『全障連』No.36
last update:20220704
■しかく文字起こし
表紙
SSK No.36
全障連
全国障害者解放運動連絡会議
昭和五九年三月一七日発行(毎月六回五、〇の日発行)
昭和四八年第三種郵便物認可
SSK増刊 通刊一一七六号
写真省略「1・15―16 組織強化合宿の1コマ(次号けいさい)」
目次
時の雷鳴 1
赤堀差別裁判糾弾闘争(校正者注:「赤堀〜闘争」太字)
3・8全国総決起集会に結集を 1
ヴァンサンカン差別記事徹底糾弾(校正者:「ヴァン〜糾弾」太字)
2・26第1回確認会/決起集会へ 3
精神衛生実態調査阻止闘争の現状 5
保安処分新設阻止闘争のよびかけ 6
石川重朗君の飯田東小転校闘争 (校正者:「石川〜闘争」太字)
3・20全国総決起集会に全力を! 7
林裕孝君の保育所入所を実現する会が結成される 8
闘いの報告 (校正者注:「闘いの報告」太字)
?@東海地区障害児教育講演集会 9
?A第三回全国職よこせ要求行動 10
?B丸八真綿差別事件糾弾闘争の報告 11
近況(校正者注:「近況」太字)
障害者に新たな分断と差別をもちこむ生活保護おさえこみ 13
各ブロック連絡先 9
p1
赤堀差別裁判糾弾闘争
3・4 全国総決起集会(校正者注「3・4 全国総決起集会」大文字)に結集しよう
赤堀政夫さんを生きて奪い返そう!
静岡地裁はただちに再審を開始せよ!
5・23「差しもどし決定」以降の状況
昨年五・二三差しもどし決定以降、静岡地裁で十一月二十九日、十二月二〇日と審理が開始され、更に二月十七日、三月十九日、四月二十三日と審理日程が決定している。差しもどし審理における争点は、凶器とされてきた「石」が死体発見当時、既に存在したかどうかを巡ってである。弁護側は「刑事部屋の机の上に石が置いてあった:とする石沢岩吉氏の証言、これに対し検察側は「石はなった」とする北上承認を立て、更に「石沢証人の記憶ちがい」を追及している。しかし、すでに第四次再審請求の中で太田・植田鑑定をもって被害者佐野久子ちゃんの胸傷は、この凶器とされた「石」ではできないことが証明され、したがって「石の発見経過」の問題でなく、第四次再審請求を引き継ぎ、「石」がデッチ上げ
時の雷鳴
副幹事 楠 敏雄
日教祖教研のとりくみを終えて
第33回日教祖、日高教の教研集会が去る二月五日から四日間の日程でものものしい警戒の中、神戸市において開催された。
ここ数年、わが全障連は、日教祖に毛州する全ての教育労働者に障害者差別との闘いを呼びかけ、更に、障害児教育分科会の優勢な流れであった、いわゆる「発達保障論」を批判すべく積極的なとりくみを行ってきたが、今回もまた全体会での情宣活動や分科会での提起や批判という形で我々の立場を提起してきた。全体としていえることは、障害児教育のとりくみが避けて通れぬ課題であること、そして、それはまた健常
p2
(校正者注:以下、前頁の「5・23「差しもどし決定」以降の状況」の「「石」がデッチ上げ」の続きの文章)
られたものであることや、足跡鑑定=平沢鑑定(ゴム長ぐつの後ではない。赤堀さんの足にははけない)、死後経過時間を巡る鑑定=船尾・助川鑑定(犯行日は三月十日ではない)等、差しもどし決定でいう「審理不尽の疑い」に対して徹底した審理をさせなければならない。
検察側の証拠圧殺を許さず、再審開始をかちとろう!
差しもどし決定が再審の可能性という道を開いたとはいえ、その内容は差別デッチ上げを隠ペイし、あの許すことのできない七七年三・一一棄却決定の「自白と客観的事実が食い違うのは、精薄である赤堀のせい」と差別性を引き継いでいる。そして、今日なお検察は新たに証拠の圧殺等を画策しており、この攻撃を許さず、一日も早い再審開始をかちとるために静岡地裁への闘いを強めなければならない。
三・四全国総決起集会に全国から結集し、再審開始、無罪奪還に向けて獄中の赤堀さんと共に闘おう!
静岡地裁は直ちに再審を開始せよ!
島田事件無実の「死刑囚」赤堀さんを生きて奪い返そう!
