『全障連』No.13―?S56
last update:20220625
■しかく文字起こし
表紙
SSK 全障連
全国障害者解放運動連絡会議
No.13
SSK増刊通巻第871号
昭和46年第3種郵便物認可
昭和56年10月27日発行(毎月6回5、0の日発行〉)
写真省略「全障連第6回大会風景(81.8.1〜2/豊中南桜塚小)2500人が集結」
目次
全障連第六回大会の成果をふまえ、更に障害者自らの反差別闘争の強化を!
新代表幹事にあたって 中川一二三...1
大会総括の視点・事務局長・西岡 務...2
各分科会の報告と総括点...3
交通・生活/教育・保育/労働/施設/医療/赤堀闘争
国際障害者を全障連運動の前進に導こう―
国障年対策連絡会議の活動報告と今后...8
大阪連絡会議の活動について...10
奈良でのとりくみ(奈良「障」解研)...11
赤堀差別裁判糾弾!―刑法改悪
保安処分新設粉砕!の秋期大闘争を全力でかちとろう(赤堀小委)...13
生活―合宿討論→厚生省交渉に参加を...12
労働―職よこせ集会→労働省交渉の案内...10
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全障連第6回大会(81.8.1〜2)2500名の結集をもって大成功をかちとる―
大会成功の成果をふまえ、更に障害者自らの反差別闘争の強化を!
強まる差別・抹殺攻撃に、体をはって闘おう
新代表幹事にあたって 中川 一二三
私が障害者解放運動と出合ったのは今から七年前でした。当時の自分にとって、その考え方は、何となく判るような気がしていましたが、そこにある言葉や文字の一つひとつは始めて接するものばかりでした。まさに漢字を知らされていない人が、飛びとびにあるひらがなだけを拾って全体を理解しようとする時と同じようでした。
その時からかも知れません。「運動は判りやすいものでなければ、その広がりはかちとれない」という信念を持ったのは。
この第六回大会には、始めて全障連大会に参加したという障害者が多くいました。ここ二・三年、全障研を始め、これまであった障害者組織は、今、行政の巻き返しに会い、完全にその方向を失ってきています。そして、その組織下にいた人達は、自分の行き場を失ってしまいました。そこで今、新たな活動場所を求めて全障連に来たという人達も少なくはありません。
私たちは、結成当時から一貫した方向性と思想性を貫き通し、今後は更に実践を積み重ねる事によって障害者運動の中心を担い、実践の中で各地域の隅々の障害者との関わりを創り出し、その要求を共に実現していかなければなりません。
しかし、組織によって受皿を作り、そこに障害者をハメコムことを決っして行なってはなりません。あくまで自らの手で闘い取れる情況を創り出すことが、今、求められているのです。
一方、全障連の重要な柱である、行政―権力との対決もこれまで以上に強めなければなりません。国際障害者年という絶好の機会を得た彼らは、「一億総ボランティア」に名を借りて福祉切り捨てのツケを一般大衆に回し、その分軍事費を増額するという、まさに反動化の道を突っ走っています。とりわけ保安処分の新設、養護学校義務制によって、「精神障害者」をはじめ、総ての障害者を社会から完全に抹殺しようとする攻撃を、私たちは自らの身体を張って阻止しなければなりません。
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私たちは、こうした闘いを障害者自身が創り出す、障害者の闘いとして確立していくことを、今後の課題としたいと考えています。これまでの、健常者が作ってきた既制のものにとらわれない、障害者独自の闘いを創り出してこそ、始めて全障連運動の位置が高まるものだと思っています。
全障連も結成六年を迎え、その社会的位置は大きくなっています。この六回大会において、豊中市職労、同教組始め、総評労働組合部落解放同盟・多くの共闘団体の支援は大きな力となり、今後こうした関係を各地で獲得することが望まれており、全障連として新たにうち出した、障害者の生活保障・労働権獲得の闘いをかちとっていく為にも、こうした労働者・労働組合との関係を作り出していかねばなりません。
これまで進めてきた、差別と闘う仲間との連帯・共闘を強め、単に互いの闘争に参加するだけでなく、互いの課題を共有化できるような場作りを日常的なものとして行っていきたいと考えます。
全障連にとって、これまでの六年は、新たな障害者解放運動を創り出し、それを確立してきた時期でした。今後は、まさに、それを拡大し、強固にしていくことが要求されています。更に、内部的には、組織体制の確立・拡大・強化が問われ、郊外的には、各被差別団体との連帯・共闘が望まれ、それなくして障害者解放運動の大きな前進はないでしょう。
こういう時に代表幹事の任を担うことは重責に押し潰される不安もある反面、やりがいのある時期だと言えます。とりあえず、この一年、思う存分やってみたいと思っています。皆さんの協力と支援をお願いします。
仲間の皆さんの強い力を背景にしながら、障害者解放運動の前進をめざして。
障害者解放運動全体に責任をもった政策論と大衆運動論を確立しょう!
