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『全障連』No.26/27


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last update:20220627


しかく文字起こし


表紙
SSK No.26/27 合併号
全障連
全国障害者解放運動連絡会議

SSK増刊通巻第1037号
昭和46年第三種郵便物認可
昭和58年2月20日発行(毎月6回5、0の日発行)

挿絵省略

目次
83年、全障連年頭アピール(1)
富山市差別行政糾弾闘争
12・5確認会の報告(3)
2・6第二回確認会に全国結集を!(6)
富山(=全国)差別行政糾弾闘争マップ(7)
丸八真綿差別事件糾弾闘争(11)
資料=全障連の公開質問状(11)/丸八真綿の回答(12)/販売禁止地区・基準(12)
全障連第八回大会の日程決まる(6)
全障連活動マップ(9)
全国活動日誌(4)
全国闘争スケジュール
中央身体障害者福祉審議会の答申を批判し学習を深めよう(14)
身障福祉法改「正」=地域管理体制の強化と対決する介抱運動を築き上げよう
・福祉審議会答申の概要とその批判 全国副幹事 楠 敏雄(14)
・答申全文(18)
本の紹介(17)
出版物・映画の案内(12)
各地ブロックの案内(21)
編集後記

p1
83年全障連 年頭アピール
差別への怒りと闘いへの熱き想いをこめて団結を固めよう!

年頭アピール 西岡 務
写真省略(校正者注:街頭で横断幕をもって抗議活動をしている写真)
昨年8月には、第7回全国交流大会を、岡山という一昨年同様、地域の中で行なうことができました。
本大会は、全障連としては初めての中国・四国ブロックにおいての大会でありましたが、労働組合をはじめとする 学生・市民の皆さんの御支援を得ることで、大会参加者、一、五〇〇名、内2/3が障害者仲間という圧倒的成功を勝ちとることができました。
ここに改めて感謝と、更なる御支援・御協力をお願いするものです。
一方、日常的な組織活動も、各ブロックの各小委員会の確立、充実、発展へ向けて、それぞれの状況に応じて努力が積み重ねられてきたと考えます。
さて、しかしながら私たちは、今一度昨年をふり返り、自らを、組織を厳しく問い直す必要がありましょう。
政府のもくろんでいる、そして実態化の始まっている日本型福祉社会構想に基づく地域管理体制の確立・強化攻撃の中で、それと対決する全体的方針―障害者解放を展望するまでには至らなかったことを真剣に総括しなければならないと考えます。
83年の新しい年を迎え、闘う決意を新たにされている全ての障害者、労働者、学生、市民の皆さん、全障連より年頭にあたってのアピールを送ります。
国際障害者年2年目の昨年は、「完全参加と平等」どころか、「福祉」切り捨て、差別・抑圧攻撃の初年度とも言える実に厳しい年でありました。
臨調―行革、人勧凍結という、まさしく政府―独占の総攻撃のもと、私たち障害者、被抑圧人民に対しては、様々なる具体的施策の攻撃がなされ、策動されていたと言えます
拘禁二法が継続審識にふされ、刑法改悪―保安処分新設、優生保護法改悪が世論操作の上に露骨に声高に叫ばれ、一方、財政危機を理由とした福祉予算0シーリングと、もはや体裁をつくろうこともかなぐり捨てた支配者の姿を私たちは、はっきり見たのです。
その中において、決して許すことができない障害者差別事件も実にひんぱんに起こりました。
そういった情勢の中で、私たち全障連は、障害者差別と正面から闘い、自立と解放をめ

p2
ざす大衆運動の確立にむけて、とりくみを進めてまいりました。
その一つとして、昨年富山において起きた差別事件に対する糾弾闘争の継続・深化が挙げられます。
この闘争を通し、障害者の糾弾権・要求権・団交権を確立し、同時に、主体と、運動原則を点検し直すことが、12・5基調でも確認されましたが、断固としてこの作業を貫徹し、私たち障害者解放運動の地平を切り拓いていく決意を改めて表明したく考えます。
最後に、障害者の自立と解放をかけた闘いは、決してとどまることなく、限りなく拡がり発展していくのだ、という確認のもと、日々差別・抑圧と闘っておられている障害者、障害者解放運動を共同されている労働者・学生・市民の皆さんに更なる結果を訴えます。
差別への怒りと、闘いへの熱き思いをこめてこのことをよびかけ、年頭アピールにかえます。
そして、日常活動・学習活動を強化し、闘いの全体像を見い出す努力をひきつづき行なっていくべく、固く決意をしております。
さて、政治決戦の年83年は、私たち障害者・障害者解放運動にとって、その生死をも決するだろう重大かつ、きわめて厳しい年になろうとしています。
刑法改悪・保安処分新設、拘禁2法、そして優生保護法改悪の今春一挙国会上程の策動、更には全国精神衛生実態調査による「精神障害者」の隔離・抹殺と、次々と攻撃の手をのばさんとしています。
新聞報道にも明らかなように、’83年の国家予算は、福祉・文教予算0シーリング、軍事費の約6%という大幅引き上げが企られ、臨調―行革路線のもと身体障害者福祉法の抜本的洗い直しが重点課題とされているのです。
このように、攻撃が厳しく、したたかに、巧妙になってきていることは、もはや疑いの余地がありません。
そうであるからこそ、私たち障害者解放の闘いが、何を軸にいかに闘い、混迷した社会情勢に何を提起するのかが、まともに問われることとなるでしょう。

挿絵省略

各ブロック連絡先(校正者注:「各ブロック連絡先」大文字)
全国事務局 関東ブロック事務所
東京都豊島区巣鴨3丁目34の3 フラワーコーポ三〇三号 03(918)8572
全国出版部/関西ブロック事務所
大坂市東成区中本一丁目3-6 ベルビュー森の宮二一五号 06(974) 0791
東北ブロック事務所
仙台市小田原2丁目2-48 佐幸ビル四〇三号 0222(95)8498
北陸ブロック連絡所
富山市大町西部52番 サンの会気付 0764(91)3385
東海ブロック連絡先
岐阜県羽島郡笠松町円城寺六〇〇戸田方 05838(8)1864(昼)/05821(71)4643(夜)
中四ブロック連絡先
岡山中央郵便局私書箱4号 岡山障害者解放委員会気付 (校正者注:「各ブロック連絡先」四角囲み)

p3
富山市差別行政糾弾闘争
2・6第2回確認会に全国結集を! (校正者注:「富山市〜集結を!」大文字)
行革と戦争への道を許さない!
障害者の自立と解放を勝ち取るぞ!
差別行政糾弾闘争を全国へ!

「12・5第一回富山市行政確認会」
写真省略(校正者注:確認会の様子の写真)
なんとひどい!富山市の障害者差別行政の実態を知るほどに、そしてこれが政府―自治体の障害者対策の本質であることがわかるほどに、私たちはにえかえる怒りをおさえることができない。
いままで、行政がいかに障害者の主体を否定してきたのか、お願い運動や物取り運動に「してやってる」とふんぞり返り、人 を奪ってきたか、私たちは、富山市差別行政糾弾闘争を通して、その実態を暴き、差別行政を闘う展望を切り拓き始めたところです。参加した仲間が共通して確信したことは、行政のこれまでとってきた差別政策を変え得るのは徹底した糾弾闘争によってのみ、そして障害者差別の認識を生み、差別を許さない基本姿勢を作らせることによってのみ、実現し得るということです。
私たちのこの闘いは、今、富山市との第一回確認会から、照会された全国30市へ着実に広がってきています。差別行政糾弾闘争を全国化し、障害者解放運動の飛躍をかちとるために全力で闘い抜きましょう。

12・5全国総決起集会を富山市で闘う
全障連が、一地方自治体に対して全国闘争を組んだのははじめてのことです。その意味は、私たちの運動が内容としても、蓄積の量からしても、個別課題のとりくみに追われていたところから、今は自治体の差別行政の本質を暴き、これと正面から闘うことができるようになったのです。
同時に、この闘いは、これまでの障害者政

p6
策を全面的に洗い直し、障害者差別を許さない行政に変革する、きわめて大きな展望をもつ運動です。そのため、今回は全障連としては改めて糾弾要項(1)を作り、この闘いの意義を全体で学習しました。
全国総決起集会には、全国各地から二〇〇名をこす仲間が結集し、朝十時半から行なわれました。会場は、これからはじまる新たな闘いに緊張感が満ちていました。

第一回、富山市との確認会の報告
富山市側と全障連役員の紹介からはじまり最初に西岡全国事務局長から十二月二日付で出された富山市の回答文も障害者差別に貫れたもので許しがたいと表明しました。続いて、障害者の主体と障害者差別の実態をつかませようと、地元のサンの会の代表二名、各地ブロック代表五名から、自らの生いたちと富山市への怒りが表明されました。
ところが、富山市側の出席者は、言語障害をもつ仲間の発言を聞く姿勢もなく、そこを追及されると「聞いてあげる姿勢が足りなかった」「これまで全体的にはわかっていたと思う」と、上から下を見下す態度を露わにしたのです。あるいは、視覚障害者がいるのに、身振りで答えて無視するありさまです。私たちの追及はこうした、障害者に対する接し方、それは同時に障害者の主体を認めさせるもっとも基本的なことから始めざるを得なかったのです。

差別に貫れたウソとデタラメの富山市回答
二時間がたって、いよいよ質問に対する富山市の回答内容に入りました。まず、1―1照会状を作った目的です。ここで、富山市は主に、?@「たびたび多数で来所」「事前に連絡もなく多数で来る」のでどうしたらよいか照会した、?A「他人介護料の要求に関し他市では保護基準を超えた取り扱いをしているように聞き」調査した、としています。
ここで私たちは、障害者が一人でいっても相手にしなかったこと、交渉を申し入れてもまともに相手にせず「じゃま者」扱いしてきたこと、交渉を申し入れても応じてこなかったことを示し、富山市の責任を追及しました。一事例として、ホームヘルパー派遣の要求を出したとき「生活保護を受けている者には派遣できない」とウソをついて権利を奪ってきたし、これに対しその理由を質問状で問うと

全障連全国活動日誌
挿絵省略
82年12月
4 金井康治君の花畑東小完全転校実現全国総決起集会
5 富山市差別行政糾弾闘争・第1回確認会
12 石川重朗君の飯田東小転校実現にむけた、上映・講演集会
16 全国障害者と労働者の連絡会議
26 全国役員会

83年1月
5 全国事務局通信No.5発行
10〜13 日教研集会に代表派遣
14 全国役員会
15 全国幹事会
15 「SSKP全障連ニュース」発行
29 刑法改悪・保安処分新設阻止全国総決起集会 (校正者注:「全障連〜決起集会」四角囲み)

p6
ホームヘルパー制度の解説のみ答え、いっさい理由を説明しない。そして、たまたま県の指導がはいって実現したというありさまも明かにされました。
他人介護料についても、特別基準は保護基準を超えているのではなく、あたかも私たちが無視難題をふっかけているかのように記述していることに怒りをぶつけました。
これで、回答文のいいわけが、またもや私たちの運動を敵視し、ウソとデタラメに貫れたものであることが明かになったのです。富山市は弁解できるはずもなく「照会すべきものではなかった。」「当時はこわくて、どう対応すべきか考え、警察やプロジェクトチームを意識した。」と答えたのです。したがってこの回答文は理由になっておらず、全面書き直しと確認されました。
1―2は深く追及されず、1―3では、どういう考えでこの照会文書を作ったか再度追及しましたが、時間的制約もあり残されました。
1―4、照会文書発送先の市名を明かにさせるところですが、富山市は「守秘義務に抵触する」と拒んだのです。公文書の照会に守秘義務があろうはずもなく、いや、照会の中で「青い芝の会」「サンの会」「解放同盟」と名ざしして守秘義務を破っておいて、デタラメにも程があるというものです。鋭い追及で三〇市の名を明かにさせました。(後記マップ参照)
1―5、照会の回答をどうしたかについては、富山市が「照会文書を返送してもらい破棄すると共に、回答を返送し破棄をお願いした」と、逃げようのない、差別実態を暴かれ、糾弾闘争を受けるのを恐れ「なかったこと」にしようとしたのです。これは差別をなくす姿勢ではなく、ごまかして差別を温存・助長させる企てです。しかも公文書を勝手に破棄する行政とは、どういうことでしょう。そこで富山市は「破禁の卦願い」を撤回し、私たちが各市に問い合わせた際誠意をもって対応するようにとの新しい文書を作り発送することを確認しました。
1―7、照会に回答した市は、二三市で、内三市は「回答できない」と回答し、三市は回答した後撤回しています。(市名については後記マップ参照)

差別行政の本質を明らかにする闘い
この1―1〜1―7までで、夜の十時になってしまいました。富山市のあまりのデタラメで差別に貫れた対応に2〜4には入れなかったのです。この八時間にわたる確認会の中で、私たちが終始追及したことは、行政の障害者差別がどこにあるかということです。障害者が差別の結果として知識や社会性を奪われていることにつけこみ、障害者の主体を否定し、「してあげているのだから言うことを聞け」と構えている。もんく言う者には露骨に排除の姿勢をもって、いまある制度すらやらない。富山市は弁解できなくなると「まちがいだった。ミスだ。」と逃げだす。しかし、事実は、行政にさからう者には福祉もやらない警察と連携し、プロジェクトチームを作って弾圧するという姿勢なのです。そこに差別があり、障害者の人権、生きていく権利、権利の主体を否定する思想があるのです。
第一回確認会の終わりには、回答文が差別に貫れていることを明らかにし、確認されたことをふまえて、再度、回答文を提出させる約束をしました。
私たちは、この第一回確認会で、こうした富山市の差別行政を明らかにしました。しかし、富山市はまだまだ逃げており、なんとかごまかそうとしています。私たちは、第二回確認会の場では、富山市の逃げとごまかしを一切許さず、真実を明るみに出し、差別をな

p6
くす行政責任を認めさせていかねばなりません。

2・6富山市との第二回確認会に結集しよう
12・5第一回確認会以降、全国30市に対する事実調査と確認会は着々と進んでいます。
一方、富山市は、12月30日付で、二度目の回答文を出してきました。しかし、この内容は、ますます責任と姿勢をあいまいにし、それどころか「差別はない」とまで書きききってきたのです。富山市は、行政の権力をカサにきて、ドロ試合にして逃げこむ姿勢を固めています。「見解の違いだ。我々は謝罪しているから、これ以上話し合う必要がない」と言うハラを作っているのです。
私たちの闘いは正念場になります。「謝ったから、なかったことにしてくれ」で、差別はなくなりません。殺されていく仲間と自分自身の生命をかけているのです。
2月6日、富山でともに闘おう。

富山市との第2回確認会
2月6日(日)
午前 9:20〜12:00 討論集会
午後 1:00〜 確認会
場所:富山市図書館 (国鉄富山駅徒歩10分) (校正者注:「富山市との〜10分)」四角囲み)

全障連第8回全国交流大会
東京
7月 29日(金) 午後:開会全体会/中央官庁デモ/市民交流会
30日(土) 午前・午後:分科会
31日(日) 午前:分科会/午後 総括全大会

全障連第8回全国交流大会
全障連第8回大会は、政府―権力者の地域管理体制の強化、体系化差別攻撃と対決すべく、東京で開きます。会場を公民館、地域の小中学校を予定し、中央官庁デモや市民交流会はスケールの大きいものを考えています。内容でも「障害者解放基本要求要綱」作定にむけ、第1次草案が提起され、全体会・分科会の討論の柱の一つになります。統一要求作りと解放の展望を明らかにする新たな一歩に、全国から力をあわせよう。

p7,8
(校正者注:p7,8見開きになっている。以下、日本地図周辺の文章のみ記載)
日本地図省略「富山市差別行政糾弾全国闘争マップ」

要望書
私たち全障連(全国障害者解放運動連絡会議)は、差別と闘う障害者自身が中心となって、一九七六年に結成された団体です。私たちは、これまで長い歴史の中で、たえず「じゃま者」「役立たず」として社会の片すみに追いやられ、命すら奪われてきた障害者の人間としての権利をとりもどし、障害者に対する様々な差別や偏見をとりのぞき、障害者の真の自立と解放を勝ちとるために、障害者自らが先頭に立って闘いを進めてきました。
さて、貴市にも送付されていますが、富山市は、社会福祉事務所長・高柳英男名で、全国の都道府県各市宛に照会文「障害者運動グループの生活保護について」(昭和57年9月6日付富福第一三二号)なる差別文書が出されました。この内容は、自立を求める障害者の運動を真向から否定するものに他なりません。
私たち全障連は、昨年の12月5日に、富山市と差別文書の内容及び事実関係について、第一回目の碇認会を行いました。その中で、富山市は、「障害者運動グループの生活保護について」なる照会文が差別文書であることを認めたうえで、貴市を含めて送付した50市と回答文を出した18市を明らかにしました。
つきましては、以下のことを貴市に要望いたします。
一、障害者団体が、富山市が出した照会文について、貴市との交渉を要請した場合は、誠意ある回答をお願いいたします。
一、障害者団体が、この照会文について、なぜ回答したか(あるいは、どのような理由で回答しなかったか)を要請した場合は、誠意ある回答をお願いいたします。
以上、要望についてよろしくお願いします。

一九八三年一月一〇日
全国障害者解放運動連絡会議
全国代表幹事 中川 一二三(校正者注:「要望書〜一二三」四角囲み)


全国事務局から照会先30市に発送した要請文
市名は富山市が照会した市(30)
しろいしかくは、それに回答した市(23) (校正者注:日本地図内に、照会した市が旭川、秋田、新潟、仙台、富山、長野、宇都宮、大宮、市川、野田、藤沢、所沢、八王子、静岡、豊橋、金沢、福井、岐阜、豊中、枚方・高槻、八尾・東大阪、和歌山、西宮、尼崎、姫路、岡山、高松、松山、熊本があり、うち回答があった(四角で囲んである)市が、旭川、秋田、新潟、仙台、市川、藤沢、所沢、八王子、静岡、金沢、福井、岐阜、豊橋、豊中、枚方・高槻、八尾・東大阪、和歌山、西宮、姫路、松山、熊本となっている。)

厚生省が富山市、富山県を呼び出し、事情聴取と行政指導を行なった(大阪府の要請より前)
2月末には市長選があり、部長、課長の移動が考えられる。
また3月には定年退職もあり、2月6日は最大の山場になります。全力で闘い抜こう!