三・四全国総決起集会
写真省略 (校正者注:赤堀さんの写真)
日時 三月四日 午前十時
場所 静岡市・駿府公園 やすらぎの塔前
主催 赤堀中央闘争委員会 (校正者注「静岡地裁は〜闘争委員会」四角囲み)
(校正者注:以下、前頁の「時の雷鳴」の「それはまた健常」の続きの文章)
児への現行教育の在り方を問うことなしには解決が困難であることの認識が、ようやくかなりの部分に理解されつつあるということである。
その意味では、やはり、我々をはじめとして他の障害者や親団体のねばり強い取り組みの成果であるといってもさしつかえなかろう。
しかし、分科会に参加した限りでは相変わらず「障害の軽減」にやっきになり、それを信じて歌ぐぁぬ教師たちが多く、更に障害者や親の糾弾に耳を傾けようとさえしない日教研の教師たちの怒号を聞き、改めて障害者差別の根の深さを知らされた思いだった。
しかし、とにもかくにもこの集会で我々のとりくみを貫徹し、それは単ある自己満足でなく一定の成果を上げたことも確かと言えよう。
それにしても、日教祖教研に対する右翼に妨害とそれを裏であやつる政府ー自民党・中曽根内閣の攻撃はすさまじいものがある。これを見ても彼ら支配権力が教育を重視してい
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るかが知られるが、それと同時に、我々が闘いの矛先を目の前の教師だけに向いていてはいけない。むしろいかに教師たちに教育の真の変革=人間解放の立場に立った教育への変革にとりくむよう迫りうるかが、我々自らに問われていることを再確認することも忘れてはならない。
よい血を残したい! その2
ヴァンサンカン=婦人書報社の差別記事徹底糾弾
優生保護法改悪の新たな攻撃と全力で闘おう
「よい血を残したい」=障害者抹殺のファシズム思想と全面対決の闘いに立ち上がれ!
挿絵省略
はじめに
本機関誌の全号で詳しくとりあげた、ヴァンサンカン一月号(婦人画報社)の障害者差別―抹殺イデオロギーに貫れた記事「よい血を残したい」の糾弾闘争がいよいよ日程にのぼりました。
前号では、差別記事の内容と本質批判を行いましたので、今回は、政府―権力者―自民党の優生保護法改悪の新たな動きをみつつ、このヴァンサンカン差別記事を果たす役割を明らかにします。
政府―自民党との優生保護法改悪の新たな攻撃
政府―自民党は、昨年の優生保護法改悪策動(経済的理由で中絶することを禁止する―経済的条項削除)に失敗し、その総括をもって新たな策動を作り出しています。その総括とは、経済的条項の削除をあきらめたのではなく、あくまでこれに固執しながら、反対運動をとりこむような改悪案を作らねばならないとし、「全面的」改悪をねらってきたのです。
自民党は、昨年五月に「優生保護法等検討小委員会・中間報告」を出しています。この内容は、経済的条項を削除することと、その一方、反対運動をとりこむべく「母子保健対策、『望まない妊娠』そのものの
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止・避妊方法の指導普及・性教育の道切な実施・働く有子婦人対策」などをあげています。しかも現行優生保護法の立法趣旨が「根底に人口政策や民族の逆淘汰の防止といった思想が存在する」と認め、これを肯定しているのです。
すなわち、母子保健行政の最小限の手直しをエサに、経済的条項を削除し、なおかつ障害者抹殺の優生思想とそれに基づく障害児殺しを露骨にうちだしてきたのです。まさに、十年前の「経済的条項削除」「障害児抹殺」の二本柱を、それこそ改悪の本当のねらいですが、形を変え、色を変えまたぞろしかけてきたと言えます。
差別性に貫れた保健行政のいっそうの強化
一方、母子保健行政ですが、これも現行施策はこれまで多くの場で明らかにされているように、婚前教育母親教育・家族計画相談・検診・そしてなにより遺伝相談・羊水チェックにより、優生思想が広められ障害者の抹殺・差別・隔離が行われています。そして、自民党の言う「手直し」とは、まさにこの差別思想・抹殺攻撃の強化にほかならないのです。
ヴァンサンカン徹底糾弾闘争は思想性をかけた闘いだ
ヴァンサンカン差別記事「よい血を残したい」は、この自民党の策動の先兵です。婚前・妊娠の若い女性を対象に、障害者は「悪い血をもつ生まれてはならない者」ときめつけ障害者抹殺の差別イデオロギーを煽っています。そして、女性に「良い血を守り子どもを育てる」ことが至上の仕事と煽り、国家による女性管理家族管理をおしつけます。
