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『ニッポンの裁判』

瀬木 比呂志 20150117 講談社(講談社現代新書2297),317p.

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last update:20180211

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しかく瀬木 比呂志(せぎ・ひろし) 20150117 『ニッポンの裁判』,講談社(講談社現代新書2297),317p. ISBN-10: 4062882973 ISBN-13: 978-4062882972 840+税 [amazon] /[kinokuniya]

しかく内容

裁判の「表裏」を知り抜いた元エリート裁判官による前代未聞の判例解説。冤罪連発の刑事訴訟、人権無視の国策捜査、政治家や権力におもねる名誉毀損訴訟、すべては予定調和の原発訴訟、住民や国民の権利など一顧だにしない住民訴訟、嗚呼!日本の裁判所はかくも凄まじく劣化していた...。ベストセラー『絶望の裁判所』の著者が、中世並みの「ニッポンの裁判」の真相と深層を徹底的に暴く法曹界再び騒然の衝撃作!

しかく著者略歴

1954年名古屋市生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。1979年以降裁判官として東京地裁、最高裁等に勤務、アメリカ留学。並行して研究、執筆や学会報告を行う。2012年明治大学法科大学院専任教授に転身。民事訴訟法等の講義と関連の演習を担当。著書に、『絶望の裁判所』(講談社現代新書)、『リベラルアーツの学び方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『民事訴訟の本質と諸相』、『民事保全法〔新訂版〕』、『民事訴訟実務・制度要論』(以上、日本評論社)等多数。そのほか、関根牧彦の筆名による『内的転向論』(思想の科学社)、『心を求めて』、『映画館の妖精』(ともに騒人社)、『対話としての読書』(判例タイムズ社)の著書があり、文学、音楽(ロック、クラシック、ジャズ等)、映画、漫画については、専門分野に準じて詳しい。

しかく目次

はしがき――ニッポンの裁判

第1章 裁判官はいかに判決を下すのか?――その判断構造の実際
裁判にはどんなものがあるか? 三審制は国際標準か?
裁判官の判断は積み上げなのか直感なのか? FBI心理分析官による分析との共通性
判決の役割とそのあるべき姿
裁判官の総合的能力と人間性の重要性
裁判の生命――事件の個別性と本質を見詰める眼
事実認定の難しかった四つの裁判

第2章 裁判官が「法」をつくる――裁判官の価値観によって全く異なりうる判決の内容
裁判官が「法」をつくる――リアリズム法学の考え方
結論正当化のためのレトリック
気の毒な未亡人の訴えを粗暴な論理で踏みにじった控訴審判決
問題の大きな最高裁判決に特徴的なレトリック
裁判官は正義の自動販売機?

第3章 明日はあなたも殺人犯、国賊――冤罪と国策捜査の恐怖
1 国家による犯罪であり殺人である冤罪
冤罪は国家の犯罪である
捏造証拠の後出し?――袴田事件
崩壊した科学裁判の神話――足利事件と東電OL殺人事件
明日はあなたも殺人犯!――恵庭OL殺人事件、女性にも起こりうる冤罪の恐怖
自白はいかにして作られるか?
日本の刑事司法は中世並み?

2 民主主義国家の理念と基本原則に反する国策捜査
3 あなたが裁判員となった場合には......

第4章 裁判をコントロールする最高裁判所事務総局――統制されていた名誉毀損訴訟、原発訴訟
1 政治家たちの圧力で一変した名誉毀損損害賠償請求訴訟
国会の突き上げを受けての御用研究会、御用論文
一変した認容額とメディア敗訴率、予断と偏見に満ちた認定判断

2 統制されていた原発訴訟
一般には知られていない裁判官「協議会」の実態
実質的な判断放棄に等しかった原告敗訴判決群
大飯原発訴訟判決
もう一度電力会社、官僚、専門家、そして司法を信用できるのだろうか?

第5章 統治と支配の手段としての官僚裁判――これでも「民主主義国家の司法」と呼べるのか?
1 「超」絶望の行政訴訟
刑事訴訟と並んで権力寄りの姿勢が顕著な日本の行政訴訟
住民訴訟もまたイバラの道
住民が勝っても首長の債務は帳消し!――唖然、茫然の最高裁「債権放棄議決是認」判決
刑事・行政・憲法訴訟等における裁判官たちの過剰反応の根拠は?

2 そのほかの訴訟類型
憲法判例は裸の王様?
訴訟類型と裁判官によって結論の分かれる国家賠償請求訴訟
アメリカに後れて始まったスラップ訴訟
担保が高すぎ、仮処分命令の出し渋り傾向も根強い民事保全

3 裁判の質の信じられない劣化

第6章 和解のテクニックは騙しと脅しのテクニック?――国際標準から外れた日本の和解とその裏側
民事訴訟における和解の重要性
和解を得意とする裁判官の類型
和解のテクニックは騙しと脅しのテクニック?
アメリカにおける和解との比較
日本では対席和解は無理なのか? 本当にそうなのか?

第7章 株式会社ジャスティスの悲惨な現状
最高裁判所の問題点
下級裁判所の問題点
あなたはそれでも株式会社ジャスティスに入社しますか?
裁判所と権力の関係
最高裁長官吏と裁判所の空気の移り変わり
コンプライアンスを行う意思が全くないことを明らかにした最高裁判所

第8章 裁判官の孤独と憂鬱
裁判官の孤独と憂鬱
司法が変われば社会が変わる
客観的な批判にはきわめて弱い裁判所
司法健全化のためにあなたができること
マスメディアのあり方とそれに関して注意すべき事柄
法曹一元制度の提言という苦渋の選択
最高裁判所という「黒い巨塔」の背後に広がる深い闇

あとがき――宇宙船と竹刀

しかく関連書籍

しかく引用

はしがき
本書は、『絶望の裁判所』(〔講談社現代新書、二〇一四年〕以下、本書では『絶望』と引用する)の姉妹書である。『絶望』が制度批判の書物であったのに対し、本書は、裁判批判を内容とする。つまり、両者は、内容は関連しているが、独立した書物である。(p.003)

より具体的に述べよう。『絶望』は、もっぱら裁判所、裁判官制度と裁判官集団の官僚的、役人的な意識のあり方を批判、分析した書物であり、裁判については、制度的な側面からラフスケッチを行ったにすぎなかった。これに対し、本書は、そのような裁判所、裁判官によって生み出される裁判のあり方とその問題点について、具体的な例を挙げなが>004>ら、詳しく、かつ、できる限りわかりやすく、論じてゆく。(pp.003-004)

[......]おそらく、日本の裁判全体の包括的、総合的、構造的な分析>005>も、これまでに行われたことはあまりなかったのであり、本書の内容に驚愕され、裁判に対する認識を改められる読者は多いはずである。(pp.004-005)

しかく書評・紹介

しかく言及



*作成:北村 健太郎
UP:20180211 REV:
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