一冊は
岡野八代『法の政治学』(青土社)で、一冊は
後藤玲子『正義の経済哲学――ロールズとセン』(東洋経済新報社)で、よくこんな題をつけたものだと思うが、それはきっとよいことだ。私は両者とも違うように言いたいところがある。しかしそのうち考えてみたいことが書いてあって、だからこれらの人たちと同じ場で仕事ができることを喜んでいる。つまり、今回は仕事の場の共有という本来本を選ぶ基準ではない出来事を私的に喜んでいるととられてもさしあたりかまわず、すると
西川長夫『戦争の世紀を越えて』(平凡社)の他にもう一冊、
松原洋子『日本の優生政策』(勁草書房)をあげることになるのだが、なんとこの本はまだ出ていないのでそれを成果にあげるのはためらわれるべきだろう。
さて私は、とくに楽しい本をほとんど読めず、
ジジェク『全体主義――観念の(誤)使用について』(青土社)、バトラー他『偶発性・ヘゲモニー・普遍性』(同)等ともつきあえないのだが、たまにその端っこを読み、結局私なりに地味地味考えていくしかないよなと思うのだが、そこだよとうれしくなることもあるにはあって、よくはわからないジジェクの本が三冊目。(たていわ・しんや氏=立命館大学助教授・社会学者)