このように、政府―権力者―自民党がまたもや新しく周到な準備をしてかけてくる攻撃、障害者抹殺のイデオロギーを前面に立ててねらってくる優生保護法改悪と対決するためには、「母子保健行政」の差別的本質を明らかにし、これとの妥協のない闘いが必要です。
ヴァンサンカンの差別記事こそは差別者の意図に沿って、きれいな言葉でつけ入って、、イデオロギー攻撃をかけているのです。私たちは、ヴァンサンカン―婦人画報社への徹底糾弾闘争を、私たちのもつ思想性をかけて戦いぬきたいと考えます。
ヴァンサンカン―婦人画報社との第一回確認会
・決起集会
2月26日(日)午前一〇時― 総評館 (お茶の水)
・確認会
同日・午後一時― 同会場(総評会館) (校正者注:「ヴァンサンカン〜(総評会館)」四角囲み)
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今こそ正念場=保安処分新設・精神衛生実態調査阻止闘争〈最近の状況?@〉
厚生省の最後のあがきを許さず、精神衛生実態調査阻止に追いこもう
挿絵省略
私たちの実調阻止闘争は厚生省を苦境に追い込んでいる。現在、神奈川・滋賀・東京の三都県が中止を発表。東京都は調査対象施設全体の約十三%を占め、三都県合わせると十九%更に、北海道・大阪・埼玉・徳島・愛知など十二道府県が正式決定を出せず未だ実施できていない。(一月二六日現在)
このような状況で実調の全国統計が出せるはずもないのに、厚生省は現在もなお「都道府県の地域差に関係ない調査項目が多く精度が落ちることはない」と言いはり、二次調査を行なおうとしている。更に、当初の日程では二月十五日を〆切としながらも「三月いっぱいまではかまわない」(一月三十日)と最後のあがきで中止決定や正式決定していない都府県の「指導」にやっきとなっている。厚生省は三月上旬に全国集計を予ていしているが、こうした状況を無視して強行することを断じて許してはならない。更に、すでに実施している県に対しても、この調査の差別性、問題点を追及し破棄させなければならない。
調査期間はあとわずか。実調そのものを完全に粉砕するまで最後の追い込みを。全国各地の闘いを結び、厚生省に糾弾の嵐を!
(校正者注:以下、新聞記事)
1/31 朝日(校正者注:「1/31 朝日」は手書きで記入されている)
最大の東京都も中止
精神衛生実態調査 厚生省さらに苦境
人権を損害する、などの批判の中で厚生省が二月一日から行う「五十八年度精神衛生実態調査」について、東京都は三十日、「実施を見合わせる」と事実上の中止を同省に通知した。神奈川、滋賀に続き三番目で、大口の東京が抜けたため、対象患者の二割弱が調査から欠落する。まだ実施を正式に決めていない自治体に影響を与えることも予想され、同省は苦しい立場に立たされた。
都は昨夏、厚生省から調査協力を要請され、当初は基本的に協力する立場で準備を進めてきた。しかし昨年十月下中、調査方法が一部変更されたことなどから?@調査該当施設の負担がより重くなった?A医療機関内の職員にも反対の声があり、実施した場合、相当の混乱が起きる――と判断、厚生省からの調査委託を返上することを決めた。
三十五県が予定通り実施するものの、北海道、埼玉、愛知、大阪、兵庫、徳島など九道府県は関係団体との調整が遅れ、まだ正式決定していない。大都市の東京の中止は、九道府県にも微妙な影響を与えることが予想され、調査の制度も疑われる状態になった。
厚生省の野村瞭・精神衛生課長は「東京都が落ちたことでどんな影響が出るか心配だ」と、苦慮している。しかし「大多数の自治体はほぼ予定通りで、調査を辞めたり延期することは考えていない。患者の治療状況や社会復帰施設の種類など、都道府県の地域差に関係ない調査項目が多く、精度が落ちることはない」と説明している。
調査は精神、神経科の全医療施設から五分の一の割で八百七十二施設を抽出、さらにに十分の一の割で患者を抽出し終わり二月一日から十五日まで、主治医が患者から聴き取る本調子を行う。三月上旬に全国集計する予定。
(校正者注:以下、新聞記事が張られているが途中で文字が切れている)
今の方法はズサン
学者グループ中止要請
三潴(みつま)信邦・筑波大名誉教授や暉峻(てるおか)淑子・埼玉大教授など統計学を中心とする学者グループ六人が(校正者注:以下、新聞記事が斜めに張り付けてあり文字の判読が不能)
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今こそ正念場=保安処分新設・精神衛生実態調査阻止闘争 〈最近の状況?A〉
障害者解放の力で
刑法改悪―保安処分証説国会上程を絶対に阻止しよう!