・姫路(校正者注:「姫路」四角囲み)、西宮(校正者注:「西宮」四角囲み)、
1月28日事実調査をし、確認会を準備中。(2月末)
姫路市は回答を破棄し、西宮市は富山市に後で抗議文を送っている。

・松山(校正者注:「松山」四角囲み)
12月、1月と2度確認会をもったが、当局の姿勢か固く、闘いが続けられている。

・尼崎
尼崎市は照会が来てなかったため、内容も判らないとしている。にもかかわらず富山市より以降2回の文書が届き迷惑しているとのこと。

関東ブロックでは、回答した市に公開質問状を提出し、今後各地の運動団体と歩調をあわせて確認会をもっていく。

豊中、高槻、東大阪市は「照会が不適で回答できない」と回答。
枚方、八尾市はいったん回答し、他市から問題を示摘されたため撤回した。
12月23日、上記5市+大阪府を集め、事実聴取をもった。
1. 5市が出した回答及び関係文書全部の写しを出させた。
2. 富山市の照会と回答の返送・破棄願いに抗議することを確認させた。
3. 大阪府として対応が遅れたこと、障害者の生活保護受給についての理解が劣しいことが問題になり、ひきつづき交渉をもつこととした。
1月12日、八尾市との第1回確認会。
1月31日、枚方市との確認会をもつための運動団体側の学習会を行う。

5市がそろって富山市に直接出向き、抗議をした。
1. 照会に対する問題示摘文書が返送されたことを抗議し、再度手渡す。
2. 富山市の「国障年長期計画」を入手した。
大阪府が厚生省関係部局に問題を示摘し、富山市への行政指導を要請した。

p9,10
(校正者注:p9,10見開きになっている。以下、日本地図周辺の文章のみ記載)
日本地図省略「全障連活動マップ11月ごろ日〜2月くらい日」

★全障連第8回大会は東京!
7月29日 開会全体会、官庁デモ、
30日 分科会
31日 分科会、総括全体会
・障害者解放基本要求要網第1次案を作ろう!
関東ブロックの仲間たちがんばれ!
・法務大臣の発言では、今年は拘禁法の成立に全力をあげ、刑法改悪保安処分新設は来年にやる、としています。更なる闘いを!

旭川:富山市が照会文を送って回答している。北海道の仲間、がんばって闘いをおこそう!

弘前:(注記)トミー(校正者注:(注記)が穴あきパンチで穴が開いており判読不能)糾弾Sさんを支援する会と障害者グルーブが東北ブロックに加盟した

盛岡:1月10〜14日 日教組教研修会に代表派遣。まだまだいい方向にいかない

仙台:12月に刑法改悪・保安処分新設阻止集会を開いた

金沢:
・石川障害委が機関誌「風」を発行。
・高さんの小説「烈火」が好評

富山:11月 サンの会とどろんこ共同作業所がバザーを行なった

富山:機関誌「ゆきんこ」が発行されてます 梅谷さんの講演集会もやった

東京:金井康治君の花畑東小完全転校、花畑北中入学を実現する最大の山場? 12・4集会は1000人集まる 2月26日転校実現にむけた集会を成功させよう?
・ホームヘルパー制度改悪について都と交渉したが、決裂したので、抗議行動を考えている
・大久保製壜での闘いで高杉さんにかけられた告訴がとり下げられた。勝利?
・聴覚障害者の栗田さん不当解雇撤回を求める裁判で手話通訳を認めさせた。
・11月優生保護法改悪阻止全国集会に代表アピール。障害者の立場を表明した。
・生活問題を考える障害者グループが大きくまとまる動きがでてます。

清水:石川重朗君の飯田東小転校を今年こそ実現するど? 2月27日全国総決起集会から第2次実力闘争を最後まで闘おう?

大阪:国障年大阪連絡会議が人権シンポジウムを開き、大阪府の「国障年長期計画」批判を深めています

明石:市教委と障害児5人の就学闘争を行っている

京都:
・大きな団結を求め京都障解研作りが進んでいます
・全障連京都実行委が機関紙「共鳴り」を発行しています

大阪:
・丸八真綿糾弾闘争
・障害者解放教育保障研究会・準備会を行っています
・施設の問題をテーマに「かわら版」作りが進んでいます

神戸:市教委に各学校長に普通学校での教育保障を行うよう通達を出させた

山口:吉田りん太郎君が自主登校闘争を行なっている

高知:高知大で差別講義があり、糾弾闘争を作っている

徳島:
・12月 徳島赤堀さんと共に闘う会が結成されました
・1月に富山市糾弾闘争の報告集会を開いた

長崎:障害者2人が普通学校に就学できず、裁判闘争をおこした

p11
丸八真綿差別事件糾弾闘争のとりくみ
丸八真綿という会社を知っていますか。テレビでは高見山が「まるはっち」と言ってコマーシャルしているフトン販売会社です。
この丸八真綿が、実は、被差別者や貧乏人にはフトンを売ってはならない」という社会規則を作り、差別の上で大もうけしていたのです。後の表(部落解放同盟中央本部がまとめた)を見ると、「販売禁止地区」と「丸八審査基準」などがありますが、地区名はほとんどが被差別部落の名になっており、「審査基準」では障害者はじめ、在日外国人、女性、職業など、差別の聡まとめのように被差別者を列挙しています。
全障連は、部落解放同盟からの提起と呼びかけに答え、独自に公開質問状を突きつけるとともに、確認会、糾弾会(部落解放同盟中央本部主催)に参加してきました。しかし、丸八真綿は「回答」文書にも表われているように、障害者差別に関する認識はまったくなく、私たちも追及しきれていません。
今後、部落解放同盟と共闘して糾弾会の中で追及していくとともに、独自に私たちと丸八真綿の間での糾弾会をもつことも考えていこうとしています。
「差別をすればもうかる」といった企業の

公開質問状
株式会社 丸八真綿 殿

私たち、全国障害者解放運動連絡会議は、障害者差別を許さず、障害者自らが中心になって自立と解放をめざして運動する全国の仲間が結集し、一九七六年に結成した団体です。
さて、すでに大きな社会問題になっています、貴社の販売に関する「丸八審査基準」(「信販審査基準」「信販信用度規準」も同)ですが、私たちに、これが部落・在日外国人女性・高齢者そして職業等の差別に基づいた重大な差別事件であると認識するとともに、私たち障害者に対する許すことのできない差別事件であると考えています。
「丸八審査基準」等には、販売禁止対象者の中に、「『精神障害者』・年金生活者・指圧・針・きゅう(校正者注:旧漢字できゅうと書かれている)・あんま」そして社会的底辺におかれている各種職業をあげています。
ところで、私たち障害者は、社会差別の現実として、職場から排除されており、年金生活者が多く、また視覚障害者にあっては、学校教育でも「指圧・針・きゅう (校正者注:旧漢字できゅうと書かれている) ・あんま」に限られた職業指導が多くなされています。さらに行政の差別政策とあいまって、不安定な社会的底辺とされる職種におしこめられています。したがって、貴社の販売禁止対象者は明らかに「精神障害者」を含む多くの障害者を示していると考えざるを得ません。
この観点にたち、以下の項目を質問し、貴社の考えを質させていただきます。
一 「精神障害者」をいかに認識され、いかなる理由で販売禁止対象とされたか。
二 障害者のおかれている現実、生活や職業実態をどう認識されており、障害者に対する社会差別の存在をどう認識されているか
三 「丸八審査基準」は障害者差別と考えられるか。また、具体的にどこに差別があると考えられるか。
四 貫社は、障害者差別をなくす方向で、これについてどう対処されるか。また、貴社の今後の企業活動についていかに考えられるか。
以上、各項につきまして、早急に文書にて回答されますよう要請させていただきます。
一九八二年九月二十二日

p12
姿勢を糾弾していくともに、今、ますます露骨になっている差別事件を一つひとつ取りあげ、糾弾していく必要があります。

丸八真綿の回答文
丸八真綿代表取締役 岡本一八

拝啓、時下秋冷の候、ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
貴局から、九月二二日付公開質問状をいただきましたが、本件が問題化して以来、部落解放同盟中央本部のきびしいご指摘を受け、その対応に追われご回答が遅れましたことをまず心からお詫び申し上げます。
このたびの幣社の販売基準につきましては

3? 問題の事実の概要 (部落解放同盟調)
?@「不良債権の件」1978年5月23日付作成
形式:丸八用業務連絡用紙 調査部 猪鼻 康博
内容:兵庫県6市15地域、大阪府9市17地域、奈良県3市5地域、京都府1市4地域、滋賀県1郡1町
以上、2府3県とも部落の記載がほとんどであり、尚、注意書きとして、必ず不良債券に成るは明白であるという記述入り。

?A「販禁地区の件」1980年1月7付作成
形式:丸八用業務連絡用紙 調査部 須川謙一
内容:和歌山支店用として、和歌山県6市3郡26地域。ほとんど部落。

?B「販売禁止地区」1980年4月12日付作成
形式:丸八用便箋に記入 調査部 須川謙一
内容:大阪府10市25地域、兵庫県9市28地域、京都府1市1郡7地域、滋賀県1市2地域、和歌山県5市1郡15地域、奈良県4市1榔7地域、注意我きとして、「以前より何らかのトラブルが多発し、又、信販よりも販売を控えてほしい旨のある地域である。尚、部落解放同盟、その他団体とは一切関係ないもののである」という記入入り。(地名のほとんどは部落又は、含む町名)

?C「販売禁止地域」1981年4月6日付作成
形式:丸八用便箋に記入 調査部 北村範雄
内容:兵庫県9市2郡(全域)41地域、京都府4市1郡9地域、滋賀県2市1郡6地域、大阪府11市2郡27地域、奈良県4市1郡7地域、その他として、丸玉給食社宅、日本検数協会、神戸市環境事業局、皮革産業等々。

?D「販売禁止地域」 神戸支店用
形式:丸八用便箋に記入 作成者不明
内容:兵庫県9市41地域、大阪市内3区1町
兵庫県、大阪市の部落の記載あり。

?E「販売禁止地区」 徳島版
形式:丸八用便箋に記入 原本を女子事務員が清書
内容:徳島県2市3郡6地域ですべて部落を含む町名

?F「丸八審査基準」
内容:29項目にわたって記載されている。 (中身として、日本国籍を有しない人、精神障害者、犯罪者、生活保護者、年金生活者、独身、季節労働者、日雇、公営賭博関係者、女性名義、母子・父子家庭、弱小金融業、風呂営業、廃品回収業、指圧、鍼、灸・あんま、ゴミ処理、清掃衛生業、興業、遊戯、娯楽業、露店商、行商人、その他、多種多様にわたってかかれている)
作成:'77年に信販を導入後、'78年か'79年頃に、集金当時の経験と信販会社も関与した中で作成された。

その後、'81年4月26日付で「信販審査基準」「信販信用度基準」として新たに作り直されたが、中身は上記内容とほとんど同じである。

p13
各方面からの叱正やご指摘を受け、この問題のもつ重大さを改めて痛感しております。
実は、販売代金の集金業務を取扱っていた当時(昭和五三年ごろまで)、集金担当者が売掛金の回収をよくするため、不良債権多発の顧客層や契約時におけるトラブル処理等の経験から、不良債権が発生する危険性の高い地域、職業人などをリスト化した営業マンに連絡していました。
その後(昭和五三年半ば頃から)信販会社と業務提携しましてから、信販契約基準に基づく信販取扱い不可処分事例等をも参考にしまして、ご指摘のような「丸八審査基準」たる一応の販売基準を作成しました。
確かに、その内容に失礼、ご迷惑となる問題点が多く、社長としてこの面に対する不勉強、管理監督不行届のありましたことを深く反省しているものであります。
ご質問の「精神障害者」「身体障害者」のかかれている現実をみますとき、真にご同情に堪えないものがあります。「完全参加と平等」の実現のため企業人として、また国民の一人としてご援助、ご協力に努めなければならない義務のありますことも承知しておりますが、つい営業感覚から軽薄にも一方的な基準を作成して営業していましたことを恥ずかしく、かつ誠に申し訳けなく思っております。
現在、部落解放同盟中央本部の実情調査会、事実確認会等に出席し、きびしいご指導を受け、さらに近く糾弾会も予定されております。また、関係の行政機関及び団体等からも事情聴取を受け種々ご指導を受けているところであります。
社内的には「企業内同和問題研修推進委員会」を設置して、同和問題を含めた諸々の差別問題について社内研修を重ね、二度と繰返すことのないように十分配慮し、企業として差別のない社会建設に努力する所存であります。
何卒、これまでのことはご理解、ご容赦を賜り、今後なお一層のご指導ご理解をお願い申し上げ、ご回答に代えさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
以上

挿絵省略

資料紹介
・全障連結成大会報告集76 二、五〇〇
第二回大会報告集77 二、〇〇〇
第四回大会報告集79 二、〇〇〇
第六回大会報告集81 九〇〇
・79・1・26〜31養護学校義務化阻止!文部省糾弾連続闘争報告集 二五〇
・障害者解放教育・保育研究会におけて?@ 養護学校義務化阻止闘争総括集 六〇〇
・養護学校義務化阻止学習パンフ?B 六〇〇

・自立生活パンフ?A 「地域福祉」政策糾弾パンフ \二〇〇
・SSK全障連(全国機関誌)月間\一〇〇
年間定期購読(送料込) \一、三五〇
・全障連関東ブロックニュース。季刊

連絡/大阪市東成区一丁目三−六 ベルビュー森の宮二一五号 全障連全国出版部
郵便振替番号 大阪五七三四二 (校正者注:「資料紹介〜大阪五七三四二」四角囲み)

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身体障害者福祉法の改「正」=地域管理体制の強化と対決する 障害者解放運動の内実を築き上げよう
中央身体障害者福祉審議会の答申を批判し学習を深めよう
昨年、三月二十九日に、国際障害者年推進本部(本部長・鈴木善幸)の「障害者対策に関する長期計画」に続き、身体障害者福祉審議会(厚生大臣の諮問機関―会長・葛西嘉資から答申「今後における身体障害者福祉を進めるための総合的方策」が出されました。
厚生省は、この答申を受けて、一九八四年春ごろをめどに、身体障害者福祉法の全面改正をねらっています。したがって、この答申に書かれている方向は、今後の身体障害者対策の基本的で具体的なものであり、私たちにきわめて深刻なものです。それは、日常生活のあり方を規定されるばかりか、障害者解放運動にとっても岐路となるでしょう。
全障連は、昨年の八月の第七回大会までに「障害者対策に関する長期計画」批判をおこなってきました。この成果と学習の深化をふまえ、今後、早急にこの「総合的方策」批判を組織的におこない、一九八四年春の身体障害者福祉法全面改「正」に対して、私たち自身の闘いをつくりあげる必要があります。そして そのために、今年の全障連第八回大会には、障害者解放基本要求要網の草案作りが提起されています。
今号の機関誌では、この緊急性を考え、討論の視点を提起しつつ、答申の全文を紹介します。近況をみても、社会保障予算は「マイナスシーリング」で戦後最低ののび率におさえられ、人事院勧告凍結をうけて、年金・生活保障費・手当などの据えおきが、あたりまえのように言われています。戦争準備のために、私たち障害者の命はふきとばされそうです。その中で出された「総合的方策」は、また、障害者の命とくらし、障害者解放運動を一挙に奪うものとして書かれています。
私たちは、これに対する批判を深め、私たち自身の解放をめざした運動論(全体的政策)を生み出す時にあります。全国各地・各団体・個人で学習を組織され、今年第八回大会で、全障連として明確な運動方針を確立しましょう。

