炎 天 1

炎 天 1 199句

炎天のとつぱづれ也炭を焼 一茶

作品
作者
掲載誌
掲載年月
炎天に母仕度せり鵜飼ひ舟 保坂加津夫 自在抄 199600
炎天を網代に組んでゐたりける 岡井省二 槐 199807
炎天の砂丘の果に海を置く 稲畑汀子 ホトトギス 199808
原点があり炎天に杭があり 小澤克己 遠嶺 199809
炎天の仕舞ひわすれし画架白し 小澤克己 遠嶺 199809
炎天に尾を突きさしてやんま翔つ 神蔵器 風土 199810
炎天の一番下を乳母車 山路紀子 風土 199810
炎天に立ちゐて何かやり過す 水野恒彦 槐 199810
炎天下十字架まつり地鎮祭 粟津松彩子 ホトトギス 199810
炎天に清められたる起工式 佐土井智津子 ホトトギス 199810
聖水をもて炎天の地を鎮め 水田むつみ ホトトギス 199810
司祭出で土地の祝福炎天下 堀恭子 ホトトギス 199810
炎天に虚子記念館起工せり 吉田清秋 ホトトギス 199810
炎天や虚子鎮座ます鍬入るる 脇収子 ホトトギス 199810
地の神も鎮まり炎天下のみそぎ 吉田節子 ホトトギス 199810
炎天といへど嬉しや起工式 亀村慶子 ホトトギス 199810
炎天下てふもかしこみ起工式 平井智恵子 ホトトギス 199810
炎天の少女雀斑さらしをり 湯川加寿代 沖 199811
炎天来て明治初年の?ヒ(けら)を前 松崎鉄之介 濱 199811
炎天や(ノラ)のおん名はノモヒデオ 平井奇散人 船団 199811
すべて知る眼や炎天の一野犬 藤田宏 澪 199812
炎天は獣の舌の這うごとく 川島ひとみ 船団 199812
炎天の正午に生れた女の子 佐伯のぶこ 船団 199812
会者定離炎天を来て風に逢ふ 保坂加津夫 会者定離 199900
電話口より炎天に呼び出さる 別府優 朝 199901
炎天やうり坊六匹乱入す 尾上有紀子 船団 199902
炎天の車軸に立てば見ゆるもの 星野早苗 船団 199903
炎天下原爆ドーム罅育つ 西村和子 火星 199905
ビルとビルつなぐ炎天八十歩 稲畑汀子 ホトトギス 199907
皆同じ心に集ふ炎天下 稲畑汀子 ホトトギス 199907
楸邨も言ひきThoutooBrutus!炎天 岡井省二 槐 199907
炎天や羽化の白さのタージ・マハル 鷹羽狩行 狩 199908
炎天に立つクレーンの音刻む 稲畑汀子 ホトトギス 199908
炎天を噛みつくごとく馬来たる 山田六甲 六花 199908
注連切つて鉾の炎天開きたり 神蔵器 風土 199909
炎天より垂れきて蜘蛛の糸なりき 山田暢子 風土 199909
炎天を直視す若き伝道者 藤田宏 澪 199909
火葬より他は炎天にでも置くか 中原道夫 銀化 199909
炎天に出るを戸惑ふ着るもので 熊谷みどり いろり 199909
炎天の沈黙破る救急車 久保田一豊 いろり 199909
炎天の大樹戦ふごとくあり 久保田一豊 いろり 199909
化粧して後は野となれ炎天へ 松沢久子 いろり 199909
炎天を家庭の事情ということば 本村弘一 船団 199909
炎天をふくらんでくるぽぽポパーイ 本村弘一 船団 199909
炎天へ手足さしこむように行く 坪内稔典 船団 199909
炎天へ手足落として来たような 坪内稔典 船団 199909
鷺飛んで炎天撓ふ川の上 千代田葛彦 馬醉木 199910
炎天のこれ以上もう歩けぬぞ 吉原一暁 狩 199910
炎天の大穴に砂落ちにけり 各務耐子 槐 199910
