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『「博士号」の使い方』

incu-be編集部 編 20090330 リバネス出版,199p.

last update:20130711

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しかくincu-be編集部 編 20090330 『「博士号」の使い方』 リバネス出版,199p. ISBN-10:4903168166 ISBN-13:978-4903168166 1575 [amazon]/[kinokuniya] (注記) cp03

しかく目次

まえがき
第1章 研究を続ける精鋭たち
第2章 企業で活躍する先駆者たち
第3章 未知のキャリアを開拓する挑戦者たち
あとがき

しかく引用

だいやまーく
「博士号」とは、何かある1つの分野で、哲学を突き詰めてきたという証明なんですね。博士課程で解いた問題は、ごく小さなことかもしれない。でも、きちんとやれば他の新しい問題も解くことができるはず。これが基本ですね。
小原 そうです。だからこそ、何を研究したいのか目的意識をきちんと持ち、自ら積極的に行動する人、そういう研究者が育って欲しい。...問題の本質を捉え、その先を正しく論理的に、ポジコン・ネガコンをしっかりとって研究する、そういう積み重ねができること。それこそが博士号の要件ですね。 [2009:16]

だいやまーく
博士課程の学生が哲学を身につけるために、必要なことって何だと思いますか?
小原 重要なのは、徹底的にディスカッションすることじゃないかな。
...
小原 あとは、学問的に確立されてきたこともあって、分子生物学しか勉強しない人が増えてきた。これは大きな問題だと思います。新しい学問やイノベーションが起こるのは、ある分野の人たちが違うところに入ってきてディスカッションし、そこで摩擦熱とか触媒反応が起こるから。だからこそ、学生には、分子生物学以外の学問も学んで自分の哲学を身につけてほしいんです。[2009:16-17]

だいやまーく
小原 サイエンスでは博士号を取ったからといって簡単には通用しないかもしれない。でも、新しい道を切り拓いていくことができる。その力は持っています。...好きなことや大事なことをみつけて、自分なりの考えをもって、未来を切り拓く。もちろん運もあるし、コミュニケーションなど+αのスキルも必要ですけどね。でも、それさえできれば、ビジネスでもどの世界に進んだって通用するはずです。それなりのトレーニングを受けて、ある一定以上のレベルがあるんだから、自信を持っていい。そういう意味で、博士号の意味や価値は大きいと思うし、博士を取った人には大きな可能性がありますね。
...
小原 博士号をとる人は、哲学を持っている人。そういう人は、自分で生きている、自分で考える、自分でクエスチョンを見つける、自分で次のToDoを決めるっていうことができる人だと思うので、基本的に他の人より人生を楽しんでいる。肉体的にも経済的にもつらいかもしれない。でも知的には楽しんでいる。国際的にも評価してもらえる。それが、最大の魅力なんではないでしょうか。[2009:18-19]

だいやまーく「研究室は動いたほうが良いのかもしれません。先生によって考え方、何を重視するのかが違います。多様な視点と底に流れる共通の考え方を知ることで、自分の目指すべき方向を改めて考えるきっかけになりました」。[2009:27]

だいやまーく科学の根幹である科学情報の流通、ひいては評価や研究計画、科学政策まで英語圏の情報基盤に依存する我が国では、母国語で書かれた情報は書き手にも使い手にも軽視され保全や公開されることなく散逸していく。.../現在、日本の学会抄録、商業出版の解説誌、政府調査報告書、科学研究申請書や報告書は事務局や図書館の片隅でほこりを被っていることが少なくない。散逸していく日本語文書が、実は我が国の科学者、技術者、政策立案者を利する貴重な著作である。著作権やプライバシー権の問題解決から情報の収集保全公開を進めること、これが日本語情報に関わる現在の課題であり、検索や洞察利用を助けるデータベース化がそれに続く課題である。国内外で日本の科学はどのように位置づけられ、何を期待されているのか。専門分野だけに留まっていては見えてこない。[2009:32-33]

だいやまーく「分野にもよると思いますが、全体像を知っておいたほうがよい学問分野ははじめから全体像の把握に取り組むよりも、関連するひとつの分野をある程度把握してからそこに進むほうが良いと思います。」[2009:37]

