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『全障連』No.78


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last update:20220704


しかく文字起こし


表紙
KSK 全障連No.78
全国障害者解放運動連絡会議

写真省略「国際障害者年大阪連絡会議、対大阪府・市交渉に向け決起集会とデモ(6・25)」

一九八八年七月一五日発行(毎月三回五・一五・二五の日発行) KSK通巻一三一号 一九八四年八月二十日 第三種郵便物認可

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写真省略(校正者注:合宿で人が集まり話し合っている様子)
6・11〜12
全国幹事・活動家組織強化合宿の成果を踏まえ
第一三回全障連全国大会の成功を勝ちとろう!
全国副幹事・楠 敏雄

大会基調と単一組織化を中心に熱い討論を展開
今年二回目の幹事・活動家合宿は、六月一一日〜一二日にかけて、今年の大会開催地である滋賀県のJR石山寮で四〇名余りの仲間が参加して開かれた。今回の合宿は、初日の夜に全国幹事のみによる幹事会を行い、二日目の朝から他の仲間たちも加え夕方まで討論するという形式がとられた。
さて、今回の課題は主に一三回大会の基調報告案および単一組織化と規約改正のあり方に関する論議だった。午前中は、まず、情勢についての討論を行ったが、ここでは国際経済が大きく揺れ動き、東西の緊張緩和がまがりなりにも進みつつあるにも関わらず、中曽根の後を継いだ竹下内閣は依然として軍拡路線を貫き、それに加えて福祉の切り捨てと大型間接税の導入、さらには憲法改悪策動などを強めていること、また地対協

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意見具申の具体化による被差別部落の闘いへの弾圧が強められ、障害者に対しては福祉の再編と生活保護の締めつけ、優生攻撃による障害者抹殺策動と施設利用者からの施設費用徴収の強化といった攻撃がかけられる中での、我々の闘いの重要性が提起された。これに対して、参加者の間からは、天皇制が障害者差別に果たす役割について触れること、狭山闘争・指紋押捺拒否闘争・アイヌ新法制定の闘いなどの被差別大衆の闘いとそれに対する支配者側の姿勢について書くこと、RI(リハビリテーション・インターナショナル)の世界大会への批判を行うこと等が提案された。
一方、午後からの討論においては、まず、八八年度の運動方針として、?@赤堀差別裁判糾弾闘争、?A差別実態白書づくりと行政闘争、?B生きる場・作業所ネットワーク、?C施設費用徴収制度撤廃と施設改善の闘い、?D反保安処分・優生保護法撤廃闘争、?E反差別・反権力共同闘争、の六点が提起され、討論に入った。ここでは、石川闘争を始めとする各地の就学闘争への支援をはっきり打ち出すべきこと、優生保護法の項に母子保健との闘いをも加えること、総評解体以降の労働運動のあり方について今後の共闘関係にも配慮しつつ反差別の視点を明確にするよう提起すべきことなどが提案され、確認された。
次に、組織方針については、やはり組織再編の是非と規約改正案の内容に論議が集中したが、組織再編の問題については、組織形態をあれこれするよりもっと全障連運動の方向性を明確にした綱領を作ることが先決ではないかとの意見が出され、活発な議論が交わされた。その結果、現在の全障連は情勢の変化の中でその性格がかなりあいまいになっており、したがって運動の路線や展望を明らかにする綱領の作成を理論強化委員会の場などを通じて行う必要があること、しかし大衆運動団体である以上綱領に過剰な厳密さを求めるべきではなく、また綱領づくりは組織再編が前提というよりは同時並行的に進めるべきことなどの点で一定の合意が得られた。また、規約の具体的案文をめぐっては、障害者の定義の内容とその必要性の部分、健全者の位置づけ、支部の構成のあり方、代表の選出のし方などについて多くの意見が出されたが、それらの点に関しては各ブロック・各団体で積極的に論議を煮つめ、具体的な対案の形で規約改定委員会に提案し、今後一年間に一定の結論を出すよう努力することが確認された。

組織再編に向けた全体の合意を生み出す
ところで、今回の合宿は、例年にもまして実り多いものだったと言ってよい。すなわち、問題提起や批判がほとんど具体的な形で提案され、抽象的・観念的な論議が少なかったことである。したがって、様々な議論の後に現段階における一致点と相違点が整理され、とりわけ組織再編に向けた全体の合意がかちとられたことの意義はきわめて大きいと言ってよい。今、全障連に求められているのは、運動の方向性を明確化するための活発な論議であり、それと同時に、すさまじい差別と分

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断の攻撃をはね返す固い団結であり、今回の合宿においては意見の違いによって障害者としての団結を崩してはならぬことを、参加者一人一人が一定程度確認できたのではないだろうか。
なお、前日の幹事会において、役員体制を改め、代表幹事に楠、事務局長に矢内、事務局次長に戸田、副幹事に西岡・平井・猪野の各氏の他、後二名を増員することが決定された。

全障研の拠点=滋賀で大会を断固成功させよう
以上の合宿での成果をふまえ、我々は是非とも今年始めて滋賀県で開かれる全国大会を成功させなければならない。今大会の第一の意義と獲得目標は、全障研の拠点ともいうべき滋賀の地に、差別と闘い地域で生き抜くことをめざす障害者解放運動の流れをしっかりと根づかすことである。そのためには、「発達保障理論」に対する批判や、作業所運動に対する評価と具体的方針などを提起することを通して、我々と全障研さらには他の障害者運動との違いを明確にすることが必要である。
第二に、今年が「国連・障害者の一〇年」の後期五カ年の幕明けの年であることをふまえ、政府―支配層の障害者政策や様々な反動的攻撃の本質を徹底的に批判・暴露し、それと闘いうる内容を明らかにし、意志統一をはかることである。そのためにも、基調報告で提起される全体情勢や特別基調の内容を共有化することが不可欠であろう。
さらに第三に、幹事・活動家合宿でも確認された組織再編に向け、本大会を契機により具体的な作業に着手することである。そのためには、組織方針にも提起されている個人会員制の積極的導入や、可能な行政区からの幹事の選出と増員などを具体化するとともに、各ブロックにおける規約改正に向けた論議をより深めることが必要である。
敵・支配階級による障害者抹殺と、闘う陣営への切り崩しはますます速度を早め、しかも陰湿化してきている。こうした時期にこそ、我々は自らの立場と路線をいっそう鮮明にしつつ、組織的団結を固め、さらに敵・権力との組織戦に打ち勝つための広範な共同闘争を大胆にそして粘り強く進めなくてはならないのである。本大会の成功は必ずや我が全障連の飛躍のための重要なステップとなるであろう。

各ブロック連絡先
全国事務局/関東ブロック
東京都豊島区巣鴨三丁目三四の三 フラワーコーポ303号 03(918)8572

全国出版部/関西ブロック
大阪市東成区中本一丁目三の六 ベルビュー森の宮215号 06(974)0791

東北ブロック事務所
仙台市小田原二丁目二の四三 佐幸ビル403号 0222(95)8498

北陸ブロック事務所
富山市大町一区西部五二 0764(91)3385

東海ブロック事務所
岐阜県羽島郡笠松町 円城寺六〇〇 戸田方 05838(8)1864

中四国ブロック連絡先
岡山市谷万成二の二の四五 中川方 0862(55)0099 (校正者注:「各ブロック〜0099」四角囲み)

