『日本の精神科入院の歴史構造: 社会防衛・治療・社会福祉』
後藤 基行 20190117 東京大学出版会,216p.
last update: 20210220
■しかく後藤 基行 20190117 『日本の精神科入院の歴史構造: 社会防衛・治療・社会福祉』,東京大学出版会,216p.ISBN-10: 4130564013 ISBN-13: 978-4130564014 5200+
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■しかく内容
精神科入院大国・日本はいかに形成されたのか。行政文書や精神科診療録、疫学調査の個票などを駆使して、患者や家族の実態を探るとともに、精神科入院がもつ、社会防衛・治療・社会福祉(救貧・防貧)という3つの機能の長期的な変遷を明らかにする。
【主要目次】
序章
1 はじめに
2 大規模精神病床入院の成立
3 精神病床入院の3類型
4 公安主義と営利主義――「医療の社会化」論の影響
5 一次資料――行政文書、診療録、疫学調査個票
第1章 私宅監置と公的監置――戦前の社会防衛型
1 精神病者監護法における私宅監置
2 川崎市における公的監置の運用実態
3 公的監置の統計的観察
4 精神病院法による公費収容
5 精神病者監護法と精神衛生法の措置入院
第2章 短期入院の私費患者――戦前の治療型
1 戦前における私費・社会保険入院
2 私費患者と公費患者の統計的観察
3 私費患者と公費患者の在院期間
4 結核・癩療養所と精神病院
第3章 貧困患者の公費収容――戦前の社会福祉型
1 救護法による収容救護
2 川崎市における収容救護の統計的観察
3 収容救護の実施状況
4 川崎市における貧困患者の収容事例
第4章 戦前における公費での病床供給システム
1 公費監置・入院の支出額の増加
2 公立精神病院設置のコストと道府県財政
3 私立病院への公費入院
第5章 戦後における精神病床入院の3類型の展開
1 入院形態と医療費財源
2 入院形態別・医療費支払別の入院数
3 医療費財源別の在院期間
4 東京都における医療費支払別の入院
5 国立武蔵療養所診療録にみる精神科特殊治療
第6章 生活保護法による医療扶助入院――戦後の社会福祉型
1 経済措置の導入と医療扶助入院
2 患者世帯の貧困
3 医療扶助入院の制度的優位性
4 神奈川県における行政文書の特性
5 同意入院と家族の意向
終章
著者について
後藤基行:日本学術振興会特別研究員(PD)/慶應義塾大学経済学部訪問研究員
著者略歴
(「BOOK著者紹介情報」より)
後藤/基行
1979年生まれ。2015年一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所流動研究員(2013‐16年)を経て現在、日本学術振興会特別研究員(PD)・慶應義塾大学経済学部訪問研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■しかく目次
序章
1 はじめに
2 大規模精神病床入院の成立
3 精神病床入院の3類型
4 公安主義と営利主義――「医療の社会化」論の影響
5 一次資料――行政文書、診療録、疫学調査個票
第1章 私宅監置と公的監置――戦前の社会防衛型
1 精神病者監護法における私宅監置
2 川崎市における公的監置の運用実態
3 公的監置の統計的観察
4 精神病院法による公費収容
5 精神病者監護法と精神衛生法の措置入院
第2章 短期入院の私費患者――戦前の治療型
1 戦前における私費・社会保険入院
2 私費患者と公費患者の統計的観察
3 私費患者と公費患者の在院期間
4 結核・癩療養所と精神病院
第3章 貧困患者の公費収容――戦前の社会福祉型
1 救護法による収容救護
2 川崎市における収容救護の統計的観察
3 収容救護の実施状況
4 川崎市における貧困患者の収容事例
第4章 戦前における公費での病床供給システム
1 公費監置・入院の支出額の増加
2 公立精神病院設置のコストと道府県財政
3 私立病院への公費入院
第5章 戦後における精神病床入院の3類型の展開
1 入院形態と医療費財源
2 入院形態別・医療費支払別の入院数
3 医療費財源別の在院期間
4 東京都における医療費支払別の入院
5 国立武蔵療養所診療録にみる精神科特殊治療
第6章 生活保護法による医療扶助入院――戦後の社会福祉型
1 経済措置の導入と医療扶助入院
2 患者世帯の貧困
3 医療扶助入院の制度的優位性
4 神奈川県における行政文書の特性
5 同意入院と家族の意向
終章
■しかく引用
p. 173
1950年に精神医療に関わる総合的な法律として、措置入院や同意入院など新しい制度を多数実装していた精神衛生法が成立した。一方で、図21に示されているように、1950年代の入院は、新しく導入された特別法での医療費支払(措置入院)の運用はわずかなものにとどまり、生活保護法(公的扶助)での入院が最多となっていた。〔中略〕強調されるべきと思われるのは、1961年に国民皆保険が達成されたにもかかわらず、その1960年代を含め、1977年になるまで精神科入院で最も多かったのは、社会保険での患者ではなく、生活保護法による入院患者だったことである。
p. 178
後藤基行は、精神病床入院の機能を「社会防衛型」「治療型」「社会福祉型」の3類型に大別し、それぞれ「特別法(措置入院)」「私費・社会保険」「公的扶助(生活保護法)」という医療費支払い区分に操作的に対応させて、社会的入院が減少しない要因を次のように分析している。家族の同意による医療保護入院制度、生活保護法での医療費支払い免除、民間病院の営利目的、といった各要因が相まって社会福祉型の入院の拡大と長期化を招いたと述べている。
■しかく書評・紹介
■しかく言及
*作成:
安田 智博・更新:
伊東香純