福祉審議会答申の概要とその批判 全国副幹事・楠敏雄
さて、一九八二年三月、厚生大臣の諮問機関である身体障害者福祉審議会(会長・葛西嘉資)は、「今後における身体障害者福祉を進めるための総合的方策」と題する答申を提出した。この答申は、前文と六つの章から構成されており、これまでの政府のずさんな「障害者」対策を彼なりに総括し、政策の体系化を意図したものと思われる六つの章のうち、前半の三章は総論に該当し、後半の三章が具体的施策をしるした各論に当てられているがここでは主として総論部分に焦点を当て討論を加えたい。

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ノーマライゼーションと新たなリハビリテーションの概念の意味
まず、この答申はその前文にかいて、審議にあたって基本的前提として確認した五項目の視点について述べているが、これを見る限りではこの答申はわれわれに多大の期待を与えてくれる。すなわち、「その一は、リハビリテーションの理念をふまえ、身体障害者福祉施策の体系の見直しにつとめること。その二は、身体障害者が家庭や地域での自立生活を可能とするための条件整備につとめること。その三は、身体障害者を単に保護すべき客体としてではなく、自立自助すべき主体としてとらえ、施策の再構案につとめること。その四は、身体の障害を社会的不利とならしめないための関連施策の総合的推進につとめること。その五は、身体障害者のニーズをそのライフサイクルに添って充足しうるような施策の一貫性につとめること」である。しかしこの期待は、この答申の内容を読み進むにつれて次第に打ち砕かれることとなるのである。
第一章の「身体障害者福祉の基本理念」は、三つの項に分けられている。第一項では「リハビリテーションの理念」について述べられているが、ここではリハビリテーション理念の根底にある立場として「障害者も一人の人間としてその人格の尊厳性をもつ存在であり、その自立は社会全体の発展に寄与するものである」という内容がしるされ、さらに、リハビリテーションそのものの概念についても、「障害をもつ故に人間的生活条件から疎外されている者の全人間的復権を目指す技術及び社会的、政策的対応の総合的体系である」と、これまでよりも一歩ふみ込んだ定義がなされている。ところが二項めの「福祉思想の発展」の項では、一方ではノーマライゼイションの理念にもとづいて、「(前略)...対象者を隔離的に処遇するのではなく、家庭や地域で日常生活を可能とするような政策を行うべき」と述べておきながら、そのすぐ後で「従来の社会福祉政策には低所得各層を優先し対象を限定するような発想も残っているが、これからは、対象者の構造的変化、ニーズの多様化に対応するため、国をはじめ各レベルの役割に配慮しつつ応分の負担を前提とした福祉サービスの質的量的拡大が望まれる」などと、いわゆる「受益者負担の原理」をちらつかせ、公的責任を回避しようとしているのである。これを読まされた後に、「国際障害者年も行動計画の理念」を持ち出されても、まったく、空疎にしか響かないのは私ひとりではあるまい。

障害者の発生予防と検診を強調した基本的方向
第三章では、「身体障害者福祉対策の基本的方向」について述べられている。まず最初の項では、「身体障害者対策の構図」が列挙されているが、それによれば、「障害の予防対策、リハビリテーションサービス、生活の基礎的条件整備」の三つに大きく分けられ、さらにそれぞれについて具体的項目が記載されている。たとえば、「障害」の予防については、発生予防、早期発見・早期療育、事故対策、特殊疾病対策などがあげられ、リハビリテーションサービスとしては、相談及び判定、リハビリテーション医療などが、さらに生活条件の整備については、保健医療、教育、就労、所得保障などがあげられている。ここで目につくのは、いうまでもなく、予防や判定の体制の教化である。このことはとりも直さず彼らの「障害者」の選別と抹殺をテコにして進められようとしていることを如実に物語っているといえよう。
次に二項めにおいては。「身体障害者福祉

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対策の目的と課題」についてふれているが、まずその目的については、「...全ての身体障害者はその人格の尊厳性をもち、その人間的椎利を回復する可能性をもつ存在であるというリハビリテーション理念に基づき、身体の障害を可能なかぎり軽減または除去すること、身障者の自立生活のために必要を援助を行うこと、及び自立することの著しく困難な身障者の生活安定のために必要な援護を行うことであり、また、身障者の完全参加を実現するために必要な社会的諸条件を整備することである」としるされている。このなかで、われわれが見のがすことができないのは、冒頭にある「全ての身体障害者は、(中略)その人間的権利を回復する可能性をもつ存在である...」という部分である。われわれ「障害者」は、生まれながらにして「人間的権利」を有しているのであって、決して「回復する可能性をもつ存在」ではない。ここでは、いみじくも「障害者は障害が軽減、除去されぬ限り、人間としての権利はない」とみなす彼らの本音が示されていると言っても、決して過言ではない。
次に、「身体障害者対策の課題」として次の六つがあげられている。すなわち、リハビリテーション体制の確立、自立生活実現の施策のための確立、きわめて重度の「障害者」に対する治療、保護、全生活にわたる多様なニーズヘの対応、在宅対策と施設との均衡、「身障者」自身の意識の向上がそれである。これらの課題が実際にすすめられるなら、これはそれなりに評価しうる側面もあると思うが、その可能性はきわめて薄いと言ってよい。さらに、三項目めでは、「身体障害者福祉対策を進めるための基本的方向」について述べられているが、これはほぼ上記の内容に多少の肉づけを行なったにすぎない。ただここでも、「応分の負担のあることが自立意識の助長にもつながる」などとしるされている点については、厳しく批判する必要がある。さらに、「身体障害者福祉行政は、実態が著しくすすみ、予算措置等によって多様な施策が実施されているが、全国的に同一水準を確保すべきものについては、明確な位置づけについて検討する必要があること」と書かれている内容は、あまりにも白じらしく聞こえる、しかも「障害者」対策を低水準におさえ込もうとする意図さえうかがえるのである。

地域管理体制の強化をねらう身障福祉法改「正」
また、第三章では「身体障害者の範囲、程度等級の問題」について検討がなされている。まず第一項の「身体障害者の範囲について」は、「身障者」の定義をこれまでの機質的な症状を中心としたものから、むしろアメリカの考えを取り入れた機能的なものへと改めている点が大きな特徴と言えよう。すなわち、「(前略)長期にわたる身体障害を有し、かつ、日常生活活動に相当程度の制限を受ける者とすること」となっている点である。しかしこの定義でも、たとえば「相当程度の制限」とはどの程度かなど、不明確な部分もあり、終局政府の都合で左右されることになりかねないであろう。また、内臓「障害」や、口蓋裂、あるいは顔面醜痕など、それによってさまざまな差別や偏見を受ける人々についても、あいまいにされ、結局「検討課題」とされてしまっているのである。しかしこのことの最大の問題点は、なんといっても第三項目にあるように思われる。ここでは「障害」の認定の方式が取りあげられているが、とりわけ「身障」手帳に関することの記述に注目しなければならない。「手帳の記録を効果的に使用、管理するために、また、事務処理の合理化、省力化を図かるためにも、障害分類コードを十分検討した手帳記録の管理システムを検討

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する必要がある」。まさに、これこそ国民総背番号制に進行する「障害者」管理をもくろんだもの以外のなにものでもない。全障連が数年前かち政府の政策のねらいを、「地域管理体制の確立」と規定してきた根拠が、ここに端的に示されていると言ってよいであろう。
以上の総論をふまえ、次の四章以降では今後あるべき具体的施策が述べられているが、それらをこまかく検討することは別の機会にゆずり、ここでは特徴的な二〜三の点をあげるにとどめたい。まず目につくことは、各論を通じて在宅福祉の必要性が強調されていることである。たとえば第四章一項には、「身体障害者の生活の場として在宅が原則であることは論をまたないところであり(後絡)」とはっきり書かれている他、「在宅福祉サービス」としても具体的施策がいくつか提起されている。政府の諮問機関である審議会をしてここまで書かしめたのは、やはりわれわれの運動の成果と言えるであろうが、しかしすでに述べたように、彼らは心底から施設収容政策を放棄したわけではなく、「在宅と施設との均衡」の名のもとに、依然として「重度障害者は施設へ」という方針を貫徹しようとしているのである。そのことは、「今後の施設整備は障害者のライフサイクルに着目し、生活施設、作業施設等各種施設の機能を併せもった。システム化された総合施設づくりが進めちれてもよい」の記述を見れば、一目りょう然であろう。なお、施設体系については、従来一五もあった施設の種類を、更生施設、生活施設、作業施設、地域利用施設の四つに大別すべきことが提言 されている。
これまで見てきたように、今日の答申は政府の八〇年代に向けた「障害者」政策の体系化の意図が明確に示したものであり、それは「地域福祉」「在宅福祉」の名による「障害者」への管理体制の強化であり、さらに「受益者負担の原理」の導入をテコとする「福祉切り捨て」=「障害者」抹殺攻撃の拡大をも意味するものに他ならないのである。またこうした攻撃は、現在急ピッチで進められている保安処分の新設、優生保護法の改悪などと対をなすものであることは、言うまでもないことでしょう。

新地平83・1 第一〇〇号より抜すい
挿絵省略

障害者解放運動の現在(いま)
自立と共生の新たな世界
挿絵省略

柘植書房
楠 敏雄著 「障害者」解放とは何か
定価1,600円 (校正者注:「柘植書房〜1,600円」四角囲み)

くろまる全国障害者解放運動連絡会議 編
障害者解放の理論的総括と八〇年代の展望を提起する。
現代書館(校正者注:「現代書館」以下にある文字が印字がつぶれて判読不能)
四六判 上(注記)(校正者注:(注記)は印字がつぶれて判読不能) 1500円

全障連各ブロックでとりあつかっています。

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中央身体障害者福祉審議会・答申
今後における身体障害者福祉を進めるための総合的方策
一九八二年三月二九日答申

―目次―
前文
第一章 身体障害者福祉の基本理念
一、リハビリテーションの理念
二、福祉思想の発展
三、「国際障害者年行動計画」の理念
第二章 身体障害者福祉対策の基本的方向
一、身体障害者対策の構図
二、身体障害者福祉対策の目的と課題
三、身体障害者福祉対策を進めるための基本的方向
第三章 身体障害者の範囲、程度等級の問題
一、身体障害者の範囲について
二、障害者度等級について
三、障害認定の方式について
第四章 身体障害者福祉対策改善のための方策
一、在宅福祉対策の方向
二、施設福祉対策の方向
三、生活の場の在り方について
四、補装具制度について
五、保健医療制度について
第五章 行政推進体制について
一、法体系の整備
二、専門従事者の養成・訓練及び資質の向上
三、行政組織機構等の整備
第六章 その他関連施策について
一、所得保障について
二、生活環境改善の方策について
結語
(注)1、遷延性意識障害者
2、保護雇用
3、CIL(Center for Independent Living)
4、総合リハビリテーションセンター (校正者注:「中央身体障害者〜センター」四角囲み)

前文
1、身体障害者福祉法が制定されて既に30有余年、また、本審議会が昭和45年8月に「昭和41年の本審議会答申以後の諸情勢並びに今後の社会経済情勢の変動に対応する身体障害者福祉施策」に関する答申を行ってからも10年余を経過した。
この間、身体障害者福祉をめぐる諸情勢は大きく変化した。科学技術の進歩や社会経済の進展に伴い国民の生活水準は一段と向上したがその反面、災害事故の増加や疾病構造の変化に伴って、身体障害者の実態は量的・質的に大きな変化をみせている。昭和55年2月に実施された身体障害者実感調査によれば、在宅障害者は約200万人で、10年前に比べ約50%の増加であり、その全般的傾向として、障害の複雑化、重度化、身体障害者の高齢化とともにニーズの多様化がみられる。
他方、障害者運動の高揚、リハビリテーションに対する関心の高まり等もあって障害者の意識の変化も著しい。

2、このような状況に対応し、身体障害者対策も年々拡充されてきたがその前提となる障害者福祉の理念にも進展がみられる。昭和45年の心身障害者対策基本法の制定は障害者福祉にとって、一つの象徴的出来事であった。更に最近においては、社会福祉全体の思潮が、施設福祉から地域福祉へ、収容保護から在宅福祉へ進展するに従い、身体障害者福祉対策にも新たな変化をもたらしつつある。
このような状況は、単に国内的動向というよりも国際的動向であるといっても過言ではなく、西欧諸国において実現しつつある新たな施策には学ぶべきものも少なくない。時あたかも昨年は「完全参加と平等」をテーマとする国際障害者年であったが、その思想的な

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基礎となる「障害者の権利宣言」は、1975年に国際連合において採択されている。
これら諸情勢を背景とする障害者対策は、今まさに転換期にあり、新たな指針を必要としている。

3、昭和54年3月、本審議会は厚生大臣から「今後における身体障害者福祉を進めるための総合的方策」について諮問を受け、基本問題委員会、障害評価委員会、保健医療委員会、施設委員会、福祉委員会の5部会・委員48名を構成し、2年余にわたって審議を続けてきた。
審議に当たっての我々の基本姿勢は、新たな時代に即する身体障害者福祉の理念を確認するとともに、多様化する身体障害者のニーズに的確に応えうる施策の在り方を、長期的かつ国際的視野に立って検討することであった。
その際、我々が審議の基本的前提として確認したものは、次の五項目であった。
その一は、リハビリテーションの理念を踏まえ、身体障害者福祉施策の体系の見直しにつとめること。
その二は、身体障害者が家庭や地域での自立生活を可能とするための条件整備につとめること。
その三は、身体障害者を単に保護すべき客体としてではなく、自立自助すべき主体としてとらえ、施策の再構築につとめること。
その四は、身体の障害を社会的不利とならしめないための関連施策の総合的推進につとめること。
その五は、身体障害者のニーズをそのライフサイクルに添って充足しうるような施策の一貫性につとめること。

4、以上の基本的認識に立って審議を続けた結果、現行の身体障害者福祉制度の在り方について多くの問題点が指摘されることとなった。その内容は、身障障害者福祉法に基づく施策の問題点を中心とするものであるが、問題の性格上、他法に関連する事柄も含まれるものとなった。
身体障害者をめぐる諸問題は、教育・育成雇用・就労、所得保障及び福祉サービス、生活環境、保健医療といった広範囲かつ多岐にわたるものであるので、その対策は身体障害者福祉法のみによって対処しうるものではない。そこには自ら限界もあるので、身体障害者対策に万全を期するためには、諸施策間の欠落を補完するような調整の必要なことも少なくない。

5、このような審議検討を続ける過程で国際障害者年をむかえた。
この時期に際し関係者方向による批判や検討を得たいと考え昨年7月17日それまでの審議結果を中間報告として取りまとめた。
他方、我が国においても、国際連合の勧告の趣旨に則り、1991年までの国内長期行動計画の策定をめざして、中央心身障害者対策協議会においてその在り方が検討されていたのでその提言との調整を図る必要が生じた。

6、本審議会は、このような中間報告への関係各方面からの意見を受けとめるとともに、中央心身障害者対策協議会による「国内長期行動計画の在り方」に関する提言との調整を含め、最終的な調整を経て、今後における身体障害者福祉を進めるための総合的方策に関し、ここに答申するものである。

第一章、身体障害者福祉の基本理念
今後における身体障害者福祉を進めるための総合的方策を検討するに際しては、次の諸理念について十分な理解と認識をもつ必要があることを確認した。