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全障連第一三回全国交流
大会実行委員会結成集会の報告
実行委員会事務局長・奥村一郎

写真省略(校正者注:部屋にいる40名ほどの人たちが拳を上げている様子)
大会本番まで、いよいよ後四八日と迫り、当日の熱さを思わせる日差しの中、本格的準備へのスタートとなる実行委員会結成集会が、大津の教育会館で開かれました。
まず、全障連全国幹事会を代表して中川一二三代表幹事が挨拶し、準備期間の短さにもかかわらず、地元メンバーおよび県内の民主団体・労働組合・障害者諸組織の集中した取り組みと積極的な協力・支援により、なんとか準備が軌道に乗りつつあることに対し謝意が述べられ、今後も県内諸団体をはじめ広範な人々と全障連とのつながりを強めていきたいこと、本格的準備体制のために更なる協力・支援を願う要望がありました。
次に事務局の方から、これまでの準備状況のまとめと、その中で出てきた課題について、とりわけ「ちえ遅れ」の人々の参加保障の問題について提起をし、今後必要な準備の内容を述べ、交通・宿泊を中心に不充分な点について特に協力を求めるとともに、資金カンパについての訴えをさせていただきました。
そして実行委員会参加の各団体からアピールをいただきました。まず、部落解放同盟滋賀県連合会より、反差別連帯行動の全国的・国際的な展開を主に、あらゆる差別と共同して闘う連帯活動への決意を込めたアピールがありました。県教組からは、全障研の影響の強い滋賀県下における組織内の実態が率直に語られ、むしろ全障連大会をバネとして、組合内での「共生・共育」の流れを大きなものとしていきたいと決意が表明されました。また、自治労県本部からも、かならずしも理解が全組織的には得にくい実情を述べて、今後の共同行動の意義の重要性を訴える挨拶がありました。次に、止揚学園の松本さんから、「ちえ遅れ」の人たちの生き方を私たちがどう受け止めるかという重い提起があり、障害児を普通学校へ・全国連絡会県支部の岡山さんから運動の現状報告も含めた連帯アピール、「E君とともに生きる会」よりお母さんの挨拶で「自閉症」への正しい理解が訴えられました。
最後に、事務局のメンバー紹介および実行委員長の決意表明、そして団結ガンバローで締め、これからの困難な時期を乗り切ろうという全員の決意を確認しました。

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赤堀差別裁判糾弾闘争
最後の最後! 絶対に勝利するぞ!
8・8 論告求刑、8・9 最終弁論
静岡地裁に総結集し、赤堀さんと共に闘いぬこう!

写真省略「6・6第10回公判闘争・デモ隊、静岡地検に怒りのシュプレヒコール」

昨年一〇月一九日から開始された無実の赤堀さんの再審公判は、いよいよ大詰めを迎えました。
第一回再審公判で赤堀さんは、静岡地裁―尾崎俊信裁判長や三四年前と同じ起訴状を読み上げた検察に対して、怒りを込めた力強い声で「私は島田事件とは何の関係もありません。私は無実です!」と主張しました。
再審公判は、一カ月約二回のペースで行なわれ、今年六月六日の第一〇回公判をもって「実質心理は終了」となり、八月八日に検察側の論告求刑、九日に弁護側による最終弁論を残すのみになりました。早ければ今秋にも判決が出るといわれています。

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再審開始以降、一年足らずして最終局面を迎えましたが、しかし私達はこれまでの再審審理の内容を見るに、心の底からの怒りを禁じ得ません。
尾崎裁判長は、三四年間赤堀さんが叫び続けてきたアリバイの主張、拷問―デッチ上げの事実、そして差別精神鑑定への怒りなど、これらを全く取り上げることなく、中でもこの差別裁判の骨格を形成する精神鑑定については、鑑定人―鈴木喬本人から取り下げ上申書が提出されたにもかかわらず、これを認めなかったのです。そして赤堀さんの身柄釈放も拒み続けてきたのです。
尾崎裁判長はその一方で、検察側の新たな証拠申請をことごとく認め、採用してきました。

まったくデタラメな法医鑑定を糾弾する
「赤堀=犯人」を維持しようとする検察は、なりふりかまわず勝又義直(名古屋大教授)、石山晃夫(東大教授)等の法医鑑定を繰り出してきました。デッチ上げ「自白調書」に固執し、これに「科学的根拠」を持たせようとする検察に応じて、「犯行順序と成傷用器(石とされている)」に関する鑑定を行なった勝又は、「可能性」を繰り返すのみであり、全くの推論でしかないことを暴露したのでした。また同じく検察側証拠として採用された石山鑑定はきわめて許し難いものでした。石山はデッチ上げ「供述調書」―「胸の傷は生前にできたもの、石で殴打」にそった結果を引き出すために、静岡地検の検事と警察関係者のみが立ち合う中、子豚やウサギを殴打する実験を何回も重ねるというものだったのです。
しかも、これら法医鑑定は「自白」の信用性をめぐって争点になっている時、客観的事実が求められているにもかかわらず、「自白」を根拠として、それに都合の良い「成果」を得るための「実験」など到底許されるはずはないのです。それを石山は『法医鑑定らしい手法』としているのです。
石山は法廷でそのことを自ら暴露し、またその鑑定の結果としての矛盾をことごとくさらけ出したのでした。
「科学」的な装いをこらした、勝又・石山などのデタラメきわまりない鑑定によって、「自白」の信用性を裏付けようとした検察側の意志は完全に破綻を示したのです。
そもそも無実の赤堀さんにとって、このような法医鑑定と、それをめぐる争いは全くの茶番劇であることは言うまでもありません。
私達は、勝又・石山などの鑑定が崩壊したとはいえ、このような卑劣な有罪立証策動を繰り返した検察側と、これを採用した裁判所を徹底して弾劾しなければなりません。

差別裁判を絶対に許すな! 赤堀さんと共に最後まで闘おう!
「実質審理の終了」といわれた六月六日の第一〇回公判で、赤堀さんは検察側の不当な本人尋問に対して、弾劾を込め「言いません」とキゼンとした態度で闘いました。「自分は何もやっていない。検察に答えることは何もな

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い」と語る赤堀さんに、検察はこの日しょうこりもなく二七点(弁護側三四点)の証拠申請を行なったのです。
そして全く許せないことに、裁判長・尾崎は取り下げ上申書を無視してすんなりとこれを採用したのです。
前に述べたように、再審公判は最終局面を迎えていますが、何よりも無実の証である赤堀さんのアリバイは取り上げられていません。さらには拷問―デッチ上げの事実についても、検察・裁判所はほおかむりし続けています。また赤堀さん以外の自白調書・捜査日誌等、検察側が隠し持っている証拠の開示請求に対しては、裁判所はあろうことか六月七日に文章をもってこれをしりぞけてきました。あくまでも司法権力―裁判所・検察は、デタラメな法医鑑定のみに取りすがり、差別裁判として強行する姿をより一層鮮明にしてきたことに他なりません。
八月八日・検察側の差別論告求刑を徹底して弾劾し、翌九日・赤堀さんの三五年をかけた陳述を共に支え、完全無罪を勝ち取るまで全力で闘いましょう。八・八―九、全国から総結集して、法廷内外を埋め尽くし、赤堀さんとともに闘いましょう。

