旅行前の準備
旅行前には診察を受けよう
「元気だから旅行に行くのに、何で医者にかからなきゃいけないの?」と思う方は多いのではないでしょうか。でも、少し考えてみませんか。あなたは旅先ではやる病気のことを知っていますか。怖い感染症でもワクチンを打てば防げるものもあります。感染症などの予防についても、専門家から要領を得た説明を聞けばうまく実践できます。また、もしあなたが普段管理してもらっている病気をお持ちなら、旅先で病気が悪くならないように、また悪くなった場合に備えて、かかりつけの先生や専門家に詳しく対処法を聞いておいた方がよいでしょう。このように、予防接種、感染症の予防、ご自分の病気に対する管理や投薬のため、旅行前に診察を受けることにより、海外旅行にともなう危険を減らすことができます。
[画像:旅行前には診察を受けよう]
では、どのような医療機関に相談すればよいでしょうか。
▶医療機関受診前のチェックリスト
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命を守る予防接種
命を守る予防接種
感染症には、その病原体に対して直接治療する手段がないものがあります。このため、予防接種で防げる感染症の場合、予防接種によりあらかじめ免疫をつけておくことが望まれるものがあります。特に、命に関わるような感染症については、予防接種は最も重要な対抗手段となります。
渡航者にとって必要な予防接種は、旅行地、そこでの滞在期間、また、滞在地で何をするかによって異なってきます。その地域で流行する疾患については誰でも予防接種の対象として考えるでしょう。一方、黄熱予防接種のように、国や地域によっては例えその地域で流行がなくても受けていなければ入国できなくなるものもあります。また、破傷風に対する予防接種の場合のように、渡航を機会にご自分に免疫があるか見直し、必要に応じて追加で接種をした方がよいものもあります。 地域別情報、疾患別情報についてもご参照下さい。
予防接種(ワクチン)
もしもの時に備えて-旅行用セット
症状が比較的軽い場合、前もって旅行用の医療セットを用意しておけば十分対応が可能です。「具合が悪くなったら海外で買えばいいじゃない。」と感じられるかもしれませんが、海外で薬や衛生物品を買うのは、言語の問題もあり簡単なことではありません。また、自分の体に合うかどうか確実ではありません。さらに、海外ではニセ薬が横行している地域もあります。
[画像:もしもの時に備えて-旅行用セット]
それでは何を準備し、何に注意したらよいでしょうか。次のリストをご参考にしてください。
・咳止め
・抗ヒスタミン剤*1
・下痢に対する薬*2
・胃の不調に対する薬:制酸剤、H2ブロッカー
・かかりつけ医
・目的地の日本大使館、領事館
*1 かぜ薬の成分です。市販のかぜ薬は解熱剤や咳止めを含んでおり、他の薬と併用できない場合がありますので、ご注意ください。
*2 いわゆる「下痢止め」は、感染性腸炎の病原体を体内に停滞させてしまいます。使用に際しては十分にご注意ください。下痢に対する抗生物質の使用については、かかりつけ医、トラベルクリニックにご相談ください。
*3 チェックインする荷物の中につめること。機内持ち込み荷物に入れると、セキュリティによって没収される可能性があります。
旅行用セット携帯に際しての注意点
▶処方された薬については、薬剤の商品名および薬剤名が記載された処方箋のコピー、およびその翻訳文を携行します。
▶かかりつけ医のメモ:規制された薬剤や注射薬について、処方した医師からレターヘッドつきの便箋に書いてもらうことを推奨します。
▶ある種の薬剤は渡航先への持ち込みが認められないことあります。前もって目的地の在日本大使館や領事館に連絡することを推奨します。
▶旅行用セットは手元にあって初めて役立ちます。持ち込み禁止物以外は、機内持ち込み手荷物に入れるようにしてください。また、荷物は紛失する可能性もあります。薬については十分な手持ち量を確保しておいてください。
目的地別の旅行用セットの例
(2)旅行-タイプ2 都市部・一般観光地・リゾ-ト地で感染症がある地域
(3)旅行-タイプ3 感染症が多い地域
(4)旅行-タイプ4 感染症の蔓延している地域(冒険旅行/未開地踏破型)
慢性の病気のある方に
[画像:慢性の病気のある方に]
旅行前に十分にゆとりを持ってかかりつけ医を受診し、旅行日程や前準備についてご相談ください。
かかりつけ医に英文で紹介状をもらってください。
薬剤を十分量確保してください。
旅行保険、社会保険の適用範囲、請求に必要な書類についてお確かめください。
日本で加入している社会保険が一部適用できることがあります。適用を受けるためには、請求に必要な書類について前もって確認し、受診の際に入手する必要があります。
医療上重要な情報を、カードやメディカルIDブレスレット(リストバンド)にして携帯しましょう。
その他、病気に応じて細かい準備が必要である可能性があります。くれぐれも早めにかかりつけ医にご相談されてください。
いざという時の旅行保険
[画像:いざという時の旅行保険]
また、一般に海外での医療費は日本と比べると非常に高額です。かぜのような症状で、ちょっと検査をしたら数万円は普通です。また、治療に先立って所持金の確認をされたり、一時金を要求されたりすることもあります。
もしもの場合に現金で解決できる方は少数でしょう。そこで力を発揮するのが旅行保険です。旅行保険で医療に関係する項目として注目していただきたいのが、治療費用および救援費用に関する補償です(一般に、クレジットカードに付帯する保険の補償額は比較的低額となっていることに注意が必要です)。また、治療費を一旦立替払いする必要があるのか、サポート体制が十分なのかなど、保険を利用する際に重要なチェックポイントもあります。万が一のことを考え、補償内容を十分にご検討の上、旅行保険への加入をご考慮ください。
旅行保険(医療に関する部分)のチェックポイント
▶補償が受けられる医療サービスの範囲
▶以前から持っている病気の治療に対して、補償されるかどうか
▶妊娠合併症に対する補償の有無
▶高リスクの活動(登山など)に関連する健康問題に対する補償の有無
▶サポートの充実度
▶個人的に立替払いしなくてもよいかどうか(キャッシュレスサービスの有無)
▶給付対象となる医療機関