上ばかり見ていて飽かぬ寒鮃
柿原金米
船団
199811
ひらめ飼ふ月の水声村ねむる
矢三かつよ
馬醉木
199902
口に運ぶ秋の平目と秋の空気
東莎逍
船団
199912
頭蓋骨を上から見たら鮃かな
岡井省二
槐
200001
昆布じめや中の鮃と白山と
岡井省二
槐
200003
息白く手釣打ち込む大鮃
塙三千男
馬醉木
200004
平たくて割に重たく鮃かな
仲村菜花
槐
200004
わたつうみ鮃の縁側まで暮れし
高橋将夫
槐
200004
目を病んで鮃屋敷でねていたり
徳才子青良
海程
200005
初夢のたひやひらめのなかに覚め
鷹羽狩行
狩
200102
空襲の伏せのかたちに鮃ゐる
田中芳夫
苑
200104
春寒し生簀の鮃動かざり
岸恒雄
春耕
200104
大鮃寄り眼かなしく糶られけり
益本三知子
馬醉木
200105
夕映に男に還る鮃かな
岡井省二
槐
200111
絶景という平目の重さであります
森あみ子
船団
200112
天の縁側春立ちし鮃かな
岡井省二
槐
200201
水槽に沈む鮃や烏帰る
谷村幸子
槐
200205
寒鮃三和土に跳ねて耀糶られけり
田崎ひろこ
春耕
200205
ハンチング鮃とならん海へ翔び
坂井法
苑
200303
水槽の鮃は春の海を見ず
早崎泰江
あを
200304
意味なく嗤ふ鮃一枚上ワ手
中原道夫
銀化
200305
夏料理なりし平目のえんがはも
粟津松彩子
ホトトギス
200309
誰彼に鮃ひらひら釣自慢
石橋萬里
ぐろっけ
200401
八の字の翁眉なり寒鱒鮃
近藤きくえ
槐
200402
どこまでが白き顔なる鮃かな
中野京子
槐
200404
跳ねあがる鮃一ツ目小僧かな
延広禎一
槐
200502
引く波を叩く波あり鮃釣
永田二三子
酸漿
200503
立春大吉鮃のえんがわなりしかな
石脇みはる
槐
200504
糶桶をはみ出してをり鮃の尾
石川敬子
対岸
200505
わたつうみ鮃の縁側まで暮れし
高橋将夫
星の渦
200507
暁光の海が散らすは鮃舟
阿部ひろし
酸漿
200601
暁闇の底に早くも鮃舟
阿部ひろし
酸漿
200601
旭日のまへを過れり鮃舟
阿部ひろし
酸漿
200601
雪霏々と鮃は砂にもぐりけり
定梶じょう
あを
200603
寒鮃の縁側夫と真半分
新倉舒子
濱
200702
白抜きのひらめとありぬ釣りニュース
松崎鉄之介
濱
200702
順番にうごく縁側大鮃
加藤みき
槐
200703
難しき貌の鮃は裏返す
山元志津香
八千草
200703
夏料理鮃の骨の美しく
山下青坡
苑
200707
天井にたひやひらめや走馬灯
鷹羽狩行
狩
200709
秋曇鮃鰈の裏表
赤座典子
あを
200712
昼網の鮃のはねる魚棚
牧悦子
濱
200803
鮃にこにことことはのわたつうみ
高橋将夫
槐
200803
ムニエルの鮃とワイン夜の更くる
和田崎増美
雨月
200804
ずつしりと座布団めけり大鮃
鈴木ひろ子
濱
200805
沈みゐる孕み鮃を見てをりぬ
久津見風牛
槐
200912
留守たのむ夫に煮凝鱏ひらめ
佐藤美紀
ろんど
201004
白南風やひらめのやうに行く女
大坪景章
万象
201010
鮃糶るこぼれ魚は海へ掃き
松井志津子
沖
201302
店先の鮃に観らるわが鮮度
石田きよし
鴫
201303
糶売りの腹を見せたる寒鮃
鎌田光恵
鴫
201604
白南風やひらめのやうに行く女
大坪景章
椿垣
201612
大寒の五枚おろしの平目かな
田尻勝子
六花
201702
練り切りの鯛に平目や雛祭
栗山みどり
沖
201705
徘徊の鯛や鮃の日永かな
平野多聞
槐
201908
大皿の模様のやうに舌鮃
宇都宮敦子
琴引鳥
202002
海水で流し鮃の糶終はる
森高武
風土
202004
浜市のひと日の乾き寒鮃
石川幸子
馬醉木
202005
鮃刺盛りて織部の深みどり
角町良生
空
202205
2023年11月27日
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