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立岩 真也,企てに参するを企てる・2
生存学の企て,gacco:無料で学べるオンライン大学講座
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しかく立岩真也「企てに参するを企てる」1〜6

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石井雄一「言葉がさかさまになる怪獣」

(注記)以下立岩担当分

しかく企てに参するを企てる
しかく1 与える人たちの学問でないこと
しかく2 歴史を見る
しかく3 なおる/なおらない/なおさない
しかく4 言葉を調べる
しかく5 名付けられること/わかること
しかく6 誰が?

しかく2 歴史を見る

★01調べるべきことの大きな一つとして、過去のことを調べて書くことがあります。
一つ、当たり前ですが、今があるのは、これまでいろいろがあった上でのことです。一つ、終わったからといって、ないことにしてならないことがあります。一つ、たいがい大切なことは、既に私たちより前の人たちが考えてきたり試したりしてきたからです。その分、私たちは考えることをさぼることもできます。先人が考えたところを出発点に考えることもできます。だから、ただ知るだけのことではないということです。
しかし今流行りなのは、「未来志向」の「前向き」な学問です。それ自体はやはりけっこうなことです。ただまず、前向きであるためにも、過去を見る必要はある。こういうことを言うと、いちおうみなその通りだと言ってはくれます。けれども、しばしばその前向きというのは、都合のわるいことは忘れてしまって、先に進む、あるいは先に進んだ気になることです。これは学問に限られません。実際に忘れてしまって、すると、ないことになってしまいます。すると、何が起こったかわからなくなるわけです。だから、すぐに役立つとかあまり考えなくてよいから、記録したりすることが大切です。
★02例えば今年になって、「優生保護法」という法律(1948〜1996)のもとで不妊手術を受けさせられた人が提訴するということが起こりました。こちらはその関係のこちちのページです。
ほとんどの人はたぶん、優生保護法という法律自体知らないんじゃないかと思います。「不良な子孫の出生を防止する」ための法律ということで、強制的な不妊手術ができるということになっています。★03法律の全文もこちらのサイト内を検索すると出てきます★04。
そして実際、その法のもとで多く人が手術を受けさせられたということは、知っている人は知ってはいました。またこの法律にも反する手術、遺伝が関係しない場合にも手術がなされたことがあることも知っていました。しかしそれがいったいどんな具合であったか。それを明らかにするべきことを訴えた人たちがいますが、その声はなかなか聞かれることがありませんでした。それが今年、仙台でその手術の不当性を訴えて、急にいろいろなことが今動いています。
いま多くの報道機関が各地で起こったできごとや裁判を追っています。それはそれでもちろん必要なのであり、意味のあることですが、それはそれとして、一つ、それがなかなか難しくとも、調べられる時に調べることを調べておく必要もあります。それが下支えになって、それにそのときどきの報道も加わってようやくある程度のことがわかっていくということです。
★05この本は『優生保護法が犯した罪』という本ですが、ずっと前に書かれた本です。今年になって新しい版が急遽出版されました。
たいがい、世間は、いっときは騒ぎますが、たいがいたいして変わりもせず、いつのまにか、たいがいそのままになってしまいます。それは明るいことでも、すぐに役立つことでもありません。ただ、それでも知ることは必要だと思いますし、学問というものにはそれが許されている。あるいは学問という、すぐに役に立たないものがあってよい理由もまたそこにあると思ってもいます。
★06私の本では、『精神病院体制の終わり』といった本もそんなところのある本です。私たちが務めている立命館があるのは京都なんですが、そこに十全会病院という精神病院があって、すくなくともかつて、ずいぶんひどいことをして、それはマスコミでも騒がれ、国会でも繰り返し取り上げられ、時の厚生大臣もずいぶん起こっています。しかしにもかかわらず、その病院はなくなったりしませんでした。それはどうしてかということです。
★07騒がれないままずっと続いていくようなできごとがあり、騒がれてもなくならないできごとがあります。なんでそうなるかかを考えることも含めて、調べて書くことです。調べられ書かれていないことが山ほどあります。調べて書いてほしいと思います。

★01 [PPT]
【先人が考えたことを出発点に
考えることもできる〜
他人の頭を借りると、楽。】
★02 http://www.arsvi.com/d/eg-j2018.htm。〜本当はざっーと下の方に動いていくとがよいがまあよいです
★03 http://www.arsvi.com/「内を検索」↓ 〜表紙が映って、「内を検索」にズームとかがよいですが、まあよいです。
★04 http://www.arsvi.com/0z/1948h156.htm 〜一番上の法律の名前があるところだけで。
★05 http://www.arsvi.com/b2010/1802ysk.htm(表紙写真大きくする)
★06 [PPT]
上左に『造反有利』表紙、上右に『精神病院体制の終わり』表紙
http://www.arsvi.com/ts/2013b2.htm
http://www.arsvi.com/ts/2015b2.htm
★06 [PPT]
【騒いでも変わらないことも
ある、けれど変えたいなら
なぜ変わらないかを調べる】

(注記)番組収録の後に刊行された歴史本

だいやまーく立岩 真也 2018年12月20日 『病者障害者の戦後――生政治史点描』,青土社 文献表

立岩真也『不如意の身体――病障害とある社会』表紙 立岩真也『病者障害者の戦後――生政治史点描』表紙 立岩真也『不如意の身体――病障害とある社会』表紙 立岩真也『病者障害者の戦後――生政治史点描』表紙



しかく問題 しろまる×ばつで答えてください。

◇1 なにか与える側の学問と別に、与えられる側が研究したってよい、と講師は述べた。しろまる×ばつ
◇2 障害はつねに直るのがよい、と思わない人もいるようだからその事情を調べるとよい、と講師は述べた。しろまる×ばつ
◇3 研究で金をえられるようになるかどうかはわからないが、しかし楽しいことはあるかもしれない、と講師は述べた。しろまる×ばつ
しろまる4 過去を明らかにすることは楽しいことばかりではないが、しかしそれでも明らかにした方がよいこともある、と講師は述べた。 しろまる×ばつ
しろまる5 言葉がどう使われてきたかをきちんと調べることも研究の一つであると、講師は述べた。しろまる×ばつ


JMOOK:https://www.jmooc.jp/

UP:2018 REV:20190118
病者障害者運動史研究立岩 真也Shin'ya Tateiwa
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