昨年十月十七日、政府―法務省は恐るべき内容で貫かれる「治療処分執行法」(仮称)を公表。(保安処分の名を変えたもの)これは「精神障害者」を犯罪を犯す危険な者と決めつけ、処分を言い渡されたら最後、永久に隔離し、更に、これまで治療処分の対象を放火、殺人、傷害等六罪種に限ると言ってきたことについても限定をなくし全てを対象にするという恐るべきものである。
今年に入って法相は「治療処分は今国会中にやりたい」(一月五日・NHK)と言い、「自民党との調整を残すだけで通常国会に提出する」(一月二九日・読買新聞)と打ち出してきており、刑法改悪―保安処分新設の攻撃は一挙に強まり、私たちの闘いも正念場を向かえている。
今年八日の読買新聞報道では、保安処分(治療処分)を刑法と分離して今国会に上程するとしているが、政府―法務省は保安処分新設を突破口に刑法改悪もを一挙に推し進めようとしているのは明らかであり、分離ということをもって闘う勢力の分断と鎮静化を狙ってるのだ。攻撃はあくまで一体のものであり、私たちの闘いも刑法、保安処分を一体のものとして闘わなければならない。
今、私たち障害者に対する差別攻撃が福祉切り捨てや、優生保護法改悪策動、精神衛生実態調査、ヴァンサンカンの差別記事に見られるような優生思想に基づく差別の煽動等、まさしく一挙に、しかも露骨な差別抹殺攻撃として強まっている。このような中で保安処分新設攻撃は、「精神障害者」差別攻撃を通して、この差別社会を防衛しようとするものであり、差別抑圧の体制をより固めるものである。
今こそ差別糾弾!自立・解放!をかかげて起ち上がり、刑法改悪―保安処分新設国会上程を阻止しよう!
刑法改悪―保安処分新設阻止全国総決起集会(予定)
時 3月18日(東京)
主催 百人委員会
挿絵省略 (校正者注:「刑法改悪〜挿絵」四角囲み)
p7
石川重朗君を飯田東小へ
3.20全国総決起集会
3月連続行動へ結集しよう!
石川重朗君の飯田東小学校転校を実現する会
訪問指導の実際
重朗君の訪問指導は、現在三学期に入り、二学期と同様週二回二時間ずつ行われている。その具体的な様子は、授業参観時の新聞報道によれば次のようである。
―午前九時半、盲学校の教師二人が重朗君に付添ってグラウンドへ。トラックを半周ほど走り、校庭隅にあるブランコや滑り台を使った指導が続いた。(略)滑り台の階段を何回ものぼり、台を滑る。同小の低学年の生徒が滑り台に遊びに来たが、重朗君は気づかず訓練を繰り返した。一時間ほどして一階の児童会室に入った。教師の一人が重朗君と向かい合う。「礼」のあいさつから始め、名前を呼び手をあげる。みかんとコップの識別、小さな球を穴の開いた箱に一個ずつ入れる作業など、各種の訓練が行われた。重朗君と二人の教師以外にはだれもいない教室で、約一時間にわたり授業は続いた―
(八三・一二・一六 朝日)
健常児との関係を切る教育委員会
昨年、一二月二六日に第二回交渉がもたれた中で、盲学校より、二学期の評価が口頭で提示された。その内容は「重朗君個人の身辺処理能力、言語理解能力、運動移動能力、感覚探索手指操作能力」の報告であった。重朗君の地域での人間関係づくりのために訪問指導はどうあればいいのかという視点にもとづいた「訪問指導の評価」は何ら示されなった。盲学校が重朗君個人の能力のみを問題にし続ける限り、重朗君は個別に切り離された訓練の対象としてしか位置付けられない。
また盲学校は、他児とのふれあいの評価を示されなかったため追及した所、「子どもたちが逃げていった一緒にやる雰囲気でなかった。見学していた」等の例をあげ、ふれあい
p8
がもてなかったことを明らかにした。これでは、やろうともしないでやれなかったと言っているに等しい。
一月十二日第三回交渉の際、二月初旬に予定されているマラソン大会への参加を要請したところ、担任の山嶋教論は「重朗君は集団に参加する段階ではない。段階を無視してやると拒否反応を起こす」といって参加を拒否した。自分がやりたくないというならありそうなことだが、参加拒否を重朗君のせいにするのは、実に卑劣なやり方である。
3・20全国集会で転校への一歩をかちとろう!
