初霰軒の杉玉香に立てり
新家豊子
馬醉木
199903
潔し霰に打たれ梅探る
大橋宵火
雨月
199904
西日射す霰天神わらべ唄
神蔵器
風土
199909
死者に鞭打つ喝采の霰降る
柴田いさを
船団
199912
徒歩二十五分の駅や霰降る
稲畑廣太郎
ホトトギス
200001
見てをりし雨が霰となる光
稲畑汀子
ホトトギス
200001
霰降ることにも話ふくらみぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200001
夕霰枝にあたりて白さかな
高野素十
初鴉
200001
執拗に窓打つ霰手足なし
田淵昌子
京鹿子
200001
急霰の音溜まりたる枕かな
正木ゆう子
沖
200003
周洽の霰なりしも片寄れる
中原道夫
銀化
200003
霰打つ落葉松林シロホンめく
佐藤真次
濱
200005
玉霰天使がはじく鉄琴
塩見恵介
虹の種
200005
玉霰ハッカーが来て立て籠る
若森京子
船団
200006
霰やんで蒼き日暮を置いてゆきし
吉田陽代
沖
200010
寒鰤の競る声終り夕霰
皆川盤水
春耕
200103
水漬きたる霰の芯の白さかな
深澤鱶
火星
200104
擂粉木を円く使へば玉霰
小山森生
槐
200104
夕霰打つにまかせり戒壇院
石神芳枝
ぐろっけ
200105
パソコンを打っては響く玉霰
朝倉晴美
船団
200108
大粒の霰が屋根に注連作り
春川暖慕
銀化
200202
牛啼くや霰とび散る開拓碑
大串章
百鳥
200203
切り貼りの鳩舎の屋根や夕霰
天野和風
春耕
200203
箒目のそろひし苑に玉霰
栗林松枝
春耕
200203
お降りの霰に変る韻きかな
都筑智子
沖
200203
生薬の噴きあげてゐる霰かな
伊藤多恵子
火星
200204
冬将軍にはか霰で屋根白し
原田圭子
ぐろっけ
200204
喪の家に音走りたる霰かな
山田弘子
円虹
200204
初霰向ひ山より降りて来し
菅野虚心
朝
200204
この人を帰したくなし霰ふる
副島いみ子
ホトトギス
200205
白い空霰かなでる物語
中村真実
ホトトギス
200205
折からの霰に踊る糶の雑魚
堤剣城
ホトトギス
200205
テープ切る別れの波止に霰ふる
多田羅初美
ホトトギス
200205
霰去るひとつの時間はたと終へ
蔦三郎
ホトトギス
200205
風追うて転がりゆくも霰かな
石田風子
ホトトギス
200205
霰降る森羅万像をば叩き
蔦三郎
ホトトギス
200205
花時計止つてをりし玉霰
児島倫子
ホトトギス
200205
霰聴くまことあられもなき体で
佐藤恭子
ホトトギス
200205
片頬を打てる霰の夜を戻る
多田羅初美
ホトトギス
200205
不意打ちの霰舟足速めけり
黒沢三主寿
ホトトギス
200205
吹き溜まる霰や路地の窓灯り
石田風子
ホトトギス
200205
白といふ粒の散乱玉霰
多田羅初美
ホトトギス
200205
霰降る音に昏れきし女神像
児島倫子
ホトトギス
200205
出る用のなければ気楽玉霰
副島いみ子
ホトトギス
200205
何時までも人生は夢玉霰
林曜子
ホトトギス
200205
霰ふるあひだを埋めるために降る
佐藤恭子
ホトトギス
200205
全身が屋根の霰をきいてゐる
佐藤恭子
ホトトギス
200205
湯けむりにあわてて消える玉霰
伊住政和
ホトトギス
200205
湯の国の不意の出迎へ霰かな
伊住政和
ホトトギス
200205
隠り沼に霰降りけり粥を炊く
近藤幸三郎
風土
200206
霰もて兼六園を追はれけり
岩垣子鹿
ホトトギス
200206
傘に透け霰の躍るシルエット
岡谷栄子
苑
200206
仙人の棲む山霰に打たれたる
菅原康
風土
200207
頬を打つ霰駆け込む駅舎かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200212
霰敷き鹿の子絞りの貞山堀
金升富美子
濱
200303
また別の霰の音の祇園かな
山尾玉藻
火星
200303
霰降る社の太鼓鳴り響き
泰江安仁
百鳥
200303
竹林に霰音たつ五日かな
水野淳子
朝
200304
北山のふくれてきたる霰かな
