粟刈るや隠れの里は潮ぐもり
益本三知子
馬醉木
200101
川音のある十六夜の粟畑
岡井省二
槐
200106
粟倉の鯉のむらさき先彼岸
奥田節子
火星
200106
朝のまだ残れる午や粟の空
岡井省二
槐
200106
山の子や粟も蝗もポケットに
大串章
百鳥
200112
粟畑の中より笑まひ出でなさる
近藤きくえ
槐
200201
粟雑炊すすり民話の世に入りぬ
内田雅子
馬醉木
200202
単車止め山の帰りの粟くれる
安部美和子
ぐろっけ
200301
粟といふ字の粒々や豊の秋
辻直美
沖
200311
粟の穂の一輪差や山の宿
近藤てるよ
酸漿
200411
天空に住むてふ里の粟稔る
松崎鉄之介
濱
200411
穂刈して粟あざやかに紅葉しぬ
瀧春一
常念
200606
木つ葉の家粟の一と穂を窓に置く
瀧春一
瓦礫
200606
粟の穂の重み言葉を敦うする
瀧春一
瓦礫
200606
わが命大事に五穀の粟は黄に
辻直美
沖
200611
粟稔る大根島となりゐたる
松下八重美
槐
200612
茅葺を守る婆様や粟は穂に
東野鈴子
雨月
200712
粟刈つてゆつたり里の空広ぐ
小宮山勇
遠嶺
200712
粟干して鶏鳴長き佐久郡
森脇貞子
雨月
200801
粟ご飯炊いて忌日も極く内輪
八田木枯
晩紅
200908
撫づるかに粟の垂穂を手量りぬ
荒木甫
鴫
201111
夕映えや金の垂り穂の粟畑
熊切光子
末黒野
201201
子の苞は郷愁そそる粟の菓子
杉本綾
璦
201202
ふるさとは大字小字粟の里
紀川和子
うらら
201202
粟のいろ切なく静か最晩年
井上信子
鴫
201312
平安のかたちに粟のこぼれたる
井上信子
鴫
201312
粟一袋いかように置かれても
井上信子
鴫
201312
粟おこしよばるる昼の酒も少し
中川句寿夫
ここのもん
201705
子すずめに粟をまく時楽しかり
田尻りさ
六花
202207
2023年10月3日
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