以上のように、盲学校の姿勢は、重朗君を個別訓練の対象として他の児童との関わりを試みもしないでできないといい、そのできない原因を重朗君の障害のせいにするというものである。
重朗君が地域で生きていくためには「障害のある重朗君」が地域で子どもたちとの人間関係をつくっていくことが重要なのである。転校への確かな一歩を切り拓くため、三・二〇全国総決起集会に結集しよう。
三・二〇 全国総決起集会
日時 一九八四年三月二〇日(祭)
午後一時〜
場所 静岡県総合社会福祉会館
林裕孝君の保育所入所を実現する会
全国の支援を得て結成される
実現する会結成される
林裕孝君の神戸市立保育所への入所闘争は、この二月末日が来年度入所決定期限でもあり、全国の注目を集めています。
二月十二日に、兵庫県教育会館で開催された『林裕孝君の保育所入所を実現する会結成集会』では、参加者は百名を超え、雪の降りしきる中でこれをはね返し闘いのエネルギーを結集させました。また、支援・賛同団体も、全障連・兵庫青い芝の会全国親の交流会・障害児を普通学校への全国連絡会・しよう会・がっこの会・子問研・障害者問題を考える兵庫県連絡会・自治労兵庫県本部・神戸市職労衛生支部など三〇団体が並び、医師・研究者の個人も名前を連らねてメッセージも送っていただいていました。
今この闘いは、神戸市の障害者行政を根底から問い直し、また政府―権力者が大ナタをふるってきている福祉事務所で、障害者をはじめ住
p9
民の立場に立った業務にあり方を鋭く問うものとなっています。
神戸市行政・福祉事務所の差別を根底からゆさぶる闘い
そもそも、この林裕孝君の闘いがこれほど大きくなったのも、神戸市の保育行政の根幹に障害者差別がれき然とあったからです。それは、?@福祉事務所長の保育所入所措置権があいまいで、責任をだれがとるのか明らかではない。?A障害児保育を、健常児中心の保育体制に『なじむ』子どもに限っている。これは、すでに多くの市が「障害児は差別の現実の中で保育に欠けるから優先入所をするという考え方をとっている情勢に逆行し、障害児を障害の種類と程度で振り分けをする差別行政そのものです。?Bさらに、この振り分けを支えている「専門委員会」というものがありますが、これは密室で極めてズサンな『判定』を行い、しかも障害児保育の指針まで出すといいます。つまり、行政の責任をこの「専門委員会」の名を使ってあいまいにし、親や子どもの要求をおさえつけているのです。
保育所入所実現まで闘おう!
私たちは、神戸市に象徴的に現れた保育行政での差別実態を明らかにさせ、障害児と親が受けている差別を行政の責任でなくす、すなわちどんな障害児も優先入所させる闘いを深めていく必要があります。
そのためにも、林裕孝君とともに生き、ともに闘い、保育所入所を全力をあげて実現していく決意です。
*今後の闘争予定は関西ブロック事務局まで問い合わせて下さい。
挿絵省略
各ブロック連絡所
全国事務局/関東ブロック事務所
東京都豊島区巣鴨3丁目34の3 フラワーコーポー303号 03 (918) 8572
全国出版部/関西ブロック事務所
大阪市東成区中本1丁目3の6 ベルビュー森の宮215号 06 (974) 0791
東北ブロック事務所
仙台市小田原2丁目2の43 佐幸ビル403号 0222 (95) 8498
北陸ブロック事務所
富山市大町1区西部52 サンの会気付 0764 (91) 3385
東海ブロック連絡先
岐阜県羽島郡笠松町円城寺600 戸田方 05838 (8) 1864
中国ブロック連絡先
岡山中央郵便局私書箱4号 岡山障害者開放委員会気付 0862 (53) 8015中川気付(校正者注:「各ブロック連絡所〜中川気付」四角囲み)
p10
闘いの報告
東海ブロック
東海地区障害教育講演集会の報告
石川闘争に連帯しブロック再建に着手
八三年も残り少なくなった一二月一八日、名古屋市総合社会福祉会館にて、二日市安さん(障害児を普通学校へ全国連絡会世話人を迎えて講演集会を行ないました。
この集会は、静岡の石川さんの全国キャラバンの一つとして、また愛知にて、地域の小学校への入学を目指している平松さん支援の意味を持つものとして行なわれた。
集会は、二日市さんから、トーマスチャスティンの小説の話しから始まり、「校内暴力」「非行」の話しから、障害児をとりまく状況、「長崎訴訟」の話しへと幅広い内容の講演を受け、岐阜県高山市で盲学校から地域の学校へ転校を勝ちとった水口さんの闘いと、現在の状況の報告がなされ、静岡の石川さんから現在の状況と、全国集会に向けたアピールを受けていった。