精神保健法、七月一日施行
宇都宮病院に象徴される差別実態は変わらない
昨年の臨時国会で成立し、今月七月一日より施行された精神保健法は、ますます差別・管理を強めるものであり、私たちは改めて精神保健法撤廃に向けた闘いを強めなければなりません。
こうした情勢において、さる六月二五日・中央労政会館において、精神衛生法撤廃全国連絡会議が主催した『精神衛生法体制解体に向けて―討論集会』が持たれました。そして、精神衛生法に対する批判、精神医学の差別性について、また今後の闘いに向けた提起がなされました。
精神保健法が「精神障害者の人権擁護」や精神病院内の処遇改善のために作られたなど、とんでもないウソです。新設された「応急入院制度」は、指定医の判断のみでいつでもどこでもぶち込めるというものであり、この指定医の権限たるや入院時から処遇の決定にいたるまで全てにわたるものです。入院患者の基本的権利である通信・面会の自由も「原則として自由」というだけで、場合によっては(これも指定医の判断)制限できるのです。
結局、この新たらしい精神保健法によって何一つ良くならないばかりか、宇都宮病院に象徴される実態も改善されやしません。「精神障害者」に対する「危険な存在」という保安処分の考えを引き継ぎ、さらにその差別性を強めるものなのです。
この保健法に対する闘いはもちろんのこと、ますます強まる差別の中で苦渋を強いられる「精神障害者」との連帯を固め、共に生きれる条件作りや、人権侵害の実態に対する闘いはますます重要な課題となっています。共に一歩一歩築いていきましょう。(校正者注:「精神保健法〜いきましょう。」四角囲み)

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重朗君が一日でも早く、六中へ毎日通えるために
石川重朗君の飯田中転校を実現する会

七・二〇 対市教委要請行動
七・二四 講演集会に結集しあらゆる行動に支援を!
そして一二月大行動を準備しよう

三月二一日から四月四日にわたったハンスト=テント闘争にご支援を頂きありがとうございました。この闘いは既に報告したように、市教委=又平教育長は重朗君の六中通学に対して市独自の責任を取ることなく、盲学校教師が付いての通学を一日増やして、週三回三時間ずつという不本意な結果でした。
重朗君の転校闘争は既に一〇年目に入り、義務教育としては最後の年になってしまいました。しかし、私達は最後まで、どの子にもある「教育を受ける権利」、そして石川さん親子の「地域で共に生き共に学びたい」という願いを実現していきたいと思います。
四月二八日、私達は重朗君の今年度の就学に関して、市教委に次の三点の申し入れをしました。
一、訪問指導において、授業・行事等への参加の際には、重朗君を個別に分けることなく、学校・クラスの他の子どもたちとの関わりに重点をおいて進められるよう配慮してほしい。
二、重朗君が市立第六中学校特殊学級に毎日通えるようにしてほしい。
三、重朗君の六中での就学が充分保障されるまで、遅延することなく継続して私達との話し合いをもってほしい。
これについて、市教委の答えは以下の通りでした。
?@盲学校にまかせてあるので、盲学校に言ってほしい。
?A市の権限を越えているので市独自にはできない。
?Bやってほしいことがあったら県教委へ行ってほしい。
このように三月までは一応の話し合いの形(石川さんと支援の代表一名)をとっていたのですが、もう一切相手にしないという姿勢を示してきたのです。
行政の都合を優先させて、重朗君親子の権利も願いも殺していこうとする市教委=又平教育長のしたいようにさせておく訳にはいきません。重朗君にとって義務教育最後の年である今年、重朗君が六中に毎日通えるように頑張りたいと思います。ついては皆さんに以下のご支援・ご協力をお願い致します。
一九八八年六月二一日

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【要請】
一、 市教委への要望署名の提出 (団体・個人)。 独自の要望書でも構いません。
* いずれも、一度こちらへ送り返してください。
二、 清水市の教育委員に対して、「重朗君を毎日六中へ」など、 重朗君によせる思い、 あるいは、 それぞれの地域で障害児が共に学んでいる例などの具体的な紹介を手紙で出していただきたい。
*コピーを私達のところへも送ってください。
・教育委員長 鈴木 辰衛 清水市上清水町七の五
・教育委員 後藤 悦子 〃桜ケ岡町一の九
・教育委員 市毛 陽二郎 〃大手一丁目四の五
・教育委員 有原 耕 〃三保九一五の二
三、集会・行動への参加をしていただきたい。
?@対市教委要請行動:七月二〇日
一二:三〇 市役所ロビー集合
一四:三〇 市教委要請行動
?A集会:七月二四日(日) 一三:〇〇〜一七:〇〇
「共に育ち共に学ぶ教育―町田市の場合―」
講師:石井一三 先生(町田市立第一小学校校長)
会場:辻・江尻公民館(清水市)
四、そのほか重朗君が毎日六中へ通えるようになんでも。
例えば、市教委への抗議電話、又平教育長の自宅への直接要望など。
清水市教育委員会 清水市旭町六番八号
電話(〇五四三)五四―二三五四(庶務課) 五四―二三五九(学校教育課)
又平 明 清水市楠新田二六四の六
電話(〇五四三)四五―二九六九
五、支援のカンパをお願いしたい 。
郵便振替 名古屋五―三四〇二四 『転校を実現する会』まで
なお 、問い合わせ 、連絡先は『実現する会』まで

要望書(文案)
石川重朗君の就学問題に関し以下の通り要望します。
一、石川重朗君は、現在週三回・各三時間づつ、清水市立第六中学校特殊学級に通っていますが、週九時間では重朗君の「教育を受ける権利」が保障されているとはいえません。重朗君が毎日通えるよう就学保障をしていただきたい。
二、一九八六年四月一二日に交わした合意書前文の「共に生き・共に学ぶ」精神から、いたずらに盲学校への就学、「籍」にこだわり、重朗君を盲学校教育の枠のなかに強制することなく、重朗君と六中の生徒たちとの関わりが進められるように、授業参加の際の配慮、毎日通えるような措置をお願いしたい。
一九八八年 月 日
清水市教育委員会
教育長 又平 明 殿
教育委員長 鈴木 辰衛 殿
氏名または団体名
住所 (校正者注:「【要請】〜住所」四角囲み)

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全障連第13回全国交流大会第2次要綱 一部追加項目あり
<全体テーマ>
しんどい時代だからこそ、今、差別をゆるさず、共に生きる原点を!
「国連・障害者の10年」後期5年を自立と解放の展望でかちとろう!

