秋の海 137句
秋の海隠岐の四島を置いて去る 井上白文地
ふところに歳時記のあり秋の海
関口幹雄
遠嶺
199911
未だ泳ぐ人数数へをり秋の海
能村登四郎
芒種
199911
蛸は何を考へをるや秋の海
白岩三郎
馬醉木
199912
汀より暮色ひろがる秋の海
橋本美奈子
俳句通信
199912
秋の海心音さがす糸電話
信崎和葉
六花
199912
船動き初め秋の海動き初む
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
秋の海おいてけぼりのふくらはぎ
直江裕子
京鹿子
200001
初秋の海を見下す放牧地
阿波谷和子
俳句通信
200010
秋の海今度も引潮どきに来し
能村登四郎
沖
200010
壁伝いに歩く人あり秋の海辺
金子兜太
海程
200101
秋の海さらに深きに師恩かな
川口襄
遠嶺
200101
履き慣れし靴履き行かむ秋の海
細田いずほ
遠嶺
200101
秋の海老人は馬を考える
金子皆子
海程
200102
針千本尾鰭を曲げて秋の海
武井康隆
船団
200103
限りなく深き碧色秋の海
稲畑汀子
ホトトギス
200109
秋の海背骨を捜さねばならぬ
木曽岳風子
六花
200109
秋の海一望にして美術館
若江千萱
雨月
200112
ざばざばと坂下りゆく秋の海
小田さやか
船団
200112
輝きて釣り楽します秋の海
河内童楽
六花
200201
たて皺の眉間一生秋の海
山田六甲
六花
200210
秋の海魚骨は波にさらわれぬ
松山律子
六花
200211
灯台の腹抜けて見る秋の海
西山美枝子
酸漿
200211
岩肌に根を下ろす木々秋の海
的池遙
百鳥
200301
秋の海穹よりも青老いてはならぬ
新関一杜
京鹿子
200310
秋の海見えて展望台混めり
今瀬剛一
対岸
200311
秋の海戦艦見たる白昼夢
長屋璃子
火星
200312
秋の海母と子に潮満ちてきし
斉藤利枝子
対岸
200312
秋の海第一声の響きけり
大串章
百鳥
200312
浦会所藩主もお成り秋の海
四葉允子
ぐろっけ
200312
秋の海ひねもす糸を垂らす翁
白井墨絵
遠嶺
200402
薔薇越しに人あり秋の海があり
今井千鶴子
ホトトギス
200403
秋の海見ゆと展望台に声
若江千萱
雨月
200411
一片の雲にさそはれ秋の海
大槻球子
遠嶺
200501
赤煉瓦倉庫開店秋の海
小池津や子
帆船
200501
教会の扉を開けて秋の海
甲斐のぞみ
百鳥
200501
秋の海寄せては旅情たたみけり
黒澤千世
帆船
200507
秋の海大和金剛陸奥眠る
稲畑廣太郎
ホトトギス
200509
秋の海雲の変幻受け止めて
稲畑廣太郎
ホトトギス
200509
秋の海島近付いて遠退いて
稲畑廣太郎
ホトトギス
200510
秋の海見えてくるまで坂登る
能村研三
沖
200510
秋の海沈む夕日の音がする
安部里子
あを
200512
夜の雨の秋の海底かも知れず
田巻和子
遠嶺
200601
ようそろと胴間声あり秋の海
中島陽華
槐
200601
溶けさうで溶けない夕日秋の海
平居澪子
六花
200602
秋の海東天にはや巨き星
加藤みき
槐
200612
秋の海に空港浮かべ波立てり
岸本林立
雨月
200612
秋の海潮汲浜は紺に澄み
永井雪狼
苑
200701
秋の海我が飛行機の影を見る
渡辺玄子
酸漿
200701
葬り果て真直ぐ秋の海を見に
野沢しの武
風土
200704
淋しめばひたひたと晩秋の海
稲岡長
ホトトギス
200705
砂利一つ指でとばして秋の海
松下幸恵
六花
200705
漁師町道幅にある秋の海
山村修
酸漿
200712
秋の海銀波に浮ぶ漁船
瀬沼利雄
酸漿
200712
人見えぬ浜の静かさ秋の海
渡邊由江
苑
200802
秋の海見てをり月日走りをり
藤井寿江子
馬醉木
200811
越路吹雪そこにゐさうな秋の海
青木ちづる
鴫
200812
波立つを忘れてをりぬ秋の海
松本圭司
沖
200812
鳥海山半回りして秋の海
鈴木とおる
風土
200812
極楽寺坂抜け来て見たり秋の海
飯田角子
酸漿
200812
秋の海人恋ふに似て未知の国
勝見玲子
鴫
200901
勿来この松籟越しに秋の海
布川直幸
峰
200901
船庭に臍の座り処秋の海
伊藤希眸
京鹿子
200901
甕の中のぞくやうなり秋の海
KOKIA
六花
200901
稚の目に映りて秋の海澄めり
河村武信
ぐろっけ
200902
極楽寺坂抜け来て見たり秋の海
飯田角子
酸漿
200905
石ひとつ動かしてをり秋の海
中村恭子
鴫
200911
秋の海なぜか心を静かにす
遠藤実
あを
200911
地図の端走つてをりぬ秋の海
長谷川智弥子
炎環
200912