大会総括の視点提起― 新全国事務局長 西岡 務
八月一日・二日、大阪豊中市という地域の中で行なわれた、全障連第六回大会は、参加者二五〇〇人の結集で成功の裡に終えることができました。
今大会は、障害者解放運動の展望を明らかにするべく、解放に向けた政策作りと、理論の整理、そして全障連運動の大衆化をめざして行なわれてきたものと考えます。とりわけ、国際障害者年を契機とした政府―支配者側の行なおうとしている、「地域福祉論」に基つく管理体制の強化と障害者運動の囲い込みに対決する、全障連運動の深化と強化が求められた時期だと言えます。
また、新宿バス放火事件や、通り魔殺人をかっこうの材料とした、刑法改悪―保安処分新設策動の攻撃、渡部昇一に代表される差別、抹殺の優生イデオロギーの強化、母子保健に名を借りた「障害の発生予防」=障害児殺し等の露骨な攻撃がかけられています。障害者運動の徹底した分断と弾圧をしようとしてきているのです。こうした攻撃に対し、障害者解放闘争の明確な立場と、闘う姿勢、展望を更に鮮明にすべき時でもあったのです。
こうした情勢の中で、私達は、全体基調の中で国際障害者年に関わる評価と分析を加え更に、生活・労働・教育を始めとして、各分科会基調によって、私たちの具体的な考え方政策作りに向けた討論素材を提起してきました。しかしながら、分科会討論全体を通してまだまだ充分に論議がしきれていないのが現状だろうと考えます。これは、大会参加者の目的意識が非常に多様化していることに一つの要因があると考えます。もう一つは、やは
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り交流会という、それぞれの闘いをもちより交流を深めるという性格によるものです。というのは、交流大会は基本的に様々な立場による様々な闘いを報告しあい、共通認識を作ることが求められますが、全障連運動の発展は一方で共通認識の上に立った統一の具体的活動方針を求めており、それぞれの目的意識が充分かみ合ってこなくなっていると考えられるからです。これらの問題を克服していく為にも、卒直に反省しなければならない点として、基調の作製があまりにも遅れてしまい、大会当日にしか渡すことができなかったことです。来年度からは、大会前に基調がみなさんの手に渡り、論議・検討ができるよう是非実現したいと思います。もう一つは大会参加者の意識の多様化に対して、分科会のもち方を検討したいと考えます。そして全障連運動の強化・発展にむけて責任もった討論ができるよう考えたいと思います。
一方、全障連の大衆化という課題については、例年になく巾広い労働者・労働組合との共闘・支援を始め、各民主団体の結集もかなり計られました。大会参加者の層をみても、始めて障害者運動に接するような人達までも参加をしてきており、全障連運動の大衆化は着実に進んでいるものと考えられます。地域別にみると、これまで参加の多かった地域・障害者運動の活発だった地域から予想より結集が少なかったことに注目しなければならないと考えます。障害者運動をやりきっていた所が低滞状況にあり、新たな方向性が求められているでしょう。やはり、障害者運動の全体と、解放にむけた政策論・運動論が求められていると考えます。
この大会で見せた大衆的広がりと、社会的評価は、行政としても無視できないまでに至っており、大会への援助金を大阪府下のほとんどの市町村から拠出させ、また大会への激励あいさつをもさせています。これは、今後全障連運動が具体的に行政を変革させていく一つのステップと認識されるでしょう。
今大会でかちとってきた社会的評価と巾広い大衆性を更に強化、発展させ、提起された政策論・運動論を真に確立させるべく、次回大会まで組織的にとり組む考えです。来年、岡山で予定されている第七回大会にむけ、新たな討論を準備されるよう、みなさんに訴えます。
各分科会の報告と総括点
生活・交通分科会(A記)(校正者注:「生活〜(A記)」大文字)
今年の生活分科会は、これまでの大会以上に障害者の参加者が集中したようである。それは、障害者自身が自分達の身近かな問題から出発しなければならないという意識の現われだととらえ評価しなければならない。
今回の生活分科会は、交通問題を入れて、所得・住宅保障、それに介護の保障として?介護のあり方、?介護制度の獲得、?介護人派遣センター構想と、全部で六分散会に分けて行った。しかし、こうした分け方に疑問も出され、今後考えていく必要があるということになった。
次に、生活分科会の基調について、今回できるだけ各分散会で討論を深めようということにしていたが、充分達せられなかった。その原因は、基調案文章が当日配布されたため深めて検討するのは無理があり、今後は少なくとも大会前半月前にあらかじめ渡せるようにしなければならないと確認した。
また、レポートを各分散会にふり分けたがあまりうまくいかず、レポートのない分散会もあれぱ、十以上あった分散会もあった。レ
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ポートのない分散会では制度の説明が中心になり、レポートの多い分散会では大部分の時間を報告にとられてしまった。今後、レポートの集約と分散会のもち方についても充分考えていかなければならない。
なんといっても、まだ基調報告などが、各ブロック、各団体で討論される時間も場も作られておらず、また生活小委員会内部でも、基本的方向は出せても具体的運動方針について意志一致できていないことが原因としてある。
以上をふまえ、今後、生活運動を進めていく為には、各地域での運動を具体的に拡めていかねばならない。ただ単に分科会で討論を行っていてもあまり運動になっていかない。今後は、小委員会で目標を定めて提起していかなければならないことが確認された。
教育・保育分科会(K記)(校正者注:「教育〜(K記)」大文字)
教育分科会は例年同様、他のどの分科会をもはるかにしのぐ多くの仲間が参加した。今年は課題ごとに五つの分科会を設け、このうち特に人数の多かった第三分散会を二つに分け結局六ヶ所に分かれて活発な討論が進められた。
さて、第一分散会のテーマは、障害児保育をめぐる諸問題と障害者解放保育の方向性を探る事であったが、事前の準備不足もあってレポートが殆んど出されず、したがって討論も散漫なものとなってしまった。そんな中で実際に障害児が入っていても健常児の集団の中にきっちりと位置づけられず切り離されがちな状況や、保母集団全体の課題になりきれない事、障害児保育の具体的な方向性が不明確な事などが浮きぼりにされ、今後の課題として確認された。
第二分散会は、就学斗争をテーマとし、特
全国役員・各ブロック幹事の紹介(81・8〜82・8)
81年度全国役員(校正者注:「81年度全国役員」太字)
