『全障連』No.68
last update:20220704
■しかく文字起こし
表紙
KSK No.68
全障連
全国障害者解放運動連絡会議
やった!赤堀さんの再審が確定したぞ(3月26日)!
写真省略「3・8赤堀さんを生きて奪い返そう!全国総決起集会(日本橋会館)」
一九八七年四月一五日発行(毎月二回、一・一五の日発行) KSK通巻七八号 一九八四年八月二〇日 第三種郵便物認可
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赤堀さんの再審が確定する(三・二六、東京高裁)
赤堀さんの身柄の即時釈放に向け新たな闘いに差別裁判糾弾の最終的闘いで完全勝利をめざせ!
全国の仲間のみなさん!赤堀闘争を支援して下さった多くの団体・個人のみなさん!すでにマスコミ報道等で明らかなように、ようやく赤堀さんの再審が確定しました。
東京高裁は三月二六日、検察側の即時抗告を棄却し、静岡地裁の再審開始決定を支持する決定を下しました。そして三〇日、検察側は最高裁への特別抗告を断念し、再審が確定したのです。
これからいよいよ最後の本格的闘いです。身柄釈放と、再審での完全勝利まで共に闘ってください。
仙台に、赤堀さんの様子を伺いました。赤堀さんはとても落ち着いていて、元気だそうです。「一〇ヶ月(地裁の再審開始決定から今回の確定まで)は早い早いと言うけど、自分にはとても長かった。裁判では自分の訴えは全然聞きいれてもらえなかった。再審裁判では、精神鑑定問題や、障害者差別の問題、自分の無実をはっきりと自分で明らかにしていく」と、訴えられているそうです。
今、私達は何をしなければならないのか。それは言うまでもなく、身柄の即時釈放です。三三年という長い年月、不当に閉じこめられ、なおこれ以上の拘留を許せるものではありません。即刻、宮城刑務所から解放させることが第一義の私達の闘いです。あらゆる方法でそのために全力を尽くしたいと思います。
次に、再審裁判において、赤堀さんの訴えにもあるように、三三年間の怒り、くやしさを全面に突き出し、裁判所・検察側への差別糾弾の場として保障していくことです。そのためにも、検察側のこれ以上の許しがたい「有罪立証」をやめさせなければなりません。すでに崩壊に崩壊した「有罪立証」をとりつくろい、デッチ上げ証拠を重ねて時間を延ばしてきたことを、もう絶対阻止しましょう。
獄中の赤堀さんと共に、身柄釈放・再審での完全勝利まで、共に闘いましょう。
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(校正者注:以下、p2〜4にわたって新聞記事が掲載されている。)
毎日新聞1987年(昭和62年)3月27日(金曜日)
「島田事件」再審開始へ
「自白の信用性疑問」
東京高裁 検察側の抗告棄却
静岡県島田市で二十九年三月、六歳の幼女が連れ去られ絞殺された「島田事件」(久子ちゃん殺し事件)の犯人として殺人、婦女暴行致傷罪で死刑が確定した赤堀政夫・元被告(五七)=仙台拘置支所在監、死刑執行停止中=が無実を訴えて起こした第四次再審請求の差し戻し後の抗告審で、東京高裁刑事一部(森岡茂裁判長)は二十六日午後、「確定判決(死刑判決)が採用した法医学鑑定や赤堀元被告の自白の信用性には疑問がある」として、再審開始を決めた昨年五月の静岡地裁の結論を支持、検察側の即時抗告を棄却することを決定、関係者に通知した。これまでの再審事件の例から検察側は最高裁への特別抗告を断念するとみられ、死刑確定以来二十六年余ぶりに再審開始が確定する公算が大きい。死刑囚の再審は、いずれも逆転無罪が確定した免田、財田川、松山各事件に続き四件目である。(3面に決定理由要旨)
死刑囚では4件目
写真省略「赤堀政夫元被告」
再審請求の審理では、?@被害者の胸部や下腹部の傷について「生前のもの」とした確定判決の信ぴょう性?A胸部の傷が「石」によるものかどうか?B赤堀元被告の捜査段階の「自白」の任意性、信用性――などが争点になった。
決定理由で同裁判長は、弁護側が新証拠として提出した太田伸一郎・元東京医科歯科大教授、上田政雄・京大名誉教授らの法医学鑑定をもとに「胸部損傷の時期を生前(首を絞められる前)とした故古畑種基・東大名誉教授の鑑定は根拠が不十分で合理的な疑いが生じる」と判断。古畑鑑定を採用して犯行順序を「胸部殴打―やく殺」と認定した確定判決の疑問を指摘した。
また、確定判決が胸部の傷の凶器を「三角形の石」とした点について、同裁判長は「石と断定することには合理的疑いがある」と指摘。そのうえで、「被害者の死亡前にその胸部を石で殴った」などとする赤堀元被告の「自白」についても「秘密の暴露にあたるものはなく、客観的証拠に反する虚偽の供述が含まれている。自白の信用性を支えていた古畑鑑定などに疑問が生じている以上、自白調書に犯行を肯定し得るほどの真実性を認めるのは疑問」として、信用性を否定した。
さらに、同裁判長は「赤堀元被告に似た男が女の子を連れ歩いているのを見た」とする目撃証言についても「確実性はない」と退けた。
再審開始を認めた静岡地裁決定については「下腹部の損傷時期など一部に事実誤認がある」としながらも、「結論において是認することができる」とし、「再審開始・死刑執行停止」を支持。「検察側の抗告には理由がない」とした。
これまでの審理で弁護側は「古畑鑑定には信用性がなく、犯行順序は自白の内容と矛盾する。凶器は石ではない」と確定判決を全面批判。一方、検察側は「弁護側が提出した新鑑定には信用性がなく、古畑鑑定は揺るがない。胸部の傷の凶器は石で、赤堀元被告の自白に基づいて発見されている」などと反論、静岡地裁の再審開始決定を破棄するよう求めていた。
藤永幸治・東京高検次席検事の話 決定は、いわゆる新
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証拠が確定判決の事実認定を覆すものでないという検察官の主張をかなりの点で認め、原審の再審開始決定に事実誤認があることを指摘している。しかし、結論において原決定を正当としているので、決定内容を詳細検討のうえ、今後の対応を決めたい。
大塚一男・日弁連島田事件対策委員長(東京弁護士会)の話 決定は一部で原審の事実誤認を指摘しているが、大勢に影響しないもので、妥当な結論だと思う。検察側の即時抗告から十カ月という短い間に結論を出した高裁の積極的な取り組みは評価できる。
「無用の抗告」を批判?
