春満月猫の小鈴の近づきぬ
花島陽子
遠嶺
199905
春暁の今満月の沈みゆく
笹本達夫
澪
199905
春満月役に立たぬと吃りをり
日下敬
船団
199909
春の満月を鬼婆につくる
星野一郎
海程
199910
一人の餉春満月の出でてもや
根岸善行
風土
200005
春満月町に溢るる人は見ず
桑久保奈美子
酸漿
200007
ひとり漕ぐ春満月の湖芯へと
川口襄
遠嶺
200106
春満月乳の匂ひの嬰と
松崎鉄之介
濱
200106
ろんろんと春満月のあたりかな
谷口佳世子
槐
200107
春満月発破の匂ふ男かな
高橋とも子
鱗
200107
俎上へと春満月を載せむかな
朱間繭生
銀化
200204
春満月少し憂ひをおび昇る
稲辺美津
遠嶺
200205
春満月賞味期限は夜明けまで
結木桃子
銀化
200205
歩く木も笑ふ木もあり春満月
祐森彌香
遠嶺
200206
御大師の道を照らせり春満月
池田加代子
風土
200206
春満月もうひとつの橋見えてくる
柴田朱美
京鹿子
200207
春満月沖に白波育ちつつ
土井三乙
風土
200207
春満月ゆつくりみなとみらいかな
三崎由紀子
遠嶺
200208
朝明の春満月の瑞々し
海上俊臣
酸漿
200305
立春満月口上なんてなくてよい
滝沢環
京鹿子
200305
春満月いくさに遠く街眠り
千手和子
馬醉木
200306
春満月魔女が寝返り打つてをり
祐森彌香
遠嶺
200306
春満月白き光と思ひ立つ
小林優子
酸漿
200306
外に出づや春満月に誘はれて
池部久子
酸漿
200306
人丸忌春満月でありにけり
久保田喜代
雲の峯
200306
春満月青磁の壷に骨細る
荒井千佐代
空
200307
波の秀の春満月を捉へけり
加藤富美子
槐
200307
家路いま春満月に向ひをり
田中のりえ
朝
200307
春満月神戯るる蹴鞠かも
岡野俊治
遠嶺
200309
修道女春満月を背負ひをり
金澤明子
槐
200312
音消して春満月の出るところ
城尾れい子
槐
200312
春満月砂漠の仮寝いかならむ
秋葉稚治
沖
200404
春満月夫を起こして見てゐたり
高倉恵美子
空
200404
丹砂刷く春満月のオブラート
中野京子
槐
200405
春満月うすらおぼえの嵯峨野みち
湯浅康右
草の花
200405
敦煌の春満月に降り立てり
松崎鉄之介
濱
200406
すこしづつ忘れていいよ春満月
直江裕子
京鹿子
200407
吉野より春満月の野を帰る
三由規童
雨月
200407
春満月魚群のうごく気配して
中尾公彦
沖
200505
春満月うすもも色に猫走る
尾堂?Y
河鹿
200506
人形の一重瞼や春満月
星井千恵子
遠嶺
200506
春満月けふ除幕せし三師句碑
小松誠一
沖
200506
春満月魞の影濃き淡海かな
西川青女
築港
200506
ビルに触れ春満月の歪みさう
若林杜紀子
百鳥
200506
今年また春の満月拝みけり
北村香朗
京鹿子
200506
釈迦像の指の先なる春満月
いしだゆか
遠嶺
200507
長女結婚
阿弥陀寺へ春満月の日に嫁ぎ
高橋将夫
星の渦
200507
真夜中の春満月に星一つ
二瓶洋子
六花
200508
春満月仰げば逝きし誰や彼
佐藤佐代子
朝
200508
稚児来る春満月の遥かより
曽根久順
沖
200604
春満月ノアの方舟近づけり
神蔵器
風土
200604
一月の満月春をふつと見せ
いば智也
六花
200604
落ちんとする春満月の金澄めり
松崎鉄之介
濱
200605
混沌とけふも終れり春満月
荒井千佐代
沖
200605
春満月呱々のこゑより始めむか
小形さとる
槐
200606
呪ひの効かぬ子どもに春満月
井上信子
鴫
200606
春満月黒猫歩く塀長き
宮川みね子
風土
200606
人影も春満月も平らなり
中野京子
槐
200606
嫁ぐ子のピアノ弾きをり春満月
苑実耶
空
200607
春満月海面あがる如きかな
久保栞
濱
200607
捥ぎたての春満月を賞味する
柴田朱美
京鹿子
200608
抱瓶(のほほと口あく春満月
山元志津香
八千草
200608
児は母を頼り切ってる春満月
真木早苗
八千草
200609
火柱に春満月のゆがみたる
浅田光代
風土
200611
ゆさゆさと森を出でたる春満月
曷川克
遠嶺
200705
照り過ぎる春満月に近づきぬ
天野きく江
槐
200706
閂をさす春満月の御輿庫
神蔵器