1、リハビリテーションの理念
従来の障害者に対する社会一般の理解や態度は、ともすれば、弱者として、非生産的なものとして、あるいは社会の落伍者としてとらえられがちであった。
また、従来の障害者対策も、救貧的、弱者保護的障害者観によって進められてきたことも歴史的事実として指摘されよう。
このような障害者観はリハビリテーションの理念に反するものである。リハビリテーションの理念の根底にあるものは、障害者も一人の人間として、その人格の尊厳性をもつ存在であり、その自立は社会全体の発展に寄与するものであるという立場に立つものである。
リハビリテーションは第3の医学といわれることもあるが、それは単に運動障害の機能回復訓練の分野を言うのではなく、障害をもつ故に人間的生活条件から疎外されている者の全人間的復権を目指す技術及び社会的、政策的対応の総合的体系であると理解すべきである。
リハビリテーションは、また、中途障害者の社会復帰のように理解されがちであるが、生まれながらの障害者が能力や体験、社会関係などを新たに獲得していくリハビリテーションをも含むものである。
つまり、リハビリテーションの基調は、主体性、自立性、自由といった人間本来の生き方であって、その目標は、必ずしも職業復帰や経済的自立のみではないことを理解しなければならない。
そして、障害者の全人間的復権を目指すリハビリテーションの水準は、その国の政治、経済、社会等あらゆる分野を包含した総合的

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水準を示すものであることを認識すべきである。

2、福祉思想の発展
従来、社会福祉とは、貧しく恵まれない人々を対象とする慈善、救済の活動として理解され、その対象者は一般的水準から脱落した人々と考えられがちであった。したがって、障害者もそのようなものとして、憐憫や慈善の対象とされ、特別な処遇を隔離的に受けるのを当然とされてきたといっても過言ではないであろう。
しかしながら、近年、社会福祉政策の根底となる福祉思想は、対象となる人々の生活の自立を確保し、しかも社会への参加を強調するようになってきており、その結果、施設への単なる収容保護から在宅福祉を中心においた地域福祉の考え方が強調されるようになった。
特に障害者福祉の理念として、ノーマライゼーションの考え方が注目されている。これは、障害者等の社会的不利を負い易い人々を当然に包含するのが通常の社会であるとする理念的な側面と、そのような対象者を隔離的に処遇するのでなく、家庭や地域で日常的な生活を可能とするような政策を行うべきとする方法論的な側面とによって理解される。
今後は、このような考え方に基づく政策の展開が期待される。
従来の社会福祉政策には、低所得階層を優先し対象を限定するような発想も残っているが、これからは、対象者の横造的変化、ニーズの多様化に対応するため、国をはじめ各レベルの役割に配慮しつつ応分の負担を前提とした福祉サービスの質的量的拡大が望まれる。
また、このようなニーズの多様化に伴う社会福祉サービスの拡大はボランティア活動をはじめとする民間の活動の在り方を変化させる。すなわち従来の社会福祉は、救済的な措置として与えられるものとして受けとられ、ボランティア活動にしても篤志家による特殊な活動と考えられてきた面があるが、これからは、社会福祉の政策形成段階に障害者や住民代表、福祉関係者を参加させる機会をつくるとともに、福祉サービスに市民が進んで参加するボランティア活動の必要性を強調することによって、単なる社会福祉の受益者から、社会福祉活動への参加を通じ社会福祉の担い手としての、市民の実践活動の進展が望まれる。

3、「国際障害者年行動計画」の理念
国際連合は1976年の総会で、1981年を国際障害者年とすることを決議し、1979年の総会で「国際障害者年行動計画」を採択し、この「計画」に沿って国内活動を展開することを加盟各国に勧告した。この「計画」には従来の考え方と異なった内容のものが含まれており、わが国の今後の障害者対策に示唆するところが少なくない。そして、それらは基本的にリハビリテーションの理念及びノーマライゼーションの思想に基づいているとみることができる。
この「計画」には概念構成と主な原則をはじめ国内活動、地域活動、国連における事業計画が示されているが、そこには障害者福祉の理念とされるへきいくつかの事項が掲げられている。
?@ 「完全参加と平等」というテーゴを掲げ、それは、障害者が社会生活及び地域社会の発展に参加し、社会経済の発展の結果たる生活向上の平等の配分を受け、他の市民と同等の生活を享受する権利の実現を促進すべきこと。
?A 障害という問題は、ある個人とその環境との関係としてとらえることがより建設的な解決の方法であり、多くの場合、障害者の日常生活は社会環境の在り方によって決定されること。
?B 障害者などを閉め出す社会は弱くもろい社会であり、障害者はその社会の他の者と異なったニーズをもつ特別な集団と考えられるべきでなく、通常の人間的ニーズを充たすのに特別の困難をもつ普通の市民と考えられるべきこと。
その他、数項目にわたる概念構成と原則に立って、各国がとるべき国内活動の目標及びその目標をフオローアップするための、1991年までの長期計画の策定を勧告しているのである。

第二章、身体障害者福祉対策の基本的方向
1、身体障害者対策の構図
(1) 身体障害者対策全体的構図を概括すれば、次のとおりである。
ア 障害の予防対策
・発生予防(母子保健等)
・早期発見、早期療育
・事故対策(交通災害、労働災害)
・特殊疾病対策(伝染病、成人病、難病等)
イ リハビリテーションサービス
・相談及び判定
・リハビリテーション医療
・リハピリテーション機器
・指導、訓練
・在宅福祉サービス
・施設利用サービス
ウ 生活の基礎的条件整備
・保健医療
・教育
・就労
・所得保障
・住宅
・社会生活環境
・市民の理解と協力
(2) 身体障害者福祉法は、これら諸施策の実

p21
施原則を掲げた心身障害者対策基本法の趣旨に則り、関係各法との調整を図りつつ、身体障害者の更生のために必要な施策を講じなければならない。
わが国においては、障害者対策関係の法制として、身体障害者福祉法のほか、児童福祉法、精神薄弱者福祉法、精神衛生法、老人福祉法、身体障害者雇用促進法、年金関係者法、労働災害関係法、医療保険各法、といった法律に基づく諸制度があり、また、生活環境整備に関ずる制度や難病対策のように特定疾患者を対象とする施策もある。
これら各法制を総合調整し、諸施策による一貫性ある障害者対策の推進を図るための理念的立法として心身障害者対策基本法があるのであって、身体障害者福祉法の及ばない部面については、他施策による対策が促進されなければならない。

2、身体障害者福祉対策の目的と課題
(1) 身体障害者福祉対策の目的は、全ての身体障害者はその人格の尊厳性をもち、その人間的権利を回復する可能性をもつ存在であるというリハビリテーションの理念に基づき、身体の障害を可能な限り軽減または除去すること、身体障害者の自立生活のために必要な援助を行うこと、及び自立することの著しく困難な身体障害者の生活安定のために必要な援護を行うことであり、また、身体障害者の完全参加を実現するために必要な社会的諸条件を整備することである。
なお、従来の身体障害者福祉対策は更生の可能性に着目してその援助と保護を行うこととされてきたが、今後においては、これに併せて、自立することの著しく困難な身体障害者の福祉について一層の充実を図っていくことが必要になろう。
(2) 身体障害者福祉対策の課題の第一は、リハビリテーション体制の確立である。身体障害者にとってリハビリテーションのもつ意義は全人間的復権に寄与するものであると同時に、保護から自立・参加へ、無為から有用への転換という積極的意義をもつものである。リハビリテーションを推進するためには、研究開発、施設整備、専門従事者の養成等の基礎的条件を整えるとともに、医療から社会復帰までの統合的推進体制が確立されなければならない。そのためには医療、教育、福祉、就労等の諸施策の総合と連携が必要であろう。
第二の課題は、身体障害者の自立生活の実現のための施策の確立である。職業的自立の可能性ある者に対しては職業訓練から雇用対策に至る諸施策と併せ、福祉施策としての就労対策を充実する必要がある、職業的自立が困難な場合であっても家庭や地域における生活の実現は重要である。身体障害者の自立生活の実現のためには、住宅、就労、所得保障、保健医療及び社会生活環境等基礎的諸条件の整備を図りつつ身体障害者福祉の観点から独自のサービスの充実を図る必要がある。この場合、濃厚な介護を必要とする障害者の在宅生活を実現するためには住宅等地域の物的設備環壌、本人の生活能力、家族環境等と深くかかわる社会的コンセンサスが必要である。
なお、自立を求める障害者が在宅生活を選択した場合は、自己責任に基づく主体的対応も必要であろう。
第三の課題は、極めて重度な障害者に対する治療、養護の在り方についてである。自立することの著しく困難な電複障害者等の重度障害者対策として治療及び養護を行う施策の整備にあたっては、重症心身障害児対策、交通事故後遺症者対策等との調整を図りつつ保健医療対策との緊密な連携のもとにこれを進める必要があろう。
第四の課題は、身体障害者の全生涯にわたる多様なニーズヘの対応である。障害の種類別に、原因別に、年齢別に、その他個々の身体障害者のおかれた状況によってそのニーズも異なるものであることに配慮し、多様なニーズをもつ身体障害者が様々なライフスタイルを選択する自由を確保することのできるような多様な対策が必要となろう。
第五の課題は、在宅対策と施設対策との均衡に配慮しつつ進めることである。
現在、療護施設に入所する場合、月額20万円を超える公費負担がなされているが、反面、重度障害者に対する在宅福祉サービスの立遅れが強く指摘されている。
このような在宅対策と施設対策との均衛ある施策の推進が今後の重要な課題である。
なお、施設対策は在宅対策との対置概念として把えるべきものではなく、特に身体障害者更生援護施設は障害者が家庭や地域における生活を充実したものとするために活用する社会資源として、リハビリテーションの場、働く場、デイケア、文化活動等の場、あるいは生活の場としての機能を有するものとして設置されるものであることに鑑み、その整備及び運営の改善充実に努める必要があろう。
最後に身体障害者自身の意識の問題に触れておきたい。身体障害者福祉対策の基本の一つは、身体障害者の自立意識の確保が前提となることである。今後における身体障害者福祉対策の在り方もまた身体障害者自身の意識と深くかかわるものであることを認識する必要がある。

3、身体障害者福祉対策を進めるための基本的方向
身体障害者福祉法による施策は、身体障害者の社会的更生のための援助から自立することの著しく困難な障害者の保護まで、広範囲

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にわたり講すべきものであるが、施策の体系を今後更に整備するに当たっての基本的方向は次のとおりである。
(1) 身体障碍者の自立生活を援助するためには、身体障害者のライフサイクルの各段階におけるニーズにきめ細かな配慮が必要であるので、医療から基礎的生活訓練、職業に至るまでの一貫した体制によるリハビリテーションサービスを確立すること。
特に、成人の中途障害者に対し積極的な自立生活の方法を習得させるためのリハビリテーションサービスの強化が必要である。
(2) 自立生活を希求する身体障害者のニーズに応えるため、日常生活上の介助、住宅及び日常生活用具の改良、コミュニケーションの援助、移動の援助等の諸条件を整備する必要があるが、在宅福祉サービスのプログラムは複雑多様化しているので、これを自立生活援助体系の中で再編成すること。
(3) 身体障害者更生援護施策の在り方は、在宅福祉サービスを含めた施策体系の中で見直し、各施設の性格及び内容を再検討するとともに、適切な利用圏の設定と施設の適正な配置により効率的な通常の実現を図ること。
(4) 所得保障の充実等に伴い多様化する身体障害者のニーズに対応し、その選択にも耐えうるようなサービス内容の整備が必要であること。
(5) サービスの提供に際しては、金銭給付と人的サービスとの均衡に留意すること。また、応分の負担のあることが自立意識の助長にもつながるという観点から費用負担の合理的設定について検討すること。
(6) 身体障害者は過去の生活歴において出身世帯に依存してきている実態が多いことから、その自立助長のためにも身体障害者も一人の自立した人間であることを配慮した福祉サービスの提供を行うよう検討する必要があること。
(7) 障害者自らが参加する政策形成過程及び施策運営の在り方を検討する必要があること。
(8) 身体障害者福祉行政は、実態が著しく進み予算措置等によって多様な施策が実施されているが、全国的に同一水準を確保すべきものについては、明確な位置づけについて検討する必要があること。
(9) 児童福祉法に基づく施策と身体障害者福祉法に基づく施策には年齢によって対象者が異なるものがあるが、このような施策の連続性を欠くものについては、調整検討の必要があること。
(10) 身体に障害のある老人については、基本的には老人保健福祉の観点から対応することが妥当と考えるが、身体障害者福祉施策の立場からも緊密な連携をとりつつ対処する必要があること。

第三章、身体障害者の範囲、程度等級の問題
身体障害者の範囲、程度等級の問題については、身体障害者福祉法の理念及び目的に鑑み、次のような考え方に立ちその対応策について検討することを要する。

1、身体障害者の範囲について
(1) 身体障害者の範囲についての基本的考え方
ア 身体障害者を規定する基本的要件は、長期にわたる身体障害を有し、かつ、日常生活活動に相当程度の制限を受ける者とすること。
イ 身体障害の種類は、原則として肢体、視覚、聴覚、平衡機能、音声機能、言語機能及び内臓の機能にかかる障害とすることが適当である。
ウ 現に継続的医療を受け、又は高度の医学的管理を要する慢性疾患等の患者について、上記にいう身体障害を有するに至らないものを身体障害者の範囲に育めることは適当でない。
エ これら対象者を規定するに際し、現行規定(法別表)は制限列挙方式となっているが、身体の部位の多様な障害に対応するために適当な方法を検討する必要があろう。
(2) 身体障害者の範囲に関する検討課題
ア 現在、内臓については、心臓、腎臓及び呼吸器の機能の障害が法の対象とされているが、これらとの均衡上その他の内臓の機能障害についても検討する必要があろう。この場合、医学の進歩等を考慮する必要があるが、人工臓器の使用者は法の対象とする方向で検討されてよい。
イ 唇顎口蓋裂後遺症等によるそしゃく機能障害を有する者については、言語機能障害者に対する取扱いとの均衡等を考慮し、検討する必要がある。
ウ 重症心身障害者及び遷延性意識障害者については、関連施策との調整を図りつつ、身体障害者福祉対策の観点から対応を検討することが適当であろう。
エ 小人症、顔面醜痕を有する者等、社会的不利を有するもの一般を身体障害者の範囲に含めるべしとする意見もあるが、これらについては一般的に身体障害者として取扱うべきものではなく、個別的に障害の程度によって施策の対象とすることが適当であろう。
2、障害程度等級について
(1) 障害等級評価上の問題点
身体障害者にかかる障害程度評価上の問題点の第一は、現行の障害認定の方式が身体の生理的、解剖学的障害を中心に行われており日常生活活動の能力に着目した評価が合理的に行われていない点があることである。特に、

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脳性マヒ者等全身性障害者の認定をめぐって問題点が指摘されている。
第二は、現行の障害認定の方式には認定時期等の問題があり、リハビリテーションの効果を加味した再評価が行われ難いことがある。
第三の問題は、各種関連施策における障害程度等級、認定基準、認定機関等の障害認定方式に差異のあることである。
第四は、身体障害者福祉法に基づく障害等級は他法他施策に準用されることが多いため、重度に評価されることをもって有利とすることである。
(2) 今後における障害程度評価の在り方
以上のような問題点を改善するため、第一点として、身体障害者福祉法に基づく身体障害者障害程度等級表(法施行規則別表第5号)及びその認定基準である身体障害者障害程度等級表解説(昭和29年9月2日社発第685号厚生省社会局長通知)に日常生活活動の能力に着目した評価を加味した合理的改善を行うことを関係学会の協力を得つつ検討する必要がある。
第二点として、リハビリテーション効果の評価判定が必要であるので、そのための評価方法、認定時期、判定機関の在り方について検討が必要である。
なお、この実施に当たっては、経過的措置について配意することも必要であろう。
第三点として、認定基準や評価判定の方式等について関係各法との関連について検討する必要がある。
第四点として、身体障害者自身にリハビリテーションについての正しい認識をもたせ、適正な評価判定を行うことが必要である。
(3) 障害程度等級表の合理化について
ア 現行の障害程度等級表においては、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由等について身体機能の損傷の程度を評価する方法が主体とされており、日常生活活動能力に着目した評価という観点に欠ける面があるので、特に緊張性アテトーゼ型脳性マヒのような全身性障害者の程度等級評価の合理化を図るため、障害経度等級表について、更に検討する必要がある。
イ 障害程度等級表の合理化については、かねてより審査部会においても検討された経緯があるが、審査部会から提起されてきたもののうち、次の事項については改善すべき要素として検討されてよい。
・視覚障害...視野狭窒の評価の改善及び視力測定方法を「両眼による視力の和」から「両眼の視力」に改める点
・聴覚障害...感音難聴及び混合難聴の困難度の評価の改善
・音声・言語機能障害...音声・、言語の理解又は表出の制限の程度及び発声・発語の制限の程度の評価方法の改善
・肢体不自由...上肢及び下肢の障害についての日常生活活動能力の評価による均衡のとれた等級格付の見直し
・内臓機能障害...心臓、腎臓、呼吸器及びその他の臓器の機能障害についての日常生活活動能力の評価等による等級格付の見直し
・全身性障害...重複障害に伴う日常生活活動能力に着目した等級格付の見直し
ウ 審査部会において検討されたことのある三段階評価の方法は、リハピリテーションサービスを行う立場から必ずしも妥当なものとはいえない。
また、各法による障害程度等級表を統一すべしとの意見があるが、各制度の障害程度等級表はそれぞれ独自の目的を反映したものがあるので、等級表の統一を図ることは適当とはいえない。
エ 障害程度等級表の表示については、障害部位の個別列挙方式だげでよいか検討の必要がある。
(4) 認定基準の合理化について
障害程度等級の認定方法を合理化するためには、等級表の改正のみならず認定基準の見直しが必要であるが、その際は、次の諸点に留意すること。
ア 現行の認定基準には障害老人や最重度障害者の認定、疼痛や脱力と機能障害の関係、全身性障害者の重複障害の認定等に不明確なものがあるので、障害程度の判定に必要な実際的例示を追加し、又は新たな判定方法をとり入れる等合理化につとめること。
イ 障害認定においては、日常生活活動の評価が重要であるが、これについては次のような問題があるので、医学的評価方法とともに生活関連動作の評価をも考慮した合理的な障害認定方法を作成するため、専門委員会を設け検討を続けること。
・医師の診断のみで日常生活活動を評価するのは困難な面があるので、他専門職を含めたチームによる判定を行う必要がある。
・日常生活活動の要素には、治療・訓練のほか生活環境も関係する。また、身体機能のほか精神的なものも影響も大きい。
・日常生活活動の評価は年齢にも関係し、心身両面の発達改善の要素がある。
ウ 重度障害者を援護する立場においては、介護の要否が大きな問題であるので、その要素を加味する必要があること。
エ 精神薄弱者の精神障害を併せもつ者につ