解説 島田事件再審決定(静岡地裁)に対する検察側の抗告は二十六日、東京高裁で棄却された。昨年五月末の静岡地裁決定からわずか十カ月。事実調べを行わないままの棄却だった。検察側の姿勢に対する無言の批判とみることもできよう。
再審の門を大きく開いた五十年の最高裁・白鳥決定以降も、検察側は重要事件の再審開始決定に対して必ず抗倍して争ってきた。しかし、検察側の抗告が認められたケースはなく、結果的に「再審開始―無罪確定」が引き延ばされてきた。このため、法律家の間には「再審開始決定が出された以上、あとは再審公判で争うべきだ」とする声が高まり、今回の検察側抗告にも批判的な見方が強かった。
通常、再審申し立て事件では、綿密な事実調べが行われる。抗告審でも同様。しかし、東京高裁はそれを退けた。十カ月足らずの棄却決定は、死刑確定の赤堀元被告への早期救済を意図したともみられるし、「無用の抗告」への意思表示にも受け取れる。
今回の棄却決定の理由は、基本的には静岡地裁決定と同じである。赤堀元被告を「犯人」とする証拠に自白調書しかないうえ、新たな法医学鑑定の結果から、その内容についても矛盾が生じ、信用性が疑わしいというものだ。これもまた、「自白偏重」の警察・検察側捜査を批判した結果となった。
白鳥決定(再審要件にも??疑わしきは被告の利益に′′の原則を導入)以来、重要事件の再審無罪判決は八件を数える。うち三件は島田事件と同様、死刑囚のケースだ。再審の理念はある程度定着したとは言える。しかし、それも、個々の裁判所の判断まかせであり、誤判救済は制度として未熟。白鳥決定から十二年、再審問題の第二ラウンドとして、再審にかかわる法整備が急務となっている。
【島田事件】昭和二十九年、三月十日昼、静岡県島田市幸町、青果商、佐野輝男さんの長女、島田中央幼稚園児、久子ちゃん(当時六歳)が誘拐され、三日後に大井川沿いの雑木林から絞殺死体で発見された。島田署は約二カ月後、赤堀政夫元被告(当時二十五歳)を別件の窃盗容疑で逮捕。二日後に赤堀元被告が犯行を自供したことにより殺人、婦女暴行致傷罪で起訴された。
公判で赤堀元被告は「脅迫され警察の誘導のままウソの自供をした」と一貫して犯行を否認、アリバイを主張したが、静岡地裁は三十三年五月、死刑判決を言い渡し、三十五年の最高裁判決で死刑が確定した。
三十六年八月の第一次再審請求以降、第三次までは棄却されたが、第四次請求の差し戻し審で、静岡地裁は昨年五月、再審開始の決定を下し、検察側が即時抗告していた。
4・1 朝日
島田事件の再審確定
死刑囚で4人目 検察側が抗告断念
「島田事件 」の死刑囚 、赤堀政夫元被告(五七)=仙台拘置支所在監の再審開始を支持した東京高裁の即時抗告審決定に対し、東京高検は抗告期限の三十一日午後、最高裁への特別抗告を断念すると正式に発表、同事件の再審と赤堀元被告に対する死刑の執行停止が確定した。これで「免田」「財田川」「松山」に続いて四件目の死刑事件裁判のやり直しが行われることになり、一両年中にも無罪となる公算が極めて大きくなった。
特別抗告を断念した理由について、東京高検の山田一夫公判部長は同日の記者会見で、?@高裁決定は、被害者の暴行時期を生前とするなど、犯行順序と陰部の傷の原因について、静岡地裁決定の事実誤認を指摘しており、検察の主張がかなり認められた?A特別抗告の理由となる判例違反、憲法違反が高裁決定に見いだせないこと、を挙げた。
再審公判は今秋にも静岡地裁でスタートする見通し。再審公判は数開廷で結審、早ければ来年春にも判決言い渡しが予想される。
無罪へ全力あげる
北山六郎・日本弁護士連合会会長の話 今回の検察官の決断は、当然のことであるとはいえ、心から歓迎する。再審公判では、速やかな進行に協力されるよう期待する。日弁連は、赤堀氏の冤罪(えんざい)が一日も早く晴らされるよう、全力をあげて弁護活動を支援し、協力していく。
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島田事件 決定理由要旨
「島田事件」再審請求抗告審で二十六日、「再審開始」を支持した東京高裁刑事一部(森岡茂裁判長)の決定理由の要旨は次の通り。
第一 犯行順序
確定判決は、犯行の順序を婦女暴行→胸部殴打→頭部絞扼→死亡と認定している。同判決が犯行順序をこのように認定したのは、その旨の請求人(赤堀政夫・元被告)の自白が古畑種基東大名誉教授の鑑定によって裏付けられたことによる。請求人の自白によれば、犯行の順序は、婦女暴行→胸部殴打→頸部絞扼→死亡の順であった。
?@下腹部損傷の時期
犯行順序に関する新証拠及び旧証拠や並びに差戻前の原審及び差戻後の原審において取り調べられたその余の各証拠を総合して検討すると、下腹部損傷の時期は生前(頸部絞扼前)と認めるべきであり、下腹部損傷の時期は死後、すなわち頸部絞扼よりも後ではないかとの合理的な疑いが生ずるとした原決定は是認し難い。
?A胸部損傷の時期
犯行順序に関する新証拠及び旧証拠並びに差戻前の原審及び差戻後の原審において取り調べられた犯行順序に関するその余の各証拠を総合して検討すると、胸部損傷の時期が、生前(頸部絞扼前)に生じたものとは断定し難く、頸部絞扼以後でないかという合理的な疑いを生ずるとした原決定の認定は、当裁判所も、結論としては、これを是認することができる。胸部損傷の時期を生前(頸部絞扼前)とする見解が根拠としてあげる点は、いずれも根拠として十分でないか疑問があり、胸部損傷の時期を生前(頸部絞扼前)とする古畑鑑定書の判断に合理的な疑いを生ずる。
第二 胸部損傷の凶器
確定判決は、罪となるべき事実において、講求人が「石を右手に持って被害者の胸部を数回強打した」旨認定している。しかし、胸部損傷の凶器に関する新証拠及び旧証拠並びに差戻前の原審及び差戻後の原審で取り調べられたその余の各証拠を総合して検討すると、新証拠により胸部損傷の凶器が石であることに合理的な疑問が生じたとする原決定の判断は、その限度においては、当裁判所もこれを是認することができる。
被害者の胸部損傷の凶器は石であるとし、あるいは石によって被害者に胸部損傷を与えることは可能であるとする見解は、いずれもたやすく従い難いものであり、胸部損傷の凶器に関する新証拠が提起した石が胸部損傷の凶器であることに対する疑問を十分に解消しているとはいえない。
そうすると、被害者の胸部損傷の凶器が石であると断定することには合理的な疑いがある。請求人の自白によって被害者の胸部損傷の凶器が石であることが判明したとの確定判決のいう経緯が、自白の信用性を担保するいわゆる「秘密の暴露」にあたるとすることはできないとの原決定の判断も是認できる。
第三 請求人の自白の任意性、信用性
請求人・弁護人は、請求人の自白は捜査官の強制、拷問等の違法・不当な取調べによるもので任意性、信用性がない旨を主張しているところ、そのような違法・不当とすべき取調べはなく、請求人の右主張は明らかに誇張であると認められる。しかし、自白の任意性は失われないとしても、犯行前後の足取りに関する請求人の捜査段階における供述の中には明らかに客観的証拠に反する等の虚偽の供述が含まれており、そのことは請求人の自白の信用性の判断にあたってみすごし難い。原決定が指摘するように、請求人が軽度の精神薄弱者であって、感情的に不安定、過敏で心因反応を起こしやすく、捜査官の誘導によって暗示にかかりやすい傾向があることを考え合わせると、誘導に迎合して供述したおそれは否定できない。自白調書に請求人の犯行を肯定し得るほどの真実性を認め得たかについては疑問が生ずるに至ったというべきである。
第四 結論
新証拠によって古畑鑑定の信用性に合理的な疑問が生じ、その結果、確定判決が請求人の自白の信用性の大きな支えとしたところが失われた。これらの新証拠が確定判決を下した裁判所の審査中に提出され、これと既存の全証拠とを総合的に判断したとすれば、確定判決裁判所が確定判決において認定した事実を合理的な疑いを容れない程度のものとして認定し得たかについては疑問が生ずる。これは確定判決の有罪認定に合理的疑いを生じたことにあたる。したがって請求人に対し無罪を言い渡すべき新規かつ明白な根拠を発見したとき(刑訴法四三五条六号)に該当するとした原(静岡地裁)決定の判断は、結論において当裁判所もこれを是認することができる。
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【当面の行動提起】
・「無実の赤堀さんを即時釈放せよ!」要請文・ハガキを各団体・個人から提出してください。
1、法務大臣=東京都千代田区霞が関一―一―一 法務大臣 遠藤 要
2、検事総長=東京都千代田区霞が関一―一―三 最高検察庁検事総長 伊藤 栄樹
・赤堀さんへの激励:面会・文通の強化
あて先=仙台市古城二―二―一 赤堀 政夫 様
・五月二四日、各地闘争にむけ早急に準備を!