〈日程〉 7月29日(金)〜31日(日)
〈場所〉 滋賀大学教育学部(大津市平津2−5−1)
*JR石山駅・滋賀大学・宿泊所間を結ぶ、直通のバスを計画しています。実行委員会の係員が料金を集めますので御協力下さい。障害者割り引きあります。
*医療体制は準備していますが、常備薬などある方は、御持参下さるようお願いします。
*保育は当日会場にて受け付けます。着替え・薬等は御持参下さい。また昼食時は迎えに来て下さい。
*手話通訳・OHP・点字資料を用意しています。障害者用トイレあります。
〈宿泊所・申込みシメ切りを7月20日とさせて頂きます〉
29・30日=JR石山宿泊所(大津市石山寺3-3-1)
=西蓮寺〈さいれんじ〉(大津市石山寺2-26-14)
1泊2食(夕・朝)付き=3500円、2泊の場合は7000円
*JR石山宿泊所は階段が多くエレベーターの無い建物のため、階段介護の係以外の方も仲間同士御協力下さい。トイレは和式のため、簡易洋式トイレによる工夫と、ポータブル洋式トイレによる仮設トイレを準備しています。
〈参加費〉
3500円(基調・レポート集代含む、宿泊費・食費は別)
〈昼食〉
1食=400円
*大会初日に30日と31日の分の食券を販売し大学生協にてとって頂きます。

全障連(全国障害者解放運動連絡会議)
全国事務局=東京都豊島区巣鴨3-34-3 フラワーコーポ303号 ?(03)918-8572
関西ブロック事務局=大阪市東成区中本1-3-6 ベルビュー森の宮215号 ?(06)974-0791 FAX(06)975-1378
実行委員会事務局=大津市田上石居町283-1 ねっこ共働作業所気付け ?(0775)46-3661

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〈スケジュール〉
7月29日(金)
12時/受付開始
午後1時/全体会(開会挨拶・歓迎挨拶・連帯共闘アピール・メッセージ及び祝電紹介・基調案提起)
4時/記念講演「神々の笑い」金城実氏 (校正者注:「記念〜実氏」四角囲み)
5時/終了
6時/市民交流祭〈石山公園=JR石山宿泊所隣り〉
8時/終了
7月30日(土)
午前9時/受付開始
10時/分科会(交通・生活・教育保育・労働・施設・医療・赤堀闘争・生きる場作業所・理論講座・文化創作コーナー・生活座談会コーナー)
12時/昼食休憩=大学生協
午後1時/分科会再開
5時/終了
6時/障害別・階層別交流会
視覚障害者・聴覚障害者・「精神障害者」・施設労働者と障害者・親・学生=JR石山宿泊所
女性障害者・教育労働者=西蓮寺
9時/終了
7月31日(日)
午前9時/受付
10時/分科会(交通・生活・教育保育・労働・施設・医療・赤堀闘争・生きる場作業所・文化創作コーナー・生活座談会コーナー)
12時/終了・昼食休憩=大学生協
午後1時/全体会(各分科会報告・質疑応答・基調採択・会計報告・全国役員及びブロック幹事紹介・特別決議提起及び採択・大会宣言提起及び採択・スローガン唱和・閉会挨拶)
4時/終了

*7月28日(木)午後6時(校正者注:「7月〜6時」下線)より実行委員会事務局(ねっこ共働作業所)において全国幹事会・司会者会議(校正者注:「全国〜会議」下線)を行ないます。宿泊は、この日に限りねっこ共働作業所になります。JR石山駅前より、帝産バスに乗って「石居町(いしずえちょう)」で降りて下さい。(最終便は石山駅発・午後8時30分ですので、注意して下さい) なお車で来られる場合は本要綱の地図を参照して下さい。

(校正者注:以下、ページ番号なし。見開きで「全障連解放講座‘88(第7期)」について掲載されている)
全障連解放講座‘88(第7期)

写真省略(校正者注:車いすの方を含む多くの人が集まっている様子)

障害者の生き様と反差別文化の創造
障害者を露骨にアザ笑い、差別煽動する「文化」が相次いで起きている。まるで社会の息苦しさ・不安のハケ口が、一挙に被抑圧者に向けられるかのように。
障害者・被爆者・老人へのアザケリをテレビ主題歌や童謡の替え歌にして、出版した「よい子の匪歌集(ひかしゅう)。」この替え歌は中・高校生の間に流行っていて知られるところとなったが、人の痛みへの共感などみじんもない、いや「被差別者が生きること」それ自体への否定の宣言ともいえるものだ。
「視覚障害者のドミノ倒し」を始め、これでもかと、障害者を侮辱した物真似ばかりを演じ、そのことで「放送禁止用語」なるものへの反発を解消した「竹中直人の放送禁止テレビ よくやった」ビデオ。作者・出演者に対する人間本質に迫る糾弾闘争が粘り強く闘われ徐々にではあれ、意識改革がなされてきている。しかし、ビデオを視聴することによって拡がった差別の渦の重みは計り知れない。
「この車には乗せたくない 乗りたくない」このキャッチフレーズと大写しの車イス。これは「交通事故防止」を目的に作られたレンタカー会社のポスター。「差別意図はなかった」というデザイナーは語った、「障害者がどんな風に生きてるか知らなかった」と。しかし彼は知っていたのだ、障害者に対する社会のマイナス・イメージは。
そしてまた社会は日常的に障害者に一定の価値観のレッテルを貼って、その像に「合わない」者は排除しようとさえする。「可哀想にね」「不幸だね」という主体の意志など無関係の「哀れみ」や、ひたすら「障害を克服」することを(注記)(校正者注:(注記)は穴あけパンチで穴が空いて判読不能)とする押し付け、更には「障害者は社会の迷惑」とばかり声高に抹殺を唱える者達。だが、 私逹障害者はそのどれをも拒否し、 差別に対しては堂々と自分の生き様をぶつけ、人間解放へ向けた糾弾と共生への共同の提起を行なっていく。障害者が障害者として生きることが当たり前になる日まで。
同時に、 私達はもう一歩踏み込んで自前の文化と反差別の価植観を割造していく必要性を痛感している。それ、すなわち、洪水のように押し寄せてくる差別・抑圧の文化への対抗軸を設定することなしには、真に人間が人間らしくイキイキと生きられる世の中を実現することは不可能だろうから。しかしまた文化は、難しい理論をこねまわしていてできるものではないだろう。そうだ、私逹にとっての武器は、何よりも障害者としての生き様、そしてそこから発する表現なのだ。今回、解放講座においては、そのーつの試行として、既に文化への迫求をしている仲間からの提起を受けていきたいと思っている。
「国連、障害者の10年」後期5年のスタートの年、そして世界人権宣言40周年という、 反差別・人権を問うまさに好機に、社会と人々の意識、価値観に危惧を抱いている多くの方月の御参加・御協力を御願いして、全障連解放講座88への呼びかけとしたい。