助口弘子
火星
200304
室の津や霰じめりに遊女の碑
大野英美
風土
200304
一霰あり崖下の十字墓
秋田庫
朝
200307
霰はらふ膝に降るものみな払ふ
伊藤早苗
鴫
200401
灯されて敷石白し夕霰
岡本眸
朝
200402
にぎやかに霰のありし巣箱かな
山尾玉藻
火星
200403
初霰托鉢僧の足を打つ
木下節子
雲の峰
200403
玻璃戸うつ霰の音も鎮魂歌
梁瀬照恵
ぐろっけ
200404
急霰に頬打たれたり砂むし湯
白澤よし子
馬醉木
200404
雨か否芝生は霰絣なる
林翔
沖
200404
夕方は霰大粒道に跳ね
上岡末喜
築港
200404
宵山や霰天神に待ち合はす
南奉栄蓮
風土
200410
霰降ることも承知の旅路かな
稲畑汀子
ホトトギス
200501
二千人の天突き体操霰ふる
鈴木勢津子
槐
200503
無帽主義もはや限界霰降る
北尾章郎
苑
200503
トタン屋根跳ねて転んで初霰
高木昌子
築港
200503
夕網のトロ箱を打つ玉霰
原茂美
雲の峰
200504
園庭に残る跳び縄玉霰
萩原みどり
雲の峰
200504
蝋梅や霰混じりの雨に遭ふ
島崎勇作
酸漿
200504
建国日の急霰打ちて石畳
定梶じょう
あを
200504
玉霰砂灘の漣を目立たせし
泉田秋硯
苑
200505
霰溜め平家屋敷の角祠
品川鈴子
ぐろっけ
200601
箸長く使ふ娘と居り初霰
工藤ミネ子
風土
200602
汝と我の掬ひとりたる玉霰
西村純太
槐
200603
霰玉浴びて婚の荷発ちにけり
西畑敦子
火星
200603
殉教の墓かたむきて初霰
斉藤阿津子
百鳥
200603
初霰背筋のばせと母の言ふ
斉藤阿津子
百鳥
200603
節削る音の乾きて玉霰
三反田輝夫
河鹿
200603
窓たたく音先立てて初霰
関口道代
狩
200603
円周率となへるやうに霰降る
松本圭司
沖
200604
黒雲のこぼして過ぎし霰かな
田所洋子
雨月
200604
学童の傘にたばしる霰かな
細川房代
百鳥
200604
霰降り雪ふる輪廻葬送歌
木船史舟
苑
200604
玉霰弾みて旅の始まりぬ
竹内文子
遠嶺
200604
隠栖に霰いつぱいの黎かな
阿波野青畝
ぐろっけ
200605
霰ぽろんぽろぽろぽろん無限
伊藤希眸
京鹿子
200605
玉霰トラツクに豚ひしめきぬ
松田有伽
河鹿
200605
雑煮椀母には霰餅浮かせ
横田初美
春燈
200703
語部も絶え霰打つ干拓田
辰巳比呂史
苑
200703
南座の大提灯に霰かな
丸山照子
火星
200704
川渡り来しいろざとの夕霰
岩井ひろこ
火星
200704
天王山すでに明るき霰かな
大山文子
火星
200704
鉄鉢の七寸を打つ霰受く
間島あきら
風土
200802
坂道の多き産十初霰
齋藤厚子
鴫
200803
飛び跳ねてオランダ坂の玉霰
築城百々平
馬醉木
200804
文鳥や霰二、三をついばんで
坪内稔典
稔典句集
200804
羅生門跡の霰の跳びはねて
坪内稔典
稔典句集
200804
恋人の髪の霰をそのままに
坪内稔典
稔典句集
200804
霰来るカバンの底に正露丸
坪内稔典
稔典句集
200804
束の間を霰が打てり大寝釈迦
阿部すず枝
万象
200804
てのひらに霰を三粒恋人は
坪内稔典
稔典句集
200804
御影堂大屋根走る玉霰
倉谷ます美
万象
200804
青空が霰をこぼす明日香村
坪内稔典
稔典句集
200804
長城に挑み額打つ玉霰
味村志津子
雨月
200805
急霰に吟行予定反故にせる
駒井のぶ
璦
200805
玉霰風のリズムで踊りだす
宇田喜美栄
槐
200806
天目指す一樹ありけり玉霰
湯浅夏以
樹も鳥も
200806
雲厚くやがて霰をこぼしけり
稲畑汀子
ホトトギス
200901
一枚の空降らせたる霰かな
稲畑汀子
ホトトギス
200901
円錐のぶりき井戸蓋霰どき
定梶じょう
あを
200901
いつ間に半月上げて霰止む
稲畑汀子
ホトトギス
200901
霰止み濡れて光りぬ滑走路
稲畑汀子
ホトトギス
200901
一条の冬日を容るる霰釜
浅田光代
風土
200902
雪霰梵鐘の臍打たれ艶
石崎浄
風土
200902