全国代表幹事 中川一二三(中四ブロック)
副幹事 楠 敏雄(関西ブロック)平井 誠一(北陸ブロック)
事務局長 西岡 務(関西ブロック)
次長 矢内 健二(関東ブロック)
相談役 八木下浩一(〃)
81年度各ブロック幹事(校正者注:「81年度各ブロック幹事」太字)
東北ブロック 富山哲夫(宮城)・大友茂光(宮城)・梅津政一(山形)
関東ブロック 猪野千代子(東京)・鈴木利子(千葉)・矢内健二(東京)
北陸ブロック 犬塚和子(石川)・河上千鶴子(富山)・平井誠一郎(富山)
東海ブロック 戸田二郎(岐阜)
関西ブロック 大島秀夫(大阪)・西岡務(大阪)・楠敏雄(大阪)
中四ブロック 三原正士(徳島)・中川一二三(岡山)
連絡先(校正者注:「連絡先」太字)
全国事務局 関東ブロック事務所
東京都豊島区巣鴨3丁目34の3 フラワーコーポ三〇三号 03(918)8572
全国出版部/関西ブロック事務所
大阪市東成区中本一丁目3-6 ベルビュー森の宮二一五号 06(974)0791
関東ブロック事務所
仙台市小田原2丁目2-43
佐幸ビル四〇三号 0222(95)8478
北陸ブロック連絡所
富山市大町西部52番 サンの会気付 0764(91)3385
東海ブロック連絡先
岐阜県羽島群笠松町円城寺六〇〇戸田方 05838(8)1864(昼)/05821(71)4643(夜)
中四ブロック連絡先
岡山中央郵便局私書箱4号 岡山障害者解放委員会気付 0862(23)5726 (校正者注:「全国役員〜5726」四角囲み)
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に今なお困難を強いられている金井康治君や石川重朗君の転校斗争を中心に討論が進んだ。ここでは例年どうり行政の厚い壁や現場教師集団の拒否的姿勢を如何にして打ち破るかといった課題について討論が集中したが、こちら側の論理と斗う陣型の拡大、強化以外に道がないとの確認に基き、地域に根ざした斗いを作り出すための具体的な提起がなされるなど一定の前進をみる事が出来た。
次に第三分散会は普通学級に於ける学習保障をテーマに、二つの小分散会に分かれて論議がなされたが、特にB小分散会に於いては、学習保障に焦点をおくべきか、子ども同志の関係作りに集中すべきかといった討論。教育実践に力を入れるのか、労働者としての斗いを重視するのか等の課題について活発な論議がかわされた。もちろんこれらの議題は、本来対立させるべき内容ではないが、しかし実際に取り組みを進めるうえでは、やはり視点の置き方によって相当の差異を生じる事も事実であり、したがってより実践的、具体的な内容の深化が求められよう。その他障害児自身の自己主張をいかに保障するのか。いかにして教師集団全体の課題へと押し上げるのかなどについても報告や討論か行なわれた。
第四分散会は、障害児学級に於ける問題点をテーマに討論が進められたが、やはり「学習保障」の名の下に全体から隔離されがちな障害児学級の現状とその逆に学力中心の普通学級ではなかなか受け止められない事へのジレンマなどが提起されたにとどまった。
第五分散会は進路保障をテーマに報告と討論がなされたが、中でも公立高校への障害児の入学が中心的課題となり、二〜三の具体的取り組みが出されたが、むしろ大半は高校入試制度の厚い壁に阻まれており、それを突破するための幅広い運動の必要性が確認された。しかし、いづれにせよ松原の例が示すように小・中段階からの集団作りの中味が進路の課題を通じてより鋭く問われる事は明白といえよう。
全体として、今年は昨年よりも内容が具体性をおびており、その意味では前進がみられたといえるが、まだまだ事前の意志統一や準備不足で出席者の期待に充分に応えきれていなかった事が重大な総括点として挙げられよう。又、障害者自身の参加がこの分科会は年々減っており、障害者自身からの提起が少い事も問題といえよう。やはり今後は小委員会活動の充実と各地への波及を、何としても押し進め、学習の蓄積なども計って、中味の深化を克ちとる事が急務であろう。それこそが私たちのめざす「障害者解放教育・保育研究会」の結成へ道を開く事になるであろう。
労働・作業所分科会(O記)(校正者注:「労働〜(O記)」大文字)
昨年と同じく「労働権奪還(就労・解放作業所)闘争を押し進め、働く障害者の団結と連帯をつくり出そう!」をテーマに、南桜塚小学校で、第一(就労)・第二(解放作業所)の分散会に分れてもたれました。
今年は例年と違って、労働者の参加が多かったようです。
第一分散会では、豊中市への就労闘争を闘っている三上さんと、NHK就労闘争の堀田さんのレポートが出されました。この他、参加者の中から、障害者雇用のとりくみ、障害者のおかれている職場の実態、労働協約での障害者排除規定に対する闘いなどの報告がありました。
労働小委が関西ブロックしかないために、基調にしても関西ブロック中心の取り組みとそれに規定された方針しか提起できませんでした。それに各ブロックでの労働の取り組みの討論が不充分な為に、決定的に準備不足であったと思います。
障害者の参加者から、教員採用試験のあり方や、点字受験のあり方等々が出さね、全障連として方針を出すべきだという意見が多々ありました。また、九州の視覚障害者からは
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在日朝鮮人障害者の障害福祉年金をかちとる闘いをすべきだという意見、政府が進めようとする行政改革に対する闘いを積極的に行うべきだという意見等出されました。
全障連としては、教員採用試験の問題点についてはまだ方向を出せていません。在日朝鮮人障害者の問題については、生活分科会へ提起した他、在日朝鮮人差別と障害者差別についてつっこんだ討論を行いました。
最後に、分科会基調を全体で確認し、就労闘争の強化、働く障害者の労働条件の改善の闘いを今後もとりくんでいく決意を固めました。
第二分散会では、昨年は各地の作業所の現状報告が中心でしたが、今大会では、障害者の労働観の変革にどうとりくむのか、自分達の作ったものを今の社会にどう認めさせていくのかなど、活発な論議となりました。そして闘う作業所も結集して連絡体を作っていく方向が確認されました。
第二分散会で採択されたアッピールは次のとおりです。
「完全参加と平等」のポスターが街にあふれていても、職場への参加の道は、障害が重くなるにつれより厳しく閉ざされ、たとえ就労できても解雇されたり、明白な差別を受けている者が多い。障害者の「地域の中で生きたい」「仕事をして自立したい」などの想いは、生産性重視と利益優先の資本主義社会の構造と価値観と真向うからぶつからざるを得ない。各地で障害者が起ち上り、障害者と健全者が共に働く作業所作りは拡がり続けている。
健全者(職員)がおぜんだてし、障害者を管理するあまたの作業所づくりとは明確に異なり、われらの作業所は、まず第一義に、障
施設分科会(N記)(校正者注:「施設〜(N記)」大文字)
今大会のテーマは「施設の合理化、施設を基点にした「地域福祉」と対決し、施設内と地域での運動を結合し、自立と解放をめざした闘いを作ろう」であった。当初の計画では三つの分散会に分かれて討議する予定であったが、部屋の都合と参加者の意見により、次の二つで行った。?@施設をどう変えるか。施設にかわる生活の場を作る、?A障害者と福祉労働者の連帯をはかる。福祉労働運動の展開をめざす。
前者は主として、施設を変えるとすれば、次の段階ではどのようなものが考えられるかについて話し合った。また、療護施設における自治会活動についても報告があった。施設がどのような形に変わるべきかについては、兵庫の「すばる舎」、新潟の「千草の舎」、ケアー付住宅などの報告を受けて、質疑討論をした。
後者では主に障害者から「施設」の把え方について意見が出され、福祉労働者から労働運動のあり方について意見が出された。
これまでの六回の大会に参加して、施設分科会はとくに平常の活動とのつながりがないことを問題を感じる。年一回、施設に疑問を持つ者が集まるだけでも意義はあるが、運動展開に結びついていない。また、障害者の主体性と福祉労働者間の連帯が要請されている。今回、福祉労働者において、「福労連」(今はない)に代わる組織づくりをしようとの呼びかけがあり討論された。組織として固まるかどうか情況判断はしきれないが、参加した者どうしで努力したい。
もう一つ感じられたことは、論議がまだ理念的であるということだ。解放運動は現実にある差別をどう克服する闘いを組むかという実践の上に成り立つもので、各現場でのとりくみが各々違った形である。どうあるのが正しいのだという論議だけに終わらず、それぞれのとりくみの展開の意義を確かめあっていきたい。(校正者注:「施設分科会〜いきたい。」四角囲み)
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害者が周りの者に与えられる場ではなく、今まで限られた空間の中に生きることを強いられてきた障害者が、自ら様々な経験を積み、学び、自らがやることを通して自立への道を見出す場でなければならない。さらに障害者健全者さま様な人々が交流し、一般企業への就労を含めて地域社会へ出撃していく拠点としていこう。内にあっては障害者・健全者・軽度障害者・重度障害者の関係などをめぐって生じる、「できる者」「できない者」との関わりの溝を直視し、その自覚を通して、反差別へと至る関係作りをめざしていかなければならない。また作業所の経済的条件は極めて劣悪な状態にあるが、仕事の内容の検討、充実を企りつつ、作業所としての自立を前提としてより強力な行政闘争を展開し、経済保障の実現も考えていきたい。
各地に新しく始められようとしている作業所、既に作られている作業所、それぞれの情報交換の場が必要であり、政府の厳しい行財政改革・「福祉切り捨て」政策に抗し、労働省・厚生省を揺り動かす行政闘争が必要である。各地の作業所を作っている、つくろうとしている仲間は固く連帯し、団結し、全国連合へと至る道を切り拓こう。
赤堀闘争分科会(H記)(校正者注:「赤堀〜(H記)」大文字)
赤堀さんへの抗告棄却策動の強まりと、保安処分攻撃が差別キャンペーンを通してすさまじく展開される今年の大会に於ては、本分科会にも例年以上に仲間が参加し、特に全国各地から多くの「病者」・障害者の参加を得ることができた。
討論に於ては、全国「精神病」者集団からの保安処分に対する提起並びに、今秋期闘争の重要性が訴えられ、「新宿西口バス放火事件」「通り魔殺人事件」を通した差別キャンペーンの中に凝縮して貫かれる「病者」差別―排除・抹殺―が如何なるものであるかが訴えられていった。また、聴覚障害者に対する差別デッチ上げや「犯罪」における精神鑑定をめぐっての問題提起と日常的な地域に於る差別の現状が訴えられると共に、保安処分攻撃が「病者」・障害者を貫く差別・抹殺攻撃
医療分科会(S記)(校正者注:「医療〜(S記)」大文字)
今大会の医療分科会は、前回の第五回仙台大会の分科会方針を受けた形で、保子保健法問題と、地域医療問題を、とりわけ今、現場で医療に従事している側からの発言をもとにして行なわれた。
レポートに関しては、東京から一つと、大阪から三つ報告があり、討議され、今後の医療問題を模索していこうという確認で分科会の討論の方向が出された。
内容は主に、?@政府―厚生省が優生保護法の二番せんじとして打ち出そうとしている母子保健法改悪策動に対し、今後どのような闘いを構築していくか、?A現在の差別医療を現場で医療に従事している者から、どのように変革していくか、である。とりわけ、現在、我々と共に闘っていく医療従事者があまりにも少なく、今後障害者解放医療を考えていく為には、このことが最大の課題として提起された。母子法改悪阻止の闘いを構築していく意味でも、地域医療を考えていく意味でも、我々と共に闘う医者・医療―保健労働者の結集が是非とも必要である。
全障連として、医療小委員会の発足を急がなければならないということも確認された。それと、昨年から、「新宿バス放火事件」や「通り魔事件」等を巧みに利用した政府が、保安処分を新設しようとしている。これは、「精神障害者」とすべての障害者に対する露骨な差別攻撃であり、障害者差別全般を助長拡大するものであるということが確認され、保安処分新設反対の決議が採択された。(校正者注:「医療分科会〜採択された。」四角囲み)
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てあることをハッキリと確認し、今秋期闘争へと、今後の地域での取り組みへと結実していくことができた。
更に、今春以降の官刑当局の獄中弾圧強化を打ち砕いていく闘いを、赤堀さんとの連帯交流を基軸にし、赤堀さんの上申書提出作業を通して、まさに、赤堀さんを先頭にした法廷闘争として、差別デッチ上げを糾弾し、闘い抜いていく新たな闘いの発展を勝ちとっていくことを確認してきた。
今後の一つの大きな課題として、特に今日の攻撃のすさまじい差別キャンペーンを通して「精神障害者」狩り、優生思想を基礎とした差別・抹殺攻撃として強まっている中で、「病者」・障害者を基軸にした、赤堀・保安処分をめぐる闘争陣型を強固に作りあげていくことである。
全障連に於ても、学習会、「病者」との交流・連帯を強め、取り組みの強化をはかっていかなければならない。
―完全参加と平等てなんや―
国際障害者年を全障連運動の前進に導こう!
障害者大衆の団結と労働者、市民との共闘を強め反差別の陣型を拡大する運動を築くために
報告?@ 国際障害者年対策連絡会議の活動報告と今后のとりくみ
全障連全国事務局
国際障害者年対策連絡会議(以下対策連絡会議と略す)は、昨年十一月に、総評・社会党のよひかけにより結成されました。
全障連は、この対策連絡会議の参加をめぐり、その意義について討論を行い次の様に評価しました。?@国際障害年を契機にして、御用団体を中心に推進協議会(現在加盟一二〇数団体)が作られ、政府と一体となって統合が進行している。また、全障研系も各地で連合を作っており、これもお願い運動の傾向を強めている。こうした中、政府―権力の「福祉切り捨て」―露骨な差別攻撃と対決する巾広い陣型を必要としており、私達は、この対策連絡会議の場で、推進協議会や全障研と別に、差別と闘う新たな運動を展開する。
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?A全障連もようやく運動の具体的方針を固められた今日、障害者の全国団体間の交流・共闘の必要性がでてきており、私達の立場と運動が反影できる対策連絡会議の場で、これを追及していく。
?B全障連運動を労働者・労働組合につきつけ障害者解放運動の大衆化と共に、一つ一つの課題について、労働者・労働組合との共闘を具体的につくり出していく一つの場とする。
これらを確認して、対策連絡会議の幹事団体として参加しています。
対策連絡会議は、私達と共に、障害者の生活要求を実現する連絡会議(障害連)・点字社会新報読者会・総評・社会党を幹事団体に障害者団体・総評傘下の主要単産(自治労・日教組・全電通・全交通等)など約二〇団体で構成されています。そして、現在にいたるまでに、次の政策要求をまとめています。
?@障害者雇用の拡大、?A所得保障の拡充、?B移動の自由の保障、?C共同教育、保育の促進?D生活サービス他諸施策の拡充
そして、昨年十二月から三度に渡り、各省交渉(文部・厚生・労働・運輸・法務各省)を行いつつ、一方で一月には討論合宿、交渉前後の意見交換確認会を行っています。又、この十一月九日には、これらの結節点として、対策連絡会議の決起集会を大衆的に実現していきます。
以上、簡単に活動報告を行いましたが、今後実現されねばならない問題は多くあります。それは、これまでの活動の中心が、対国会・対政府、とりわけ来年度予算にむけての要求の整理と行動になっています。その為に?@障害者団体間の運動の交流と要求の相互確認が全く不充分です。例えれば、障害連を中心に所得保障連絡会議は、これまでにない制度で所得保障を実現せよと要求しています。私達も、生活要求で介護・所得・住宅の三基本要求を出していますが、とりわけ介護を重視しています。それは運動の方法、組織性格などに規定された面もありますが、それでもそれぞれの要求の出し方、運動のあり方、そして要求実現の闘いが何を獲得し社会的、歴史的にいかなる意義をもっているのか。更には障害者の自立と解放運動にどんな意味をもっているかをつっこんで討論する必要があります。そして、それは障害者団体間でのみ討論されることではなく、労働者始め多くの人々が参加して考えられるべきでしょう。その為にも、対策連絡会議の場で、各課題について根本的な討論が作られることを主張しています。そして、要求の整理が、単に調整に終り、結果としてどちらを重視するかという考え方に陥らず、それぞれの要求をきっちり結びつける政策要求へと高めたいと考えています。そこに、障害者解放運動の大きな展望と大衆的団結が作れると考えるからです。
?Aまた、労働者・労働組合との具体的共闘の実現も重要です。先に述べた対策連絡会議の政策要求は、そのどれ一つとってみても労働者・労働組合との強い連帯と共闘なしには実現しません。しかし、現実には対策連絡会議内の労働者・労働組合ともうまくいっていないのが事実です。例えば、移動について、私達は車イスのバス乗車拒否について全交運との話し合いを要求し、運輸省と闘う方向を提起しています。けれども全交運の姿勢はどんどん後退しています。それに、共同教育における日教組の対応です。これまで日教組は、障害者解放運動との具体的共闘を作れてないばかりか、具体的接点すら実現できていません。その他、生活や労働の問題になると、一つ一つの課題について障害者自身と労働者の互いの組織的闘いが密接に継続して共闘される必要があります。その為には、対策連絡会議として、討論の保障と内容に責任もつ対応が求められるのです。私達は、交通・教育・労働などの問題で、既に、関係労組と私達の話し合いの場の保障と、対策連絡会議として運動内容に責任もつことを提起し確認してもらっています。
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?Aこれまでの経験で、こうしたとりくみが、形だけのスローガンや単なる人集めに終っていたことをふまえ、障害者自身が中心になった障害者解放運動の強化―a、障害者団体間の原則的団結。b、労働者労働運動との内実ある共闘。c、差別攻撃と対決する大衆的運動を作る―の為に、私達もよりいっそう積極的にとりくみたいと考えます。そして、国際障害者年推進協議会の政府―権力のお先棒かつぎ運動、全障研系の物取り運動に、社会的にも政治的にも、そして運動実態として対決していきたいと考えます。
十一月九日の決起集会には、みなさんの参加を強く訴えます。
国際障害者年を機に「障害者」の自立と完全参加を求める大阪連絡会議の活動について
関西ブロック K
この団体は、国障年を2ヶ月後にひかえた昨年十月四日に結成された共斗団体です。私たち全障連関西ブロックをはじめ「「全障連」の生活と教育を保障しよう市民の会」「地域の校区で「障害児」の教育権を保障する学者・研究者の会」・自治労大阪府本部・十五教組連絡会・部落解放同盟大阪府連の六団体が呼びかけ団体となり、大阪の青い芝の会や障害者交通間連絡協議会・自閉児を持つ親の会など多くの障害者や親の団体の参加を得、やがて大阪総評も参加して幅広く共斗組織が作られました。
さて、この団体はその基本的原則として、私たち全障連などが提起した内容をほぼそのまま採用しています。すなわち第一に運動の主人公が障害者自身である事。第二に障害からの解放を目指すのではなく、差別からの解放を目指すという事。第三にあくまで地域社会で生きるための保障を要求して斗う事の三点です。六〇〇名を集めて結成された十月四日の総会では、この三つの基本原則と共に活動の柱として行政斗争の推進・啓蒙宣伝活動研究活動の組織化の三点も併せて満場一致で確認しました。それに基いて、これまで様々な活動を進めてきています。
国際障害者年対策連絡会議中央決起大集会
時:十一月九日 午後一時〜
所:東京 中野公会堂(国鉄中央線「中野」)
内容:パネルディスカッション/基調報告/アピール/ほか
働きたい、働く障害者の労働権奪還にむけて
「障害者の職よこせ!」全国決起集会
時:11・8 午後1時〜
所:自治労会館(東京・中央線「市ヶ谷」)
内容:特別講演・酒井定男氏/基調報告/討論/アピール/ほか
主催:全障連・障害連・視労協
後援:国際障害者年対策連絡会議
11・9 労働省交渉/日経連抗議
10・23 関西集会(6・30〜/芦原橋部落解放センター/特別講演・大谷強氏)
国際障害者年を機に「障害者」の自立と完全参加を求める大阪連絡会議 81大会
時:十二月五日 所:未定
内容:十年間の運動方針と生活・教育・労働・医療各部の政策要求の確定 (校正者注:「国際障害者〜要求の確定」四角囲み)
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結成一ヶ月半後の十一月末には、大阪府との一回目の交渉を持ち、民生・労動・教育・衛生の各部局に対し、障害者政策に関する基本姿勢を鋭く追求しました。又、それと相前後して教育委員会のみとの文渉を独自に持ち障害児の高校進学の問題と今後とも校区の学校へ入学したいという本人や親の希望を尊重するとの確認を行ないました。
さらに十一月からは、この連絡会の中に教育・生活・労働・医療の四つの専門部会を設け、それぞれ課題ごとの問題点の整理と行政に対する要求項目の確定の作業に入り、その中間的な集約の場として今年の二月一日には「障害者解放研究集会」を開き三〇〇名近い参加を得て活発な討論を交わしました。そしてその後も各専門部会は地道に活動を積み重ねています。
一方、後に参加してきた総評の労働者に対する働きかけにも力を入れ、三月の生活制度要求の集会や五月一日のメーデーには全障連から障害者自身がアピールを行ないました。そして五月末からは大阪府下八ブロックでの「障害者と労働者の地域集会」を計画し、すでに府下三ブロック四ヶ所で集会が成功裡に開催され、他の地域でも準備が進められています。
行政斗争では七月に入って各部局ごとの交渉が再開され府教委を皮切りに人事・労働と続いて交渉が持たれ、主に彼らの基本姿勢について、より突っこんだ追及を行ないました。しかし、その反面、こちら側の要求内容が未だ未整理なため充分な回答を出させるに至っていないのも事実で、早急の討論が求められるところです。
この団体は一年間限りで終わらせない事が全体で確認されており、今後の発展が期待されていますが、特に各専門部の活動の継続と深化は極めて重要な課題であると言えます。政府や各自治体がこの国障年を一年限りのお祭りさわぎに終わらせ、それどころか障害者のとりこみさえ進めている現在、それと対決するためにもこの団体自身の共斗関係の内実の深化が問われているのです。私たちはこうした決意を新たにし、そして課題ごとの当面及び長期にわたる方針を明らかにする事を目指し、一年間の総括をもこめてこの十二月五日に大阪連絡会主催の大集会を開催する事を決定しています。私たち関西ブロックとしてもこの会の最先頭にたち、私たちの斗いの質をそのままこの会にも提起して、障害者解放運動の発展を計りたいと考えています。
報告?B 奈良県でのとりくみ
奈良「障害者」解放研究会
81年「国際障害者年」も半ば以上経過し、マスコミのキャンペーンや、行政の「目玉」政策も、ほぼ出そろった感じがします。
国連決定の意義である、反戦、平和の考え方や「障害者」の隔離・抹殺を許さない確認が、日本においては、逆に進行されている現状さえあります。
一般大衆の意識としては、一部「障害者」の成功や功名が「美談」として、拍手、報道される程度のものでしかないでしょう。
私達が問題とするのは、今の能力主義、優生思想(「障害者」より「健常者」の方が優れているという考え方)の貫かれた社会の変革を通しつつ、「障害者」がその「障害」に何の不便、不利益を感じることなく生きていける社会作りなのです。
その為には、より多くの「障害者」が家や施設から、地域社会に進出し、主張しなければならないし、「障害者」の立場に立って支援、協力する「健常者」の存在も必要不可欠