第1回6月18日?午後6時〜9時
永井 哲氏(京都マンガ図書館・館長)
漫画の中の聴覚言語障害者たち
その実像と虚像の織りなす世界

第2回8月27日?午後6時〜9時
福森慶之介氏(劇団「態変」)
『隠す身体』から『見せる身体』へ
社会と人々の意識への衝撃波

第3回10月15日?午後6時〜9時
金沢 栄東氏 (シンガーソングライター・視覚障害者)
歌うこと、生きること、それがブルースだ!
歌と語りで

第4回12月17日?午後6時〜9時
矢崎 静代氏 「そよ風のように街に出よう」編集部員
障害者と文学
『哀れみ』の対象からの脱皮を書き手として考える・私の体験から

第5回‘89 2月18日?午後6時〜9時
『知恵おくれ』『自閉症』と呼ばれる障害者との共生
価値観の変革と解放像をめぐって
パネルディスカッション
鶴島 久子氏(枚方自閉症児親の会・代表)
溝口 弘氏(滋賀・なんてん共働サービス)
楠 敏雄氏(全国障害者解放運動連絡会議)

場所=大阪府同和地区総合福祉センター
参加費=1回500円(5回通し券2,000円)

地図省略(校正者注:総合福祉センター付近の地図と住所「〒556 大阪市浪速区久保吉2丁目2番3号」と最寄り駅「くろまる環状線芦原橋駅下車徒歩7分 くろまる南海高野線芦原橋駅下車徒歩3分」について記載されている。)

主催=全障連(全国障害者解放運動連絡会議)関西ブロック
大阪市東成区中本1−3−6 ベルビュー森の宮215号 ?06−974−0791

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〈分科会テーマ・講演のご案内〉
第1 交通/障害者の交通権を全面的に確立しよう!
第2 生活/「福祉再編・切り捨て」攻撃の激化に立ち向う障害者の地域自立組織・拠点を創り出そう!
第3 教育保育/軍国化につながる道徳教育、その踏み絵としての「日の丸」掲揚と「君が代」斉唱に反対し、障害者の就学・転校闘争を勝ちとろう!
第4 労働/大量失業の中、障害者の就労―職場での闘いを、地域・職場に根ざして発展させよう!
第5 施設/施設の実態を明らかにし、皆の声を集めて施設改革を押し進めよう!
障害者の目立を阻む施設費用徴収金制度に反撃しよう!
第6 医療/RIを糾弾し、強制される医療から選ぶ医療へ!

7月31日(日)10〜12時 講演・山田真氏(医師) 「医療の中の反発達」(校正者注:「7月〜発達」」四角囲み)

第7 赤堀闘争/検察側の差別論告求刑を許さず、赤堀さんの35年をかけた差別裁判糾弾闘争の勝利―完全無罪判決をかちとろう!
第8 生きる場・作業所/地域からの熱い想いを!情報・事業の共同化を軸に共同・共生の全国ネットワークを創り出そう!
特別分科会=理論講座/下記の講演と討論〈7月30日(土)のみ〉

7月30日(土)
?@10〜12時 「障害者解放運動と女性解放運動の接点を求めて〜優生保護法・母子保健法・エイズ予防法案を中心に」堤愛子氏(年金児童扶養手当の問題連絡会・〈ねじれん〉)
?A1〜3時 「発達保障理論の歴史的解明と批判」篠原睦治氏(和光大学)
?B3〜5時「Xデイ―天皇制を前にした民衆の意識」桑原重夫氏(日本キリスト教団社会委員長)
文化・創作コーナー/滋賀県内の共に生きる取り組みを行なっている作業所・施設・団体の協力により、このコーナーが実現しました。ぜひ参加下さい!

むすびおり・ねんど細工(協力=青雲舎共働作業所)
焼きものの展示(協力=落穂寮)
絵の展示(協力=止揚学園、E君と共に生きる会) (校正者注:「むすび〜生きる会)」四角囲み)

生活座談会コーナー/これまで「初めて参加する人のコーナー」として行なってきたものを充実させ、小人数で自分の生い立ちや生活体験・想いなどを語り合うコーナーです。

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〈関係各所の地図及び連絡先〉(校正者注:地図を中心にコメントが四角囲みで掲載されている。以下、コメントのみ掲載)

地図省略(校正者注:大会会場となる滋賀大学の他、 JR石山宿泊所、西蓮寺、ねっこ共働作業所を含む周辺地図が掲載されている)

・29(金)午前10時頃よりバス輸送を開始する予定です。実行委の係員が料金を集めますので、小銭を御用意下さい。また係員の誘導に御協力下さい。

・バス発着時
29日(金)(校正者注:「29日(金)」下線)
10〜17時・石山駅→大学
17〜19時・大学→石山駅 大学→宿舎
20〜22時・宿舎→石山駅
30日(土)(校正者注:「30日(金)」下線)
8〜10時・石山駅→大学 宿舎→大学
10〜17時・石山駅→大学
17〜19時・大学→石山駅 大学→宿舎
20〜22時・宿舎→石山駅
31日(日) (校正者注:「31日(日)」下線)
8〜10時・石山駅→大学 宿舎→大学
10〜12時・石山駅→大学
12〜18時・大学→石山駅
左記のバスがない時 例=宿泊予約者で夜直接宿舎に来る場合は、宿舎に電話確認の上京阪電車「石山寺」より歩いて下さい。

・車での行き方
大阪方面からは、大津インターで東京方面からは、栗東インターで降りて、国道1号線へ乗って下さい。瀬田川大橋の所で国道422号線に乗り、南下して行くと「滋賀大学」の看板が見えますので、そこを右折して行くと、会場に着きます。なおねっこ共働作業所へは瀬田西インターが便利ですが、東京方面からは降りられません。

・各電話番号
滋賀大学 ?0775-37-0081 (これは大学生協の内線電話を大会当日のみ借りているものですので、それ以外はかけないで下さい)
JR石山宿泊所(7月29・30日夜) ?0775-37-0049
西蓮寺(7月29・30日夜) ?0775-37-0126
ねっこ共働作業所(実行委・夜間本部) ?0775-46-3661

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写真省略(校正者注:KSK全障連No. 2の表紙)
手話通訳の公的保障を!
厚生省との「話し合い」から
全国聴覚障害者連絡会議(準)