いつときの霰まじりの傘となる
安藤久美子
やぶれ傘
200903
地方自治とは霰ふるトタン屋根
定梶じょう
あを
200903
パラパラと音立て降るや初霰
原田圭子
ぐろっけ
200904
ひとり夜の入浴剤や霰の夜
杉本綾
璦
200904
箸あそぶ嬰の食ひ初め玉霰
深澤鱶
火星
200904
初霰音にわざわざ窓辺まで
濱田ヒチヱ
ぐろっけ
200904
成人の袂にほろと霰かな
前川明子
鴫
200904
托鉢の碗にはじける夕霰
木内美保子
六花
200904
知覧なる武家庭園や玉霰
小林優子
酸漿
201003
篁に音の移れる初霰
戸栗末廣
火星
201004
掌に弾みて消ゆる霰かな
久本久美子
春燈
201004
石庭の白砂にまがふ玉霰
窪田粧子
馬醉木
201004
美容師が急な霰を一瞥す
井上美智子
苑
201005
ちちんぷいぷい病気など飛んでけ玉霰
渡辺鶴来
春燈
201102
霰たばしりて黄海きな臭き
辰巳比呂史
苑
201103
「一字庵」の霰こぼしや藪椿
小幡喜世子
ろんど
201105
小芥子らに見つめられゐて霰酒
西田美ち
ろんど
201203
うすら氷に霰の玉のころびたる
定梶じょう
あを
201204
奥能登や突如霰の大き粒
松原悦子
万象
201205
海鳴りや塩田句碑に玉霰
松原悦子
万象
201205
拳骨の出来ぬ両手を打つ霰
吉村摂護
空
201205
天より霰地にAKB48
すずき巴里
ろんど
201205
霰降る弥彦の神の大鳥居
北崎展江
くりから
201209
忿怒仏のかんばせ叩く初霰
中石紀美代
万象
201303
篁へ音の移りし初霰
戸栗末廣
空
201304
気功する窓打つ霰また烈し
藤波松山
京鹿子
201304
佛間にも干して五色の霰餅
石脇みはる
槐
201305
米粒のやうにさらさら地の霰
瀧春一
花石榴
201312
一つ火を辿り嵯峨野の玉霰
?コ田千鶴子
馬醉木
201402
初霰朽ちし軒端を容赦無く
国包澄子
璦
201402
初霰子らのスキップ迎へけり
工藤ミネ子
風土
201402
鋭角の空気となりぬ初霰
小田里己
沖
201403
歩けない苛立ちに似て霰かな
高倉恵美子
空
201403
初霰身の引しまる夜の窓
藤波松山
京鹿子
201403
認知脳霰が打って痺れけり
松川悠乃
ろんど
201405
たぢろがぬ瀬の一禽や夕霰
窪田粧子
馬醉木
201502
東の空の明るさ初霰
西田たかこ
万象
201502
たちまちに霰たばしる夕一刻
大松一枝
璦
201503
空裂くるかに激しかり雨霰
坂根宏子
璦
201503
初霰創成川から町拓け
松川悠乃
ろんど
201504
静かなり耳を澄ませば霰降る
佐竹千代
やぶれ傘
201504
見返りし五重の塔や初霰
石井秀一
風土
201512
北海の初雪雷と雨霰
山口素基
万象
201602
窓を打つ霰に夢の途切れたり
永田万年青
六花
201603
初霰窓打つ音に縮む首
藤波松山
京鹿子
201604
伝承の舞に神慮の玉霰
南光翠峰
馬醉木
201702
尼御所の枝折戸たたく玉霰
佐藤保子
馬醉木
201704
湯宿打つ霰こまどり湯の町に
久保東海司
槐
201705
初霰牛買いひが来て納屋覗く
中川句寿夫
ここのもん
201705
霰から霙に変はり法の山
赤松赤彦
六花
201705
尼御所の枝折戸たたく玉霰
佐藤保子
馬醉木
201801
初霰駅へ歩行器六百歩
川村みよき
万象
201802
潮引いて霰の歓喜干潟打つ
定梶じょう
あを
201902
初霰土鈴の珠のころんころん
時澤藍
槐
201903
あかつきの霰窓打つ炭都かな
夏生一暁
馬醉木
201904
痩せこけし魚板の腹や初霰
柴崎富子
白地
201909
霰打つ出窓ガラスの眠り猫
火箱ひろ
瓔
202003
ワイパーと格闘続く玉霰
坂下成紘
沖
202003
首筋にやんちや坊主の霰かな
出利葉孝
槐
202005
昨日から煮ているシチュー初霰
青谷小枝
やぶれ傘
202101
音もなく肩に跳ねたる初霰
藤生不二男
六花
202103
2021年11月29日
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