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障害者差別実態白書づくりに全力で取り組もう(意義の再確認)
全国事務局長・西岡務
私達は第九回・富山全国大会において、この『障害者差別実態白書(酷書)づくり』について提起して以来、この間、全国プロジェクトで調査項目の整理や獲得目標の確認などの討論を行なってきた。
その中で、この取り組みは
?@全障連の日常活動を確立する一つの課題として取り組む。それは、私達が運動を始めたころ、まだ見ぬ新たな仲間を求めて取り組んだ在宅訪問の活動を、今一度全障連の日常活動の一大活動の柱に位置づけ、障害者仲間の掘りおこしと組織化を図る。
?A差別実態を聞き取り、差別の所在と、それを取り除く道筋をできる限り明らかにし、出されてくる要求の整理と制度・政策化をしていく。
?Bそれを基に、各地行政、対厚生省闘争を組織し、障害者の地域での自立が可能な社会へと変革を迫る武器とするを確認してきた。
こうした取り組みは、私達全障連に参加する者一人一人の力量と反差別の思想が問われるきわめてシビアーなものになるだろう。私達はこれまで自らの生い立ちを被差別の歴史として語り、対健全者・対行政闘争における糾弾の武器としてきた。その「力」を今こそ新たな障害者仲間を獲得するための最大の武器としようではないか。
障害者と障害者が向き合い、自らの被差別体験を語りあい、その中から相手の障害者がいかに差別のまっただ中に生き、苦闘しているかを真摯に受け止め、共有化し、差別を差別として認識し、被差別体験に基く反差別の共感を作りだせるかが、この一大事業を成功させるかどうかを決するのである。
この間、私達全障連は、敵・政府―厚生省の「地域管理体制」=障害者運動の体制内統合と対決する障害者解放運動の大衆化を、そして「多数派」をめざそうと提起してきた。その戦略的一大闘争として展開しなければならない。もう時は熟した。私達は自らの被差別体験を堂々と語り、障害者差別に対する怒りの共有化と、反差別思想の強化を賭け、差別に苦闘するまだ見ぬ障害者仲間との鮮烈な出会いを求めて、今ここに行動を開始する。
全国の全障連に結集する幹事・活動家の皆さん、この一大事業を共に担われることを強く訴える。
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【資料】
障害者差別実態白書づくり
〈御協力おねがい〉
障害者の仲間の皆さんへ。私達は全障連(全国障害者解放運動連絡会議)です。
私達は一九七六年の結成以来、障害者の自立と解放をめざして、地域での介護保障を求める取り組みや、奪われた労働権を取り戻すための「全国職よこせ行動」など様々な運動を続けてきました。一九八三年には障害者解放基本要求要綱を策定し、障害者が地域社会の中で本当に誰からも何からも差別されることなく、いきいきと暮らせるためには最低限何を勝ちとる必要があるのかを論議してきました。
一方政府=厚生省は「地域福祉に力を入れる」と言いながら、その実、施設関係に要する費用の一〇分の一という少額の予算しかつけていません。日本型福祉社会構想の下、地域で何とかやっていける者は地域で管理し、重度障害者は施設へ、という施設中心の隔離選別の政策は変わっていないのです。
折しも今年一九八七年は国際障害者年一〇年の中間年に当たりますが、政府はこれまでの五年の評価を、障害基礎年金の創設、身体障害者福祉法の改訂(と言っても理念を少しいじくっただけ)を成果として挙げることで、根本的な政策の検討はしようとしていないのです。そして残り五年もやり過ごそうとしています。そればかりか今回の福祉法改訂では、身体障害者更生援護施設に費用徴収制度を導入し、受益者負担を強制してきているのです。
政府のお偉いお役人は「障害者の所得が保障され、社会参加の機会も一定程度保障されてきている」と自画自賛していますが、私達障害者の日々の生活はそれほどまでに良くなったのでしょうか? また私達を取り巻く差別的状況は目を見張るほど変わったのでしょうか? いや、私達は決してそうは思えないのです。
障害者の仲間の多くはまだまだ日々差別に打ちひしがれて、なおもひたむきにしたたかに、一人の人間として誇りをもって人生を苦闘されていることと思います。そんな仲間の皆さんから、生活史や現在の状況等を、教育、生活、労働、施設、医療、生きる場・作業所、法制度の7つの項目でお聞きしたいと思います。そしてなぜ差別が生まれてくるのか、制度的に何が誤りでまた不充分なのかと言ったことを明らかにしていくための「実態白書=酷書」にまとめ上げていきたいと思います。
その作業を通じて
1. 障害者差別とは何か、それを構成する要因は何か等の分析を行ない、障害者差別の定義と差別をなくすための理論の確立をめざします。
2. 私達全障連が策定した障害者解放基本要求要綱が、目々差別と苦闘している障害者の要求に真に根ざしているかを検証し、文字通りの障害者解放基本要求要綱に仕上げていきます。
3. その中から、障害者が地域社会の中で自立し、差別されることなくいきいきと生きていけるための制度・政策要求を確立します。
4. それに基ずき対政府・自治体交渉を全員、全力を上げて取り組みたいと考えています。
またこの取り組みに協力して頂いた仲間の皆さんに参加して頂ける企画や、この調査の集約結果等につきましては、協力して頂いた皆さんに必ずお届けします。なお、お聞かせ頂いた個人のプライバシーに関することがらは、調査の目的以外には絶
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対使用しないことはもちろん、万が一外部に漏れたりあるいは不利益を生じる様なことがあれば全障連が責任を持って問題の解決に努めます。
障害者の仲間の皆さん、現在の社会の中で障害者差別が現にはっきりと存在し、多くの障害者仲間が日々の暮らしの中で苦闘しています。その現実を私達障害者自身の手でまとめ上げ、実態や生き様をさらけ出し、国や自治体につきつけ追及していきたいと思います。これは社会を問う、とてつもなく大きな取り組みですが、多くの障害者仲間が自らの生活史と被差別体験を、したたかに、おおらかに語っていただき、積極的参加をしていただけます様、心からお願いするものです。
一九八七年三月一日
全障連(全国障害者解放運動連絡会議)
全国代表幹事 中川 一三二
挿絵省略
障害者差別実態白書づくり
関西からの活動報告
白書づくり・関西プロジェクト
関西ブロックでは、全国幹事会決定を受けて「白書づくり・関西プロジェクト」を作り、この間行動を進めてきました。
まず三月二九日を予備調査統一行動目と決め、事務局員や大阪の活動家を中心に三〇人がペアを作り、お互いにアンケートを取り合いました。これは五月に予定している本調査時に調査員となるメンバーの研修を兼ねて行なったものですが、予想以上に反響がありました。例えば「普段よく顔を合わせている者同士でも、詳しい生い立ちや被差別体験をなかなか聞けていないので、とても良かった」「他人の生き様の中に自分と同じ経験を見付けた時はうれしかった」「今まで運動の近くにいながら、声をかけられてこなかった障害者仲間へのアプローチに白書は役立つ」「行政闘争も、ほんとにこういう風に地道な聞き取りに基いてやる必要がある」等の感想が出たのです。
五月の本調査では枠を広げて、兵庫・奈良・京都・滋賀の仲間にも協力してもらい、
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更に三〇ケースを行なっていきたいと思います。そしてその行動を成功させるためにも、四月二九日に「白書づくり(予備調査を終えての検討と)交流集会」を持ちます。予備調査の内容・行動の分析と総括、制度学習(アンケート時に制度について逆に聞かれることも多い)、今後の行動について、討論する考えです。
とにかく動いてみて、白書づくりの重要さと、難しさも実感できてきたところです。これからドンドン広げていく中では、問題も出てくると思います。また初めて会った障害者にアンケートを取るなんてできるわけがなく、むしろお互いの生き方を語り合い、要求を聞ける関係をつくれる日常活動こそが求められているのだと思います。白書づくりは、単にそれとして独立しているわけではなく、労働や生活を始めとした諸領域の取り組みと連携していく必要があるでしょう。
全国の仲間の皆さんの、動きもぜひ聞きたいと思います。
【障害者差別実態白書づくり・調査項目要旨】
1、調査にあたっての基本事項
・何年生れですか ・住んでいる地域 ・家族との同居 ・主な生活場所 ・障害の状況 ・障害者になった原因
2、教育
・学歴 ・友人関係 ・一番覚えていること ・困ったこと・高校や大学に進学しなかった原因 ・進路指導の感想 ・問題点
3、生活
・住宅 ・介護 ・所得 ・外出 ・コミュニケーション ・人間関係
4、労働
・就労経験 ・就労希望 ・職歴 ・雇用形態 ・就職活動 ・雇用条件 ・雇用促進法の適用について ・職安に対する感想