炎天の鳩求愛の忙しさよ 小林優子 酸漿 199910
旅の途のワインに酔へり炎天下 中里カヨ 酸漿 199910
球児らに炎天力与へけり 村越化石 濱 199910
炎天に紛れぬやうに髪結ぶ 頓所友枝 沖 199910
喪の帯をしめ炎天を怖れざる 田山登喜子 沖 199910
遺訓めく炎天の地を行くことは 豊田都峰 京鹿子 199910
炎天の人形焼買ふ浅草寺 保坂加津夫 いろり 199910
これだけはままにならぬと炎天下 松沢久子 いろり 199910
ぼそぼそと悔み云ふなり炎天下 山本潤子 いろり 199910
炎天に立ち止り自己確かむる 中川濱子 ぐろっけ 199910
虚子の見し炎天の如色ガラス 稲岡長 ホトトギス 199911
炎天を甚平鮫の泳ぐかな 早乙女健 槐 199911
ランボオの忌ぞ炎天に立ちくらむ 本山卓日子 京鹿子 199911
燃え始め脳かも知れぬ炎天下 貝森光大 六花 199911
炎天を来て一岳の威と対す 小澤克己 遠嶺 199911
炎天下焼香といふわかれかな 保坂加津夫 いろり 199911
炎天の電車都会を逃げてゆく 松山律子 六花 199911
出てすこし胸張るこころ炎天下 能村登四郎 芒種 199911
御柱街道炎天の下ひたつづく 能村登四郎 芒種 199911
炎天のすべり台から異星人 小枝恵美子 ポケット 199911
「ケイタイ」で呼び戻さる炎天の往診医 永野秀峰 ぐろっけ 199911
炎天下八角の朱南円堂 岡本明子 ぐろっけ 199911
炎天下埋めむための穴を掘る 遠藤若狭男 狩 199912
全快す大炎天へ枕干し 高橋さえ子 朝 199912
炎天や胸に杭打ち込まれおり 内野聖子 船団 199912
炎天よりドタリと手足投げる猫 能勢京子 船団 199912
炎天の鋸屑たまる製材所 柴田いさを 船団 199912
赤ちゃんが先頭切って炎天へ 津田このみ 月ひとしずく 199912
炎天をいるかの顔ですたすたと 津田このみ 月ひとしずく 199912
むきだしの肩で難波へ炎天へ 津田このみ 月ひとしずく 199912
炎天にほどよく濡れし象の鼻 津田このみ 月ひとしずく 199912
急く足に影まとひつく炎天下 三嶋八千穂 ぐろっけ 199912
炎天のゴリラは内弁慶である 立岩利夫 海程 200001
炎天の負け牛空を見て退る 田中藤穂 水瓶座 200002
責め道具見て炎天にもの言はず 田中藤穂 水瓶座 200002
炎天を歩いて来たる黍団子 星野早苗 空のさえずる 200002
炎天のはじまる朝日上りくる 奥田智久 ホトトギス 200004
炎天や運動場を横切つて 松木知子 ヒッポ千番地 200004
炎天や空のうしろで輪がまわる 三宅やよい 玩具帳 200004
炎天に歯医者の器具のひんやりと 三宅やよい 玩具帳 200004
炎天に港湾道路続きをり 三宅やよい 玩具帳 200004
業平のあらはれきたる炎天下 岡本高明 槐 200006
炎天の一歩に拾ふ車かな 稲畑汀子 ホトトギス 200007
恋文と古靴燃やす炎天に 新関一社 京鹿子 200007
マングローブの花の流るる真炎天 松本潔子 濱 200007
炎天やアレキサンドル・ロムの像 松山律子 六花 200007
闘牛の牛炎天へ引き出され 宮沢房良 狩 200008
炎天から降り来たりし籠梟 岡井省二 槐 200008
炎天の饒舌に人遠くなる 竹村悦子 銀化 200008
炎天や顔の真赤な子が歩く 山田六甲 六花 200008