風土
200706
春満月ことさら赤く自己主張
松嶋一洋
峰
200707
春満月彫刻刀をやすませて
柴崎則子
遠嶺
200707
母情とは春満月のごときもの
伊東恵美子
馬醉木
200710
春満月千六本に刻みましょう
火箱游歩
船団
200710
春満月黒鯛(の白子も太るころ
吉村摂護
空
200803
ひとり出て春満月につき当る
神蔵器
風土
200804
春満月足裏つめたく眠りけり
大川ゆかり
炎帝
200804
春満月笊に豆腐と厚揚と
竹内悦子
槐
200805
玲瓏と春満月や持仏堂
林友次郎
遠嶺
200806
母許へ春満月を追ひかけて
宮川秀穂
苑
200807
気になりし春満月の居場所かな
濱上こういち
鴫
200807
寝返りは春満月に背を向けて
濱上こういち
鴫
200807
あけたての戸車哭くや春満月
吉村はづき
炎環
200904
寄席を出て春満月に笑返す
楯野正雄
苑
200905
句座果てて春満月と時の鐘
遠藤和彦
遠嶺
200905
少年は春満月と配達す
岡垣佳子
遠嶺
200905
春満月駱駝の瘤のたぽたぽと
栗栖恵通子
槐
200905
春満月懺悔室にも小さき窓
荒井千佐代
沖
200906
春満月心にもある吃水線
柿本麗子
沖
200906
春ざれや満月あげし法隆寺
小宮淳子
春燈
200906
春満月煌々として雲白し
古川さかえ
酸漿
200906
洗々と春満月の夜明前
阿部文子
酸漿
200906
春満月槻の梢の蒼みつつ
高瀬史
馬醉木
200907
春満月不況の街を照らしをり
池田光子
峰
200907
春満月影の散らばる遊具かな
中山皓雪
鴫
200907
春満月鍵かけてあるガラス窓
中野京子
槐
200907
たをやかに胎児はぐくむ春満月
冨松寛子
槐
200907
上汐の春満月の大河かな
三橋泥太
遠嶺
200907
神の手を零るるしづく春満月
川上久美
ろんど
200907
春満月用事ないけどポストまで
陽山道子
船団
200909
満月を弾き上げたる春怒涛
鈴木勢津子
樹間
200911
ひとり寝を春満月に覗かるる
駒井のぶ
璦
201005
ひと月に二度の満月春隣
小川玉泉
末黒野
201005
重きもの曳き出づるかに春満月
池田達二
風土
201005
春満月床下に味噌眠らせて
苑実耶
空
201006
羊水の記憶はしかと春満月
水野恒彦
槐
201006
春満月頬ずりされてゐるやうな
大山里
槐
201006
春満月影絵の梟三羽ゐて
西山美枝子
酸漿
201007
古陶館春満月のやうな皿
谷岡尚美
槐
201009
水に手を洗ひてをれば春満月
神蔵器
風土
201104
引込線たどれば海や春満月
荒井千佐代
沖
201104
春満月ほほゑみながら上りけり
篠原幸子
春燈
201105
春満月遠近法を疑へり
森岡正作
沖
201105
春満月峡の棚田の万華鏡
久染康子
沖
201105
引入線たどれば海や春満月
荒井千佐代
空
201105
笑いつつ上り来たるは春満月
あかさか鷹乃
ろんど
201105
春満月傾ぐ辺りの山明り
中川悦子
酸漿
201105
沈まんと春満月の冴えにけり
阿部文子
酸漿
201105
春満月玄界灘は流れ急
吉村摂護
空
201106
悼
春満月地震禍あまねく抱擁す
和田孝村
春燈
201106
神楽坂春満月を上げにけり
神蔵器
風土
201106
暁の春満月や夫癒えよ
野中啓子
苑
201108
忘れ物届いています春満月
今井春生
空
201108
遠潮鳴り春満月の濡れてをり
田所節子
沖
201205
忌を重ね夫近くなる春満月
山村幸苑
馬醉木
201206
春満月都明日香の海鼠壁
浅野吉弘
沖
201206
春満月いろはにほへとちりぬるを
神蔵器
風土
201205
まつすぐな参道消して春満月
神蔵器
風土
201206
艦艇の舳先が発たす春満月
田中貞雄
ろんど
201206
惚けるも天の配剤春満月
山本孝子
ろんど
201206
何事もなくて昇りぬ春満月
北村香朗
京鹿子
201207
春満月湖面に膨らみありにける
前田恵美子
青鷹
201210
天窓全開春満月を招きけり
久染康子
沖
201303
春満月雲間に富士の見え隠れ
木下ふみ子
馬醉木
201305
春満月風に揺るがず統べるもの
犬塚李里子
槐
201305
春満月はすごいぞと夫帰宅
青山正生
鴫
201306
尾を丸め眠るものらに春満月
蘭定かず子
火星
201306