5、作業所・生きる場
・入所希望 ・実態 ・行政援助 ・指導員について ・作業内容 ・賃金や収入 ・通所手段 ・問題点
6、施設(施設内障害者に聞く場合は、全国施設小委員会が中心になって行なう)
・入所歴 ・入所理由 ・入所をすすめた人 ・退所理由 ・主に何をしているか ・費用徴収制度について ・外出、外泊について ・面会、文通、電話、男女交際、交友関係について ・介護状況について ・施設の条件 ・職員との関係 ・自治会
7、医療
・医療券を持っているか ・手術について ・薬について ・機能訓練について ・診療拒否の経験 ・医療費 ・病院の対応 ・問題点
8、法制度について
・身体障害者福祉法 ・身体障害者雇用促進法 ・優生保護法(校正者注:「【障害者〜保護法」四角囲み)
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『竹中直人の放送禁止テレビよくやった』
差別ビデオ糾弾闘争の報告
写真省略(校正者注:糾弾会の会場の様子)
人間本質に迫る糾弾闘争を展開
喰始氏とWAHAHA本舗に対する3・17糾弾闘争の報告
関西ブロックQ
WAHAHA本舗半分が出席に応じる
「話し合うかどうかわからない」と言って、我々の抗議の声を無視しようとしていた喰始(たべはじめ)氏及びWAHAHA本舗であったが三月一七日、大阪府同和地区総合福祉センターで行なわれた糾弾会にようやく出席してきた。もっともWAHAHA本舗一〇名の内、半数は傷付けたことは謝るが、差別しようとしたわけではないので参加しない」との態度を続けたままであった。不参加表明部分へは手紙等を使い、直前まで説得を行なったが、結局喰氏を含む六名の参加に留まったわけである。
こういった状況をも踏まえ、糾弾会前の集会では次のような提起がなされた。「参加部分にしても『自分は差別意識なんて持ってない』との考えが頭にこびりついている。だから単に、言葉の上で『差別だ』『差別でない』のやりとりをしても、その意識を変えることは難しい。むしろ今回は『何故このビデオが許せないのか』『障害者が受けてきた被差別体験とビデオがどう結びつくのか』をまず訴えていこう。そしてその上でWAHAHA本舗のメンバーをして、自らの意識や生き様を問い返せしむるような、人間本質にグイグイ迫る闘いを創っていきたい」。この問題提起は、差別事件糾弾闘争をこの間、真剣に取り組んできた我々がまさに共通認識としてきたものである。
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被差別体験をもとにビデオの問題性を指摘
さて糾弾会では、冒頭、喰氏等から「全障連の言っていることが決して言葉狩りでないことはわかった」「今まで差別のことを考えずにきたし、自分では差別なんてしていると思ってなかったが、まだよくわからない」「障害者から今回のビデオのことで抗議されて、申し訳無いことをしてしまったのだとようやく感じてきたが、どうしたら良いのかわからない」という、出席するに当たっての心境が述べられた。そしてそれを受けた形で障害者から体験が語られた。
二児の母親である重度障害者の仲間は、自分がパーマ屋さんへ行った時に完全に子供扱されたことを例に引きながら、世間に「常識」としてある障害者観がいかに障害者を生きにくくさせているかをわかりやすく語りかけた。また「私は一見障害者とわからないくらい軽度だけど、学校では『チンバ、チンバ』とからかわられ、本当に悔しい思いをしてきた。このビデオの問題性は、そういう意識を一層助長するところにあるんです」との訴えもあった。そして「精神障害者」との共闘を担っている障害者から、ビデオにある「精神障害者」をまねしたシーンは、まさに社会にまん延している「『精神障害者』は危険だ」との偏見そのものであるとの強い怒りが表わされた。更に、彼等の唯一の大義名分である「放送禁止への反発」に対しては、「WAHAHAは放送禁止に反発しているが、障害者はありとあらゆることを社会から禁止されてきている。でもそれに体をはって抵抗し、恋愛や結婚をしたり、仕事に挑戦したりしている。ほんまにクリエイターならそんな障害者にもっと好奇心もって、物まねじゃなくて、覚悟を決めて放送禁止への反発をやったらどうなんや!」との鋭い反論もなされた。
自分を語り始めた喰始氏
その後、再度WAHAHAの面々に意見を求めると、彼等からもやっと人間としての自分を見つめた言葉を聞くことができ始めた。喰氏いわく「前々回、前回は、この場に出ていても、『勝つか、負けるか』という感じでしかなかったけど、今色々聞いていて自分のことを思い出しました。ぼくの子供の頃、家の近くに『乞食』の人がたくさんいて、彼等が住んでいる神社の中でいじめたり、一円持ってお米を買いに行くのをからかったりした記憶があります。やっぱり差別はしていたんです。で逆にぼくも、体がナヨナヨしているもんだから『イイダコ、イイダコ』って学校でいじめられてた。そういうわけで両方あったんです、本当は。その頃、ぼくは『昭和』二二年生れで、言わゆるベビーブームの時代ですけれど、両親からは『あんな風に(乞食のように)なっちゃだめ、友達は敵と思え』って育てられたんです。若い内はそれはおかしいとも思っていたけれど、年とってきたらお金が欲しいから、そんなこ
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とも忘れてしまっていました。今、自分もそういう風に差別したり、された経験があったことを思い出してみて、生き方について反省したいと思っています」。
差別事件の背景に、障害者の実態認識のなさが
確かにビデオの差別性や、障害者からの訴えについてはまだまだ認識がされていないわけだが、しかし喰氏の口からこんな事が語られたのは、やはりこの間の粘り強い取り組みの成果だろう。障害者差別に対する認識は、ストレートに理屈で理解するばかりが良いとは言えない。むしろ彼の様に、ちょっと違う角度であっても感性でどこか共感し得ることが大切なのだ。そして差別糾弾闘争はジグザクをしながらも、そこへたどりつくことが必要だと考える。竹中直人氏の場合もそうだったが、やはり糾弾闘争開始時における一定の「硬直」や「開き直り」あるいは「建前での謝罪」は、これはどうしても経過せざるを得ないのかも知れない。もともと一発でわかる位なら、差別事件もそうそうは起きまい。それらの壁をいかに崩し、差別に加担した者の意識を変えられるかが重要なのだ。
今あまりにも多くの人々が障害者がおかれている実態、そして生き様や思いを知らなかったり、無視したりしているが故に、本来は共生の可能性を持った立場でいながら、次々と差別・抑圧の尖兵になっていっている例がある。もちろん、それは根本的には社会の支配―被支配の関係に規定されているのであるが、一方個々の差別への認識の無さが大きな拡大要因になっていることを、この闘争を通じ我々も改めて学習したのである。
その端的な例が、本糾弾会でかわされた「自立論争」である。障害者の被差別体験を聞いてWAHAHAの何人かはこう言った。「私も街を歩いていて、障害者を見かけることはある。でも声をかけて良いのか、自分で頑張ってるんだから無視したら良いのかわからない」と。これに対しては「障害者が『自立』を言うときの中味は、決して全部自分でできるようになる、という意味ではない。むしろ周りの支援も含めて生き方を自分自身で選んでいくことなのだ。障害者は本当に必死の思いで外へ出てきている。そして駅や歩道橋の階段で『お願いしま〜す』と声をかけ、車イスの介護を依頼するけど、無視したり嫌がって避ける人も多い。障害者が街を歩けばサッと健常者が手を貸せるような人間関係、社会を私たちは目指しているのに、あなた方のビデオはそれを真向から否定する役割りを果たしているのだ」と、まさに障害者の実態を知らぬが故に、平気でこのビデオに出演できた彼等の姿勢を追及した。
「天皇」を避けたのは怖いから...政策意図を吐露
また「何故障害者ばかり扱って、例えば他のマスコミ・タブーと言われる天皇制は避けたのか」との問いについても、喰氏はとうとう本音をしゃべったのである。「マスコ
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ミで天皇の問題をギャグにしたら、右翼がこんな話し合いの場なんてなくて、それこそ暴力で抗議してくる。正直言って命かけてまではつらい」と。この発言にこそビデオ製作の陰湿な意図がはっきりと見てとれると言えよう。そうだ、喰氏・WAHAHAを始めとする圧倒的多数の健常者にとって、障害者は「弱者」でしかなく、その「弱者」をアザ笑うことに「放送禁止への反発」を自己解消してしまっていたのだ。しかし喰氏やWAHAHAもやがて気付くだろう、差別され抜いた者が発する怒りや抗議は、たとえ表面は穏やかでも、また数は少なくとも、それは差別者の意識の奥深くまでを鋭く突く「力」を有していることを!
