2025年は太平洋戦争の終戦から80年の節目の年。
東海市では戦後80周年企画「戦争を知らない私たちが考え・伝えること」が8月23日(土)・24日(日)に「東海市創造の杜交流館」で開かれました。
▼戦争や平和にまつわる上映会なども同時開催 ※(注記)こちらのイベントはすでに終了しています
このイベントの催しの一つとして、8月24日(日)には「東海市内の戦争遺跡等の映像制作ワークショップ発表会」が開催されました。
6月から始まった
映像制作ワークショップ には、東海市在住・在学の学生16名が参加。3つの班に分かれ、各班異なるテーマで映像制作が行われました。
構成・台本も各々で考え、撮影当日はディレクターやカメラマンなどの担当に分かれて制作。発表会当日は、完成した全作品が放映されました。
また、ワークショップに参加した学生6名による登壇もあり、映像制作を通して学んだことや感じたことについて話していました。(進行:日本福祉大学教授・曲田氏)
ワークショップ発表会レポート
―― 映像制作を振り返って
❶戦争経験者 元特攻通信兵の各務義彦さん(98歳)へのインタビューについて
東海市在住の戦争経験者・98歳の各務義彦さんへのインタビュー班でカメラマンを務めた丸山さん。各務さんと話をした感想について、「教科書だけでなく実体験を聞いて詳しい情報を知ることが大事だと思った」と話していました。
また、各務さんへの取材でディレクターを務めた中村さんは、撮影や編集時の苦労として「戦争の悲惨さを伝えるためにはどう伝えたらよいのか、また1時間撮影したインタビュー映像を3分間にまとめるのが難しかった。3分間は意外に短いと感じた。」と話していました。
❷東海市の戦争遺跡「太佐山高射砲陣地跡」の取材について
東海市の戦争遺跡「太佐山高射砲陣地跡」取材のディレクター・朝倉さんは「(当時の状態が)ほぼ残っていて、地元にあることで戦争が身近になったような感じがした。」と話していました。
「戦争は身近なものか?」と質問された小木さんは、太佐山高射砲の取材でカメラマンを担当。「ワークショップに参加するまでは戦争についてあまり考えたことがなかった。戦争は触れづらいものだ、戦争は嫌な思い出と捉えている人が多いと思うので今は若い世代にどのように伝えていくかが大事だと思った」と答えていました。
同じ質問に対して太佐山高射砲陣地跡の取材でカメラマンを務めた佐藤さんは、「戦争は歴史という印象なので受験勉強で学ぶもの、勉強するものというイメージだったが、ワークショップで自分が実際に東海市にある戦争遺跡を目にすることを経験したので、自分が戦争をより身近にするきっかけになったと思う。実際に太佐山で人が生活していて、ミサイルも飛ぶなど、この場所で戦争が行われていた事実を知りただ学ぶだけでなく、実際に目にすることや経験することがすごく大切なんだなと感じた」と話していました。
❸東海市の中学2年生が体験する「沖縄体験学習」へ参加した中学生へのインタビューについて
カメラマンとして沖縄体験学習に参加した生徒に取材を行った渡邉さんは自身も中学時代に沖縄体験学習への参加経験あり。今回の中学生への取材について「自分は沖縄体験学習に行ったことがあるが、今回インタビューする側となり、インタビューの時に何を引き出し、何を他人に伝えたいかが難しく、すごく考え、奮闘していた」と感想を話していました。
―― それぞれの平和に対する思い
発表会の中では戦争を知らない世代である学生たちに対し、平和や戦争について日本福祉大学の曲田教授から質問も。
「平和とは何か」という問いに対するそれぞれの思いを語りました。
丸山さん:争いのない世界であり、争いがあると人が嫌な気持ちになる、それは平和ではない。「争いがない世界こそが平和だ」と思う。
朝倉さん:戦争を後世に伝えていく。後世に語り継いでいくことで、「戦争は悲惨なことだということを皆が知る」ことで争いがなくなるのではないかと思った。
小木さん:今まで生きてきたなかで戦争が起きていないから、「戦争のない世界が平和」。
佐藤さん:太佐山は斜面に炊事場やトイレがあり、当時はひっ迫していた状況だったことが伝わってきた。今生活していて日常的に命がさらされることがなく、命が狙われるとか命を落とすかもしれないという緊張感がなく安心できる世界が平和。
渡邉さん:今。命が脅かされない、安心してご飯が食べられる、空襲が来ないことが第一。その上で戦争をなくしていこう、「若い世代が忘れかけているので再び繰り返さないように伝え続けていこう」という動きができること自体、ものすごく平和である証。
中村さん:戦争は身近なものではないと思っている。今の日本は平和だが、「映像で伝えていくことが大切だ」と私は思っている。
最後に、東海市の戦争遺跡「太佐山高射砲陣地跡」を今後どのように残したらよいかと聞かれた佐藤さんは、「私はずっと残って欲しいしこの太佐山の存在を色々な人に知って欲しいと思います。私自身生まれてからずっと東海市に住んでいますがこの存在を全く知らなくて、このワークショップをきっかけに知りました。実際に行ってみて、実際こんなものがあるのかというのが凄い驚きだったし、自分が住んできた東海市でこのような戦争の遺構が綺麗に残っていることが凄く貴重。私たちが制作した映像を残して、伝えていくことがすごく大切で、映像が知られていくことでワークショップとか映像をつくった意味がちゃんと伝わっていけば良いなと思っています」と答えました。
戦後80年を迎えた今、若者や後世代が過去の記憶を受け継ぎ、平和の大切さを次の時代へと繋げていくことが求められています。未来を担う彼らが、歴史を学び、考え、そして伝えることで、平和な社会を築く礎となっていくことでしょう。
▼詳細はこちら
戦後80周年企画 東海市内の戦争遺跡等の映像制作ワークショップ
主催 東海市
協力 日本福祉大学
映像制作協力 知多メディアスネットワーク株式会社