合掌造りの急な階段秋湿り
田中藤穂
水瓶座
200002
躓きて翁の家の秋湿り
関田誓炎
海程
200004
乗り継ぎの駅のコーヒー秋湿り
竹部千代
澪
200011
旧稿と鞄にありし秋湿り
能村登四郎
羽化
200110
酒の香や丸太の椅子の秋湿
阿部悦子
酸漿
200112
ひらひらと藁屋火を焚く秋湿り
手島靖一
馬醉木
200311
不揃ひの石の百段秋湿り
野内妙子
朝
200312
鎌倉の鴉も猫も秋湿り
宮澤さくら
遠嶺
200402
秋湿り埃まみれの楽譜箱
十河秀子
百鳥
200412
秋湿り跡目知れずの嫁入り菓子
品川鈴子
ぐろっけ
200412
塩地蔵眼窩にも塩秋湿り
小泉三枝
春燈
200501
秋湿り墓の卒塔婆いかにせん
品川鈴子
ぐろっけ
200511
新聞のくたりと折れる秋湿り
赤座典子
あを
200611
靴下の穴を繕ふ秋湿り
小林正史
鴫
200612
佇てばはや森の香重き秋湿
内山けい子
朝
200702
白い闇ぬけて身にそふ秋湿り
中野京子
槐
200712
砂利を踏む音も重たく秋じめり
大井邦子
ぐろっけ
200712
秋湿り薬草園の作業服
木下もと子
鴫
200802
醤油蔵の帳場そろばん秋湿り
小澤菜美
璦
200812
醤油屋の帳場そろばん秋湿り
小澤菜美
璦
200812
秋湿り板戸なだめて閉めにけり
末吉治子
春燈
200911
亡き母の箪笥は開かず秋湿り
末吉治子
春燈
200911
臥す折れる聳ゆ記紀杉秋湿り
品川鈴子
ぐろっけ
200912
友の読む電子読本秋湿り
森山のりこ
あを
201012
血管のやうな路線図秋じめり
坂場章子
鴫
201101
蔵奥に箱階段や秋湿り
森清信子
末黒野
201102
杉玉の古り酒蔵の秋湿り
岡井マスミ
末黒野
201102
秋じめりとは胸もとか喉元か
井上信子
鴫
201111
木々渡るなじみの風の秋湿り
石田きよし
鴫
201112
菓子折りとことわり状や秋湿り
佐藤喜仙
かさね
201211
秋湿り不満噴き出す新内閣
福島松子
ぐろっけ
201301
石仏を囲む田んぼや秋湿り
渡邊孝彦
やぶれ傘
201302
老猫の動き緩やか秋湿り
福島松子
ぐろっけ
201302
秋湿り置き去りされし野球帽
古沢幸次
ろんど
201312
秋湿り海女小屋の昼大浅蜊
長崎桂子
あを
201312
秋じめり皺おさへつつ寄席出づる
三輪慶子
ぐろっけ
201312
指先で回す地球儀秋じめり
三輪慶子
ぐろっけ
201312
秋湿り主役少年変声期
向江醇子
ぐろっけ
201401
古書店の裸電球秋湿り
大島寛治
雨月
201501
香煙の乱れてのぼる秋じめり
大崎紀夫
やぶれ傘
201511
秋湿り亡き犬にもの言うてみる
飛高隆夫
万象
201512
野良猫の人呼んで鳴く秋じめり
吉村摂護
空
201601
秋じめりひそめ島主の奥座敷
松本三千夫
末黒野
201602
文庫本の百円均一秋湿
豊谷ゆき江
春燈
201612
上野の杜に異人の読経秋湿り
中山皓雪
鴫
201701
ぼんぼん時計のんびりと鳴る秋湿り
小巻若菜
やぶれ傘
201712
秋湿る観音堂に灯を献ず
柿沼盟子
風土
201801
古本の匂ふ古書街秋湿り
岡田正義
雨月
201901
三井別邸アリの巣コロリ秋湿り
おーた一えつこ
瓔
201903
秋湿り煮炊きの匂い消した家
近藤かな
瓔
201903
病告ぐ医師の白衣や秋湿り
工藤はる子
集
201912
秋湿り時流に乗れぬへそまがり
時澤藍
槐
202001
塩山駅信玄像の秋湿り
田中藤穂
あを
202011
『暗夜行路』書きにし部屋の秋湿り
小林共代
風土
202112
日の丸の行李に残る秋湿り
菊川俊朗
沖
202112
秋湿り腕絞めつける血圧計
倉澤節子
やぶれ傘
202112
図書館の踏み台きしむ秋湿り
升田ヤス了
六花
202201
天が病み地が病み人も秋湿り
石川東児
集
202202
2022年10月18日
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