炎天や少年は目を研ぎ澄まし 禅京子 風土 200009
炎天やリンガに眼ありにける 栗栖恵通子 槐 200009
炎天下息荒くゆく僧ありて 保坂加津夫 いろり 200009
散歩するひとことしゃべり炎天に 篠田三七子 いろり 200009
炎天や家族総出のペンキ塗り 猪俣洋子 狩 200010
しらこゑを放つ家あり炎天下 緒方敬 槐 200010
炎天や音のなかりし兎小屋 栗栖恵通子 槐 200010
赤松の幹炎天に曲りをる 西田美智子 槐 200010
炎天のビル歪みわれ揺れてをり 野澤あき 火星 200010
炎天の碑映すコンパクト 大山文子 火星 200010
炎天を来て鳥たちの水飲み場 宮澤さくら 遠嶺 200010
拡げゆく墓地炎天になるほかなし 北川邦陽 海程 200010
ものの影みな懐に炎天下 下山田美江 風土 200010
炎天を突き刺す鉄路匂ひをり 柿沼盟子 風土 200010
真炎天完璧ならぬ獄の塀 佐藤真次 濱 200010
炎天来て茶粥御膳に渇癒やす 上野正子 濱 200010
炎天を抜け切れず消ゆ渓こだま 宇都宮滴水 京鹿子 200010
炎天下出ものはれもの落着かず 保坂加津夫 いろり 200010
炎天や産気づいたる犬がゐて 保坂加津夫 いろり 200010
炎天や用事があれば出掛けたり 大平保子 いろり 200010
炎天に手かざして読む遊女塚 桑垣信子 いろり 200010
蟻は餌を吾は炎天に影を曳く 林翔 沖 200010
退院の荷なれば軽し炎天下 小菅暢子 沖 200010
炎天に鍵掛け詩人の家ひそか 阿部寒林 夢 200010
修道女現れて炎天清々し 阿部寒林 夢 200010
炎天を舞ひて鴎の影もたず 長沼三津夫 朝 200010
炎天やサンバリズムで孫来たる 山崎辰見 ぐろっけ 200010
鍛冶場出て火の酔さます炎天下 大森井栖女 馬醉木 200011
炎天の影曳きてゆく遍路杖 石本百合子 馬醉木 200011
手賀沼のあをこひしめく炎天下 東克巳 槐 200011
炎天や鏡の前の空いてをり 雨村敏子 槐 200011
炎天に方向音痴なりしかな 村田明子 円虹 200011
みな同じ貌して着きぬ炎天下 海輪久子 円虹 200011
目より塩噴くかも知れぬ炎天下 海輪久子 円虹 200011
炎天に奥美濃の山立ちあがり 居川成美 狩 200011
右ひだり傾ぐ炎天盥舟 大川泉舟 澪 200011
炎天のいのちに水をまゐらせむ 竹村悦子 銀化 200011
炎天のゴンドラに硫黄匂ひくる 菅原庄山子 春耕 200011
炎天へ再び藤棚より出づる 二瓶洋子 六花 200011
炎天や命あるもの二三翔ぶ 滝青佳 ホトトギス 200012
炎天をゆらゆら姉の歩み来る 板倉勉 六花 200101
炎天の札所の隅に海女の墓 永野秀峰 ぐろっけ 200101
炎天の大佛の髪なほ巻きて 福田かよ子 ぐろっけ 200101
書展出て炎天のうす墨の色 高瀬哲夫 沖 200102
炎天やふんばつてゐる大鳥居 しおやきみこ 船団 200102
炎天をキリンの素直さ持ち歩く 能域檀 船団 200102
雀等の炎天によく話し込む 秋山深雪 船団 200102
炎天下来るたび母の墓ちぢむ ほんだゆき 馬酔木 200107
川風が炎天少し遠ざけて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200107
廃材を運ぶ炎天子は鎹 松村美智子 あを 200107
炎天をまっさかさまに尾長の死 高橋とも子 鱗 200107