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いては、障害が重複することにより日常生活活動の制限される度合が増大することを考慮に入れる必要があること。
この場合、専門家の診断を求める方法をとる必要があろう。

3、障害認定の方式について
(1) 障害認定の方法について
ア 障害認定及び身体障害者手帳交付方式の現状は、各都道府県によってまちまちとなっている状況があるので、全国的に同一水準の障害認定を行うためには、身体障害者更生相談所の権限、機能を再検討する必要がある。その場合、関係各方面との連携を図り、障害認定機関を再編することも検討されてよい。
イ 専門の障害認定機関を設ける場合は、診断書作成医師を特定しないような制度の改善が検討されてよい。
ウ 我が国の社会保障関係各法による障害認定診断書は40種類を超えるといわれるが、診断業務の簡素化を図るため、可能な限り様式統一に努めること。
現行の身体障害者診断書は意見書を含んだ様式とされているが、認定の権限は診断書を発行する医師にないものであることを明確にし、意見書は、あくまでも参考意見としての書類とするために診断書の様式から意見書を切り離すこと。また、現行の診断書は法施行細則準則で示されているが、診断の均質性を保つためにも全国統一の様式として示す必要がある。
(2) 障害認定の時期について
現行の障害認定の方法は、障害が固定し永続するものという考え方に立ち、また、障害の状態の変化についても申請によって認定し直すという方法によっている。しかしながら、医学や福祉機器等リハビリテーション技術の進歩により、障害程度が軽減し、日常生活能力の回復を相当程度期待できる例は増加している。このような観点から、リハビリテーション効果あるものについては、障害程度の再評価のためにも有期認定の方法を検討する必要がある。なお、この実施に当たっては経過的措置について配意することも必要であゐう。
(3) 身体障害者手帳制度について
ア 身体障害者手帳には、制度の対象であることの証明であるとともに、リハビリテーションプログラムに活用していくべきものとしての内容が含まれている。
リハビリテーションを効果的に進めていくためには動態的な情報が必要であるが、現在の手帳の形式ではこれを活用するのに不備があるので、証明書の部分と動態的記録の部分を機能的に分けたものに改める必要がある。
イ その方法として、身体に障害のある者であって各種リハビリテーションサービスを求めるものに対しては、「リハビリテーションカード」(仮称)を交付し、一定のリハビリテーションコースを終了した者に対して等級評価を確定した「身体障害者手帳」を交付することも一方法として検討されてよい。
ウ 手帳の記録を効果的に使用、管理するために、また、事務処理の合理化、省力化を図るためにも、障害分類コードを十分検討した手帳記録の管理システムを検討する必要がある。
エ 右記のような観点から、手帳の様式、用語等についても時代に即したものとしていくよう改める必要がある。
オ 現在の身体障害者手帳には有効期限が示されていないが、障害程度の変化、住所地の変更、死亡の確認等、制度利用者の状況を正確に把握するため、5年程度の有効期限を設ける必要がある。

第四章、身体障害者福祉対策改善のための方策
1、在宅福祉対策の方向
(1) 住まいについて
家庭や地域での自立生活を目指す身体障害者にとっての基礎的条件の一つは住まいである。身体障害者の住まいについては、そのニーズ、日常生活能力の程度、経済状態、地域の事情等によって選択の幅が広げられるよう、個人住宅の改造に対する援助、身体障害者向けの公営住宅の建設促進等多様な方途を講ずる必要がある。
なお、身体障害者の自立生活を促進するためには、物理的生活の場と福祉サービスの総合的対応を必要とするので、建設行政と厚生行政の緊密な連携により環境整備に努めなければならない。
自立生活が困難な身体障害者にとっては、家族による扶養・同居のほか、地域に密着した生活の場が整備される必要があろう。
(2) 介護について
介護については、身体障害者実態調査の結果においても、日常生活を家族介護によっている者が多い。また、日常生活に介護を要する状態にありながら家族の手を離れて地域で自立生活を営む意思をもつ障害者が増加している。このような介護の実態に着目し、諸外国の実施例をも参考として、人的サービス及び金銭給付等の介護体制の在り方について早急に検討する必要がある。この場合、家庭機能をもつ役割と公的機能の果たす役割との調整と限界について検討する必要がある。
(3) 日常生活用具について
改良された日常生活用具を導入することは、障害者の在宅生活を容易にすることに役立つ。日常生活用具の活用は住環境の改善及び介護の軽減にも関連することであるので、その積

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極的な活用が望まれる。また、多様な障害者のニーズに応えるため、用具の開発研究給付制度の改善に努める必要がある。
(4) 基礎的生活訓練について
身体障害者の自立生活を促進するためには、物的整備だけでなく、むしろ家庭や地域で自立して生きていける人づくりに向けてのリハビリテーションが重要である。
それには、家庭における日常生活の訓練、コミュニケーション訓練、自立心と社会常識の育成、健康の自己管理、社会資源を使いこなす知識と自己責任の果たし方に関する教育等が、自立生活に向かう訓練の内容として要求される。
具体的には、盲人の歩行訓練や家庭生活訓練、聴覚・言語障害者の職能訓練、言語治療及び喉頭摘出者の発声訓練等は特に強化される必要があろう。
今後の身体障害者更生援護施策においては、特に中途障害者の増加等に着目し、身体障害者の自立生活のための基礎的生活能力の訓練の場としての内容充実が望まれる。
なお、このような中途障害者が、積極的にリハビリテーション訓練を安んじて受けられるような各種の施策が検討される必要がある。
(5) 就労について
ア 障害者は、一般の就労環境から疎外されることが多い。しかしながら、障害者の自立生活にとって職業自立は、基本的要件の一つであるので、職業リハビリテーションの推進は極めて重要である。
障害者の就労問題は、基本的には、労働行政の分野であり、職業訓練、雇用促進対策、企業の雇用努力が望まれるが、重度障害者の就労問題をはじめ、働く場の確保については福祉行政にも残されている課題は少なくない。
イ 障害者の就労保障の問題解決にあたっての第一義的課題は、就労能力の軽度から重度に至る障害者のニーズを受けとめることのできるよう、次のような各段階における就労施策を検討する必要がある。
?@ 一般雇用(一般企業・官公庁等における雇用促進)
?A 保護雇用(何らかの保護的措置が継続的に講じられている雇用・就業)
?B 生業(営業資金の貸付等による自営業)
?C 福祉的就労(授産施設等における就労)
?D 作業活動(福祉施設における趣味、創造等の多日的作業活動賃金の有無は問わない)
ウ 右記のうち、?@は本来的に労働行政の分野であるが、制度的に障害者の就労資格を制限している法制の見直しも必要である。?Aの保護雇用は一般雇用の場に就くことが困難な者に対してとられる一つの形態であり、既に行われている福祉工場における就労もその一形態とみることができるが、ほかにも様々な対応が考えられるので、直ちには一般雇用が困難な者の働く場を確保するために、厚生行政と労働行政その他関係行政分野との連携を密にして、一般雇用が困難な者に対する諸施策を検討していくことが望まれる。
?Bについては、盲人の三療経営等自営業にとって効果を高めるため世帯更生・資金の内容改善につとめる必要がある。
?Cについては、評価、職業前訓練、適応訓練、就労と一貫した職業リハビリテーションの一層の充実を図るとともに、この領域にかかる授産施設の果す役割の強化を検討する必要がある。また、各地域に通所授産施設を設けて就労の場を確保するとともに、在宅授産の効果的運用を図ること。
なお、授産事業等における仕事の確保及び製品の販路拡大についての助成に一層つとめ、官公需の優先発注の方途に配慮するとともに企業等との協力促進についての施策を検討すること。
これら就労の場の実際は、通常の厳しい経済活動の中にあることを十分認識するとともに、これらの安定経営のために必要な指導助成策を講ずることが肝要である。
?Dについては、授産施設における就労さえも困難な者にかかる創作、作業活動の場となるとともに、在宅生活における生甲斐を創造するものとして、現在主として身体障害者福祉センターで実施されている在宅障害者デイサービス事業の育成拡充に一層つとめる必要がある。
(6) 移動について
身体障害者の自立生活を実現し社会参加を促進するためには移動の問題は極めて重要である。
身体障害者の移動に関しては、次のような問題がある。
ア 移動能力の障害ある者が第一義的になすべきことは歩行訓練である。それによって自力による歩行または補助具等による歩行を可能としたうえで、通常の交通システムを利用しなければならない。
歩行不能の者にとっての有力な中距離移動手段は自動車である。特に就労等社会活動への参加、自立生活を営むうえで自動車のもつ意味は大きい。自ら運転しようとする障害者については、自動車操作訓練、自動車購入費及び維持費の確保に問題がある。
自動車を自ら運転することのできない障害者については、家族等による自動車利用のほか、電動車イス、交通機関、付添介助者を利用することに伴う費用負担に問題がある。
これら障害者の移動手段に対しては公的補助制度のあるものもあるが、全体的に未だ不十分な点が多いので、各制度のサービス内容

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を、再点検する必要がある。
イ 次に、障害者輸送手段として、身体障害者福祉バス、地域訓練会用バス、通園パス等の購入費補助があるが、輸送のニーズを地域的に掌握して無駄を少なくするために、制度間調整も必要である。
ウ 公共交通機関においては、近年、車輌や駅舎等物的設備の改善も行われつつあるが、まだ十分ではなく、利用方法については、例えば行先案内等のアナウンス、乗車手続等の改善も望まれる。
また、運賃割引についてもかなりの配慮はされているが、残された問題については、運輸行政と厚生行政の緊密な連携による対処が望まれる。
(7) 余暇文化活動について
ア 余暇活動については、市民の文化活動に自由に参加する機会を作る方策がまず考えられるべきであるが、一般の社会資源を活用することの困難な障害者には、身体障害者福祉センターB型を利用する方策をとることが望ましい。
イ 障害者社会参加促進事業については障害者のニーズに配慮し、特にコミ二二ケーションの手段に欠ける視覚障害者、聴覚障害者に対する施策の充実に努める必要がある。
ウ 現在、視覚障害者のためには点字図書館が制度化されているが、録音テープの普及等によるニーズの変化に対応し、視覚障害者のための情報文化センター的機能をもったものに発展させる必要がある。また、聴覚障害者の余暇活動を充実するためには、字幕入りフイルム等の普及に努める必要があるので聴覚障害者のための情報文化センター的機能をもった福祉施設による文化活動を促進する必要がある。
エ 身体障害者にとってスポーツは身体機能の維持増進といった体育的効果のみならず、余暇活動としても有意義なものであるので身体障害者福祉センターの活用を図る等その指導及び助成に努めること。
オ 身体障害者の余暇文化活動を充実するための一助として、身体障害者福祉審議会による優良出版物、映画等の推薦活動を活発に行うことが検討されてよい。
(8) 在宅福祉サービスにおける施設の役割について
ア 身体障害者の生活の場として在宅が原則であることは論をまたないところてあり、その在宅生活を可能とするための条件整備の内容として多様な在宅福祉サービスのあることは前項に示したとおりである。
そして、一定の地域社会において在宅福祉サービスを効果的に展開していくためには、社会福祉施設もまたその地域社会における福祉サービスの重要な構成要素であり、社会参加の機能をもつものとして用意されなければならない。
イ 地域社会においていかなる社会福祉施設を必要とするかは、個々の施設の機能によって判断しなければならないが、身体障害者更生援護施設は、施設の種類によって利用圏が異なるので、施設のもつ機能及びその利用圏並びに地域社会における福祉ニーズを考慮しつつ各施設を配置することが望まれる。
ウ 身体障害者更生援護施設のもつ一つの意義は、身体障害者の在宅生活を充実するために活用すべきものであるから、通所利用に特に配慮する必要があるが、在宅福祉を処遇原則としつつも、それを補完するための生活の場としての施設は常に用意される必要があり、このような施設は、在宅障害者が介護事情の変化等により施設を循環的にあるいは一時的に利用するために開放する必要がある。
また、施設を在宅障害者のために生かす方法には、レクリエーション等のための場所や設備の提供及び相談活動や派遣サービス等による人的資源の提供の方法があるが、これらのニーズに対応する物的人的整備が望まれる。
エ 身体障害者の在宅福祉サービスとの関連で今後最も期待されるのは身体障害者福祉センターB型の拡充強化である。
身体障害者福祉センターB型の機能として、現行の在宅障害者デイサービス事業を拡充し、米国におけるC、I、L、(自立生活センター)の試みを参考とした、障害者自身の主体性を確保するような運営方式及び内容を検討する必要がある。
オ 地域社会における在宅福祉サービスを充実するためには、援護の実施機関における実施機関における実態把握能力と各更生援護施設のもつ専門技術の機能を統合した機動力のあるサービス活動を実践することが望まれる。
今後は在宅障害者のためのケアまたは、維持的リハビリテーションを行うため、訪問指年齢や障害程度の変化といった多様な要素がある。
したがって、このような状況に対応できる目的及び機能を満たす施設の体系化が必要であるが、現在の身体障害者更生援護施設は15種類にのぼり多様化しているものの、機能的に不明確な点があるため、施設の機能と利用者の実態に合理性を欠き実情にそぐわない状況もあるので、施設整備の将来方向としては、次のような体系で再編成していくことが望ましい。
?@ 社会復帰をめざす訓練の場としての施設(更生施設)
?A 在宅生活の困難な者の生活の場としての施設(生活施設)
?B 働く意思と能力をもつ者の作業活動の場

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としての施設(作業施設)
導、通所訓練等の地域リハビリテーション活動を推進することが重要である。
そのためには、サービス情報を多元的に提供する必要があり、福祉関係機関のみならず、職業安定関係機関、保健所、医療機関を含めたネットワークが必要であり、その中核的存在としての総合リハビリテーションセンターの役割が重要である。
以上のことから、在宅福祉サービスを効果的に進めるためには、諸施設の体系的整備及び福祉事務所との連携が必要である。

2、施設福祉対策の方向
(1) 施設体系について
ア 身体障害者の施設に対するニーズには、リハビリテーションの過程、生活条件のほか、
?C デイケア、文化活動、作業活動等のための利用施設(地域利用施設)
イ この方向に添って現行施設の各称・機能を見直し再編成すると、次のように体系化することが考えられる。
ウ 以上の将来方向案で再編成するに当たっても、障害者の仕事へのニーズは多様であり、それを受けとめる場も広がりのあるものとすることが現実的であるので、従来の授産機能は、福祉及び就労の共存する分野として多様な目的・形態のあることを踏まえた位置づけが必要である。
エ 働く意思と能力をもつ障害者は、地域的には少数である場合が多く、作業施設は小規模化の方向にあるが、保健、安全性等に配慮するためには、ある程度の規模を確保する必