最後に愛知の平松さんから、何故地域の学校へ行きたいのか、と親の気持ちを訴え闘う決意を訴え闘う決意を明らかにされた。
東海地区にての集会は久しぶりのものであったが、参加者は、愛知・岐阜・三重・静岡から五〇名程の結集があった。
東京
第三回、全国障害者職よこせ行動と障害者と労働者の連帯集会の報告
就労闘争の広がりが報告される(関東ブロック・岡田)
昨年十一月十一日(金)〜十二日(土)に、全障連・視労協・障害連の三団体による『全国障害者職よこせ集会』と行動を行なった。
私は、同集会の議長団の一人になり運営にたずさわりました。障害者が、自分が生きていることを実感し障害者自身の存在を一番強くアピールする現場として、今の能力主義社会に食い込んでいくことこそ、障害者解放への険しい道であり、早道であると思います。
全国職よこせ集会は、自治労・都労連などの後援団体のあいさつ、そして続いて障害者の就労運動の報告として、栗田闘争、大阪の職よこせ要求者組合の活動、大久保製ビンの闘いなど、各地での活発な活動が報告された。
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そして、反動軍拡の中曽根内閣による財政再建=行政による「福祉切り捨て」を弾該した。
スローガン
一、現行の身体障害者雇用促進法の抜本的な見直しと法的雇用率の大幅な引き上げ。
一、雇用率未達成企業への罰則の強化と強力な行政指導の実施。
一、障害者雇用の際の最賃法適用除外の撤廃。
一、各地の共同作業所の管轄を厚生省から労働省へ移行させ、財政的な援助を行うとともに雇用関係を確立すること。 (校正者注:「スローガン〜確立すること。」四角囲み)
翌日の朝、常盤公園に集会した仲間は、新しくなった労働省庁舎に向けて百人あまりでデモ行進に移った。デモの時間が予定より長くかかり、労働省との交渉団は先に労働省との交渉に入っていた。交渉はいつものように平行線で、雇用率未達成企業の公開や、最低賃金法適用除外の撤廃を要求したが進展はなかった。
しかし、全障連・視労協・障害連の障害者団体の共闘関係はよりいっそう強まったことは確かであると考える。
また、この後、総評を中心とした労働組合との共闘による「全国障害者と労働者の連帯集会」の第三回目が例年のように開かれたことも報告しておきます。
大阪
丸八真綿差別事件糾弾闘争の成果報告
関西ブロック・K
丸八真綿差別事件とは
82年7月に発覚した、丸八真綿差別事件の糾弾会は、83年11月27日で合計4回にわたる糾弾会を行ない、丸八側の「企業の責任をはたす」の約束をもって糾弾会を終えた。
丸八真綿差別事件は、丸八がもっていた「販売禁止地区一覧表」というリストの中に近畿一円の被差別部落があり、「販売禁止対象」として、外国人・母子家庭・視覚障害者・「精神障害者」・清掃衛生業というふうに、在日外国人(糾弾の中で在日朝鮮人だと明らかになる)・女性・障害者、在日朝鮮人・職業と、まさに差別のダイジェスト版ともいえる「リスト」である。
この事件に対して、部落解放同盟、民族差別と闘う連絡会、大阪市従業員組合そして全障連の4団体で、糾弾会を行なった。
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四回の糾弾会の経過
第一回(82・12・13)糾弾会では、「リスト」の作成意図について、丸八側が「同和」地区をはじめとして、生活が低いだろう、不良債権が発生しやすいだろう、と考えたのと同時に、作成者自身、「子供の頃、父親から同和地区の人とつきあってはならぬ、怖いものだと教えられ、触れたくない問題だという差別意識が働いてつくった」という。また、販売禁止対象については代金回収が困難だろう、かつて何件かあったから、そこに作成者の余談と偏見が加わってできた、といいい差別意識がうきぼりにされた。
第二回(83・2・15)は、各団体から各々のおかれている差別実態から糾弾を行ない、全障連からは、楠氏が、特に視障者の場合に「領収書や契約書といつわって白紙を渡し、障害者をだましたりする」実態をのべた。