炎天となる一隅の雲たぎち 能村登四郎 沖 200108
炎天をあるけば老のしみじみと 大平保子 いろり 200108
炎天を来て老僧のひとりごと 熊谷みどり いろり 200108
炎天下思はぬ知らせに言葉なく 福田みさを いろり 200108
炎天や軽鳧の逃るる橋の下 金子つとむ 俳句通信 200108
海神の作炎天に放置せる 中原道夫 銀化 200108
まなこより人はわとろへ炎天下 佐藤博美 狩 200108
人幅に覗く炎天草田男忌 神蔵器 風土 200109
炎天の入口幽らし一歩出づ 神蔵器 風土 200109
炎天に鴟尾の鎮もる真田庵 池田光子 風土 200109
炎天やわたしは象の影の中 滝沢環 京鹿子 200109
炎天へ扇神輿を揺さぶれり 池田草曷 雨月 200109
炎天下ものともせずに句碑を尋む 神原操 雨月 200109
炎天をこぼれて青き松葉かな 田崎凛 春耕 200109
ゆがみつつ近づく列車炎天下 北川英子 沖 200109
人文字のきびきび変はる炎天下 川畑良子 沖 200109
どうしても読めぬ句碑あり炎天下 保坂加津夫 いろり 200109
炎天の百壱才の黄泉の路 林田加杜子 いろり 200109
炎天下庭木に鳥も鳴かずなり 相沢健造 いろり 200109
炎天や踏切りの音響きをり 橋本千代子 いろり 200109
炎天へ一歩踏み出す深呼吸 田中藤穂 あを 200109
炎天に鉄材下ろす地の響き 川崎静園 風土 200110
炎天や唸りを上げて草刈機 鹿志村よしじ 狩 200110
仏舎利塔出て炎天によろめきぬ 三宅句生 馬醉木 200110
炎天は百丈岩の上にあり 三宅句生 馬醉木 200110
妻遙かにて炎天を分ち合ふ 橋本榮治 馬醉木 200110
炎天を来しわが影も意地通す 藤木竹志 馬醉木 200110
炎天に脳細胞が融けてゆく 二瓶洋子 六花 200110
切札を使ひ果して炎天下 平居澪子 六花 200110
真炎天夫淡々と癌告ぐる 佐々木孝子 濱 200110
炎天の一路つらぬく熔岩原野 北川英子 沖 200110
師の影がゆく炎天の男坂 河口仁志 沖 200110
炎天を来て荷崩れのごとく坐す 佐藤昌子 沖 200110
一点を見て炎天の冥きかな 岡田千代子 沖 200110
炎天を来て影もなくバスを待つ 加藤あけみ 円虹 200110
球場のドーム真白し炎天下 安陪青人 雨月 200110
一塵もなき炎天でありにけり 村松紅花 ホトトギス 200111
炎天行く眼差しに足追ひつかず 中本憲巳 狩 200111
炎天や雇用促進寮の建ち 細野みさを 狩 200111
炎天を一列の僧ふり向かず 関口幹雄 遠嶺 200111
駅前も駅前通りも炎天下 小山徳夫 遠嶺 200111
炎天に聲なし木津川の長堤 竹貫示虹 京鹿子 200111
鋭角や炎天に透く鳶職のひと 澁谷道 海程 200111
炎天のどれも無口に六地蔵 伊東百々榮 海程 200111
真炎天花車めく霊枢車 津野美都江 濱 200111
誰か逸れる炎天のフォークダンス 岡本幸枝 ぐろっけ 200111
炎天や蝶の頭の中は水 横山隆 海程 200112
炎天を帰りて顔を取り戻す 村上沙央 狩 200112

加藤楸邨逝く

炎天がすは梟として存す

岡井省二 槐 200112

2021年8月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

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