『排除と差別の社会学』
好井 裕明 編 20091210 有斐閣,289p.
■しかく好井 裕明 編 20091210 『排除と差別の社会学』,有斐閣,289p. ISBN-10: 4641281165 ISBN-13: 978-4641281165 1995円
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[kinokuniya] ※(注記)
■しかく内容
"普通"や"あたりまえ"を見直し、"わたし"が他者とつながる"ちから"を得るために、排除や差別とどのように向き合えばよいだろうか。
差別‐被差別という二分法的見方を超えて、みずからの"差別する可能性"を認めたうえで、日常をより豊かに生きていくための重要な手がかりとして、排除や差別という営みや出来事を"活用"していこう。
■しかく目次
第1部 排除や差別を読み解くために
第1章 排除と差別の社会学を考える基本をめぐって (好井裕明)
1 排除や差別をめぐる常識的な見方
2 排除や差別のない社会という理想(幻想?)
3 排除や差別を見抜こうとする社会学的まなざし
他者とつながる〈わたし〉
〈あなた〉に向かおうとする〈わたし〉の意志
4 差別的日常というテーマ ――"普通であること"を見直す
差別する可能性に気づく
差別的な日常へ――"普通であること"を見直す
5 "生きる手がかり"としての排除や差別を活用すること
第2章 屠場をフィールドワークする (三浦耕吉郎)
1 屠場を知っていますか?
2 屠場を取り巻く社会的タブー
3 屠殺の瞬間
4 〈仕事の両義性〉をめぐって
5 開かれた屠場に
第3章 排除・差別問題における「当事者」とは誰か──「なぜこういうことに関心を?」という問いかけから (倉石一郎)
1 はじめに――艦隊のなかでの違和感
2 何が問題なのか
3 私たちは誰でも、つねに/すでに差別問題の当事者である
4 「掃除を真面目にやる子こそ差別者」
5 おわりに――いま=ここから始められること
第4章 メディアから排除や差別を読む (好井裕明)
1 "決めつける"営みに焦点をあてる
メディアが行使する微細な権力
メディアにおける排除や差別を考えること
2 "決めつけ"の核にあるカテゴリー化という実践
カテゴリーをめぐる"闘争"
「あたりまえ」に含まれる"決めつけ"を読み解く
3 "普通であること"を確かめる
"劣位"を反転し、"優位"をからかう
"非-普通"をからかう――笑えないギャグやジョーク
4 "注釈する"実践を私たちはいかに批判的に読めるのか
第2部 個別の問題を手がかりとして
第5章 ジェンダーは男/女の二項対立的概念ではない (山田富秋)
1 はじめに
2 ジェンダー認知の習慣性と一瞥性
3 ジェンダーの規範性と権力作用
4 ジェンダー・アイデンティティと解放の戦略
第6章 同性愛への「寛容」をめぐって──新たな抑圧のかたち (風間孝)
1 個人の自由
2 グラデーション・モデル
3 もっとカミングアウトしてほしい
4 関係性に向き合う
第7章 異性愛主義のなかの女性の同性愛的欲望──それが確認されにくいのはどのようにしてか (杉浦郁子)
1 ある人生相談コラムより
「一度も男性を好きになったことがありません」
この回答は問題だ
2 「女性の同性愛的な欲望は確認されにくい」という社会的事実
もし男子学生からの相談だったら?
性的欲望のジェンダー非対称性
同性愛女性に特有の困難がある
3 異性愛主義における性的欲望
「異性愛」という社会関係
「男性に望まれたくない欲望」表出の(不)可能性
ジェンダー逸脱による同性愛的欲望の表出
4 性同一性障害の社会的認知と女性の同性愛的欲望
性同一性障害の可視化
「女性が好き」「じゃあ性同一性障害なの?」
5 コラムの相談者、A美さんへ
第8章 「障害者」と「非障害者」を隔てるもの (土屋葉)
1 合理的配慮をめぐって
差異化のうえに成り立つ「優しさ」
社会モデルと個人モデル
2 合理的配慮への違和感
誤解に基づく批判
「特別な配慮」への批判
「私たちの世界」の侵犯への抵抗
根強いひょひ的態度
3 「障害/非障害」の線引き
第9章 ハンセン病差別の今日的様相 (蘭由岐子)
1 ハンセン病――見えない世界
2 ハンセン病世界をめぐる状況変化とハンセン病世界の可視化
3 あらたな差別現象の出現――黒川温泉ホテル宿泊拒否事件
4 差別文書に見るハンセン病者差別の"論理"
"虚像"としての病者
病気の後遺症への嫌悪
税金による生活者への批判
5 「見えた」ものの問題性――差別を惹起したもの
第10章 ユニークフェイス・レボリューション──見えない当事者を可視化する挑戦の軌跡 (石井政之)
1 ユニークフェイスという当事者が誕生した歴史――「お化け」ではなく人間として
2 NPO創設者、石井正之の個人史――パイオニアとははじめの語り部である
3 ユニークフェイス当事者が出会う意味――出会いとは感動、葛藤、トラウマの直視
4 ボランティア組織の限界――日本のNPOはリーダーの燃えつきを誘う
5 100年持続可能な事業に!――静かに継続することが革命
第11章 「ひきこもり」について考える/「私」を振り返る (石川良子)
1 "ひきこもらされている"という視点
2 当事者をひきこもらせているもの
ひきこもっていることに対する非難のまなざし
ひきこもった人々を引き受ける"受け皿"の乏しさ
3 「自分自身からの排除」から解放されるために必要なこと
4 「ひきこもり」について考える/「私」を振り返る
「ひきこもり」への非難の背後にあるもの
「ひきこもり」の当事者と非当事者の連続性/非連続性
「ひきこもり」から社会と自分を問い直す
第12章 新卒採用はなぜ問題なのか? (阿部真大)
1 企業任せの未来
大学生たちの不安感
「内定取り消し」とは何だったのか?
2 新卒採用という制度
なぜ、新卒採用なのか?
「フレッシュさ」の意味
フリーター差別とは何か?
正社員にとってのフリーター差別
3 「絶望か萎縮か?」を超えて
第13章 「外国人」とは誰か──在日コリアンの社会的地位の変化と「外国人」カテゴリー (佐々木てる)
1 日本の「外国人」
2 「外国人」から永住市民へ――在日コリアン
戦後のつくられた「外国人」
「外国人」としての在日コリアン
「外国人」から永住市民へ
在日コリアン社会の内部変化
3 多様性へ――「外国人」イメージの変容
「外国人」は誰になったか
「外国人」=外国人労働者
「外国人」から移民へ
「外国人」イメージの変容と差別問題
まとめ――差別は解消されたのか
第14章 「部落」・「部落民」とは何か? (三浦耕吉郎)
1 ある差別事件から――「身元調査」という出来事
2 部落差別に関する説明図式
3 部落差別の〈わけのわからなさ〉
4 関係的カテゴリーとしての「部落」・「部落民」
5 「習慣的差別」としての部落差別
事項索引
人名索引
■しかく引用
■しかく書評・紹介
■しかく言及
*作成:
三野 宏治