2011.11
(社)日本原子力技術協会
"Dr.ジャン・ティーのヒューマンファクター研究室"
No.2〈思い込み〉
タイトル:その作業、着手条件そろってる?
事例:
作業班長は予定時刻を過ぎていたことから、作業員に作業の開始を指示しました。しか
し、
前工程の水抜き作業がまだ完了していなかったため、
水漏れが発生してしまいました。
解説:
ヒューマンエラーの発生因の一つとして心理的要因である
『思い込み』
が挙げられます。
『思い込み』とは、特定の考え方に固執してしまう状態を指します。
「予定が狂うことはない」
「予定通り工程は進行している」といった先入観や、
「今まで
に何度も繰り返し経験した作業」や「手順書を必要としないくらい慣れた作業」など、過
去の経験や前例にとらわれてしまう固定観念により『思い込み』は形成されます。
『思い込み』で作業を実施すると、誤った判断が元でヒューマンエラーを誘発する可能
性があります。
本事例における問題点は、
「前工程の作業は完了しているはず」との先入観からくる『思
い込み』により、作業班長が関連作業の進捗状況を確認せず作業開始の指示をしたことで
す。
『思い込み』によるヒューマンエラーを予防するには、チーム内はもとより関係箇所と
のコミュニケーションを図ることや、現場の状況を把握し、常に自分の判断が正しいかど
うかを確認することです。
具体的には次のような行動が有効です。
・前工程の完了確認
・作業の進捗状況確認
・関連作業との情報共有

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /