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生活福祉資金貸付/世帯更生資金貸付


last update:20101031

しかく目次


制度概要
文献
当該制度に対する評価
だいやまーく世帯更生資金貸付に関する報道
だいやまーく生活福祉資金貸付に関する報道


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しかく制度概要

「低所得者、障害者又は高齢者に対し、資金の貸付けと必要な相談支援を行うことにより、その経済的自立及び生活意欲の助長促進並びに在宅福祉及び社会参加の促進を図り、安定した生活を送れるようにすることを目的とする」貸付制度(生活福祉資金貸付制度要綱 第1)



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しかく文献(制度解説)

だいやまーく生活福祉資金貸付制度研究会 編 20091030 『平成21年度版 生活福祉資金貸付の手引き』,筒井書房,452p.,2381
だいやまーく生活福祉資金貸付制度研究会 編 20081015 『平成20年度版 生活福祉資金貸付の手引き』,筒井書房,652p.,2476

しかく文献(研究論文等)

だいやまーく三和 治 1971 「低所得対策の研究(3)――世帯更生資金貸付制度(その1)」『明治学院論叢』175号,101-135
だいやまーく江口 英一 1972 「今日の低所得層と世帯更生資金制度の方向」『季刊 社会保障研究』8巻2号,17-30
だいやまーく佐藤 哲也 1980 「世帯更生資金貸付制度の発足と経過」『障害問題研究』22号,96-103
だいやまーく中垣 昌美 1981 「民生委員運動における世帯更生運動」『龍谷大学論集』418号,21-40
だいやまーく松田 真一・西村 昇 1989 「世帯更生資金貸付制度における貧困把握の一視点」『高知女子大学紀要 人文・社会学編』37巻,45-57
だいやまーく岩田 正美 1990 「社会福祉における「貨幣貸付」的方法についての一考察――世態更生資金貸付制度をめぐって」『人文学報 社会福祉学』(東京都立大学),133-168
だいやまーく佐藤 順子 2001 「生活福祉資金貸付制度の現状と課題――介護・療養貸付相談の事例検討を通じて」『佛教大学総合研究所紀要』8号,261-286
だいやまーく佐藤 順子 2002 「寄稿 今、生活福祉資金貸付に問われるもの」『公的扶助研究』26号,35-41
だいやまーく佐藤 順子 2003a 「消費者向無担保金融問題と生活福祉資金貸付制度の今後の展望」『社会福祉士』10巻,116-122)
だいやまーく佐藤 順子 2003b 「生活福祉資金貸付制度の展望――多重債務者問題との関わりの視点から」『人権と部落問題』55巻1号,36-45
だいやまーく鳥山 まどか 2005 「貧困・低所得世帯への教育支援――生活福祉資金貸付制度を中心に」『社会福祉学』46巻1号,40-50
だいやまーく鳥山 まどか・岩田 美香 2006 「生活福祉資金(修学資金)貸付制度に関する調査結果」『教育福祉研究』12号,123-187
だいやまーく木下 秀夫 2007 「要保護世帯向け長期生活支援資金」の問題点(特集 生保版リバースモーゲージってなに?)」『賃金と社会保障』1443号,4-9
だいやまーく坂田 徹 2007 「社会福祉協議会の立場から見た「要保護世帯向け長期生活支援資金」の問題点と対応について(特集 生保版リバースモーゲージってなに?)」『賃金と社会保障』1443号,10-22
だいやまーく九条 明日美 2007 「ケースワーカーから見た「要保護世帯向け長期生活支援資金」の問題点(特集 生保版リバースモーゲージってなに?)」『賃金と社会保障』1443号,23-31
だいやまーく高木 和美 2007 「生活福祉資金貸付制度の周辺――生活福祉資金借入申請世帯のすがた、取り扱い窓口(社協)のすがた」『月刊国民医療』,2-11
だいやまーく菅正広 2008 『マイクロファイナンスのすすめ――貧困・格差を変えるビジネスモデル』東洋経済新報社,366p., 2400

しかく文献(手記)




