(要旨の試訳)"Age Patterns of Suicide & Homicide Mortality Rates in High Income Nations,"
Pampel, F. C. & J. B. Williamson, 2001, Social Forces, 80(1): 251-82. ISSN: 00377732
last update: 20130706
要旨の試訳(要旨も含めた論文の全文〔英語〕は
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多くの国々において,統計上の自殺率は年齢とともに上昇し,逆に殺人被害率は年齢とともに低下する傾向が見られるが,それらの増減率については時代や国によってさまざまである.とりわけ,いくつかの国々ではその他の国々と比較した場合,若者たちの致死的な暴力〔の統計数値〕がより年長の年齢集団よりも悪化していることが確認できる.国や時代によって異なっている年齢による自殺率と殺人被害率の差異は,(1)若者と老人という2つの年齢集団の規模と,各々の有する,とくに人口規模に由来するメリットとデメリット,(2)より最近のコーホートでは,家族の変容が若者たちをとくに傷つけている,(3)成人への円滑な移行にかかわる事柄としての社会・政治的な平等をめぐる局面,の結果であると思われる.そこで本稿では,1955年から1994年にかけての18ヶ国の複数の指標からなるデータを用いた分析によって,どのように上記3点の決定要素が老人と比較したばあいに若者たちのあいだでの自殺率と殺人被害率に影響を与えているかをテストした.その結果上記の理論的主張を支持する形で,加齢によって一般的にもたらされる程度の自殺率の上昇と殺人被害率の低下を越える逸脱的な増減は,人口,家族,社会・政治的諸制度を示すいくつかの尺度によって規定されていることが明らかとなった.
*作成:
藤原 信行