本気で人を、文化を、社会を変える糾弾闘争を!
最後に、現在までに彼等が到達した認識点として、?@障害者の差別されている実態についてあまりにも認識がなかった、?A同じく自分達の立場・仕事と差別についての認識がなく、安易に製作・出演した、?B「表現の自由」というものへの姿勢も安易に過ぎ、「人が傷つこうが、何でも笑ってしまえば良いんだ」とのが考えがあった、との整理がなされ、彼等もこれを確認した。
もちろん、この程度の理解ではまだまだ不充分であり、我々は今後、一応前向きの姿勢に変わった彼等に、障害者差別に関するきちっとした学習を提起していく。確認・糾弾会はまさしく障害者大衆の反差別闘争の重要な場であり、やりっ放しにせず、フォローしていくこともまたきちんと行ないたい。彼等の今後の仕事の中で「障害者の問題を避けるんじゃなくて、反差別の立場から扱う」中味を我々もまた悩み、提起していく必要があるのである。一度でき上ってしまうと、逆に社会のあり方をも規定し得る文化に、障害者解放・反差別の息吹きをいかに吹き込むのか、難しい課題であるが、だからこそ挑んでいこうではないか。
今回までで既に一年半かかっている本闘争だが、徐々にではあれ「糾弾」の持つ重い意義が、彼等にも伝わり、また我々も実感レベルで確信できてきたと言えよう。事実今回は喰氏やWAHAHAのメンバーから「もっと突っ込んで話をしたいし、障害者との交流もしていきたい」との意見が、最後には出された。我々は彼等を変えることはもちろん、その成果をステップにしつつ、事件の背景にある社会の危機的状況をしっかり把握し、マスコミや行政への取り組みも行なっていきたい。これからも続く本闘争に一層の共同・支援をお願いしたい。
*「竹中直人の放送禁止テレビよくやった」ビデオは、全障連関西ブロックにあります。ぜひ視聴し問題意識を共有くださるよう訴えます。(校正者注:「*「竹中〜訴えます」四角囲み)
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各地の取り組み?@
(関東ブロック)
都内在宅障害者の介護保障要求運動の近況
東京都福祉局が在宅障害者の三一日介護保障の実現に向け努力することを確約する
今、東京都内各地の在宅自立障害者の運動は、第二の高揚期を迎えています。これまでとかく団結して闘うことが困難だった都内の在宅自立障害者が、ようやく大同団結して、都行政に対して自らの生活をかけた闘いを開始しています。
闘いの発端は、府中療育センターをとび出した重度障害者達を中心に、一〇数年前に都行政に認めさせた脳性マヒ者等介護人派遣事業(介護料制度)の対象範囲の拡大をめぐる対都要求行動でした。この制度が、重度障害者が地域で生きぬくためにきわめて重要な制度となり、自立障害者が増えてくる中で、これまで脳性マヒ者だけに適用されていたこの制度をすべての重度障害者へ拡大せよとする要求は切実なものとなってきたのです。また、この運動の中心を作っている脳性マヒ者にとっても、すべての障害者の要求をかちとろうとする運動の質をもった要求運動への飛躍をつくりだす契機ともなったのです。
ひさかたぶりに五〇名をこす車イス障害者とその支援者約一〇〇名が、都庁に押しかけ、介護人派遣事業の根本的な改善をつきつけた時から(一九八五年)これまで、その間三度にわたる対都交渉が行なわれ、都内各地から毎回一〇〇名近くの人達が結集し、介護保障の不充分さを指摘し、都行政にきびしく要求をつきつけてきたのです。そして、今年二月には、ついに都行政も三一日介護保障の必要性を認め、その実現に向けて努力するという確約書にサインし、今年度から新たな他人介護制度の発足にふみきることになったのです。
現在、都内各地で運動している七団体(北区在障会・三多摩在障会・三多摩自立生活センター・全障運関東ブロック・障害者の足を奪い返す会・練馬在障会・東久留米市在障会)が連合し、新制度発足に向けた対都要求行動は、この四月に大きな山場を向かえようとしています。(ちなみに、介護人派遣事業の新制度は重度の全身性障害者を対象とし、単価四一〇〇円で月十三回まで認められました。)
この新制度の発足は、東京における介護保障運動を大きく前進させるにとどまらず、この二年間の運動を通して重度障害者の新たな団結を生みだし、自らの力で要求をかちとる運動体の形成をなしえたという意味においても大きな意義をもっていると思います。東京におけるこうした運
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動の発展を基礎に、全国各地で闘う仲間と結合して厚生省を相手どって一戦交えねばならない日はそう遠くはなさそうです。各地でがんばる障害者のみなさん!共に闘わん!(関東ブロック・加辺)
各地の取り組み?A(関西ブロック)
精神衛生法の欺まん的改「正」反対の闘いが広がる(大阪・兵庫)
写真省略「3・20全関西集会に300人以上が結集」
厚生省が精神衛生法改「正」の要綱案を発表して以降、その飲まん性と現行精神衛生法撤廃をめざす様々な取り組みが持たれている。
関西では、三月一四日は兵庫における『第八回精神衛生医療集会』、二〇日には『精神衛生法の欺まん的改「正」を許さない―三・二〇全関西集会』が開催され、いずれも多くの参加者を得て、この問題への関心の高まりを思わせるものであった。
自治労兵庫県本部による三・一四集会には、自治労の労働者をはじめ、精神医療関係団体、障害者団体等二〇〇名近くの結集。県本部、来賓のあいさつの後、県本部衛生医療評議会事務局長・井上氏の基調報告、自治労衛生医療評議会事務局長・朝日氏の講演の他、二つの現場からのレポート報告、県本部衛生医療評議会議長・小松氏のまとめによる集会運営であった。
基調報告や講演では、精神医療をめぐる情勢や・今回の改「正」案をめぐる問題点が提起された。現場からのレポート報告では、「地域ケア・センター」建設の目的と、その地道な取り組みの様子が伝わるものだった。また、医療現場の実態から見て今回の改「正」案がいかに欺まん的なものであるかが明らかにされた報告であった。さらに、今本当に必要な施策は何かを提起する内容であった。
三・二〇全関西集会は、集会実行委員会による主催で、我が関西ブロックも加盟し、参加した。PLP会館大ホールはイスも入りきれず、立ち席で参加する人も出る程の大盛況だった。
集会は、「中間メモと改正要綱をめぐって」と題する精神科医・大越功氏の提起、国会での精神衛生法をめぐる政府への追及等の闘いの報告、さらに木島病院闘争から見た精神病院の実態報告。これらは現在の精神医療の実態が、宇都宮病院と何等変わらないこと、また改「正」によって差別実態が改善されるものでもなく、むしろ改「正」案が
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多くの問題を含むことを明らかにするものであった。また木島病院を退院した患者さんの告発からは、病院内での処遇が二四時間の生活全般に渡っていかに管理抑圧されたものであるか、まさに体験者の鋭いつきつけとして、会場全体に緊張感をもって聞き入らせるものだった。
この集会では全障連もアピールを行ない、精神衛生法問題を考える時、差別問題を軸に据えなければならないこと、現行精神衛生法撤廃の方向に立って改「正」問題等の評価を考える必要があること、「精神障害者」との連帯を軸に闘を作っていくこと等を提起し、共に闘っていこうと訴えた。
各地の取り組み?B(九州から)
大会後の福岡・九州の近況
元・全障連大会実行委員会
九州・福岡の現状は、これまでのそれぞれがやってきたことの交流・総括の過渡期である、と一言にすれば言えます。
週一回の事務局会議の定例化の中で、基本的な共通認識を得るよう、ケンケンガクガクと論議を積み重ねています。夢は大きいが、組織的力量が......というのが最大の悩みで(別にここに限ったことではありませんが)、組織的力量をつけつつ方向性をどう出すのかという二点に論議が集中しています(切り離されたものではありませんが)。