表省略(校正者注:以下、表を文章にて説明)
現行、(1)失明者更生施設 (2)ろうあ者更生施設 (3)肢体不自由者更生施設 (4)内部障害者更生施設は、将来方向案で、?@更生施設(医学的リハビリテーション、日常生活訓練、社会適応訓練)に含まれており、名称として〔・総合リハビリテーションセンター ・障害別リハビリテーションセンター〕 とある。また備考として、 更生相談所 医療機能 職能訓練機能 とある。
現行、(4)内部障害者更生施設 (5)重度障害者更生援護施設 (6)身体障害者療護施設 (7)身体障害者授産施設は、将来方向案で、?A生活施設(日常生活援護、介護)に含まれており、〔・養護型 ・生活寮型〕に分けられている。
現行、 (7)身体障害者授産施設 (8)重度障害者授産施設 (9)身体障害者福祉向上 → (7)〜(9)は将来方向案で?B作業施設(作業訓練、就労)に含まれており、〔・身体障害者授産施設 ・身体障害者福祉工場〕に分けられている。
備考には、・養護型 ・生活寮型・身体障害者授産施設 ・身体障害者福祉工場は小地域分散通所とある。
現行、 (7)身体障害者授産施設 (9)身体障害者福祉向上 (10)身体障害者福祉センターA型 (11) 身体障害者福祉センター B型 (12)点字図書館 (13)点字出版施設 (14)盲人ホーム (15)身体障害者更生保養施設 → (9)〜(15)は将来方向案では?C地域利用施設(情報文化活動 レクリエーションスポーツ、作業活動 デイサービス)に含まれており、〔・身体障害者福祉センターA型 ・身体障害者福祉センター B型 ・身体障害者更生保養センター〕に分けられている。備考には、県域単位 市単位及び障害別 広域型 とある。

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要がある。一定規模を確保するためには、他の障害者等との共同利用についても検討されてよい。
オ 今後の施設整備は障害者のライフサイクルに着目し、生活施設、作業施設等各種施設の機能を併せもった、システム化された総合施設づくりが進められてもよい。
(2)施設の整備及び運営基準について
ア 現行の「身体障害者更生援護施設の設備及び運営基準について」(昭和32年、厚生省発社第201号)その他各種施設の設備及び運営の基準に示された内容は、施行後20年以上を経過するなど、時代にそぐわない点が見受けられるので、施設体系の再編成と併せ、新たな観点から総合的に見直す必要がある。
その際、設備については、特に防災及び地域の環境保全に留意したものにするとともに、長期入所施設については、入所者処遇に配慮し、居住性を高めるよう努めること。
また、職員の配置基準についても実態に即した能率的、弾力的な運営が行われるよう見直しを行う必要がある。
なお、各施設は独立した建物として整備することを原則としているが、施設の種類によっては、利用施設相互間の複合化又は他の建物の一角を賃貸又は、買取りにより使用することも考慮されてよい。
イ 「更生施設」は、総合リハビリテーションセンターとしての機能をもった施設とし、障害者となった時点から社会復帰までに必要なあらゆるプログラムについて必要な訓練及びサービスを実施するものとし、従来の各更生施設(失明者、ろうあ者、肢体不自由者、内部障害者、重度障害者)の機能及び身体障害者更生相談所の機能である相談・判定機能を統合するほか、就労指導の機能を併せもつことが望ましい。
なお、地域の事情によっては、障害別又は機能別のリハピリテーションセンターを必要とすることも考えられるので、その設置形態を残すことは考えられてよい。
ウ 現行の施設体系における重度障害者のための施設(内部障害者更生施設及び身体障害者授産施設の一部を含む)は、いずれも入所者が等質化しており、入所期間も長期化しているので、今後は「生活施設」として再編成する必要がある。
その際、常時介護を必要とする最重度者のための療護型施設と介護の程度の比較的低い障害者のための生活寮型施設に分ける必要があるが、これらの施設は小規模・地域分散型が望ましい。また、生活施設にあっては、入所者の仕事へのニーズを配慮して、作業施設、特に通所授産施設を設置すること。療護型施設にも作業活動能力を併せもたせることが望ましい。
エ 「作業施設」は、従来の各種授産施設を再編整備するとともに福祉工場については、諸外国の障害者就労の例をも参考にしつつその在り方について検討すること。
オ 施設入所時又は入所期間中における障害者の日常生活能力等の評価を的確に行いうるようにし、総合リハビリテーションセンターに更生相談所機能を総合するとともに、関係実施機関及び施設相互間のネプトワークを強化する方策をとる必要がある。
カ 生活施設においては、日常生落能力、介護の必要度の評価、また作業施設においては作業能力等の評価に関する基準が必要であるので、その方法及び可能性を検討し作成に努力することが望ましい。
キ 「地域利用施設」については、身体障害者福祉センターを基幹施設とする方向を明らかにするとともに、更生施設、生活施設等についてもその機能を付与する方向で検討する必要がある。
この場合、B型センターは、社会参加促進事業をはじめデイサービス事業の実施主体となるほか、通所授産施設を一機能として加えることが望ましい。また、障害別ニーズに対応するため、障害別福祉センターの設置形態も考えられてよい。
特に盲人及びろうあ者関係については、右記B型センターの機能に併せ、情報文化センター等の機能を統合した「盲人福祉センター」、「ろうあ者福祉センターしといったものの必要性についても検討の必要がある。
なお、地域利用施設は、身体障害者の社会参加に極めて軍要な役割を果たすことに鑑みその整備を促進するための方策について検討する必要がある。
また、身体障害者福祉センターの運営については、合理的な利用圏の設定によって、地域の老人または精神薄弱者等との共同利用についても検討されてよい。
ク 施設利用経費の負担については、所得保障対策の推移を勘案しつつ、現行費用徴収制度の在り方を含めて合理的な費用負担制度設定について検討する必要がある。
(3) 国立施設のあり方について
国は身体障害者福祉行政の企画指導及び執行の中心的責任者であることから、施設についてもリハビリテーションに関する研究開発専門従事者養成研修、情報収集提供の中核的機能及び各地におけるリハビリテーションセンターのモデル的機能をもつものについては、国が全国的な視野で設置し経営する必要がある。
また、国は国立光明寮、国立保養所を設置し歴史的伝統的にその責務を果たしてきたが、これらは広域的リハビリテーションニーズに

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対応するものとして存続するとともに、その実践を通して各地域における研修、実践等の指導的役割を果たすものとして、今後も育成していくものとする。
したがって、国立施設については、当面次のような問題を重点的かつ計画的に検討し、整備充実していく必要がある。
ア 国立身体障害者リハビリテーションセンター
(イ) リハビリテーション技術及び補装具等に関する研究の中核的機関としての役割を果たすべく整備すること。
この場合、特に各種研究に関する調整・管理の機能及び障害者のニーズに即する補装具、自助具、移動用具等の試験製作・性能評価等に関する実証的研究並びに学際的研究を推進する組織機能の充実強化を図ること。
(ロ) リハビリテーション専門従事者の養成研修機関としての内容を整備充実すること。
この場合、特に身体障害者リハビリテーションの専門職として要請の強い言語療法、義肢装具適合、生活訓練、歩行訓練、自動車操作訓練、理療教育等に従事する専門職員の養成研修を行うとともに、それら専門職の職務内容、資格基準、カリキュラムについての研究を行うこと。
(ハ) リハビリテーションに関する内外情報の収集、整理、提供のための中枢的機関としての役割を果たすべく整備充実すること。
この場合、情報センターとしての体制を確立するとともに、今後の情報管理を体系的に行うため、リハビリテーションに関する情報管理システムの研究及び近代化に取り組むこと。
(ニ) 医療から自立生活訓練、職能訓練等に至る一貫したリハビリテーションを実施する総合リハビリテーションセンターのモデルとして、その内容充実を図ること。この場合、多様な身体障害者にかかる自立生活及び社会復帰のためのプログラムの作成指導及び開発訓練のための体制整備に努めること。またリハビリテーションの実施過程における評価機能の在り方に関する研究を進めるとともに、そのための体制の在り方についてのモデル的活動を推進する必要がある。
イ 国立保養所
国立保養所は、重度の戦傷病者又は身体障害者(身体障害者福祉法に基づく1級の者)を収容し、医学的管理のもとにその保養を行わせる機関とされているが、今後は実地研修機能をもつ等により身体障害者更生援護施設のモデルとしての機能を整備する必要がある。
そのためには重度障害者を対象とするリハビリテーションセンターとしての機能を強化するとともに、頚髄損傷者、重度脳性マヒ者等最重度障害者のための生活施設としての治療、養護、レクリエーション、作業活動等の在り方に関する諸技術の研究開発及び処遇内容の充実に努めること。
ウ 国立光明寮
国立光明寮は、視覚障害者の更生に必要な知識技能の付与及び訓練を行う機関とされているが、各施設ともあんま師、ほり師又はきゆう師の養成施設として機能しているのが現状である。
今後は、その機能に併せ卒後研修を充実するとともに、中途失明者の自立生活訓練を含む社会適応のための行動訓練及び各種応用研究を行う視覚障害者訓練センターの機能をもつモデル施設としてその整備充実を図ること。

3、生活の場の在り方について
ア 日常生活活動にかなりの制限をもつ重度障害者であっても、家庭や地域で生活したいという強い願望がある。
通常の人間的生活を営むためには、身体障害者といえども通常の社会環境の中にその生活の場を置くことが望ましい姿であるが、それを可能とするような条件が必ずしも満されているとはいえない現実がある。
特に脳性マヒ者等全身性障害者のような重度の障害をもつものにとっては、その自立生活の前提条件として、障害者本人の意思とともにその生活能力及びこれを支える所得、住宅、移動、介護等の整備が必要であるが、現状においてはこれらに関する諸施策は十分であるとはいえず、重度障害者が生活の場を選択することを困難にしている。
イ このような状況に鑑み、前節までに述べた「在宅福祉対策の方向」及び「施設福祉対策の方向」を踏まえ、身体障害者が家庭や地域で生活していくうえでの諸条件の整備及び生活の場の創出は、今後における重要な課題であるといえよう。
このような課題に応えるためには、各種のニーズをもつ身体障害者の選択に応えられる生活の場を設定することが期待される。
そのためには、諸外国で実現されている方式、例えば、スウエーデンにおける公営住宅(一般の公営住宅を車いす障害者にも使えるように建設する)、同じくスウエーデンのフオーカス・アパートやデンマークのコレクテイブ・ハウス(公営・民間のアパートの中に一定数の障害者居住区をおき介護体制をもつ)西ドイツの障害者用特別住宅(ケアスッフと同居する障害者専用住宅)、イギリスにおけるハビンテーグ(一般住宅街に統合的に建設される降車口者用住宅)やチエシヤ・ホーム(重度障害者のための自主運営方式による個室式施設)、アメリカにおけるグループ・ホーム(5人―10人程度のケア付小住宅)やG、

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I、L、による住宅サービス(住宅あっせんから生活訓練、介護者派遣等を一貫して行う等を参考としつつ、また、我が国における身体障害者の意識の変化や体験、公的施策による各種の実験、国民の生活様式の変化等を勘案しつつ調査研究を行うとともに、身体障害者自身の参加、協力を得つつ、わが国の社会に適応した具体的方法の実践につとめることが必要であろう。

4、補装具制度について
(1) 補装具の概念と交付種目について
ア 身体障害者福祉法においては、福祉の措置の一つとして、補装具の交付を行い、また、予算措置によって重度障害者に対する日常生活用具の給付を行っている。
これらによる交付種目は年を追って改善されてきたが、補装具及び日常生活用具の制度間で明確に区分しがたい種目もあり、また、近年いわゆる福祉機器の研究、開発、普及が著しく進展しつつあるので、補装具制度の原則を明確にするためにも本来の補装具とその他の機器・用具の交付制度を再検討する必要がある。
イ いわゆる福祉機器は、損われた身体機能を代償する補装具のほか、障害者や老人の日常生活を便利または容易ならしめる機器、治療訓練のだめの機器、障害者の能力開発を行う機器の総称として幅広くとらえられているが、福祉機器のうち、障害者個人を支給対象とすべき種目は、次のように分類することができよう。
ウ 右記のうち、補装具については、医師の監督下での処方、適合判定及び装着訓練を必要とするものであるので、支給システムの在り方を検討するとともに、技術革新に伴う新材料や新製品の採用並びにこれらの標準化にも積極的に配意すること。
また、日常生活用具については、現在もかなりの種目が採用されているが、身体障害者のニードに即した用具や新技術により開発される製品は可能な限り採用するように努める必要がある。

表省略(校正者注:以下、表の内容を項目にそって箇条書きに表す)
くろまる社会生活用具(例)
移動機器
身障者用自動車等
意思伝達機器(フアクシミリ、電話、コミュニケーター等)
能力開発機器(弱視用テレビ、オブタコン、学習用具、遊戯具等)

くろまる日常生活用具(例)
住宅機器(バス、トイレ、ベッド、リフター等)
意思伝達機器(点字器、人口喉頭タイプライター、電話等)
感覚機器(盲人、ベビーシグナル、ガスもれ警報器)
自助具
環境制御装置

くろまる補助具(医師の監督処方が必要)
眼鏡、義眼、補聴器、義肢、車いす、歩行者、収尿器、歩行補助杖

なお、社会生活用具については、国民生活水準の動向を勘案しつつ、適宜交付品目に加えていくことが望ましい。
エ 福祉機器のうち、障害者個人を支給対象とはしないが、社会における集団生活の場において改善すべき装置(例えば、施設における聴力障害者用磁気誘導ループ装置、重度障害者施設における省力化機器等)、各種リハビリテーション施設における検査、治療、訓練機器の改善導入に努めること。
(2) 支給システムについて
ア 身体障害者更生相談所における補装具の処方・適合判定業務の現実は必ずしも法定の機能を有しておらず、特に地域格差のあることが指摘されている。また、補装具に関する業務が比較的よく行われている更生相談所においても、義肢が中心であり、眼鏡や補聴器の処方・適合判定については、形式的な書類審査に依っている事例が多く見られる。
イ 現行制度によるこのような支給システムの是非を十分検討したうえで処方から適合判定、装着訓練、アフタケアまで一貫した方法のとれたシステムを確立すべきである。
その方法の第一は、各地域に整備されつつある総合リハビリテーションセンターに更生相談所機能を統合することにより専門家の参加を得て、所定の機能を発揮しうるような態勢を整えること。
第二は、補装具の処方・適合判定及び装置訓練に十分な経験と実績のある専門の医療機関を指定する方式をとること。
ウ 補装具の交付は、身体障害者福祉法以外にも多くの制度で行われ、それぞれ支給システムを異にし、支給品目の取扱いにも差異があるため制度間に重複や脱漏が生じ易いので、制度間の調整を図るとともに、福祉事務所の事務処理態勢及び更生相談所の評価判定機能を確立すること。
(3) 補装具適合に従事する専門職員の養成研修について
ア 補装具適合に従事する医師の養成確保の