秋の海没日見てゐる力抜き
中條睦子
万象
200912
振り返るたびに青くて秋の海
高倉和子
空
201001
振り返るたびに青くて秋の海
高倉和子
空
201001
実演の海女の磯着や秋の海
西垣順子
璦
201011
内なる波浪眼前の秋の海
佐々木群
沖
201011
秋の海子午線の果何もなく
大橋晄
雨月
201011
秋の海穏し地球の永久にとぞ
大橋晄
雨月
201011
ただ広き新駅秋の海近み
高橋道子
鴫
201101
行く秋の海の心音聴いてをり
浅田光代
風土
201101
船窓に富士山を掲げて秋の海
金山藤之助
苑
201102
秋の海浜風匂ふ母子像
五ケ瀬川流一
六花
201109
江の島へ灯の渡りゆく秋の海
鎌倉喜久恵
あを
201112
一人来てひとりなるかな秋の海
近藤ともひろ
万華鏡
201206
金箔を浮かべちらつく秋の海
山本達人
かさね
201212
秋の海遠い日本へ思ひはせ
丸田信宏
京鹿子
201212
秋の海渚に深き馬蹄跡
田中臥石
末黒野
201301
久能山の磴まがるたび秋の海
丑久保勲
やぶれ傘
201301
曇天に藍を失う秋の海
山本草風
かさね
201311
忘れたきことは忘れて秋の海
堀園子
沖
201312
円鐘や螺鈿に太古の秋の海
塩貝朱千
京鹿子
201401
津波碑を訪ふ晩秋の海の音
田中臥石
末黒野
201402
連れ立ちて夫にはあらず秋の海
久保久子
湖心
201402
佐渡消えて能登見えてきし秋の海
安原葉
ホトトギス
201403
秋の海だまってゐるからだまってゐる
佐藤喜孝
あを
201410
震災のときの過ぎゆく秋の海
佐藤健伍
峰
201411
左千夫碑や波音高き秋の海
中村紀美子
春燈
201411
やや冥き色を敷き展べ秋の海
椿和枝
鴫
201412
秋の海まなこ平たくして眺む
原田達夫
鴫
201501
荒波の風しほからく秋の海
中堀倫子
槐
201501
秋の海まなこ平たくして眺む
原田達夫
箱火鉢
201511
トンネルを抜け初秋の海展く
川田好子
風土
201511
秋の海江の島ぐいと動きゐる
岸上道也
京鹿子
201512
ポケットに石詰め終り秋の海
竹内弘子
あを
201512
白き帆の動くともなく秋の海
臼井珊瑚
峰
201512
江ノ電に乗る晩秋の海を見に
遠藤逍遙子
風土
201512
秋の海白く水脈曳く漁舟
板谷俊武
末黒野
201601
船頭は島見ず秋の海を漕ぐ
松本三千夫
末黒野
201602
秋の海走りゐるかに列車の灯
志方章子
六花
201602
秋の海ことばを紡ぐように波
山本みち子
瓔
201712
終着駅前に展ける秋の海
荒井千佐代
空
201803
秋の海海亀の孵化見張る小屋
田中藤穂
集
201811
秋の海時に荒るるといふことも
大橋晄
雨月
201901
秋の海写真で綴る旅日記
坂本和穂
やぶれ傘
201902
天つ風裾引く富士へ秋の海
岡野里子
末黒野
201902
富士を染め海原を染め秋落暉
岡野里子
末黒野
201902
秋の海行けど人無き小松原
石川東児
集
201905
玉手箱見逃し秋の海覗く
山田六甲
六花
201911
海神の喜怒を顕に秋の海
上野進
春燈
201912
満潮の瞬間の黙秋の海
中西厚子
槐
201912
秋の海へ急がぬ雲と急ぐ雲
中村洋子
風土
201912
ここそこに師の面影や秋の海
森高武
風土
202001
秋の海に對ひ二人とひとりかな
佐藤喜孝
あを
202002
白砂に残すほてりや秋の海
西計郎
末黒野
202012
搭乗機までのバスから秋の海
根橋宏次
やぶれ傘
202101
青空の高々とあり秋の海
吉澤恵美子
春燈
202111
似て非なる外国の文字秋の海
森なほ子
あを
202111
秋の海さらにふるさと遠くして
土井ゆう子
風土
202112
秋の海光の帯の揺れ落暉
涌羅由美
ホトトギス
202202
落日に金に染まりし秋の海
星野椿
ホトトギス
202202
落日をすとんと消して秋の海
稲畑廣太郎
ホトトギス
202209
秋の海三笠は永遠に動かざる
稲畑廣太郎
ホトトギス
202209
艦沈め魂鎮め秋の海
稲畑廣太郎
ホトトギス
202209
黒々と水尾曳く空母秋の海
稲畑廣太郎
ホトトギス
202209
秋の海水平線を遠ざけて
稲畑廣太郎
ホトトギス
202209
乗りついで秋の海見る旅ごころ
都築繁子
あを
202211
無人駅果ては無限の秋の海
渡辺節子
集
202212
火袋の古き眺めや秋の海
浜田久美子
六花
202212
気になりし過去を片付け秋の海
谷口律子
末黒野
202301
2023年10月26日
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