昨年一一月に催して一応の成果を収めた「障害者運動を考える集い」を、今度は四月後半から五月中旬に南の筑後地区でやるつもりです。前回の参加者(三〇名弱)より増えそうな見込みです。
それと、九州・福岡の場合は拠点地域がなく、個人バラバラということが大きな欠点で、特に交通の要所であり、比較的近郊にメンバーもいる福岡市地区で力をつけようと、別個に「障害者と健全者の共生・共闘を創り出す定例会」を始めました。どこまでやれるか全く未定ですが、まずは学生の新歓対策に的を絞っています。地元でも周囲の期待だけがやたらと大きく、うれしいようなシンドイようなという感じです。
ブロックを名乗るのはいつになるのかはっきりしませんが、福岡準備会(もしくはブロック準備会)は早急に名乗るつもりでいます。
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呼びかけ!
施設障害者と福祉労働者の立場から施設問題を考える
5・8 京都集会の案内
全国各地で施設での生活を余儀なくされている障害者の仲間の皆さん。その施設で日々悪戦苦闘されている福祉労働者の皆さん。そして障害者問題に関心を持たれている多くの学生、市民の皆さん。
最近の日本は、ますます反動の色彩を濃くしています。とくに中曽根政権の登場以降、日本社会の右傾化は一段と加速し、ついに八七年度の政府の予算案では、防衛費がGNP枠の1%を突破する事態に至りました。更に実際の生活面においても、在日外国人に対する指紋押捺の強要、教育現場での「日の丸」「君が代」の強制実施、あるいは国家機密法の国会への再上程の動き等、社会状況は日毎に厳しくなっています。
こうした中で、障害者の施設にもいくつかの変化が見られます。例えば厚生省は昨年の夏施設に入っている障害者本人、もしくはその保護者から、費用の全額またはその一部を徴収することを決めました。しかし障害者本人が費用を負担するようになっても、それによって施設での処遇が改善される訳ではありません。むしろ施設での処遇の改善が図られないまま障害者から費用を徴収するのは、実質的な福祉の切り捨てではないでしょうか。
また、障害者施設の多くは人里から離れた場所に設置されているばかりか、施設内での日常生活も徹底的に管理され、保護者の同意がなければ自分で買物や散歩もできない状況に置かれています。更に医療施設では女性職員が男性の障害者のトイレや入浴介護をするのは当然と考えられていますし、生理の時の介護が煩わしいとの理由で、女性障害者が強制的に子宮を摘出される事件も発生しています。そして、「知恵遅れ」と言われる人々が入っている施設でも、職員の入所者に対する暴行事件も後を絶ちません。こうした施設内でのさまざまな事件や問題点が明るみに出るのは極めて稀で、その多くは施設内で処理されているのではないかと思われるのです。
一九八一年から始まった国際障害者年もすでに折り返し点を過ぎようとしていますが、国や行政が考える障害者福祉は、比較的軽度の障害者には低賃金ながら職場を斡旋して、より重度の障害者は家族の手に委ね、それが不可能な場合には施設に収容するのが基本であり、そこには依然として能力主義と優生思想とが、明確にそして露骨に現われているように思われます。そうした優生思想に基ずいて
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挿絵省略
設けられた施設の中で、障害者は生きる希望を奪われ、ただ死を待つだけの存在でしかなくなるのです。いかに施設内での処遇が改善されようとも、外出等の自由が保障されようとも、施設の存在自体が障害者差別であり、その意味において私達は施設の存在を認める訳にはいきません。しかし現実には今なお多くの障害者が施設に入っているのも歴然たる事実です。そしてそうした施設で、日夜、障害者と向き合い、悩み苦しみながら、差別と闘っている福祉労働者も数多くいます。そうした福祉労働者にとって、施設障害者と関わるのはどんな意味をもつのか。障害者として今の社会から追い出された人間を徹底的に管理して抑圧して、それによって体制内福祉労働者としての立場を保持するのか。それも障害者差別を許さず、障害者との共存の道を探り、それによって自らをも解放するのか。ここで問われているのは、福祉労働者自身の生き方に他ならないと思います。
私達はこうした障害者差別の厳しい現実を見すえ、そこからの解放の糸口を探るべく、五月八日、京都で、『施設障害者と福祉労働者の立場から施設問題を考える』を開きたいと思います。
時を同じくして、所も同じこの京都の地において、全国療護施設協議会(全療協)の全国集会が開かれます。この全療協の集会には、全国の療護施設長をほじめ、一般の施設職員、あるいは大学での福祉の専門家達が多数参加するとのことです。この全療協の集会では、今回始めて障害者の自立を考える分科会が設けられるとのことです。しかしこの集会に、施設に入っている障害者が参加するとの情報は、私達の元には届いていません。この様に、施設に入っている障害者の生の声を聞こうとせず、施設職員と一部の研究者だけで話し合われる、障害者の自立とは一体何なのか!私達は障害者の施設が本質的に持っている差別体質が問題にされないまま、施設職員が障害者の自立について語るのは、本末転倒であり、問題の核心部分をはぐらかすことにしかならないと思います。なぜ障害者が施設に入らなければならないのか!どうして地域で生きられないのか!そして、施設に入っている障害者が死にもの狂いで施設から出、また出ようとしているのはどうしてなのか。それは、今の障害者施設が、障害者を障害者という枠の中に押し込め、徹底的に抑圧し
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日時=一九八七年五月八日 午前一〇時〜午後五時
場所=京都教育文化センター(京都市左京区聖護院川原町 四−一三)電話=〇七五−七七一−四二二一
連絡先=京都市伏見区向島丸町四−七 市住八街区五棟 一〇九号 柏木方
電話=〇七五−六二二−二二二九
『施設障害者と福祉労働者の立場から施設問題を考える、五・八 京都集会』実行委員会(校正者注:「日時〜実行委員会」四角囲み)
ているからではないでしょうか...。
今回の全療協の全国集会は、今後の政府・自民党の福祉切り捨て政策を具体化する上で、きわめて重要な意味を持つと思われます。例えば、昨年の夏に強行実施された、施設に入っている障害者からの費用徴収を徹底するための方策が話し合われるでしょうし、それと並行して施設の合理化についても討議されると考えられます。
施設の合理化、それは即ち介護職員の削減に他なりません。そして、そうした介護職員の削減は、たちまち施設に入っている障害者の処遇の悪化を招くのです。例えば、ある療護施設では、以前は常勤の看護婦が三人いましたが、今は二人になり、その内の一名が病気がちの為、看護婦の資格のない寮母が看護婦の代わりをする場合も少なくありません。一般の病院では到底許されない、こうした違法行為が障害者の施設では平然と行なわれているのです。また退職した介護職員を補充せず、アルバイトを雇っている施設もあると聞いています。しかし、アルバイトであっても仕事の内容は正職の寮母のそれと同じなのです。しかしアルバイトなので、職員会議での発言権もなく、施設のあり方について意見を述べるなら、即刻辞めさせられるのを覚悟しなければならないのです。
結局、施設が必要としているのは、自分で考えようとはせず、ただ介護だけをする人間であり、それは施設に入っている障害者にも、それを求めているのではないかと思うのです。施設が障害者の意志を奪い取る場であるばかりか、その施設で障害者との連帯をめざしている健全者の想いをも奪い取っているのではないかと思うのです。
こうした最近の厳しい障害者の施設の現状を直視するなら、早速、一刻のゆうよも許されないのです。私達はこうした観点から、全療協の全国集会が開かれるこの機会に、障害者自身の立場から『施設障害者と福祉労働者の立場から施設問題を考える、五・八 京都集会』を開きたいと考えます。
