自作太陽熱温水器
■しかく自作太陽熱温水器■しかく
■しかくペットボトルで太陽熱温水器
このペットボトル温水器は、ペットボトル自体が廃材と言うことで、それそのものをリユースすることができる所に利点があり、さらにこの温水器で沸かしたお湯はお風呂に使用しますのでガスや電気で沸かすとエネルギーを使用しますがこれは太陽熱を利用しますのでかなりクリーンな方法といえます。(だから太陽熱温水器は多用されているのでしょうけど)
この計画自体は2年ほど前から進行していたのですが、ペットボトルがなかなか集まらないことで、遅れていました。
今では多方面で同じようなペットボトルを使用した太陽熱温水器が制作されているようですが、私なりにもう一ひねりして、効率よく温水を作り出せるように工夫してみました。(誰にでもできる範囲でですのでご心配なく)
■しかくまずは、小型温水器でデータ収集
実験で作ったペットボトル温水器はペットボトル2本用で4リットルを暖めることができます。
おもに夕飯の支度に使用すれば給湯しなくても温かいお湯が得られちょっとした省エネにつながります。
残念ながら我が家のベランダは南西に向いているので日の当たる時間が一日の日照時間の60%程しかないので少し残念です。
しかし、4/19の段階で集熱量105.6kcalで、45.9°Cまで暖めることが出来ました。
これが、基本となりますのでしっかりとデータを取っておきましょう。
制作方法は簡単で、ペットボトルをつや消しの黒のアクリルラッカーでペイントし、ちょうど2リットルのペットボトルが2本はいる箱を作って内部を保温のために発泡スチロールで囲い、塩ビ(アクリル板は日光に弱いので使用しませんでした)の透明板でフタをすれば出来上がり。
誰にでも簡単に作れます。
我が家の場合、晴れた日で日照時間が7時間です。
もっと効率よく温度を上げるには、日光の当たる面積を大きくする必要がありペットボトルの表面積の割合から言うともう少し薄っぺらくなっていれば良いのですが...(これ以上は集熱板を装備した物を製作するしかありませんね。)
家庭にある物でと言うのがコンセプトですから、これで良しとしましょう。
(4月現在のデータ)
水温:19.5°Cから45.9°Cまで加熱 (薄曇りの晴れ:日照時間約7時間:気温24°C)
■しかく小型温水器のテストデータ
これは、温水器のテストデータです。
マンションのベランダでの結果ですので十分な加熱はされておりませんが、十分に実用できる事がこのデータからわかりました。
■しかくペットボトルを集めろ!
さて作業に取り掛かりましょう。 まず、材料を集めなければなりません。 私にとって一番大変なのはペットボトルでした。
ゆえあって、ゴミの中からペットボトルをいただくことができませんでしたので、家族や親戚などに頼み、やっと集めるに至りました。
その数2リットルの物89本、そのうち84本を使用して、168リットルの太陽熱温水器を作ることにしました。
(2001年7月13日)
ペットボトルをこれだけ集めるのが大変と言う方は、内径10cmの塩ビパイプを22本並べて加工すれば同じ効果が得られますが、必要以上にお金がかかります。
■しかく温水器に使えないペットボトルに注意!
10日ほどテストしたのですが、温水器から水漏れするのを発見しました。
温水器の中をあけてみるとびっくり、ペットボトルが丸く変形しているではありませんか...
もしかすると...と調べるとやはりそうでした。 ペットボトルには数種類ありそれぞれ耐熱温度が違っているのです。
飲料水として使用している「お茶」「水」などは高熱殺菌する必要があり、90°C位まで耐えられるようになっておりますが、殺菌の必要のない物には耐熱性のペットボトルは使用されておらず写真の左側のように変形してしまいます。
炎天下では温水器の中は温室効果で80°C位まで上昇しますからもたないわけですね!(耐熱温度があることは知っておりましたが、実際体験できるとは...勉強になりました。)
耐熱型であるかそうでないかの見分け方は簡単で、ペットボトル先端が白色になっております。
透明の物や、先端が白くても貧弱(ペコペコ)な物は耐熱型ではないようですのでご注意ください。
先端部分が熱で変形して配管との接合部分が弱くなりはずれてしまいます。
(2001年8月18日)
■しかく集めたペットボトルを加工する!
