「わだばゴッホになる」棟方志功の芸術
棟方板画の題名は「大首の柵」「門世の柵」のように、初期何年かの作品以外は殆ど「○しろまる○しろまるの柵」と名付けられています。
棟方志功の説明によると、「柵」とは四国の巡礼が寺々に納める回礼のことで、願いをかけてお札を納めて歩く心を表すものです。
一柵ずつ作品に願いをかけて、生涯の道標を置いて行く、無限に続く想いをこの文字にこめています。
「柵」の文字を使い始めたのは昭和16年38歳の頃、柳宗悦氏等に接して他力本願的な芸術観に目覚めた時期がであり、この芸術観に何らかの関連があるように思われます。連作全体の総称にも、個々の作品にも使っていますが、板画の題名に限っており、倭画、油絵など肉筆画には使っていません。