だいやまーく「知りたいことをとことん考えて手を動かす中で、多くはうまくいきません。だからこそ、もっと考えて手を動かす。そうすると、追っていたものとは違っていても何か新しい発見に出会います。」これが、研究を続ける力となる。「"受験のために" "就職のために"。何かのためにではなく、自分で考えて、わくわくして実験する。そんな仕事は辛くても幸せです」。[2009:44]

だいやまーく「誰しも不安は沢山ありますが、チャンスを引き寄せるためには、"自分が何をしたいのかを周りに発し続けること"が重要です」。[2009:68-69]

だいやまーく「新しいものを売るポイントは、使用メリットをいかに相手に説明し、納得させることができるかに尽きる。これは研究をやっていたからできること」。[2009:72]

だいやまーく
N君 ドクターの就職難の話題がよく出ますが、企業では何が必要とされるんですか?
中原 知識は最低限必要ですが、それより「人間性」と「哲学」ですね。自分が研究している意味を、自分で分かっているかどうか。それはよく考えてほしいですね。 [2009:84]

だいやまーく
N君 最後に、ポスドクの方や学生にひと言お願いします。
瀬尾 環境への対応は、研究者を続けようと他の分野に進もうと、程度の差はあれ、必要だと思います。...どこかで辛抱をしなければならず、だからこそ移った先では辛抱をして、何らかの結果を出すのです。...あとは目標を曲げないことです。[2009:94]

だいやまーく
柴崎 ...欧米などの企業では科学担当者は多くの場合に博士号を取得しています。そういう企業と話をする場合は、こちらが博士号を持っていると、向こう側も科学的な素養があると判断するので、話が早く進む場合もあり、そういう意味では博士号の取得がプラスになっていると思います。/しかし私が思うに、博士号というのは肩書きが云々というよりは、博士レベルの研究をやっていく中で身につけていくであろう「自然科学を研究する上での考え方」や「方法論」、「研究をやり遂げるだけの忍耐力」などの能力の方が重要です。それらは自分の現状を考えても、さまざまな場面で役に立っていると感じます。/あと、これはビジネスの勉強を通して知ったのですが、我々は研究をするときは基本的にどういう実験をすればどんな結果になるかをまず考えて、その上で仮説に沿って実験を組みますよね。これは研究者にとっては当たり前の考え方だと思うのですが、どうやらビジネスの世界ではそれが意外と当たり前ではないようなのです。...研究を通じてトレーニングされた思考法や考える癖、行動力などは実はビジネスシーンでも非常に重視される能力なのです。[2009:104-105]

だいやまーく
柴崎 ...目の前にあることを一生懸命、全力でやることが重要だと思います。そこで経験を積みながらいろんな仕事があることを理解していく。その上でビジネス寄りの仕事が面白いと感じるなら決断してビジネスの仕事にシフトしてもいいし、研究の方が面白いと感じるなら研究側の仕事を断固継続すればいいと思うのです。[2009:106-107]

だいやまーく
須藤 博士号取得者は世間的には、研究のプロと思われています。それならば博士号取得者が社会で自分の価値を高めるには、研究経験をより価値のあるものにすること、つまり質の高い研究経験を積んでおくことが重要なのです。[2009:115-116]

だいやまーく
Sさん 就職活動の際に気をつけることはありますか?
片岡 2点あります。1つは早く動き出すこと.../もう1つは、結局企業がキャリア採用で求めているのはこの人を採用したらどんな利益があるか、ということなので、それをアピールしなければいけません。...「自分がやってきた研究の、こういう部分はこの仕事に活かせると思います」とか、「こういう仕事と融合できたら将来こういうビジネスが展開できるんじゃないか」というビジョン、特に自分のキャリアと会社の事業とを繋げるストーリーを考え、それを企業の方に伝えることがとても重要なのです。いわゆる指示待ちで、自分の興味のある分野だけをやるというスタンスではなく、自分と会社、さらにその先にいる顧客と、どう結びついていけるのか積極的にアイデアを出してストーリーを描くこと。それをそれまで培った論理的思考で理路整然とプレゼンをする、そういう姿勢をもつだけで企業の見方もがらりと変わると思いますよ。[2009:186-188]

しかく書評・紹介

しかく言及



*作成:片岡 稔
UP:20101210 REV:20130704 0711
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