連絡先=大阪市東成区中本一丁目3-6ベルビュー森の宮215号 FAX(06)975-1378

手話通訳をめぐって、厚生省が打ち出した二つの策―家庭奉仕員派遣制度への手話奉仕員派遣の組み込みと、手話通訳士制度―は、本当の意味で聴覚障害者の手話通訳・生活保障に結びつかず、むしろ圧迫にしかならない。......そうした立場で、さる六月一三日、大阪・京都・東京の聴覚障害者が厚生省を訪れ、更正課長補佐・他一名と話し合いをもった。
話し合いは、前もって提出しておいた『公開質問状』にそって進められた。
第一の〈家庭奉仕員派遣制度への組み込み〉については、厚生省は「一部に強い反対があったので今は行なわない」としつつも、組み込みによって、ろうあ者の負担が重くなることや通訳者の質が落ちるなどについては、「誤解である」と何度も強調し、実施する気がまだ充分あるところをのぞかせている。一応、『一部の反対』があるかぎり実施しないとの確認はできたが、今『反対』の立場をとっている全日本ろうあ連盟内部では、「厚生省の機嫌を損たくない」と『賛成』にまわる地区が増えてきており、まだ気は許せない。
二点目の手話通訳士制度については、実施は決定済み。ただ、詳しいことはまだ検討中である、とのことだった。内容について私たちの側から、手話は現在、地域や世代などによって様々に異なっており、安易な『手話統一』による手話通訳士制度は、かえってろうあ者の不利益にしかならないこと、また、そうした状況のなかでろうあ者が自分にとって一番分かりやすい通訳者を選ぶことが保障されねばならないが、制度化によってその選択権が大きく制限されてしまう恐れがあること等を訴えた。が、これに対して厚生省の側からは、全国共通手話は三〇〇〇語あるはずだし、自然に『統一』されるのを待っていたら数十年もかかる。多少の不満はあっても制度化は一つの前進ではないか?また、選択権については、ろうあ者の選ぶ通訳者と『公的資格』をもった通訳者と二人いてもいいじゃないか、例えば裁判所などでも二人以上の通訳者をつければいい、などの全く現状を無視した答えが出された。全国共通手話はごく一部の団体幹部にとってのものであって、ほとんどのろうあ者は知らない。また、現状での『統一』は、『前進』どころか抑圧にしかならない。裁判などで二人以上の通訳者というのは、ほとんどの裁判官に理解のない現

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状では、ほぼ無理等々の現実を訴えたが、厚生省は多少の問題はあっても実施するとの姿勢を変えようとはしなかった。
さらに、全日本ろうあ連盟は以前から「公的設置義務も強く要求しているが、厚生省が認めようとしない」と主張していたが、その点について厚生省に問い質したところ、そのような要求は出ていない、全日ろう連との間に意見の違いはないと答え、手話通訳士制度とは全く公的保障の視点を欠いた『資格』だけを問題にする制度であることを暴露した。
私たちにとっては始めての厚生省との『話し合い』であったが、?@家庭奉仕員制度への組み込みは当面行なわない、?A通訳士制度に伴う手話の『統一』などについてはより多くのろうあ者の声を聞き慎重に検討する、?B秋頃により多くのろうあ者を含めて再度『話し合い』をもつ、などの点が確認できたことは、大きな成果だった。
秋には、私たちの側から強く手話通訳の本当の公的保障を求めていきたい。今回も、全障連の大きな協力があったが、今後より多くの皆さんのご支援をお願いします。

【資料】
公開質問状
厚生省更生課殿
全国聴覚障害者連絡会議(準)

私達聴覚障害者にとって、手話通訳は日常的に必要不可欠のものであり、時として生死の問題にすらなりかねないほど、重要なものです。その手話通訳について、『手話通訳士制度化』や家庭奉仕員派遣制度への組み込みなど、様々な企画が進行、または検討中であると聞くにつれ、私達は大きな不安と危惧を覚えざるをえません。手話通訳の誤った制度化は、私達の権利を大きく奪い、地域社会での自立生活の崩壊にすらつながりかねません。
故に、現在進行または検討中の手話通訳に関する各企画について、次のことをお願いしたく思います。

〔一〕以下の各項目の内容に関して、充分に話し合える場を設定して下さい。
〔二〕その話し合いをスムーズに進めるためにも、また相互の誤解を避けるためにも、各質問に対する回答(要旨)を事前に文章にてお送り下さい。

質問
一、家庭奉仕員派遣制度への組み込みについて
?@一九八八年度より手話奉仕員派遣が、家庭奉仕員派遣制度の一つとして組み込まれる予定だったと聞きましたが、その主要な目的は何だったのでしょうか?

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?Aそれはなぜ中止になったのですか?またそれは企画そのものの中止なのか、単なる延期なのかどちらでしょうか?
?B企画そのものの中止の場合、それに代わる何らかの企画を検討中なのでしょうか?だとしたら、それはどのような企画なのでしょうか?
?C延期の場合、その実施期日をいつ頃と想定されているのでしょうか?
?Dまた、その場合、家庭奉仕員派遣制度への組み込みによって生じる様々な諸課題―とりわけ有料化による負担増大など―への対策をどのように考えておられるのか、お聞かせ下さい。

二、手話通訳士制度について
?@手話通訳士制度の実施は、いつ頃と想定されているのでしょうか?
?A聴覚障害者の諸団体の一つ、『全日本ろうあ連盟』の要求している内容と、厚生省の実施予定内容との間には、いくつかの差異があるようですが(公的設置義務・養成義務など)、どの点が異なるのでしょうか?
?B手話は現在、地域によって世代によって様々に異なり、安易な「統一」は多くのろうあ者の不利益になります。制度化にあたって「統一」が必要とされているようですが、この問題をどう考えておられるでしょうか?
?Cまた、手話が様々に異なるなかで、どの通訳者が一番わかりやすいかも個々の聴覚障害者により一人一人違ってきます。画一的な「資格」を問題にする手話通訳士制度では、そうした現状に対応しきれないケースも多くあると思います。その点についてはどう考えておられるのでしょうか?

三、手話通訳の公的保障について
?@障害者の日常的介護(手話通訳も含めて)をその障害者個人の負担とするのではなく、公的・社会的負担とするのが本来の「社会福祉」「社会保障」のあり方だと思いますが、その点はどう考えておられるのでしょうか?
?Aまた、障害者の「障害」の形が均一ではなく、様々な形を有する中で、その介護(通訳)の一人一人に合った形のもの(人)を障害者自身が選ぶ「選択権」が充分尊重されねばならないと思いますが、その点はいかがでしょうか?
?B今回の二つの企画(家庭奉仕員派遣制度への組み込み・手話通訳士制度)は、どちらも、聴覚障害者個々人の負担・不利益につながり、聴覚障害者の地域での自立生活・社会活動を促進させる方向にはなっていないように思います。厚生省としては手話通訳をどのようなものととらえ、また、その公的保障をどのように進めようとしているのか、その見解をお聞かせください。

以上、三点、計一二項目に関して、最初にお願いしたように、〔一〕話し合いの場の設定、〔二〕回答要旨を一九八八年五月一五日までに以下の所へご連絡くださるようお願いします。
〈連絡先〉(略)
なお、私達は聴覚障害者を中心に構成されている団体ですので、電話による連絡は必ずFAXをご使用ください。
以上

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施設小委員会ニュース
第二回、厚生省交渉を闘う 文責・李