第三回は、新たな「リスト」の発覚、それが、会社側の「前出と同じもの」との判断で私たちに報告されなかった。そして、東京で丸八の社員に事件のことを知っているかと謝意に聞いたところ、「ふとんを売るのに忙しい」と社員が答え、事件自体が徹底周知されていないことが判明、丸八の差別に対する認識がすすんでいないということであり、社員への徹底周知を確約した。
第四回(11・25)では、社長名による会社員への文章の発布の確認、社内教育をやっていくことが確認された。
障害者差別をなくすとりくみについても確認する
この4回の糾弾会をとおして、丸八真綿という会社の売り上げ第一、他に何があってもかまわないという企業体質が差別事件を起こしたことが明らかにされた。また、丸八のように各戸訪問販売一本の会社の場合、分割販売の代金回収は直接せず、債権そのものを信販会社に売るのだが、そのときに過去の回収実績によっては安くしか信販会社に売れないことと、持ち前の差別意識が加わって、この差別事件を大きくしたと考えられる。
4回目の糾弾会で、丸八は「社会あっての丸八、社内外の人権意識の向上にとりくむ。糾弾会を進める中で、障害者雇用をすすめてきて、現在雇用率が一、五%になった。しかし、これからも法定雇用率一、五%にこだわらず障害者雇用をすすめる。そして、「障害者がきてよかったと思える、丸八にしたい』」と確認して糾弾会は終った。しかし、企業の責任を実行していくのは、試されていくのはこれからである。
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近況
障害者に新たな分断と差別をもちこむ生活保護費おさえこみ
障害者解放運動に参加する仲間を弾圧する
政府―厚生省の攻撃を許すな!(校正者注:「近況〜許すな!」四角囲み)
生活保護費おさえこみの情勢
行革攻撃が次々と打ち出されている今日、障害者をとりまく問題としても、いよいよ生活保護制度に「福祉切り捨て」の刃がつきこまれてきました。
これまで、この「近況」の蘭で三回にわたり「年金一元化」「身体障害者福祉解放「正」」について、批判検討してきましたが、今回は十二月二十三日に「中央社会福祉審議会」が答申した、生活保護費のおさえこみの動向について批判・検討していきたいと思います。
前号の「年金一元化」に関する検討の際に、国―政府は財政危機を口実に公的扶助(生活保護費や福祉年金など国が直接金を出すもの)を徹底しておさえこんでいくこと、そして、そのうめあわせとして「社会連帯」思想をもち出し相互扶助(年金・保険制度など国民相互の助け合い)にもたれかかっていくこと、こうして国の責任と財政負担を軽くし、国民にしわよせしていくことを説明しました。
今回の「生活保護費のおさえこみ」は、この線に沿って、年金制度の一元化―基礎年金制度を確立する一方、生活保護費の国家負担を減らす意図をもっています。
障害者解放運動を担う仲間に直接の弾圧
したがって、実際、現場に働く権利を奪われながら地域で自立した生活を送っている多くの仲間は生活保護を受けているわけですが、この仲間が決定的な差別扱いを受けることになります。すなわち、これまで最も厳しい現実の中から立ち上がり、障害者解放運動に参加あるいは運動をきり拓き、「最低の文化的生活」(―実際は生活すら困難)な中で、常に運動の先頭で闘い、仲間に希望を与え続けてきた。最も大せつな仲間に対し、真っ先に生活そのものを奪わんとする攻撃をかけてきたのです。
しかも、これは、私たちが富山市差別行政糾弾闘争の中で、明らかにしてきたように、この数年をかけて、「不正受給者キャンペーン」「適正実施通達」など、差別キャンペーンと巧妙な操作の上にたって実施してきているのです。
#一五ページに続く
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(校正者注:以下、新聞記事)
12/21 朝日(校正者注:「12/21 朝日」は手書きで書かれている)
生活保護 伸びを抑制
中央社会福祉審議会が答申
民間消費に準拠
生活保護の見直しを進めてきた厚相の諮門機関「中央社会福祉審議会」(委員長=山田雄三・一橋大名誉教授)は二十三日、「生活保護の中心である生活扶助費のアップ率を、今後は民間消費支出の伸び率の実績に合わせ、一般国民と同じカーブにすべきだ」とする趣旨の意見をまとめ、林厚相に答申した。このところ生活扶助費は民間消費支出を上回る割合でアップし、一般家庭と非保護家庭の格差を縮めてきた。しかし答申は、現在の格差が一般国民との均衡上、妥当な水準に達したと判断。格差を維持しつつ改定するよう、扶助基準算定方式を十九年ぶりに変えることを求めた。生活保護はどうあるべきかの基本理念も含め、論議を呼びそうだ。