全国の施設に入っている障害者の仲間達。施設内でさまざまな疑問を感じながら弧軍奮闘されている皆さん。そして、日頃障害者問題に関心を持たれている学生・市民の皆さんが、一人でも多くこの『五・八集会』に参加されるよう、強く訴えるものです。
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【資料】
全障連施設小委員会
費用徴収制度に対する私達の基本見解
八六年七月、政府―厚生省は、身体障害者施設の措置費全額を自己負担の対象にする費用微収制度導入を強行しました。私達、全障連施設小委員会は、こうした政府―厚生省の福祉切り捨て―「障害者」の生存権をこれまで以上に脅かすやり方に対しあくまで反対し、仲間の生命や暮らしや権利を守るために奮闘する決意を固めています。以下 、費用紙収制度に対する私達の基本見解を明らかにしていきたいと思います。
(1)
今回の費用徴収制度は 、八六年四月の年金法改「正」にともなう障害基礎年金創設によって、「障害者の所得保障がなされた」ことをその前提にしています。
しかし見過してはならないのは、今回の年金法改「正」が大多数の国民からすれば大改悪=福祉切り捨てに他ならないこと、同時に改「正」前の障害福祉年金が国の財政でまかなわれていたのに対して新障害基礎年金は直接年金加入者(即ち国民)の方に肩代わりされたことです。従って、私達は「年金が上った」と手放しに喜ぶわけにはいきません 。私達は、 「障害者」の年金はもっと引き上げられるべきだと思いますが、多くの国民の生活や権利・福祉を犠牲にすることが前提になっているようでは、私達「障害者」の新の権利拡大―自立と解放につながるとは考えられないのです。
批判されるべきは 、このような欺まん的でいやらしい方法を用いる政府―厚生省です。また、「所得保障」といってみても 、とうてい「障害者」の自立生活を支えることのできる金額ではありませんし 、地域に介護や住宅など不可欠な条件が整備されていない現状では「看板に偽りあり」と言わざるを ぇません。
結局 、政府―厚生省のやったことは 、これまで負っていた国の責任をとことん軽くし、その分を国民に負わせ 、私達「障害者」に対しては「所得保障」を錦の御旗に費用徴収―受益者負担を押しつけたことに他なりません。
八七年七月からの費用徴収は、実際には反対を和らげるために「暫定措置」として若干徴収額を押えてあります。障害基礎年金しか収入のない施設「障害者」の場合には、一見ずいぶ艮くなったようにさえ見えます。しかし 、私達は目先のことに流されて大事なことを忘れてはならないと思います。いったん受益者負担原則ができあがってしまえば、「暫定措置」後の徴収額は厚生省の胸先三寸だということ(事実八八年には見直しが予定されている)、そして既にひどい高負担を強いられている仲間が大勢いるということ 、さらには施設内の人権制限や劣悪な待遇にはなんら手がつけられていないこともそうです。
まさに、今回の費用徴収の狙いは、福祉の国家責任を投げ捨て、国民や「障害者」にしわ寄せする以外の何物でもないのです。
(2)
費用徴収制度は、本人負担と扶養義務者負担を二本柱にしています。
私達は 、政府―厚生省が彼等の目的を果たすために、本人負担ではあきたらず、家族など扶養義務者までも受益者負担の対象としたことに大きな不安と怒りを禁じえません。これは「障害者」の家族からの独立をますます妨げるものです。
私達「障害者」は 、ともすれば家族の中にあっては「お荷
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物、やっかい者」 あつかいされる立場にあります。それというのも、 社会が急速に変動し核家族化がすすんだり、生活が苦しくて母親かパートに出かけたりするようになる中で、もはや家族の中に私達 「障害者」 の生活条件がなくなってしまっているからです。だからこそ国の責任が問われ、その後大きな問題になっていくとともに施設政策がすすめられてきたのではなかったでしょうか。
ところが、 いま国は「財政再建」や「行政改革」を理由に、福祉の国家責任をできるかぎり小さくし、 それに代わるものとして再び「家族」や「地域」をもちだしてきたのです。ここに、本人負担にとどまらず扶養義務者負担がうちだされてきた理由があります。
この間の円高不況や雇用不安、さらには福祉切り捨ての中で、苦しい生活を余儀なくされている家族にさらなる負担を強いれば、私達「障害者」と家族のあつれきは極度に高まり、これまで以上に私達は「引け目、負い目」 を負わされることになるのです。
こうしたやり方が政府のいう「完全参加と平等」にさえまったく反することは明らかです。
(3)
このような新たな福祉のあり方を、政府―厚生省は「日本型福祉社会構想」として体系づけています。その特徴は、第一に、家族を中心とする自助努力や近隣・職場の助け合いに主な福社責任を負わせ、国家責任―社会保障費を最小限に押えようというものです。第二に、 その社会的基盤として「市場型福社社会」 が唱えられます。これは、「福祉の効率化には民間活力の導入が一番だ」として、「福祉の産業化」を徹底しようというものです。 今回の年金法改「正」― 所得保障―費用徴収・受益者負担(本人+家族)という一連の内容はまさに 「日本型福祉社会構想」 の論理に貫かれているのです。
この「日本型福祉社会構想」が私達にもたらすものは、 国からのしわ寄せを受ける家族や地域のあつれき・排撃やいじめ、これと一体に福祉のいっそうの「お情け、お恵み」化、さらにはわずかばかりの「障害者」や老人の年金に餓鬼のようにたかる 「福祉企業」 の群れでしかありません。
(4)
国は 「財政破綻だから行革―日本型福祉社会構想しかない」と言います。しかし、大企業に金をばらまくために赤字覚悟で大判振るまいをつづけてきたのは政府―厚生省です。今更のようにそのツケを国民や私達に負わせようというのはあまりにも虫がよすぎるというものです。 その一方で、軍事費や海外投資、大企業向け資金援助や公共投資、皇室費等には湯水のように金がつぎこまれていることを考えれば、納得のしようがありません。
また「福祉サービスを自分の金で買えば利用者としての自立心が養われるし、安くていいサービスを選択できる」ともいわれます。しかし見てきたように、「日本型福祉社会構想」はむしろ「個人としての権利―自立心」をたたきつぶし、今以上に福祉を「お情、お恵み」へと引き戻すものであり、福祉の中に露骨な、あくなき利潤追求と企業競争―差別主義をもちこむものです。 私達「障害者」にとって生き万を自分で選択できることは大変重大なことなのですが、現在すすめられている「福祉の産業化」は決して「障害者」の自己決定権の拡大―自立と解放につながるものではないことをおさえておくべきです。
この間ますますひどくなる差別・選別教育のひずみや、深刻な不況―生活不安は、被差別者に対する生命さえも否定する陰湿な差別・いじめを再生産しています。私達 「障害者」
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も、自己の存在さえ否定され、あざ笑われる差別的な歌やビデオの出現をまのあたりにし、現在という時代の恐ろしさに背筋も凍る思いです。こうした社会意識や文化的退廃を生みだした責任を問うとき、私達はとうてい政府―厚生省の身勝手な「日本型福祉社会構想」や費用徴収制度―受益者負担を許すことはできません。仲間の生命や暮らし・権利を守り、「障害者」差別を許さず、平和を守るためにも、費用徴収制度反対の大きな団結を創りあげていこうではありませんか。
挿絵省略
出版物・映画の案内
全障連結成大会報告集 2500円-
第2回大会報告集 2000円-
第4回大会報告集 2000円-
第6回大会報告集 うりきれ
第7回大会報告集 1000円-
第8回大会報告集 1500円-
第10回記念大会報告集 2000円-
79年1・26〜31 養護学校義務化阻止!