遠吠えに春満月の沈みけり
田中文治
火星
201306
水脈はるか春満月に居場所問う
桑名さつき
ろんど
201306
歩のゆるぶ春満月や西行忌
山本雅子
馬醉木
201307
春満月たれかれに死をそそのかす
荒井千佐代
空
201405
芝居跳ねふと見上げれば春満月
須賀敏子
あを
201405
津波のこと多く語らず春満月
笠井清佑
璦
201406
春満月入江に人魚ゐるらしき
おーたえつこ
瓔
201406
春満月出しと電話のかかりくる
田中藤穂
あを
201406
春満月遠き二胡の音聴き澄ます
川村亘子
末黒野
201406
春満月たれかれに死をそそのかす
荒井千佐代
空
201406
春満月いよいよ森をふくらます
高橋道子
鴫
201406
門を出て春満月の真正面
川村文英
ろんど
201406
買物帰り春満月と歩きけり
國保八江
やぶれ傘
201406
行き行きてひときは大き春満月
成田美代
鴫
201406
ビル街の幻と化す春満月
赤座典子
あを
201406
飼猫の病も癒ゆる春満月
岡山敦子
京鹿子
201407
純金の春満月の水平線
村高卯
鴫
201408
春満月湯をなみなみと仕舞風呂
北村淳子
ろんど
201408
来し方を御破算にして春満月
岡山敦子
京鹿子
201408
春満月メール開けば「やるべし!」と
波戸辺のばら
瓔
201506
春満月仁王の背より出で来たる
山田春生
万象
201506
春満月牛若丸に出会ひけり
宮?ア高根
鴫
201507
海の面にいつぽんの道春満月
江澤弘子
鴫
201507
春満月十四行の半生記
間島あきら
風土
201507
春満月川風少し出でにけり
白石正躬
やぶれ傘
201508
春満月呼べば来さうな亡き親族
西川みほ
末黒野
201508
春満月くろぐろ育つ木々の影
間島あきら
風土
201605
春満月貨物列車の過ぐ時刻
高田令子
鴫
201605
カーテンを引き戻したり春満月
柴崎富子
春燈
201605
満月のまだ春月と言ひがたく
飛高隆夫
万象
201606
鎮魂の春満月や十日の夜
山本喜朗
雨月
201705
出遅れし亀には遠く春満月
岩月優美子
槐
201705
春満月きっと良いこと有りさうな
須賀敏子
あを
201704
春満月見よと誘はれ男下駄
柴田志津子
空
201705
光年を隔てひよつこり春満月
犬塚李里子
槐
201706
春満月足なみ合はせ付ゐて来し
今井充子
槐
201706
現れし春満月の瑞々し
堀井英子
雨月
201707
病棟や春満月に消燈す
堀井英子
雨月
201707
居間にある猫のねぐらや春満月
荒井千佐代
沖
201707
春満月黙して顎を上げでをり
永田万年青
六花
201707
春満月まだ濡れてゐる湯揉み板
永淵惠子
空
201707
春満月部屋の舟の絵傾ぎけり
青木朋子
空
201707
春満月へ首伸ばしたるキリンかな
今井康子
空
201708
名刹や春満月の置き所
本多遊方
春燈
201805
船霊の夜は出て遊ぶ春満月
柴田佐知子
空
201809
春満月闇をゆっくり押しひろげ
大山夏子
集
201902
春満月の大きさ胸に仕舞ひける
中貞子
槐
201904
春満月見よとの電話二人より
田中藤穂
あを
201904
ひとりじめ春満月の金色を
秋川泉
あを
201904
春満月告ぐるひとなく寝まりけり
西川保子
春燈
201905
雷神も照覧金の春満月
定梶じょう
あを
201906
春満月に魑魅のごとき樹々の影
北元多加
馬醉木
201907
産声の次々響く春満月
粟津さくら
瓔
201907
久方の春満月の淡きかな
加瀬伸子
末黒野
201907
春満月観よと庭下駄ちぐはぐに
加瀬伸子
末黒野
201907
春満月母と揃ひのへちま衿
田中とし江
空
201911
昼の女神夜は休まれ春満月
つじあきこ
瓔
202006
のぼり初む春満月を追うて帰路
有賀鈴乃
末黒野
202006
黄身のごとき春満月やポストまで
前原マチ
末黒野
202006
病棟の灯は消えて春満月
秋津令
空
202006
春満月しをり挟みて消す明かり
佐藤勝代
末黒野
202007
病棟の灯は消えて春満月
秋津令
空
202007
春満月前山いよよふつくらと
森清堯
末黒野
202007
春満月笙一管の音色かな
吉田順子
槐
202007
春満月コンパス置かれある机上
熊川暁子
槐
202007
気がつかば春満月の大きかり
永田万年青
六花
202007