさず案山子立つ
三瀬教世
円虹
200001
手を拡げ風に立ちゐる案山子かな
三瀬教世
円虹
200001
びしよ濡れになつて乾いて案山子立つ
三瀬教世
円虹
200001
その中の韓の案山子のチマチョゴリ
江木紀子
雨月
200001
下校子に遊ばれてゐる捨案山子
笹倉さえみ
雨月
200001
蹌踉と案山子ひと夜の遊びかな
鈴鹿百合子
京鹿子
200001
強面の案山子下校の子らは怖ぢ
年森恭子
ぐろっけ
200002
役終へし案山子田圃に寝かしおく
永野秀峰
ぐろっけ
200003
ヒマラヤの真つ正面に案山子立つ
藤和子
円虹
200004
山窪に天を仰げる捨案山子
三嶋八千穂
ぐろっけ
200004
我もまた案山子一族早稲そよぐ
塩見恵介
虹の種
200005
雨に濡れいよよ案山子となりにけり
稲畑汀子
ホトトギス
200010
流石なり一番案山子の顔だちは
能村研三
沖
200010
千枚の田を任されてゐる案山子
和田崎増美
雨月
200011
一喝に狎れてしまひし案山子かな
山県總子
銀化
200011
長袖の両袖余す案山子かな
高野清風
春耕
200011
ここに居ることの不思議や捨て案山子
保坂加津夫
いろり
200011
案山子云ふお役に立てずご免なさい
保坂加津夫
いろり
200011
捨て案山子気取って見てもふり向ず
松沢久子
いろり
200011
筑波嶺の紫紺となりし案山子かな
西村純吉
槐
200012
案山子帰って御神酒を呑んでしまいけり
吉田さかえ
海程
200012
昨日の己れに飽かず案山子なる
土井田晩聖
銀化
200012
捨て案山子単身赴任の地になれて
保坂加津夫
いろり
200012
婆のものまとひてほまち田の案山子
高木悠悠
狩
200101
飛鳥川沿ひに案山子を連れ帰る
夏秋明子
火星
200101
真夜中の案山子騒ぎに目覚めたり
板倉勉
六花
200101
弓引けるのっぺらぼうの案山子かな
和田崎増美
雨月
200101
今頃は星を見てゐる捨案山子
田口傳右ヱ門
銀化
200101
捨てられし案山子に雀寄り添ひて
柴田美佐子
いろり
200101
服脱ぎて案山子は棒に戻りたり
岡淑子
雨月
200102
冬霧に消え際の案山子鍬を振る
原田孟
海程
200105
鮎の瀬や釣人案山子岸に立つ
阿部ひろし
酸漿
200107
姉よりも九つ若い案山子かな
吉田さかえ
海程
200108
案山子の頭に雀とまるは朝飯前
吉田さかえ
海程
200108
バスの道長身案山子と目が合った
稲用飛燕
船団
200110
かるがると蔵王を肩に案山子かな
鷹羽狩行
狩
200111
夕日見るために案山子の眼あり
大串章一
百鳥
200111
狐雨案山子幽かに身じろぎす
高橋とも子
百鳥
200111
案山子みな天王山に背きたる
大山文子
火星
200111
了へたれば神に案山子に同じ酒
暮岸江
銀化
200111
骨つぽく案山子でをはることもある
堀川夏子
銀化
200111
案山子かと見たれば動き農夫かな
近藤豊子
雨月
200112
蔵王澄む案山子祭の村に来て
岸のふ
馬醉木
200112
ほほ紅のかすれてゐたる案山子かな
小田道知
円虹
200112
別嬪の案山子の服の後ろ前
夏秋明子
火星
200112
歩行せぬ神となりける捨案山子
辻直美
沖
200201
田の済みて案山子の栄転先いづこ
福山広秋
沖
200201
ワイシャツの袂括りし案山子翁
飯塚ゑ子
火星
200201
山月を見上げてをりぬ捨案山子
斉木永久
馬醉木
200201
人ひとり会はぬに案山子ばかりをる
高垣和惠
雨月
200201
雀らに見得を切りたる案山子かな
吉村玲子
円虹
200201
背広着て案山子も家族あるらしく
吉村玲子
円虹
200201
案山子の眼見開きしまま仕舞はれぬ
佐野益子
百鳥
200201
ヘルメットの案山子に太き眉毛あり
河村泰子
ぐろっけ
200201
陰陽師案山子に峡田照り翳る
禰寝瓶史
京鹿子
200202
雨に叩かれ仰向けの捨案山子
天岡宇津彦
狩
200204
寝かされて雲を見るほかなき案山子
野沢しの武
風土
200206
飼主の服着せ犬の寄る案山子
稲畑廣太郎
ホトトギス
200210
動き出す一人案山子と思ひしに
稲畑廣太郎
ホトトギス
200210
案山子立つ一徹もらふ鴉ゐて
鈴鹿仁
京鹿子
200210
山の晴案山子に気合入りけり
大串章
百鳥
200211
どの顔も個性的なる案山子かな
増田智子
帆船
200211
案山子抜いてすうすうしたる臍の穴
嵯峨根鈴子
火星
200211
胸に名を付けて案山子の作業服
川瀬里江
雲の峰
200211
宿題の案山子かつぎて登校児
山口順子
苑
200212
瞠きて波音ばかり捨案山子
小野恵美子
馬醉木
200212
学校田案山子のどれも笑ひゐる
西村梛子
馬醉木
200212
役終へし案山子は月に眠るなり
前田青紀
馬醉木
200212
大棚田藁塚と案山子の陣取りめく
木上よし
濱
200212
コンテストへ案山子出払ふ棚田かな
上田祥子
遠嶺
200212
老案山子足して二で割ることに馴れ
宇都宮滴水
京鹿子
200212
役終へし案山子田道に横たはり
柿沼利男
帆船
200212
村を出るやうな身なりの案山子かな
望月周
百鳥
200212
目鼻あり案山子に命吹き込まず
望月周
百鳥
200212
案山子とも人とも見ゆる紺絣
堀一郎
雲の峰
200212
雀らの群るるを見をり田の案山子
家塚洋子
酸漿
200212
綽名持つ学校田の案山子かな
吉村一郎
百鳥
200212
刈る前の案山子わさわさ引きぬけり
岡崎桂子
対岸
200212
2021年9月13日
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