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しかく当該制度に対する評価

だいやまーく社会福祉を目的とした貸付制度の意義
◇「消費社会」における社会福祉的貸付制度の意義(岩田 正美)
「たしかに「貨幣貸付」は「消費社会」における飽くことなき消費を推し進める役割を果す。クレジットカードがどんなにか所得の制限を打ち破った消費を進めているかは周知のところである。それは収支の平準化にとどまらず、収支以上の支出=過剰貸付を実現させてしまうのである。だから社会福祉におけ<<る公益事業としての貸付もこの一端を痴うともいえる|しかし‖第1に社会福祉の貸付がなくても‖危険を承知で(あるいはそれに無知で)営利貸付に走り生活を困難に陥れる人』は多数存在している|また第2に壮く営利貸付から排除された人』の「収支平準化」手段を壮て否定することはできない|(中略)社会福祉の「貨幣貸付」は?@この社会妬婦準に通常の手段では到鍛できない人』に‖利用者にとって様利にしかも自主妬に到鍛させようとする方法であり‖また?aそれによって「消費社会」の推進者である営利貸付に対荒し‖この面から生活困難を予防するものであり‖?bさらにいえばすでに「消費社会」の犠牲となった人』を救済し‖立ち直らせていく一つの方法である‖という限りにおいて今日の「消費社会」に社会福祉フービベとして存在する意義を持つといえよう」(岩田 1990: 164-165)

◇「働く/働くことができる」貧困層に対する支援政策としての意義(岩田 正美)
「東社協の報告書では世帯更生資金の借受世帯は中年期の家族持ち世帯が典型であり、この世帯の問題=ファミリイポバ>>(表の挿入あり)>>ティに世帯更生資金制度は対応してきたと指摘している。つまり、先のファミリイポバティは中心的には「働く貧困」=ワーキングプーアの問題として現れ、この世更制度が不十分ながらも把握しようとしているといえる。前述したように、稼働できない、ハンディキャップをもついわゆる「弱者」を一つの典型としてきた福祉サービスのなかでは例外的な、稼働年齢の夫婦を含んだ「働く貧困層」=ワーキングプーアの生活問題を社会福祉政策のもとに誘導する役割を「貸付」という方法がよく果たすともいえよう。」(岩田 1990: 157)

だいやまーく問題点(総論)
◇法制度としての未整備(江口 英一)
「世更資金〔世帯更生資金〕の運営におけるいわば「地域主義」といった傾向を改めるべきである。ただ、すでに述べたように、今日の「低所得者層」が、いわば「都市的な低所得階層」と「農村的な低所得階層」に分けられているとすれば、少なくともこの2つの型に即した制度のあり方を考えてもよいのではないだろうか。〔原文改行〕そしてそれにつれて必要なことは、今日のように、国としては厚生次官「通達」とか「通知」に <<より‖また都道府県はそれを受けて「条例」により‖結局‖補完妬な政策として‖世郊資金を扱うのではなく‖国の法律によって定められた制度として行われることが重要であろう」(江口 1972: 29-30)

◇低所得者の実質的利用「制約」(岩田 正美)
「世更貸付」が「貨幣貸付」方法の役割を十分に果たしていない要因としては、「貨幣貸付」の条件と内容、およびその運用方法の3つがあげられる。条件としては、所得などの対象認定の基準の妥当性、連帯保証人制度の存在がある。また、内容では金額や利子、資金種類の妥当性があり、さらに制度運用としては民生委員と社協のかかわりや手続きの煩雑さの問題がある。(中略)これらの状態が一言でいえば利用者を積極的にこの制度に組み入れる上で「抑制的」に作用しているといえよう。例えば最も大きな問題は連帯保証人制度であるが、一般に保証人を得にくい環境にあることが多く、また得られても保証能力がないことの多いといわれている低所得者や身障者、あるいは地域的な流動を余儀なくされている世帯やすでに友人知人に借金を重ねている世帯はこのハードルを越せないで世更制度とむすびつかない」(岩田 1990: 161)

◇生活保護制度とのリンケージの不十分(佐藤 順子)
「公的扶助の中核をなすのは生活保護法であり、生活福祉資金貸付制度は生活保護の適用となることを防ぐための制度として発足した。しかしながら、筆者の調査した借受相談者の生活実態はすでに要保護状態の放置を生んでいる。したがって、この制度の創設母体であった民生委員と福祉事務所との関係については、借受相談者が要保護世帯であった場合の、福祉事務所に対する民生委員および社会福祉協議会の役割を明確にすべきであろう。」(佐藤 順子 2001: 286)

だいやまーく問題点の指摘(各論・まとめ)
?@貸付条件に関わる問題
?@−1:保証人制度による低所得者の排除
[佐藤 哲也(1980)岩田(1990), 佐藤 順子(2001,2003a)高木(2007),菅(2008)]
?@−2:利用限度額の過少(=低所得者支援額としては少ない)
[佐藤 哲也(1980),佐藤 順子(2003a)]
?@−3:使途限定による使い勝手の悪さ
[佐藤 哲也(1980),菅(2008)]
?@−4:返済免除規定の厳格さ
[江口(1972),佐藤 順子(2002)]

?A貸付制度(「相談―審査―貸付―返済」のスキーム)に関わる問題
?A−1:統一的・全国的制度・法制度の不備
[江口(1972),佐藤 哲也(1980),岩田(1990)]
?A−2:借入手続きの煩雑性(=支援の適宜性の欠如)
[江口(1972),岩田(1990),菅(2008)]
?A−3:民生委員に対する過度の依存(=民生委員の果たすべき責任の不明瞭)
[佐藤 哲也(1980),佐藤 順子(2001,2003a, 2003b),高木(2007),菅(2008)]

?B福祉制度間のリンケージに関わる問題
?B−1:相談・カウンセリング・情報提供機能とのリンケージの不備
[岩田(1990),佐藤 順子(2002)]
?B−2:生活保護制度とのリンケージの不備
[佐藤 順子(2001),高木(2007)]
?B−3:制度についての広報活動の不足
[佐藤 順子(2002,2003a,2003b),鳥山(2005),菅(2008)]
?B−4:事業継続にかかる財源不足
[江口(1972),佐藤 順子(2002,2003b),高木(2007)]


だいやまーく制度改善の方向性
◇柔軟な債務免除と貸付対象の拡大(江口 英一)
「現在の貸付制限基準に、いわば一種の「保障基準のごとき位置を与え、もしそれ以下の所得水準の場合は、貸付金や利子の返還、支払いの減免をかんがえるべきである。昭和45年8月、厚生省社会局長から知事宛の「支払免除」に関する通知が出され、各県では支払免除規定がつくられ、その条件はいまのところ死亡や行方不明に限られ、はなはだきびしいものである。〔原文改行〕このような大きな改訂を加えることになると、世更資金制度は第2の生活保護制度になるといわれるかもしれない。しかし、現在の生活保護法が病人、老齢者等、無業者にますます集中する時、働きながらしかも困窮するものに対し、生活保障の新しい手段が考えられることはよいことであり、絶対必要なことである。」(江口 1972: 30)
「大都市地域での世更資金の適用を、生活保護とほとんど同じ層ではなく、もっと本来の、すなわち、たとえ所得はある程度高くても、「不安定」=「無権利」の状態にある、本来的な「低所得階層」に引き上げ、広げられるべきである。」(江口 1972: 30)
「このように考えることは、必然的に、本制度の運用における償還の問題を、それほどきびしくなくするであろう。それは本制度を「低所得階層」に対する「融資」あるいは「貸付資金」から「給付」としての性格に近づけていくことになろう。中高年者、特に老齢者やこれに準ずるもの、たとえば女子、身障者などはもともと償還能力は低いにだから、このような労働能力において劣位にあるものに対する制度として、これをできる限り、所得の「給付」としての制度に、事実上近づけていくべきである。」(江口 1972: 30)

◇「相談」機能の強化(岩田 正美)
「「消費社会」における存在意義を大きくしていき、また、同時に「不良債権」の拡大をある限度内に収め、「貨幣貸付」が本来もっている利用者の主体性の尊重という特徴を生かそうとするならば、貸付条件や運用方法の改革にあわせて、さらに次の点が検討される必要があろう。それは「相談・情報提供」方法と「貨幣貸付」方法の協力な統合である。
もともと「相談・情報提供」はそれ自体でひとつの社会福祉サービスの方法であると同時に、他の方法と結びつけられてその特徴を発揮するものである。また、貨幣給付や現物財・サービス給付も多かれ少なかれこの「相談」方法を伴いながら実施されるところに社会福祉の特徴があるともいえる。世更制度も民生委員の生活援助活動の手段として発足し、したがって民生員による相談援助活動が付随しているところにひとつの特徴があった。しかし、ここで強調したいのは、このような従来のものではなく、専門的・体系的なそれである。すなわち、「貸付」と専門的な生活設計相談や生活立て直し援助を統合したシステムであり、また逆に借金や事業の失敗を抱えた人々への援助活動のなかに一つの強力な救済手段としてこの「貨幣貸付」を導入するというシステムである。」(岩田 1990: 165)



*作成:角崎 洋平
UP: 20101031 REV:
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