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ため、医学教育における補装具処方、適合技術習得の徹底を図るとともに、関係医学会の協力による処方・適合判定医研修の充実強化を図ること。
イ 義肢装具適合技術者の資格制度の確立が待たれているが、国立身体障害者リハビリテーションセンターにその養成制度を設けることを機に、これと併行して、その資格制度の発足を検討すべきである。
なお、義肢装具適合判定技術者をバラメデイカルスタッフとして位置づけるが、高度の技能職として位置づけるかの是非については慎重に検討を要する。
(4)機器の評価について
ア 補装具を含む福祉機器については、製品の保障を得るために、その材質・製品の規格化、標準化が重要な要素であるが、義肢装具をはじめ補装具の主要な種目の中にはその制定のないものが多いので、標準化制定の促進に努めること。
イ 補装具は、直接・間接に身体の機能、構造に影響を及ぼす工作物であることから、薬事法の医療用品に該当するものがあり薬事法に基づき規制が行われているが、補装具の種目の大部分は薬事法の対象外となっており、加えて補装具全般にわたりその製品評価・検査のシステムもない現状である。
ウ 右記のような現状は、補装具の支給システムにも重大な影響を及ぼすものであるので、薬事法等の関連を含め、その対応を早急に検討する必要がある。加えて補装具全般にわたり、その評価・検査システムをもつ必要がある。
エ 補装具に関する国内製品や輸入製品の取扱いは、前記のように薬事法にかかわる問題もあるが、基本的には補装具制度を所管する福祉サイドでその評価システムを確立する必要がある。
そのためには、国立身体障害者リハビリテーションセンターを中核として関係研究機関とのネットワークをもった評価システム及び身体障害者福祉審議会補装具小委員会の充実強化による評価システムの確立が望まれる。
(5) 研究開発と情報提供について
ア 身体障害者の自立生活を促進するためには、補装具、自助具、移動機器等が極めて重要であるので、今後は、この面を含めた研究開発及び情報提供が重要な課題である。したがって、補装具を含む福祉機器の研究開発計画は、各省の連携・調整を一層密にする必要がある。
イ 福祉機器の研究開発には、医学、工学の関係学会及び関係業界を含めた学際的な協力が必要である。その際、国立身体障害者リハビリテーションセンターに障害者のニーズに即する研究体制を確立するとともに、関係諸機関及び学会等を含む協力態勢を整備する必要がある。
また、福祉機器に関する国際的情報交換の必要性が今後増大することが予想されるので、そのような状況に対応するために情報センター等の組織を整備する必要がある。
ウ 補装具制度の進歩発展のためには、関係国際機関や先進国との交流が必要であり、また、今後わが国はアジア地域においてこの問題については指導的役割を果たすべき立場にある。
関係国際会議への出席、あるいはその開催の機会を積極的に作ることが必要である。
エ 福祉機器に関する国内情報機関が不統一であるため、ユーザー側にとまどいもある。各種の情報機関の統一と強化を図る必要がある。
オ 補装具を含む福祉機器に関する研究開発及び情報提供については、現在、通産省、科学技術庁、厚生省等の連携のもとに行われているが、身体障害者のニーズにより即応した研究等に対する助成策が望まれる。
とくに自助具や環境制御装置等については、きめ細かな改善工夫が必要であるが、身体障害者の自立生活にとって極めて有効でありながらコマーシャルペースにのりにくいこれら福祉機器についての研究開発等に対する積極的な助成が必要である。
(6) 費用について
ア 今後、補装具の交付種目等を改善し、日常生活用具制度の充実、社会生活用具の採用等が期待されるが、これら福祉機器給付制度の整備は、全てを公費負担とするのではなく、合理的受益者負担が検討されてよい。
また、高額な機器のとり入れに際しては、長期貸与制度を検討する必要もあろう。
イ 現行の補装具交付基準は、長期間改定されていないものもあり、種目、構造のほか基準額についても実態に即していないものがあるので、合理的な交付基準設定方式を確立し、常時研究態勢をとる必要がある。

5、保健医療制度について
身体障害者のリハビリテーションは、医療、教育、福祉、就労等各分野に及ぶ諸技術が総合的に一貫性をもって進められなければならないものであって、多くの場合、それはりハビリテーション医療に始まるといえる。したがって、リハビリテーション医療の成否は身体障害者の生涯を左右する一面をもつものであり、その効果のもつ社会的経済的意義も少なくない。また、受療の機会の比較的多い身体障害者にとって保健医療を保障することは二次的障害等を予防するうえでも大きな意義をもつものである。

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(1) 更生医療について
身体障害者福祉法には、身体障害者の医療措置としての更生医療が福祉サービスの大きな柱の一つとして位置づけられている。しかしながら更生医療の給付の実態は、腎臓及び心臓を除く他の障害分野においては極めて低調である。その原因として、指定医療機関制度及び身体障害者更生相談所による判定手続の問題が指摘される。
指定医療機関制度については、専門的医療水準を確保するうえで有意義な制度であるので、制度の円滑な運用が図られるよう医療機関の地域分布等に配慮しつつ維持することが必要である。更生相談所における更生医療の要否判定については、その合理化について検討する必要がある。
(2) 身体障害者の保健医療ニーズについて
ア 現行制度における更生医療の在り方については引き続き険討を要するが、特に、人工透析等の内部障害者に関する医療給付だけで90%以上を占め、他の障害分野の適用実績は年々減少傾向にあるという実態に注目する必要がある。
このことは、保健医療制度の進展の結果である反面、身体障害者の医療ニーズの変化であることに留意しなければならない。
更生医療の大多数を占めている人工透析等の内部疾患医療は、機能の代償という面があるにしても、その本質的意味は、保健のための維持的医療といってもよいであろう。また、更生医療の適用例の減少しつつある他の障害分野の障害者の医療ニーズは、殆んどの自治体で実施されている重度障害者医療制度によって充足されつつある。このような現状を踏まえ、リハビリテーション法の立場から医療の在り方を再検討する必要がある。
イ 現在、更生医療制度における問題点の一つは、児童福祉法による育成医療の対象との間に整合性を欠くもののあることである。しかし、このような点については制度の根幹に触れる問題でもあるので、慎重に検討する必要がある。
ウ 老人保健医療制度が新たな段階をむかえている今日、障害者の保健医療ニーズの解明とその対応は極めて重要な課題となりつつあるので、そのあり方について体系的な検討を行う必要がある。
老人保健法による保健予防措置の状況を勘案し、身体障害者福祉対策としての対応を検討する必要があろう。
エ 身体障害者の保健医療ニーズからみて、当面対応を急ぐ必要のあるものとして重度障害者の歯科治療がある。現在行われている「口腔保健センター」の拡充推進と併せ、重度障害者の歯科治療に関する協力医療機関の確保に努める必要がある。
また、在宅障害者のみならず、施設入所者の保健医療についても、障害者は合併症に対する医療あるいは歯科治療について特に留意しなければならないので、単に嘱託医をおくということだけでなく、地域の医療機関の協力態勢を得る措置が必要である。
オ 身体障害者の保健医療ニーズに対応するためには、医療制度の改善に待つべきことが少なくない。リハビリテーション医療専門家の育成、各種医療機関におけるリハビリテーション体制の充実地域における医療供給体制の整備、リハビリテーション医療にかかる適切な対応等が望まれる。

第五章、行政推進体制について
1、法体系の整備
(1) 各種施策の法的位置付けの明確化
身体障害者福祉法に基づく福祉施策の主なものは、身体障害者更生援護施設への措置、更生医療の給付、補装具の交付、家庭奉仕員による世話、売店の設置、専売品販売の許可、身体障害者による製作品の購買といったものである。
しかしながら、現実に国が予算措置している身体障害者福祉施策はこれに限らず実態は著しく進んでいるのが現状である。特に在宅福祉サービスに関する事業内容には多様な施策が行われており、施設対策においても現行法に定めのない施設が数多く制度化されている。
これら施策のうち全国的に斉一性をもって実施される必要のあるものについては、施策体系の在り方を検討するとともに必要なものについては法的位置付けを明確にする必要がある。
(2) 法体系整備に当たっての検討課題
前章までに指摘した事項についての法制化に当たっては、特に次の事項に留意しつつ検討する必要がある。
ア 現行法の規定の中には、法制定当時から設けられているにもかかわらずその実効性に乏しいものがある。例えば「売店の設置」や「製作品の購買」等の規定がそれであるが、これらの規定の趣旨を積極的に生かすためには、その規定内容の近代化を検討する必要がある。
公共施設における売店設置、その関連業務の委託に当たっては、身体障害者の就労状況を勘案し、優先的配慮を行うこと。また、製作品の購買受注についても、官公需の優先受注に対する配慮により授産事業の振興を図ること等が考えられる。
イ 更生援護施設の体系の再編成に当たっては、利用者のニーズに即したものとするよう内容の近代化を図るとともに、必要に応じ名称を改めることも検討されてよい。また、種

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類毎の施設の利用対象者にかかる規定を明確にして、各施設が所期の目的を果すことのできるような配慮も必要である。
さらに、施設の運営主体の在り方、複合的施設の推進等能率的弾力的運営が図られるよう必要な措置を講ずる必要がある。
ウ 身体障害者のための福祉サービスには、年齢により、または給付内容によって施策の継続性を欠く状態にあることが指摘される。
これについては、特に児童福祉法、老人福祉法、老人保健法等との整合性、継続性に留意し、体系的整備を図る必要がある。
エ 特別児童扶養手当等の支給に関する法律に基づく施策である福祉手当は、重度障害者対策にとって重要な役割をもつものであることに鑑み、その性格及び位置付けを検討するうえで、法体系の合理的整備を行う必要がある。
オ 福祉施策の実施に伴う国、都道府県、市町村の各段階における実施責任及び費用負担関係を点検することも必要である。
特に全国的に同一水準を確保すべき施策については法定化、または国の助成策が必要である。また、施策の内容によっては地方公共団体の自主性に委ねるための予算一括方式を拡大適用することが望ましい。
カ サービス提供を低所得層だけに限らずニーズある身体障害者全体のものとするためには、合理的な費用負担制度の導入が考えられてよい。
更生医療、補装具、介護サービス、施設利用等の基本施策は公費負担を原則としつつも身体障害者の負担能力等の実態に応じた受益者負担の在り方を再検討する必要がある。
キ 身体障害者のニーズの多様化、処遇技術の専門化に対処するため各部門における専門従事者について、合理的弾力的な運営が行われることに配慮しつつ、その任用基準、配置基準を明確にする必要がある。
ク 国及び地方公共団体における各種審議会又は協議会においては関係行政機関、専門家、障害者代表の参加による討議を行い福祉施策へ反映させることのできるようなシステムを確立する必要がある。
ケ 障害原因の多様化、医学の進歩等に伴い専門的施策が実施される傾向があるが、そのような施策と身体障害者福祉対策との競合又は優先関係については調整を図りつつ円滑な実施を行う必要がある。
コ 以上のほか、法に基づく福祉施策を実施するうえでの身体障害者の権利及び義務に関する規定、身体障害者の居住地の認定及び実施責任に関する規定、法の施行に伴う指導及び監査に関する規定、施設設偶の許認可等について再検討のうえ必要な措置をとること。

2、専門従事者の養成・訓練及び資質の向上
(1)身体障害者福祉対策の質的向上のためのキーポイントとなるのは専門従事者の問題である。
我が国では、各種リハビリテーションサービスを行うための施策は一応の形態を整えているといえるが、これに従事する専門職員については質量ともに確保されているとはいい難い。
(2) 専門従事職員の質的向上を図るためには、当面次のような措置が必要である。
なお、以下のような措置を講ずるに当たっては、地域の実情に応じ、能率的・弾力的対応が行われるよう配慮する必要がある。
ア 行政各段階における専門職制の確立
・国及び都道府県における身体障害者福祉行政の実施に際しては、専門的知識をもった者を企画・立案に当たらせること。
・福祉事務所等の実施機関における福祉司等の専門職員について、適任者の配置を行うこと。
イ リハビリテーションセンター等における専門処遇体制の整備
・各施設等の処遇部門別の専門職種配置基準等を実態に即したものに合理化すること
ウ 専門従事者に必要な資格基準の明確化
・言語療法士(仮称)、義肢装具適合士(仮称)その他リハビリテーションを推進するうえで必要な専門職員の制度化を検対すること。
エ 専門従事者養成確保のための措置
・身体障害者福祉分野における需給関係の推移を見極めつつ、リハビリテーション関係技術者の養成施設を整備充実すること。
・身体障害者福祉分野への確保、定着を図るため、特別な助成措置等を考慮する必要があること。
オ 現任訓練のための研修の充実
・これを行うべき中核的機関としての国立身体障害者リハビリテーションセンターに、実地研修を含む現任訓練体制の整備充実を図ること。

3、行政組織機構等の整備
(1) 国レベルにおける体刑制の整備
ア 身体障害者福祉対策は、長期的観点に立ち計画的かつ総合的実施が必要とされる状況があるので、これに対応できる体制を整備する必要がある。特に児童・成人、老人等に対する制度的タテ割り行政の弊に陥らないよう関係行政分野との連携を保つことのできる体制をつくる必要がある。
また、リハビリテーション事業の量的拡大及び専門化の進行に対応するため、一般身体障害者行政の企画指導と、専門的リハビリテーション実施に対する指導部門を分離独立し専門性の確保に努める必要がある。
イ 身体障害者対策は医療、年金、福祉機器、

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社会福祉サービス等の各分野にわたるので厚生省内においても積極的プロジェクトチームを設置するほか、関係各省庁との連携体制を確立する必要がある。
ウ 身体障害者福祉対策の効果的推進を図るためには民間の活力を必要とするので、身体障害者福祉審議会の充実を図るほか学際的プロジェクトチームの設置や社会福祉事業団体、ボランティア団体。身体障害者関係団体との協力体制をとる必要がある。
(2) 地方公共団体レベルにおける体制の整備
ア 都道府県における行政運営についても国と同様な状況があるので、各専門領域の総合調整に着目した組織の再編成等により機能的な運営を行う必要があること。
イ 身体障害者更生相談所の在り方
更生相談所は身体障害者に対する福祉の措置に伴う技術的評価判定のための中枢機関とされているが、その現状は人的、設備的に不十分な状況にあり、その在り方が問題とされている。
更生相談所における業務の現状は、医学的判定(更生医療の要否、補装具の要否及びその処方並びに適合)、心理学的及び職能的判定(主として施設入所の適否)、在宅障害者訪問診査等の地域リハビリテーションサービス、その他情報資料の収集提供、各種技術の研究のほか各種・障害認定事務となっており、身体障害者の更生援護に極めて重要な役割を有しているので、次のような方法によりその機能の発展強化を図ることが望ましい。
更生相談所の本来的機能を、各県で整備の進められている総合リハビリテーションセンターへ統合するとともに、併せて身体障害者認定事務を行わせることも検討される必要があろう。また、他法による障害認定機能を受託することも検討されてよい。
なお、その統合に伴い総合リハビリテーションセンターとして地域リハビリテーションサービスの中核的機関の機能をもつこととなる。
これら機能の整備とともに人的配置についてもその見直しを行う必要がある。
ウ 福祉事務所の実施体制の整備
福祉事務所は身体障害者に対する福祉サービスの第一線の窓口として各種施策の的確かつ迅速な事務処理、各種相談業務等における専門的対応、措置ケースのフオローアップ、関係諸機関との連携等を業務としている。
これら業務に対応するため、専門的指導を行うものとして身体障害者福祉司をおくこととされているが、多様化する地域身体障害者のニーズに対応するためには、的確な事務処理とともに専門的知識技能を要求されるので、地域の実情に応じ身体障害者福祉司及び現業職員を確保することが極めて重要な課題である。
なお、これら従事職員に対する研修の実施に配慮するとともに手話通訳を行うことができるようにする等、サービスの向上につとめる必要がある。
エ 地域における福祉推進体制の整備
(ア) 身体障富者福祉事業の推進に当たっては、各種リハビリテーションサービスの実施及び生活環境条件の整備が重要な課題であるこれら諸事業を遂行するためには、各基礎自治体を単位とする街ぐるみの努力、例えば障害者福祉都市推進事業や地域リハビリテーション協議会活動の推進が重要であり、そのための推進体制を整備充実する必要がある。
その際、これら推進団体には身体障害者自身の参加を求めるとともに、在宅福祉サービスの有力な担い手である地域社会福祉協議会等の協力を得ることが肝要である。
(イ) 身体障害者は地域住民の数パーセントに止まるといった状況があるため、独自のサービス供給体制をとることは行政効果からみて適切でない場合もあるので、福祉サービスの実施に当たっては老人福祉サービス等との総合実施を進めることも検討される必要があろう。
(ウ) 地域における身体障害者の多様なニーズに対応するため身体障害者相談員は極めて重要な役割を果たしていることに鑑み、その合理的配置及び研修の実施等に努める必要がある。

第六章、その他関連施策について
本審議会の検討過程において、身体障害者の自立生活に関連するものとして、所得保障及び生活環境改善の問題は極めて重要なものとして認識されたので、これらの問題について付言しておく。

1、所得保障について
(1) 身体障害者が社会的に自立する生活を営むための前提条件は経済生活の安定にある。稼得能力が著しく低下し、又はそれを失った障害者の経済的保障については、年金等の充実が必要である。
(2) 年金制度は障害者の経済的保障のうえで大きな役割を果たすものであり、今後ともその充実を図られることが望まれる。
しかし、現行の年金制度は社会保険方式をとっているので、制度に加入していない障害者等、現行年金制度の中だけで解決することが困難なケースも存在する。
中央心身障害者対策協議会の提言にもあるように、障害者の自立生活の基盤を確保できる所得保障を確立するよう努めることが必要であり、当面は、障害者のニーズの実情に別