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です。
本「国際障害年」にあたり、現在、政府主導で行なわれている形ばかりの融和運動や、「日本共産党」系の「障害者」利用運動と区別された、差別を問題にし、「障害者」の自立と解放をめざす自主的解放闘争を進めていかなければなりません。
私たち「障解研」は、結成以来六年間、そのような立場に立った運動を追求しつつ、本年三月、社会党・反差別共闘・「障解研」、三者の呼びかけで、「「国際障害者年」・自立と解放をめざす奈良県民会」を結成しました。
これまで、渡辺鋭気氏の記念講演記録のパンフ配布にとどまっていますが、あらゆる差別を許さない仲間の結集で、具体的な実践・行動に移していきたいと思います。
当面の課題として
○しろまる在宅「障害者」に対する公的介護保障
○しろまる優生思想に裏打ちされた「母子保健」の在り方
○しろまる教育行政による「障害児」に対する差別就学判定
○しろまる「解放の家」(仮称)拠点の建設
○しろまる「精神障害者」などに対する予防弾圧=保安処分新設反対の取り組み
○しろまる「精神障害者」差別に基づく免罪事件=島田事件・無実の死刑囚赤堀さんを奪い返す闘い
などを考えています。
眼前の沢山の課題を前に、微々たる取り組みですが、みなさんの支援と協力をお願いします。
生活小委員会と厚生省交渉
生活小委員会は、介護・所得・住宅の三基本要求を中心にして、障害者が地域社会で自立して生活する為の要求をまとめ、具体的な活動方針と大衆的な運動を作り出そうとしています。そして、この運動を通して、生活問題での問いを、障害者の自立と解放を展望する政策要求へと高める為、つっこんだ討論を組織してきています。みなさんの参加(各ブロック生活小委)と積極的提起をお願いします。
11・22〜23:全国生活小委
合宿討論会(東京)
11・24 厚生省交渉
12時・日比谷小公園集合
厚生省に提出している三基本要求についての質問状への回答を引き出し、介護を中心として政策改革を迫る。(校正者注:「生活小委員会〜政策改革を迫る」四角囲み)
出版物・映画の案内
○しろまる全障連結成大会報告集(76) \二五〇〇
第二回大会報告集(77)\二〇
○しろまる○しろまる
第四回大会報告集(79)\二
○しろまる○しろまる○しろまる
全障連第六回大会報告集(81)11月末 発行予定 \一
○しろまる○しろまる○しろまる
○しろまる「SSK全障連」No3〜No \二〇〇
○しろまる79・1・26〜31文部省糾弾連続闘争報告集 \二五〇
○しろまる障害者解放教育・保育研究会にむけて?@79年度養護学校義務化阻止闘争総括集\六〇〇(セット\八〇〇)
○しろまる義務化阻止学習パンフNo3 \六〇〇
記録映画「養護学校はあかんねん!」16%50分・貸出しは全国事務局へ
○しろまる「地域福祉」政策糾弾!パンフ \二〇〇
連絡/大阪市東成区中本一丁目三―六ペルピュー森の宮二一五号 全障連全国出版部郵便振替番号/ 大阪 五七三四二 8(校正者注:「出版物〜五七三四二」四角囲み)
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赤堀さんを生きて奪いかえそう!
9/25〜10/23 全国キャラバン
↓
10/25〜31 中央ハンスト
↓
11/1 全国総決起集会
赤堀秋期闘争で保安処分、監獄法闘争と共に勝利をきり開こう!
赤堀政夫さんが、やってもいない島田事件の「犯人」にデッチ上げられてから、もう27年が過ぎています。赤堀さんは、仙合拘置支所に閉じ込められながらも不屈に闘い続け、多くの仲間に手紙で無罪を訴え、共に闘うことを呼びかけています。しかし、こうした赤堀さんの再審にむけての活動を妨害する宮城刑務所当局の弾圧がより一層強まっています。赤堀さんが上申書を作成し、それを共に闘う仲間との共同作業にしようと、仙台の闘う会に宅下げしようとしたところ、宮刑当局は「これは正式な上申書だから裁判所か弁護士に送れ」と「指導」の名の下に禁止したり、三里塚救援会の集会へのアピール発送を禁止したり、新たな面会者に制限を加えたり、様々な弾圧が強まっているのです。
監獄法改悪を阻止しょう
私達はこの宮刑当局の赤堀さんへの弾圧強化を許さず、全国から抗議を集中してきました。そして、このような弾圧を法的に固定化する攻撃として監獄法改悪の策動があります。
監獄法改悪は、現在未決囚なみの処遇である死刑囚を既決囚なみにし、親族・弁護士以外とは面会、交通を禁止します。これは、赤堀さん始め、再審請求中の死刑囚の再審活動を妨害し、孤立させ闘いを封じ、権利を奪っていくのです。又、日本とイスラエルしかない「代用監獄(警察の留置所に拘束する)制度」を存続させようとしています。赤堀さんが、この代用監獄=留置所で拷問され、うその「自白」をさせられたことからもその犯罪性は明らかです。更に、獄中での強制医療の制度化は、この間の赤堀さんへの劣悪な医療の実態と、その改善要求に一切応えないことをみても、獄中の医療がいっそう劣悪なものとなり、医療の名の下に抹殺もしかねないものです。私達は、こうした監獄法改悪を阻止する闘いを、赤堀闘争の勝利と一体のものとしてかちとっていかねばなりません。
また、私達は、抗告棄却―獄中弾圧―監獄法改悪と一体のものとしてかけられてきている保安処分新設の策動に対しても闘いを組織
保安処分攻撃を許すな!
