『ホームレス博士――派遣村・ブラック企業化する大学院』
水月 昭道 20100920 光文社,214p.
last update: 20130509
■しかく水月 昭道 20100920 『ホームレス博士――派遣村・ブラック企業化する大学院』,光文社,214p. ISBN-10: 4334035825 ISBN-13: 978-4334035822 777円
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[kinokuniya] ※(注記)
■しかく内容
出版社からのコメント
◎にじゅうまる『高学歴ワーキングプア』から3年。その後、博士たちに何が起こったのか?
◎にじゅうまる「"専任"非常勤講師」「官製資格ビジネス商法」の実態は?
◎にじゅうまる鈴木謙介氏(関西学院大学准教授)との対談を収録。
◎にじゅうまる若手博士たちとの対話でよく出る話題に、次のようなものがある。
「どうして博士号まで持っているのにこんな仕事をしているの?」と、世間から質問されることが「最もイヤなんだよね」。
彼らは、食べるためにさまざまなバイトをやっている。塾や家庭教師にとどまらず、飲食店の店員や洋服の販売員、コンパニオンや建設作業員といった肉体労働、なかには人に言えないものもある。
パチプロ生活では、そこのところが一番快適だった。なにせ、知らない人たちの集いの場である。「博士号を持っているのにパチンコ生活ですか?」などと、余計なことは間違っても聞かれない。(本文を再構成)
◎にじゅうまる非正規の職でも「あればまだまし」/東大卒の博士でも就職率は四〇パーセント程度/教員も事務員も非正規だらけ/職なし・非正規博士は一〇万人/ホームレス博士を生み出す究極の格差社会----アカデミック・ワールドのいびつな構造/仕事を得られるかどうかは運次第/学部卒が支配する国・日本/奨学金返済という枷----博士たちは構造的にワーキングプアへと仕立てられる/大学院は我が国に必要なのか?/ストレートの院生より二留の学部新卒/美大の現実/量が増えたから質が下がったのか?/博士の放置プレイは国を滅ぼす
【著者紹介】
水月昭道(みずきしょうどう)
一九六七年福岡県生まれ。九七年、長崎総合科学大学工学部建築学科卒業。二〇〇四年、九州大学大学院博士課程修了。人間環境学博士。専門は環境心理学・環境行動論。〇六年、得度(浄土真宗本願寺派)。著書に『子どもの道くさ』(東信堂)、『子どもが道草できるまちづくり』(共著、学芸出版社)、『アカデミア・サバイバル』(中公新書ラクレ)など。〇七年刊行の『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)はベストセラーに。現在、立命館大学衣笠総合研究機構研究員および同志社大学非常勤講師。任期が切れる二〇一一年春以降の身分は未定。
■しかく目次
第一部 派遣村・ブラック企業化する大学院
大学院に進学すると・・・/非正規の職でも「あればまだまし」
東大卒の博士でも就職率は40パーセント程度
教員も事務員も非正規だらけ/大学教員(専任)のいびつな年齢構成
流しの歌手か、ソルジャー・ティーチャーか/職なし・非正規博士は10万人
ホームレス博士を生み出す究極の格差社会――アカデミック・ワールドのいびつな構造
米びつに手を突っ込むな! ワークシェアリングなど許さん!!
ある非常勤講師の悲惨すぎる日常/仕事を得られるかどうかは運次第
学部卒が支配する国・日本
奨学金返済という枷――博士たちは構造的にワーキングプアへと仕立てられる
博士との出会いには気をつけよう――婚活中の女性たちへ
国家の詐欺で狙いうちされる親財布/母は何も知らずに涙した
大学院は我が国に必要なのか?/ストレートの院生より二留の学部新卒
博士地獄という蟻地獄/巧妙なガス抜き
「うちの先生は信用できますか?」にお答えします
決意で自分の道を選べるほど「人間ができている人」はいない
大学院バブルに乗じた官・学・民/美大の現実/量が増えたから質が下がったのか?
研究の場を支える非正規博士たち/官僚のホンネ/博士の放置プレイは国を滅ぼす?
博士が戦うべき相手は?
第二部 希望を捨て、「しぶとく」生きるには
「来年はどうするんですか?」/「やはり、コンビニ店員か」
努力、才能、自力といった言葉に対する疑念/プライドでも博士号でも飯は食えない
パチプロ博士誕生/博士号より一杯のコーヒー/パチプロから立命館大学の研究員へ
悩んだ末、僧侶になる/「こんな本、書きとうはなかった」
テレビ取材を断り続ける理由――六畳間でラーメンをすする博士
東大での講演会――学校法人理事長の大学院重点化万歳発言/東大生の母が流した悔し涙
ハウステンボス元会長・池田武邦先生からの電話「なぜ博士になったの?」
ALS患者、舩後靖彦氏の学びへの挑戦――博士頑張れ!
脳手術を受けた鑓溝君――三歩進んで二歩下がる
100年前に女子高を創った真宗僧侶――平等化社会実現に向けて
創立者が教え子に残したもの/縁に良いも悪いもない
焦らずしぶとくを実践する、ALS患者和中勝三氏
僧侶となって振り返る――博士号とは何だったのか?
対談 大学院に行く意味を考える 鈴木謙介 X 水月昭道
揺らぐ大学院の価値/数字で見る大学院の実態/戦後の大学の歩み
役に立つ、立たない問題/どうサバイブするか
パイが狭くなるとシステムが温存される/モラトリアムの場としての大学院の必要性
どういうアウトプットを見せられるか/大学院時代に何か仕事をしておくべき
あとがき
■しかく引用
■しかく書評・紹介
■しかく言及
*作成:
片岡 稔