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した所得保障が行われるよう、年金、手当等の制度の中で可能な改善を図ることが望まれる。
(3) 収入が不十分なままに地域で自立した生活を営む障害者は現状では生活保護制度を依りどころとすることになる。
生活保護制度による一般的な保障の内容は一応別としても、障害者の個別的ニーズに対応するためには、他施策による介護対策等の動向をも踏えつつ改善する必要がある。
また、制度の運用に当たっては、障害者の立場を十分理解した取扱いが望まれる。
(4) 福祉手当制度は、常時介護を必要とする在宅障害者(約37万人)に対し月額1万円を支給する制度であり、年金制度をはじめ他の諸施策との関連にも配慮しつつその改善を行う必要がある。
(5) 現行の身体障害者にかかる税制上の措置については、社会福祉諸施策の推移とも関連しつつ検討を続けていくことが適当であろう。

2、生活環境改善の方策について
(1) 障害者が地域社会で生活していくについて、いくつかの障壁がある。その主要なものの一つは公共的施設や交通システム等の物的設備環境の障害者に対する配慮が必ずしも十分でないことである。
その二は、無知や差別的偏見に基づく一般市民の障害者に対する理解の欠如である。その三は、社会的経験を積む機会の乏しい障害者の生き方の問題である。
(2) したがって、障害者の住みよい環境づくりを進めるためには、単に物理的障壁の除去のみならず、これら諸問題を総合的に改善するための方策が検討され実践されなければならない。
(3) 物理的環境整備については、身体障害者の利用を考慮した街づくりのための行政施策や住民の運動が進展しつつあるが、更に環境整備のための指針を作成する等により、これを全国的なものとすることが望まれる。
この場合、公共建築物の整備改善に当たっては、身体障害者の利用を配慮した設計を行うとともに、公共的性格の強い民間の建築物についても適用できるような設計標準を確立することが必要となろう。
この問題は物理的改善だけでなく、市民の理解と協力が強調されるべきものであるので、有効な推進策としての「障害者福祉都市推進事業」の推進に努め、更に、これが短期間に終わることのないような措置が必要である。
(4) 意識の啓発に関しては、教育面及び広報面での活動強化が望まれる。
・教育の分野においては、幼少年時代からの障害者問題に対する理解の促進
・行政関係者の行政運営姿勢における障害者問題に対する理解の促進
・国、地方公共団体、社会福祉協議会等民間団体における広報活動の強化
・身体障害者福祉審議会による優良図書推せん等の有効活用
・身体障害者福祉週間の設定によるキャンペーンの実施
(5) 障害者自身が地域における自立生活に必要な社会性及び生活能力を身につけることのできる機会の拡充強化を図る必要がある。
・リハビリテーションセンターにおける自立生活訓練の重視
・福祉センターの活用による相談、教育、交流の充実
(6) 一般市民の理解を深め、障害者との交流の機会を広げる活動の中心となるボランティア活動を促進する必要がある。
障害者に関するボランティア活動には専門的知識技能を要するものがあるので、その養成、研修の機会を拡充する必要がある。

結語

以上、最近における諸情勢を踏まえつつ「今後における身体障害者福祉を進めるための総合的方策」について述べた。
本答申においては、第1章から第3章までは身体障害者福祉の理念、対策の目的と課題、今後の基本的方向、対象とすべき身体障害者の範囲等について提言を集約した。
これらは相互に深く関連する問題であるが、提言を取りまとめに当たって最も論議を尽くした分野である。
ここでは、身体障害者福祉の基本理念は障害者が人格の尊厳性をもちその人間的権利を回復する存在であるというリハビリテーションの理念を確認するとともに、福祉思想の発展としてのノーマライゼーションの考え方に基づく政策の展開を期待し、更に「完全参加と平等」を掲げた国際障害者年行動計画の理念に則るべきことを明らかにしたものである。
このような基本理念に基づき、身体障害者福祉対策の目的と課題について更生の可能性に着目した施策のみならず、併せて自立することの著しく困難な身体障害者に対する方策の重要性を指摘した。
これらの検討を通して、対象とすべき身体障害者の範囲が重要な問題とされた。障害原因の多様化、障害者の重度化、医学の進歩等によってもたらされた障害概念の今日的認識を反映させ、身体障害者の範囲の把え方に若干の改善の必要性あることを示すとともに、その程度等級評価の方式にもいくつかの改善点を指摘した。
特に身体障害者の範囲については、内臓障

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害者や重複障害等に重度障碍者への対応を適切に行いうる方式に改めるとともに、程度等級の評価に当っては身体の損傷の程度に加えて日常生活活動能力を重視すべきこと、また身体障害者手帳についてはリハビリテーションプログラム又はその効果測定等の内容をもつものとするよう提言した。
次に、今後における身体障害者福祉対策の具体的事項については第4章において検討されたが、その体系的整備の重要性を第一に指摘している。
在宅福祉対策の方向としては、家庭や地域での自立生活を目指す身体障害者にとっての基礎的条件となる住まいをはじめ、介護、日常生活用具、基礎的生活訓練について改善すべき諸点を具体的に指摘するとともに働く場の確保の重要性についても触れたところである。また、身体障害者の社会参加を促進するために重要な要素となる移動を保障するための諸施策及び余暇文化活動についても具体的方策を示した。
更に、在宅福祉対策を効果的に展開していくためには施設もまたその地域社会における福祉サービスの重要な構成要素であるとする観点から現在の身体障害者更生援護掩設の体系を再編成するための将来方向案を示した。
また、脳性マヒ者等の全身性障害者については自立生活の場を実現しうるような施策が重要であるので、そのための調査、研究、実践の必要なことを指摘した。
補装具制度については、本来の補装具のみならず日常生活用具、自助具、社会生活用具を恵む福祉機器としての観点から概念整理を行うとともに、支給システム、機器の評価、研究開発等についての方策を具体的に示した。
保健医療については、リハビリテーション医療の在り方、重度障害者の歯科治療といった当面の課題について指摘した。
第5章においては法体系の整備、専門従事者の養成・訓練・行政機構等の整備について今後緊急に検討すべき課題を指摘した。
現行諸施策のち全国的に斉一性をもって実施する必要のあるものについては法的位置づけを明確にすべきこと。現行法における規定内容の近代化、費用負担規定の再検討、他法との調整関係等法体系の整備上検討すべき問題を指摘した。
また、専門従事者の問題に関しては、リハビリテーション実践の各部面における専門職性の確立の必要性とそのための方策を示した。
更に、行政組織機構等の整備に関しては、特に身体障害者更生相談所の在り方として、総合リハビリテーションセンターにその機能を統合する等によりその機能を強化し、障害認定事務及び地域リハビリテーション活動の中核となるべきことの必要性を強調した。
第6章では、特に身体障害者の自立生活の促進に重要な意味をもつ関連諸施策として、所得保障の問題、生活環境の整備及び意識啓発の問題に言及した。
以上が本答申の骨子である。戦後30年余にわたり積み上げられた我が国の身体障害者福祉対策はそれなりに効果を発揮し、施策の種類は欧米諸国におけるそれと比較しても遜色ないものとなっているが、今後これらを内容的に充実発展させるだめには、制度的な見直しを含め体系的に再編成することがどうしても必要である。また、これら諸施策の実施に当たるのは組織であり人であるが、一施策の効果的運営のためにはその推進体制が大きく影響することはいうまでもないであろう。
行政改革に対する世論の関心の高まりとともに、福祉対策についても民間の活力を期待することを含めその見直しを迫られているが、特に国際障害者年を契機として障害者問題に対する認識の深まりつつある今日身体障害者福祉対策についても長期的展望に立つ基本的な再検討を行い、今後における施策の推進を期せられるよう切に望むものである。

(注)
1、環延性意識障害者
意識障害を来す状態は種々の疾患に起因するが、通常みられる意識障害は病期の経過とともに改善され覚醒に至るか或は増悪し死に至るかのいずれかである場合が多い。
しかし、脳実質の器質的障害等が原因となり意識障害が遷延し、かつ、生命の維持される場合がある。特に顕著な場合は「植物人間」「植物状態患者」と呼ばれ、遷延性意識障害者と共に、人間としての精神生活を営むことの不可能なものに限定した用語として用いられている。
具体的には下記各項を満たし概ね3カ月以上同状態の継続するもの。
(1) 自力移動の不能なもの
(2) 意味のある発語を欠くもの
(3) 意志疎通を欠くもの
(4) 視覚による認識を欠くもの
(5) 原始的な咀しゃく、呑下等の可能なものでも自力での食事摂取不能なもの
(6) 排泄失禁状態のもの

(参考文献)坂本哲也、児玉南海雄、鈴木二郎、平賀旗夫、小沼武英、植物状態患者の経時的脳波の検討
(昭和50年度厚生省特別研究)

p37
2、保護雇用
完全雇用対策の一環として、一般雇用と福祉的就労(作業活動を含む)との中間に位置づけられる制度である.
障害の性質や程度等の理由により、通常の条件下での就労が困難な障害者に対し、人的・物理的・財政的な配慮を加えるごとで成立せしめる雇用をいう。
保護雇用を実現せしめ場として保護工場、在宅雇用および(一般事業所就労で保壌雇用と類似の財政構造をもつ)準保護雇用がある。
保護雇用は障害者の状況により、一時的または恒久的に活用されるが、可能な限り一般雇用に移行するよう援助されるものである。
保護工場で提供される職業リハビリテーションサービスには職業カウンセリング、職能評価、職場適応訓練、職業訓練等がある。
(参考)lLQ第99号勧告(1955年6月22日)
保護雇用
32(1)権限のある機関は、適宜民間団体と協力して、雇用市場における通常の競争に耐えられない身体障害者のための、保護された状態の下で行なわれる訓練および雇用のための施設を設けかつ発展させる措置を取るべきである。
(2)前記の施設は、身体的、心理的または地理的理由によって規則正しく作業に往復することができない身体障害者のための保護作業施設の設置および特別措置を含むべきである。
33保護作業施設は、実効的な医学上および職業上の監督の下に、有用かつ収入を伴う作業ばかりでなく、可能なときは通常の雇用へ転換することができるような職業上の適応および進歩の機会をも提供すべきである。
34自宅を離れることができない身体障害者のための特別計画は、実効的な医学上および職業上の監督の下に、自宅において行なう有用のかつ収入を伴う作業を提供するように組織しかつ発展させるべきである。
35賃金および雇用条件に関する法規が労働者に対して一般的に適応されている場合には、その法規は、保護雇用の下にある身体障害者にも適応すべきである。

3、CIL(Center for Independent Living)
1960年代の米国障害者人権運動の産物として、1978年のリハビリテーション法改正時に法制化された障害者自助機関である。
自立生活(IL)とは、四肢麻痺など重度の障害者が介助者や補装具等の補助を用いながらも、心理的には解放された責任ある個人として主体的に生きることである。
この自立生活を障害者の相互抹助により達成するための機関がIndependent Living Centerで、自立生活(相談)センターと訳される。
様式としては、(1)自立生活相談センターだけのもの(2)相談センターに附設される自立生活機能センターという通過機関を伴うもの、さらには(3)障害者アパートを附設するもの等様々で、形態の統一はない。
CILが提供する援助内容には定形はないが、次のものの一部又は全部が利用する障害者のニーズによって決められ、提供される。
(1)自立生活のための相互カウンセリング(2)自立生活訓練と指導(3)介助者の募集、訓練、紹介(4)法的権利擁護活動(4)在宅サービス(6)交通等移動手段の援助(7)健康管理(8)レクリエーション機会の促進提供(9)車イス、装具等の即時修理
4、総合リハビリテーションセンター
(1) 障害者のリハビリテーションは、その全人間的復権のための医療・教育・職業・心理社会の各分野にわたる技術的、社会的および政策的な社会全体の対応が総合されて達成される。従ってリハビリテーションの実施においては、それぞれの専門分野による必要なサービスが有機的に連携され一貫して提供されることが肝要である。
(2) 現在、身体障害者に対するリハビリテーションサービスは、身体障害者福祉法についてみても10数種類の施設によってそれぞれ個別に提供されており、障害者にとっては必要なサービスを迅速に得ることが必ずしも容易ではない。また、機能別、対象別に分かれている専門機関間の連携や活用についてもその調整機能が不十分である。リハビリテーション活動の中枢的機関として更生相談所があるが、人的、設備的に不十分な情況にあり再編強化が望まれている。
総合リハビリテーションセンターは、こうした問題解決のための一方策である。
(3) 総合リハビリテーションセンターの機能は次の5つから構成される。
その第1は、評価・判定にある。評価判定は、障害者のリハビリテーションニーズを的確に判定して、目標とプログラムを設定し、障害者自身と家族に問題解決に当って必要とする情報と援助を提供するリハビリテーション活動の出発点であり、かつ継続的にくり返えされるプロセスでもある。
第2は、専門サービスの提供と確保てある。センターは、それ自体が有する機能と、他の専門諸機関との連携によって必要な専門サービスを確保する役割をはたす。このためセンターの有する機能として、医療から訓練まで一貫したリハビリテーションサービス体系を

p38
もつことも一方法である。また他の専門諸機関との連携調整機能を充分に発揮して、必要なサービスを確保し活用することによっても総合センターの機能をはたすことができる。
第3は、専門従事者の養成訓練である。センターは、地域における需給状況を把握して専門従事者の養成と訓練の機能をもつべきであり、専門サービスのレベルの向上のために、実習の場を提供するなど積極的な役割りをはたす必要がある、
第4は、リハビリテーションに関する調査・研究と情報の収集・提供である。リハビリテーションは諸科学や様々な社会活動のうえに成立するので、必要とされる情報は広範多岐にわたり、調査・研究もきわめて重要である。センターはこの分野においても中核的存在となることが望まれる。
第5は、地域リハビリテーション活動の育成と援助を行うとともに、その拠点となることである。
センターは、リハビリテーション機関によるネットワークの中心的役割りをはたすとともに、障害者団体を含む民間諸活動の援助と育成についても積極的役割りをはたすことが期待される。
(4) 総合リハビリテーションセンターは、そのもつ機能と役割からして、都道府県、指定都市が主体となって広域的に整備される必要がある。
なお、必要によっては公立民営とすることも検討されてよい。

第一回富山市との確認会報告集ができました。
・今後の闘いのためにも必読の本です。
・他人のを見ずに自分で買おう
頒価三〇〇円
「絶賛発売」

写真省略(校正者注:「富山市差別行政糾弾闘争 第1回確認会(82.12.5)報告集とタイトルがついた冊子の表紙が掲載されている)

裏表紙(奥付)
編集後記
今回は、中央身体障害者福祉審議会の答申を中心に編集しました。第七回大会後すぐに掲載する予定でしたが、量が多くタイミングがはかれなかったので遅れ、申しわけありません。身体障害者福祉法の改「正」は、政府―権力者の障害者政策の長期展望を明確に示し、それは地域管理体制の法的強制力をもちます。
私たちは、富山をはじめとする差別行政糾弾闘争、第八回大会での「障害者解放基本要求要綱」作りをとおし、この攻撃と対決する理論と陣型を作りあげていきましょう。

全国機関誌は、録音テープの貸し出しもしています。本来は、点字機関誌を作らねばならないのですが、財政的にも人的にも困難です。とりあえず録音テープの貸も出し(ダプリング自由)をし、なるべく早く点字にするよう考えています。

次号から活字を大きくし、読みやすくする予定です。乞う御期待。

全障連全国闘争スケジュール
2月
6/富山市差別行政糾弾闘争、第2回確認会(総決起集会 午前9:30 富山市立図書館/確認会 午後1:00 同)
15/丸八真綿差別事件糾弾闘争糾弾会(午後1:00 大阪部落解放センター)
16/刑法―保安処分の日弁連―法務省意見交換会糾弾闘争
26/金井康治君の花畑小完全転校実現にむけた集会
27/石川重朗君・飯田東小転校実現全国闘争

3月
6/赤堀差別裁判糾弾全国集会
18/刑法改悪保安処分新設阻止全国総決起集会

挿絵省略

全国障害者解放運動連絡会議(全障連)
全国機関誌 No.26/27合併号
発行日/1983年2月20日
発行人/東京都豊島区巣鴨3丁目34番3号フラワーコーポ303号 全障連全国事務局
電話 03-918-8572
中川 (注記)(校正者注:(注記)は印字が擦れて判読不能)
発行責任者/大阪市東成区中本1丁目3(注記)(校正者注:(注記)は印字が擦れて判読不能)9 森の宮215号 全障連全国出版部
電話 (校正者注:電話番号の印字が擦れて判読不能)
頒価 二〇〇円

作成:山口 和紀

UP:20220627 REV:
全障連『全障連』(全国機関誌)目次障害者(運動)史のための年表
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