(3面に解説)
「現状の格差維持」
生活保護には生活扶助をはじめ、医療、教育、住宅扶助など計七種類がある。このうち衣食など日常生活費を支給する今年度の生活扶助基準額は、全国平均に近い二級地(県庁所在地)の標準四人世帯で月額十三万五千二百七十四円。
四十年以来、生活扶助基準は一般国民と被保護階層との格差を縮める目的で「格差縮小方式」により改定してきた。具体的には、毎年末に政府が発表する翌年度の経済見通しの中で、一人当たりの民間消費支出の伸び率見込みをもとにほぼ同じ割合でアップ。さらに蔵相と厚相の折衛で加算している。
ところが五十五年度は扶助費を八・六%、五十六年度は八・七%引き上げたのに対し、両年度の消費支出の伸び率は実績では七・六%と五・四%にとどまった。強含みで設定される見込み値を実績値が下回る傾向が続き、結果として格差は予想以上に縮まった。
二年にわたり検討してきた審議会は従来の「格差縮小方式」をいわば「消費水準比例方式」に改め、一般国民との現在の格差を保ちつつ、今後は同じカーブで伸ばそうというわけだ。その科学的根拠として審議会は?@総理府家計調査を分析すると、ある所得以下になると急激に消費支出が低下する月収の変曲点は、標準四人世帯で十五万余円?A変曲点は健康で文化的な生活様式が保たれる限界点と解釈でき、標準四人世帯の一級地(大都市と周辺)の生活扶助基準額十四万円八千六百四十九円は、ほぼ変曲点にある―などの点をあげている。
特定の被保護者に上乗せされる老齢、母子、障害者などの加算についても、現行の加算額で満たされていると判断。今まで生活扶助基準と連動してアップさせていた点を改めるよう求めた。今後は消費支出より低い物価などを参考に改定される。
厚生省はすでに今年度、「消費水準比例方式」により試行的に基準額を改定したが、今回、審議会が追認する答申をまとめたこと受け、来年度予算から正式導入、十九年ぶりに算定方式を変える方針。
(校正者注:次に「生活保護抑制答申 自立促す課題山積」の記事が掲載されているが、前述の記事に重ねて張り付けてあり、記事全体の内容について把握が難しいため省略)
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新たに生み出される分断と差別
これから考えても、政府―厚生省の意図は明らかです。すなわち一方で、「年金制度一元化―基礎年金制度の確立」で障害者を国民の最底辺に位置づけこれを条件に障害者運動の体制内化を企てるとともに、一方で解放運動を地域で最先頭になって闘っている仲間を徹底的に弾圧し孤立化し弾圧するものです。さらに労働権や地域での生活圏を一切保証しないばかりか、有料化や切り捨てを強めている現状では、障害者が地域社会で自立していくことの否定でしかありません。
現に、生活保障を受けている者は、基礎年金制度ができた場合も収入認定されるために、おさえこまれた生活保護費しか受給できず、そうでない者(働いている者・親がかりの者)ときわめて大きな格差―差別扱いを受けるのです。
まさに今、政府―厚生省は行革攻撃に沿って障害者の生活の根底を奪い去ろうとしています。そして新たな分断と差別を生み出そうとしています。私たちは、障害者仲間の生活実態に根ざし、そして地域社会で自立して生きていく自らの生活のあり方を自主決定し、それを実現し行政に保障させるべき自らの要求をまとめ、各地域での自らの運動を作り強めかちとっていかねばなりません。次々と打ち出される攻撃の本質を見抜き、私たち自身の解放にむけた具体的闘いをうち立てていきましょう。
挿絵省略
全国障害者開放運動連絡会議(全障連)
全国機関誌
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TEL 03?918?8572
中川一二三
発行日/1984年3月17日
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発行日/1984年3月17日
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作成:
山口 和紀