集めたペットボトルは、全てきれいに洗い不必要な部分を取り除きます。
ペットボトルのキャップ・キャップの残り(写真)・ラベルは必要ありませんのでとって下さい。
キャップの残りは写真のように、ニッパーなどで簡単に切り離すことができるます。
(2001年7月30日)
ペットボトルのそこの部分に直径4mm程の穴をあけます。
これは、ペットボトルの中に水を出し入れするために必要な穴で、これがないと出し入れできません。(なぜかおわかりでしょ?)
穴の開け方ははんだごてが一番よろしいでしょう(臭いですから換気を忘れないようにして下さい)。
ドリルで穴をあけると削りカスが中に入りますから問題ですね。
(2001年7月30日)
穴があきました。 しっかりと大きな穴をあけておいて下さい。 これが小さいとうまく水が入らない可能性があります。
(2001年7月30日)
さて、着色です。 ラッカースプレーの黒(つや消し)300mlを6本用意します。
黒の艶ありでもかまいませんが、艶なしの方が集熱量が少しですが多いようで、太陽熱を集める際に有利に働きます。
(2001年7月30日)
この写真は着色し終わったものです。 太陽光の当たる反面(穴をあけた方)のみを着色しよく乾燥させます。
すかしてみて、塗り残しが無いことを確認して下さい。
(2001年7月30日)
■しかくペットボトルの接続方法
ペットボトルの接続は、写真のような物を使用します。 全てホームセンターなどで手に入る物ばかりです。
今回この部分に使用した部品は...
内径18mmのT型接合部品を100個(1個38円でした)
内径18mmのL型接合部品を4個(1個28円でした)
×ばつ4本(1本180円でした)
内径22mmのホースを5m(1m280円でした)
勿論、わざわざ買わなくてもある場合はそれを有効利用しましょう。
(2001年7月30日)
ホースを5m程用意し、ペットボトルと塩ビパイプの接続に使います。 これを長さ5cmを84個できるように切っていきます。
(2001年7月13日)
用意して加工し終わった部品です。 ここからがちょっと根気のいる仕事内容です。
(2001年7月30日)
写真のようにペットボトルを接続していきます。 内径22mmのホースを各箇所に差し込んでいくのが大変です。
私の場合、オリーブ油を少し指につけてホースの内側に薄く塗ることで簡単に挿入することができました。 あまり塗りすぎないように注意して下さい。
(2001年7月30日)
接続し終わったら、針金で挿入部分を縛ります。
これがけっこう大変な作業で、ペットボトルの種類によっては縛りにくい物がありけっこう苦労しますが、頑張ってみて下さい。
(2001年7月30日)
この縛る作業は、2本ずつに分けて作業した方が作業効率が上がります。
写真のように、2本ずつ取り付け、塩ビパイプを専用接着剤で接着します。この時、ペットボトルが歪んでいないかチェックし、歪んでいれば修正して下さい。
(2001年7月30日)
これは、1列づつに接続し終わった写真です。 1列に14本、を6系統並べることにしました。
(2001年7月30日)
■しかく温水器の本体を組み立てる
さて、ペットボトルが用意できたところで、本体の枠組みから組み立てていきたいと思います。
今回は、加工しやすいように木材を使用しました。 どの程度持つかはわかりませんが、撥水性塗料で木材を塗装し雨風に強くなるようにしました。
(2001年8月1日)
内側の底板も撥水性塗料を塗り、水漏れで木材の腐食を抑えることにしました。
(2001年8月1日)
枠組みの内面は10mmの発砲スチロールで囲み、断熱することで少しでも熱が逃げないように工夫してみました。
(2001年8月1日)
この写真は、ペットボトルを並べて接続が終わったところです。 ここまでできれば後少し。
(2001年8月2日)
この写真は、上につけるカバーを装着したものです。
このカバーの素材を何にするかが一番悩んだ部分なのですが、テスト装置のように塩ビでカバーしても良かったのですが、かなり高いので、波板の中で透明度が高く、強度の優れた物を選択しました。
材質はポリカーボネイトで非常に強い材質で透明度も優れております。 少し高い(×ばつ3枚)ですがこれに決めました。
波板はメンテナンスがしやすいようにボルトで固定することにしました。
(2001年8月2日)
さて、残るは足組ですが、今回家の屋根に取り付けるため、温水器を水平に置かないと行けないことから、屋根の傾斜角度を実測し、温水器の足を設計しました。
強度がでるようにすじかいを忘れないようにして下さいね!