五月二八日に、七月一日からの施設費用徴収金制度の改正を前にして、施設小委員会を中心に施設自治会メンバーを含めて三〇数名で厚生省交渉が行なわれた。当初、五月の初旬に予定されていたが、例によって厚生省側が難クセをつけ、この日になった。(この交渉も、厚生省側からいうと正式な交渉ではなく、「話し合い」ということらしい。何が違うのかよく分からないが。)
この交渉の目的は、?@施設費用徴収金制度は障害者の自立に逆行するもので、当面の本人負担の上限アップ、経過措置打ち切りに反対し、今後の費用徴収金制度としての撤回の必要性を認めさせる。?A施設運営の指導について、指導の中身を質す。という点にあった。(交渉申し入れ書は七五号に掲載。)
一時間というワクの中で、不充分性は予測されたため、最初に費用徴収金問題に絞った提起をした。他団体の交渉では、徴収金制度が在施設障害者の現実にとって「不整合性」を持っているという発言を厚生省側がしたということを聞いていたので、その点から確認して進めようとしたが、実際にはなかなか認めず、「不充分だ」との追及に「いや、充分とは言えないだけだ」(?)などと、ふざけた回答を繰り返す始末だった。最終的には「整合していない」ことは認めさせたものの、少々これに振り回され過ぎた。充分に整理されないまま、理念的に先行して攻めたことは、戦術的にあまり良くなかったと反省している。
しかし、今回は、在施設の参加者にかなりその本分を発揮してもらった。施設から地域的な人間関係をつくったり、地域自立を準備していくための資金として使おうとすれば、年金も不充分であり、ましてそこから施設措置費全体を対称として取ろうとすることがどんなに自立を阻むものであるか、具体的な事実を通して提起してもらった。ポイントをおさえた提起の仕方もあって、厚生省側もこうした点では、だんまりで反論に窮していた。今度の「改正」案では、親徴収はなくすものの、療護施設では上限が一万アップで八万円となる。追及に対しては、子供が扶養義務

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者と(注記)(校正者注:穴あけパンチで穴が空いて判読不能)場合を持ち出してかわし、年金のみでは二万円余にしか(?)ならないことを強調していた。(この点で在施設の参加者の発言が有効だった。)
最終的に、今後の「見直し」と継続交渉は確認して終った。指導の中味については、残念ながら時間切れでほとんど触れることができなかった。
反省点も多かったが、いくつか貴重な教訓を得、今後つなげていける交渉であったと考えている。今後は、より具体的な事実を基礎に、自立と解放の視点から、論点と要求内容をまとめていくことが必要であると痛感した。幅広い論議を通じてこれをまとめていきたい。

全療協へ質問書手渡す 文責・水口
写真省略(校正者注:机を囲んで、スーツを着ている人達と話している様子)
六月一日、香川県高松市において行われた、身体「障害者」施設協議会・全療協部会研修大会におもむき、施設長会議役員に対し、質問書を手渡しました。
施設小委員会では、昨年五月・京都で行われた同会に、施設の運営・生活のあり方に対し、公開質問状を提出していました。その回答が同年一〇月一九日付であり、その内容に関して再度質問書を提出するとともに、今年度中をメドに施設少委と同会役員会との話合いの場をもつよう申し入れを行いました。
申し入れに対し、同席した全国社会福祉協議会・事務局・新井、役員・柳、監保氏らは、役員会で検討し、七月二五日までに一応の回答を連絡すると約束しました。
また、質問書に関しては、一読した上で、?@公開質問状に対する回答以上には回答のしようがない、?A全国各地の施設で運営・生活の形態が種々でまとめようがない、?B文書でやりとりするより、話合いの席を持つ方が全療協としても良い、?C場所については定期的に東京で役員会を行っているので、その機会に、等々の話がありました。
施設小委としては、七月二五日の回答を待って、全障連大会施設分科会・施設小委会議で検討の後、さらに同会に対しての取り組みを決めて

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いきます。
翌日の二日に行われた職員研修会に対しては、昨年同様会場入口において、参加施設職員に対しビラ千枚をまきました。
また、ビラ情宣の途中、斉藤厚生大臣が出席のため(彼は香川出身)目前を通って行く時、ビラ一枚を手渡すといったハプニングがありました。

【資料】
一九八八年六月一日
社会福祉法人 全国社会福祉協議会
身体障害者療護施設協議会・全寮協部会
会長 徳川 輝尚 殿

全国障害者解放運動連絡会議
施設小委員会
代表 李 幸宏

「回答書に」対する質問書
お忙しい中、私たちの質問に回答いただき、有難うございます。昨年一〇月一九日付けで貴会よりいただきました「回答書」に関し、本委員会において検討しました結果、以下に記すごとき何点かについて、疑問・不明に思われる所がありました。その中には、私たち施設入所者にとって基本的人権に関わる重要かつ切実な内容のものもありますので、ここに再度の質問をいたします。


〈一〉(一)
「外出・外泊に関する『許可制』が、いちがいに自己決定権に違反するとは考えません」と御回答いただきましたが、しかし、許可制度は私たち施設入所者が外出したり外泊しようと思った時に、それを「する」か「しない」かの最終決定を自分で決めることができなくさせている制度です。
外に出かける度毎に、事前に〈外出・外泊の日時、行先、目的、方法、介助者の住所・指名・捺印...〉等の報告・提出が義務づけられた上に、この外出・外泊を「してもいいですか」と最終決定を他人(施設側)にゆだねなければならないのです。人間としてこんな屈辱的なことはないと思います。こういう許可制が何故自己決定権に違反するとは言えないのでしょうか?
人間の基本的な自由や権利の問題です。ご回答下さい。
(二)
貴会は、この許可制に関して「療護施設入所者が外出・外泊する場合、単独では不可能な場合が多いので、行動の安全を確保するための援助が重要であると考えます」と述べておられますが、責任ある施設運営者として、入所者の外出・外泊中における安全の確保のために最善をつくしたいという事であれば、それは上記のごとく入所者の基本的自由や権利の侵害となる「許可制」ではなく、『届出制』などでも十分できるのではないでしょうか?いかがお考えですか。
〈二〉(一)
「生活規則は極力なくすべきものと思いますがいかがお考えですか」の質問に対し、「集団生活を営む上での、最低限度(注記)(校正者注:穴あけパンチで穴が空いて判読不能)一定のルールは必要と考えます」と

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いう貴会の回答でした(注記)(校正者注:穴あけパンチで穴が空いて判読不能)しかし、実際各施設で行われている生活規則は、外出・外泊の規制、入所者の所有物の制限、飲食物の持込み制限から飲酒等の禁止にいたるまで、各入所者の日常生活を非人間的に管理・抑圧するものとなっています。このような規則については、国連の提起にもありますように極力なくすべきと申し上げたいのですが、いかがお考えでしょうか?
再度ご質問させていただきます。
(二)
又、貴会が言われるように「集団生活を営む上での最低限度のルール」は、私たちも必要と思いますが、しかし、それは施設運営者側から入所者にあてがわれる性質のものであってはならず、そこで生活する者同士が(例えば入所者自治会等で)自然にとり決められていくべきものと思いますが、いかがお考えでしょうか?
〈三〉
【質問事項―三について】の所で「現在の職員数での入浴・おむつ交換等の介護では、異性介護がさけられない場合もあります。介護にあたって、人間としての尊厳が守られるよう配慮しなければならないと考えます」との御回答をいただきましたが、しかし、入浴・排泄等の異性介護が行われている現在の処遇のあり方自体が、入所者の「人間としての尊厳」が守られるよう配慮されている状態でしょうか?いかがお考えなのでしょうか。
〈四〉
【質問項目―九について】の所で、「研究協議大会は...研究を積む場であり、特別の「決議」を行う場ではありません」と御回答いただきましたが、【質問項目―七】の「費用徴収制度...厚生省へ要望書提出」とか、【質問項目-八】の「寮母等の人員増などを厚生省に要求」の各とりくみの際には、決議などはとられないのですか?ご質問いたします。
〈5〉
【質問事項―一〇について】は、前回の回答で「本大会の参加資格は...療護施設の役職員です。障害者の自由参加は認めかねます」というお返事でしたが、今回の回答(【質問項目―四について】)で「入所されている障害者の意見や要望が十分出されることによって、施設の運営は改善されていくと考えます」とお答えいただきました。このような考え方を明確に持っていただいることに私たちは感謝します。又、このことを言い換えるならば、入所者の意見や要望が十分出されない所では、施設運営の真の改善は望めないという事でもあります。その考え方にそって、貴研究協議大会に障害者の生の声が十分に出せる『窓口』を新たに設置いただきたいと強く念願する次第ですが、いかがでしょうか?
〈六〉
費用徴収制度に対する取り組みについてですが、貴会は「本人負担」及び「七万円の徴収限度額」を認めておられますが、施設障害者の生活や権利を守って行かれる立場の貴会をして、なぜこういう取り決めがなされたのかよくわかりません。どのような考え方によって決められたのかお聞かせ下さい。
私たちとしましては、一部屋に六人もの雑居生活等プライバシーさえ保障されていない劣悪な施設生活の実態や、あるいは、政府―厚生省がおしすすめている「日本型福祉社会構想」―国の社会保障の責任や負担