していかねばなりません。全障連としては、これまで「精神障害者」の闘いと交流が充分ではありませんでした。しかし、この間の赤堀闘争の強化の過程で「精神障害者」の闘いを自らのものにしてきました。赤掘さんが小
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さい頃から「ていのう」と差別され、学校から、職場から、地域から排除されて、放浪生活を余儀なくされた。その中に、私達すべての障害者としての共通の現実を見、赤堀さんと共に闘ってきました。そして赤堀さんに対する「精神障害者だから犯人にちがいなし」という差別観が、警察のデッチあげ、裁判所の差別死刑判決を許し、又、深く社会の観念としてあることを考え、差別裁判糾弾闘争として闘い抜いてきています。
今、赤堀さんにかけたこの攻撃を、支配者が国の法律として、全国の「精神障害者」―すべての障害者にむけて、保安処分という形で制度化しようとしてきているのです。「精神障害者は何をするか判らない」=「将来犯罪をおかす恐れがある」から「未然に防止する」ことは、即ち「役に立たない、社会のジャマ者は抹殺してしまえ」という考えであり、障害者差別の強化・拡大でしかありません。そして「精神障害者」・障害者を永久に隔離し、強制医療をもって抹殺する。この露骨な許すことのできない差別攻撃に、様々な形で出される差別キャンペーンを許さず、断固として闘っていく・必(校正者注:必の次の文字が黒く塗りつぶされている)があります。
赤堀闘争の勝利をきり開け
赤堀さんの第四次再審請求の闘いは、静岡地裁が赤堀さんの無実を立証する数々の証拠を認めざるを得なかったにも関わらず、なんと「赤堀は精薄であり、気憶違いがあって当然」と差別そのものをもって棄却され、現在東京高裁で闘われています。検察側はすぐさま「棄却せよ」と意見書を提出し、更に昨年七月十日に新たなデッチ上げの意見補充書を出し棄却を迫っています。これに対し、私達は抗告棄却阻止の闘いの組織化を強化し、弁護団も検察のデッチ上げを暴露し再審を開始させる意見書を提出しています。しかし、高裁はガードを固くし、抗告棄却の時期をうかがっているのは明らかです。この様な緊迫した情勢の中、赤堀さんを生きて奪い返し、赤堀闘争の勝利を闘いとる為に総力をあげて闘い抜かねばなりません。
私達は、赤堀さんと共に闘い、障害者を差別・隔離・抹殺する一連の攻撃をはね返す闘いとして、9月25日〜10月23日の全国キャラバン、10月25日〜31日の中央ハンスト闘争、11月1日の全国総決起大集会に集中し、赤堀闘争勝利―保安処分新設粉砕―監獄法改悪阻止を闘い抜きます。
すべての仲間のみなさんに、この秋の集中した闘いへの決起を訴えます。
赤堀秋期大闘争の日程
9/25〜10/23 全国キャラバン闘争
10/25〜10/31 中央ハンスト闘争 (東京・数寄屋橋公園)
11/1 10じ〜3じ 赤堀氏奪還総決起集会 (明治大学11号館・お茶の水)
赤堀氏即時奪還!抗告棄却・死刑執行阻止!刑法改悪・保安処分新設阻止!監獄法改悪阻止! (校正者注:「赤堀秋期〜改悪阻止!」四角囲み)
裏表紙(奥付)
編集後記
挿絵省略
一年間もの休刊、心よりお詫びいたします。ふり返えばこのお詫びも三度目になってしまいました。二ヶ月に一回の発行予定であれば、本来はこの号は30号のはずなのです。このありさまはお詫びで済むものでなく、何度も総括されるべきと考えます。最大の原因はなんといっても財政難です。?@大会報告集に莫人な費用がかかり、それに見合った販売が望めない為借入金か増え続けた。?A機関誌はさばけるのですが代金未払い、回収率が悪い、代金回収が遅い等でやりくりがつかなくなる。?B緊急にパンフレットを作ったが同じ結果になる、?C二ヶ月に一回ではニュース性が劣しく、「臨時号」(約一〇〇〇の名簿に無料郵送)に頼り、機関誌の必要性があいまいになる等です。
この一年間は、事業計画を建て直す為に。?@代金未納分の回収に努力し、借入金を三年前の状態にもどすと共に、運営資金を蓄めた。?A印刷代を安くする為に、関西ブロック事務所に印刷機等を備えた。?B小回りをよくする為に月一回、百円で発行する。?C編集内容もくふうし、ニュース性・学習内容・様々な運動・活動の紹介などをとり入れる。?Dそして、なんとしても月一回の定期的発行を実現する考えです。これまでより見劣りするものになりますが、内容を充実させますので、よろしくお願いします。
差別攻撃が、美名の制度として、具体的な設備として、露骨なイデオロギーとなって、ひしひしと進行しています。第六回大会で確認された、自立と解放の展望をかちとること、大衆運動をめざすこと、一つ一つの差別攻撃と対決することを、私達もこの機関誌を通して頑張る決意です。そして、今度こそみなさんのシッタ激励に答える決意です。御支援と御協力をお願いいたします。(出版部一同)
全国障害者解放運動連絡会議(全陣連)
全国機関誌 No.13
発行日/1981年10月15日
発行人/東京都豊島区巣鴨3丁目34番3号 フフワーコーポ303号 全障連全国事務局
電話03-918-8572
中川一二三
発行責任者/大阪市東成区中本1丁目3-9
ベルビュー森の宮215号 全障連全国出版部
電話06-974-0791
作成:
山口 和紀