(2001年8月2日)
温水器の裏面に足を取り付けていきます。
(2001年8月2日)
これで、まずは出来上がりです。 撥水性塗料をもう一度塗り、万全を期します。
(2001年8月2日)
さて、実際に屋根の上に温水器を乗せて、水平がでているかを水準器でチェックし、完了後足場をコンクリートで固めていきます。
これだけでは地震などの時に落ちる可能性があるので、ワイヤーで3方から引っ張ることにしました(写真ではまだその作業はしておりません)
(2001年8月2日)
さて、地震などで屋根から落ちないようにワイヤで引っ張りましょう。
このあと2001年の台風11号にあいましたが大丈夫でした。
(2001年8月18日)
足の固定は、コンクリート。 仕上げ下はきっちりアンカーで固定しましょう。
(2001年8月18日)
■しかく水道を配管して出来上がり
さて最後は、配管です。 これはまだ本配管ではないのですが、ホースでお風呂場まで繋ぎます。
ホースは普通の耐圧ホースで、この場合10m程あれば、十分でした。
(2001年8月18日)
配管取り付けにはしっかりと固定できるように専用金具を使用しましょう。(針金でもOK!)
(2001年8月18日)
これは、お風呂の蛇口にホースを取り付けた写真です。
先についている器具は定水量ストッパーで、一定量の水量を排出すると弁が閉まるようになっております。
この温水器は168リットルですので165リットルに設定し、水を送ります。
(2001年8月18日)
夕方にお湯を取り出すときには接続しているホースを外すことで湯船にお湯が入ります。
電気も何も要らないなんとも簡単な仕組みです。
まだ十分なデータがございませんので正確なデータが出せませんが、2001年8月18日の初めてのデータでは、水温28.1°Cから55.4°Cまで水温が上昇し、かなりの高温のため水を足さないと入れない状態でした。
またデータがそろいましたら報告いたします。
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(2001年8月18日)
これは、暖まったお湯を湯船に注いでいるところです。
ちょっとスマートではないのでちゃんと配管して蛇口から出るようにしてみようと思います。
(2001年8月19日)
2001年の台風11号の接近で曇りにも関わらず、56.3°Cまで上昇しております。
冬場どれだけ集熱できるかの実験が楽しみです。
(2001年8月19日)
この家のお風呂は3種類の方法でわかすことができます。 写真は「灯油給湯器」です。 昔ながらの薪でわかすこともできます。
それに今回の太陽熱温水器ですから、けっこう贅沢なお風呂ですね! それにしても太陽のお風呂は格別ですよ!
(2001年8月19日)
■しかく仕様
容量:168リットル(×ばつ84本)
集熱量:
×ばつ184
重量:本体70kg (集熱時重量:約238kg)
ペットボトル傾斜角度:約25度
供給電力:なし
■しかく今後の予定
今後の予定は、毎日の温水器の集熱量の記録・集計と不都合部分の改善、耐久テストなどいろいろやらねばならないことがたくさんあります。
全体の費用は2.5万円ほどでした。 もっと安く作る方法を考えてみたいと思います。
■しかくソーラー調理器の製作
太陽光を使ってお料理、皆さんもやってみませんか?
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2001年2月2日〜2001年8月20日
最終更新:2001年8月20日
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