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をとことん軽減して、その分だけ障害者本人・家族・地域におしつけようという、今日の「いじめ政策」を考える時、本人負担はもちろんのこと、あくまで制度そのものに反対せざるを得ません。またそれ以前の問題として、各施設の処遇の改善こそが切に求められてやまないものです。
以上、恐縮ですが引き続き文章にてご回答お願いいたします。
(回答できない場合は、その理由を詳細に書いて下さい。)
なお、回答に誠意がみられないと思える場合、何らかの形で再度提起を行っていく考えですので、よろしくお願いします。

各地の取り組み 東海ブロック
駅の点検運動と旅の案内
全障連東海ブロック事務局

東海地区で駅の改善運動など、誰もが安心して利用できる公共交通を目指して運動を進めてきた団体・個人が集り、七月一六日〜一七日の両日、「いい旅しよう!〜京都〜」と銘打って、駅の点検運動すると共に、京都への旅を楽しもうと計画を進めています。
国鉄からJRへと移行する中で、東海道線には新しい駅がいくつか作られてきました。しかし、その駅は橋上駅と称する地上二階建ての建物であり、また駅の規模は小さく、(注記)(注記)(校正者注:穴あけパンチで穴が空いて判読不能)化の中、職員の数も極めて少ないものであり、とても安全なものとはいえないのが現状です。
いくつかの駅で交渉が持たれ、一定改善された駅もありますが、エレベーターは全く設置されておらず、階段の数ばかりが増えてきています。
今回の計画は、個々に行われてきた取り組みを一本のレールのようにつなぎ、統一の点検方法に基づいて個々の駅の点検を行い、問題点を明らかにすると共に、民営化以降全く交渉に出てこないJRを社会的にも追いつめていくものと考えています。
計画の具体的なものは、静岡・長野・愛知・岐阜の各駅から、それぞれが電車に乗り込み、順次合流をして京都に向かうものです。
多くの人々と合流しながら、誰もが安心して利用できる公共交通を目指していきたいと考えています。
挿絵省略

p22
各地の取り組み 東海ブロック
『章ちゃんの青空』から得たよ!わっこの会
挿絵省略

障害者の自立を目指す「わっこの会」主催により、六月二六日に約九〇名の参加を得て、『章ちゃんの青空』公演会を何とか成功に終えることができました。
この企画は、寝ている在宅の障害者・親を掘り起こし目覚めさせることと、障害者に自立にと差別に立ち向かう精神を持ってほしいこと、親には自分の子はいつまでも手の中に置くのではなく離し、それからの子(大人になる道程を大切にして我が子について再認識できるのではないか)ということが問いたく、投げかけるものでありました。
しかし意外と、障害児をもつ親は強いと思いました。何故なら、終ってから『わっこ』に障害児をもつ親が訪ねてこられたのです。驚きました。だけど本当に身を引き裂かれるような思いで、聞くに余るくらい実りのある話しで、新屋さんも自らの経験で対応しておられたように思われました。
障害者解放運動のうねりを「地域でもやれる」、まだまだ。皆さんももう一度考えてみませんか。『全障連』は特にかもしれません。
このような機会に初心に返るところがあるのではと思わされもし、我が身を考え直さずにはいられないところに来たことを確認しようではありませんか。

写真省略(校正者注:『章ちゃんの青空』公演会に参加している人達を後ろから撮影したもの)

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取り組み紹介
7月15日=共に生き働く全国ネットワーク会議(午後7時、事務所=新大阪)
7月20曰=石川闘争・対市教委要請行動(午後0時半、市役所ロビー集合)
7月24日=石川闘争・講演集会(午後1時〜、辻・江尻公民館)
7月29日〜31日=全障連第13回全国交流大会(滋賀大)
8月8日〜9日=赤堀差別裁判糾弾闘争
8月31日=青山正さん救援、控訴審開始公判闘争 (校正者注:「取り組み〜闘争」四角囲み)

挿絵省略

もくじ(校正者注:「もくじ」下線)
全国幹事・活動家合宿の結果を踏まえ、第13回全国大会の成功を勝ちとろう 全国副幹事・楠敏雄 1
全障連第13回全国交流大会実行委員会結成集会の報告 実行委員会事務局長・奥村一郎 4
第13回全国交流大会要綱 10

赤堀差別裁判糾弾闘争 8・8論告求刑、8・9最終弁論=静岡地裁に総結集し、赤堀さんと共に闘いぬこう! 5
精神衛生法、7月1日施行。宇都宮病院に象徴される差別実態は変わらない 7
重朗君が一日でも早く、6中へ毎日通えるために 石川重朗君の飯田中転校を実現する会 8
手話通訳の公的保障を!―厚生省との「話し合い」から 全国聴覚障害者連絡会議(準) 14
施設小委員会ニュース 第2回厚生省交渉を闘う。全療協へ質問書手渡す。 18

各地の取り組み=東海ブロック
?@駅の点検運動と旅の案内・東海ブロック事務局 21
?A『章ちゃんの青空』から得たよ! わっこの会 22

挿絵省略

編集後記
大会全体基調(案)号と発行が重なってしまいました。ご了承下さい。
ワープロを新しくしました。どうでしょうな?
でも気持ちは機械に振り回されているみたい。(Z)

全障連
全国障害者解放運動連絡会議
No.78
全国機関誌 発行日/88・07・10
連絡先/大阪市東成区中本1丁目3-6 ベルビュー森の宮215号
TEL 06−974−0791
月1回発行 頒価 200円
年間定期購読 2500円(郵送料込)
郵便振込 大阪6−57342 全障連全国出版部

作成:山口 和紀

UP:20220704 REV:
全障連『全障連』(全国機関誌)目次障害者(運動)史のための年表
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