文部省糾弾連続闘争報告集 200円-
障害者解放教育・保育研究会シリーズ
養護学校義務化阻止闘争総括集 600円-
養護学校義務化阻止!学習パンフ?B 600円-
自立生活シリーズ?A「地域福祉」政策糾弾!学習パンフ 200円-
労働権シリーズ?@
障害者職よこせ要求者組合結成集会 報告集「みんなで力を合わそう」 400円-
点字学習 200円-
富山市差別行政糾弾闘争報告集
?@第1回確認会報告集 うりきれ
?A第2回確認会報告集 400円-
?B第3回確認会報告集 400円-
?C第1回・第2回糾弾会報告集 500円-
KSK 全障連(全国機関誌)月刊 200円-
年間定期購読(送料込み) 2500円-
KSKP 全障連関西ブロック
ニュース・月刊 150円-
年間定期購読(送料込み) 1900円-
SSKP全障連関東ブロックニュース(ブロックに問合わせ下さい)
SSKP全障連東北ブロックニュース(ブッロクに問合わせ下さい)
映画『養護学校はあかんねん!』=文部省糾弾連続闘争の記録(全国事務局に問合わせ下さい)
「障害者解放運動の現在(いま)」
現代書館発行=全障連・編 1500円-(校正者注:「出版物〜1500円-」四角囲み)
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全障連・第12回大会実行委員会ニュース?A
7月31日・8月1・2日/町田市立体育会館・ほか/国障年中間年を解放運動のステップに!
厳しい状況の中、障害者差別と闘い、自立への展望を切り開くため奮闘している仲間の皆さん!
私達全障連は、1976年の結成以来、養護学校義務制に反対する運動、赤堀差別裁判糾弾闘争、また障害者が地域社会の中で自立して生きる取り組みを巾広ろく実践しつつ、優生思想に代表される障害者差別思想を一切許さない立場から運動を繰り広げてきました。そして毎年、全国各地で交流大会を開催し、障害者自身の主体的な大衆運動を創りあげてきました。
今1987年、第12回大会を東京の町田市で開催したいと考えております。
私達障害者をとりまく情勢は、日に日に厳しさを増しています。失業率がまさに3%を越えようとする状況で、まっ先に労働現場から追い出され、生活保護の徹底した切り捨てで自立生活の展望すら奪われ、強制収容者と化した施設・病院の中で一切の人格を無視されつづけ、多くの仲間がまさに危機的な状況の中であえいでいます。
現在、1987年度政府予算案ではついに軍事費のGNP1%枠を平然と取り払い、軍事国家体制の道を歩み、刑法改悪・スパイ防止法新設・精神衛生法改「正」・優生保護法改悪などの反動諸立法がめじろおしに予定されています。
いよいよ私達の運動も正念場を迎えつつあるといえましょう。
全障連では、これまで障害者解放基本要求要綱、差別実態白書づくり運動、生きる場・作業所の全国ネットワークを提起しました。今回の大会はこれらの運動方針をより具体的に展開しながら、大会を作りあげていきたいと思います。また、今年は1981年を起点とする「国際障害者年」の中間評価の年でもあり、この年に行なうという意味でも、今後の障害者解放運動の未来を切り開く大会として是非とも成功させたいと考えております。
多くの仲間の大会成功への支援と、大会への参加を要求します。
第12回全国交流大会・開催要綱(第1次案)
【開催日程】
7月31日(金)
午後1時〜5時 全体会(開会挨拶・歓迎挨拶・後援団体挨拶・連帯共闘団体挨拶・メッセージ祝電紹介・基調提起)
午後6時〜9時 市民交流会(未定)
8月1日(土)
午前9時〜午後5時 分科会(?@交通・?A生活・?B教育・?C労働・?D施設・?E医療・?F赤堀闘争・?G作業所・生きる場・?H特別分科会=内容未定)
午後6時〜9時 障害別・階層別分科会=詳細未定
8月2日(日)
午前9時〜12時 分科会(同上)、相談および始めて参加する人のコーナー
午後1時〜5時 全体会(分科会報告・基調質疑採択・幹事役員承認・決議採択・宣言採択・スローガン採択・閉会挨拶)
【開催場所】
東京都町田市(全体会=町田市立体育館、分科会=市内小中学校を予定)
参加費=3500円。宿泊費=2500円。(予定)
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取り組み紹介(校正者注:「取り組み紹介」下線)
4月30日=小規模作業所への助成の在り方をめぐる厚生省交渉(P1:30衆議員第1議員会館集合)=関東「共に生きる場、働く場」づくりを考える会(準)
5月2〜3日=関西ブロック合宿
5月16日=全障連理論委員全(大阪)
5月24日=赤堀全国統一闘争(各地闘争)
5月30〜31日=四国障害者交流会
6月6〜7日=全障連全国幹事会・東京 (校正者注:「取り組み〜東京」四角囲み)
挿絵省略
目次 (校正者注:「目次」下線)
赤堀さんの再審が確定する
赤堀さんの身柄の即時釈放に向け新たな闘いに 1
障害者差別実態白書(酷書)づくりに全力で取り組もう 全国事務局長・西岡務 5
・資料=御協力おねがい 6
・関西からの活動報告 7
・資料=調査項目要旨 8
『竹中直人の放送禁止テレビよくやった』差別ビデオ糾弾闘争=3・17糾弾会の報告
人間本質に迫る糾弾闘争を展開・関西ブロックQ 9
各地の取り組み
?@関東=都内在宅障害者の介護保障要求運動の近況―東京都福祉局が在宅障害者の31日介護保障の実現に向け努力することを確約する 13
?A関西=精神衛生法の欺まん的改「正」反対の闘いが広がる(大阪・兵庫) 14
?B九州=大会後の福岡・九州の近況 15
呼びかけ 施設障害者と福祉労働者の立場から施設問題を考える5・8 京都集会の案内 16
・資料=費用徴収制度に対する私達の基本見解(全障連施設小委員会) 19
全障連・第12回大会実行委員会ニュース ?A 22 (校正者注:「目次〜22」四角囲み)
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編集後記
赤堀さんの再審確定のニュースを見てほんとうにうれしかった。3・26の高裁決定、3・31の検察側・特別抗告断念。新聞記事をいっぱい集め、3日も4日も読んだ。
苦しい時代に、こんなうれしいことが起きると本当かと思うし実感が沸くと限りなくうれしい。
頑張ろう!世の中は激動中だ。
頑張ろう!本当に。
全障連
全国障害者解放運動連絡会議
No.68
全国機関誌 発行日/1987・04・25
連絡先/大阪市東成区中本1丁目3-5 ベルビュー森の宮215号
TEL 06−974−0791
月1回発行 頒価 200円
年間定期購読 2500円(郵送料込)
郵便振込 大阪6−57342 全障連全国出版部
作成:
山口 和紀