『抗精神病薬受容体の発見ものがたり――精神病の究明を目指して』
Seeman, Neil; Seeman, Philip; Watanabe, Masayuki 2009
Psychosis: Discovery of the Antipsychotic Receptor
=20110822 渡辺 雅幸 訳,星和書店,292p. ISBN-10: 4791107837 ISBN-13: 978-4791107834 2800+
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[kinokuniya] ※(注記) m.
■しかくSeeman, Neil; Seeman, Philip; Watanabe, Masayuki 2009
Psychosis: Discovery of the Antipsychotic Receptor=20110822 渡辺 雅幸 訳,『抗精神病薬受容体の発見ものがたり――精神病の究明を目指して』,星和書店,292p. ISBN-10: 4791107837 ISBN-13: 978-4791107834 2800+
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■しかく広告
ジャック・ヴァン・ロッスムによって初めて提唱された統合失調症のドーパミン仮説は、時の試練に耐え続け、この疾患の最も確立された理論的根拠であり続けている。1975年のトロント大学における脳内の抗精神病薬の標的(当初は抗精神病薬/ドーパミン受容体と命名され、後にドーパミンD2受容体と再命名された)の発見は、ドーパミン仮説の最初の確認であった。この本は、その発見についての物語である。
■しかく目次
第1章 思考について思考する
第2章 フレンチコネクション
第3章 統合失調症とは何か?
第4章 流行、思考を修理する化学物質だって? 不可能だ
第5章 どこだろう?
第6章 抗精神病薬による細胞膜の安定化
第7章 研究戦略
第8章 抗精神病薬による神経細胞膜の拡張
第9章 抗精神病薬の治療濃度
第10章 イエテボリなんか恐くない
第11章 抗精神病薬/ドーパミン受容体
第12章 統合失調症のドーパミン仮説
第13章 D2受容体の分離、モデル
第14章 発達、そしてD1-D2リンクの破綻
第15章 パーキンソン病における過感受性
第16章 クローン
第17章 ドーパミン受容体DNAと統合失調症
第18章 占有、PET
第19章 D2Longer
第20章 ノーベル賞、統合失調症、そしてDNA
第21章 突破口
第22章 より多くのD2High受容体こそが統合失調症の統一的メカニズムなのだろうか?
第23章 D2High受容体は人でも見いだされるのだろうか?
第24章 将来の薬剤とライナス・ポーリングの規則
第25章 精神病の発火
第26章 D2受容体発見の衝撃
■しかく著者
渡辺 雅幸
http://www.nr.showa-u.ac.jp/ot/teacher/watanabe.htm
1972年 慶應義塾大学医学部卒業
1972年 慶應義塾大学医学部精神神経科入局
1979年 医学博士(慶應義塾大学)
1982年 カナダ・トロント大学医学部薬理学教室研究員
1995年 東京都精神医学総合研究所精神薬理研究部門室長
1999年 昭和大学附属烏山病院副院長・精神科助教授
2000年 昭和大学医療短期大学作業療法学科教授
2002年 昭和大学保健医療学部作業療法学科教授(現在に至る)
■しかく引用
訳者あとがき 253-255
「その当時、病気〔統合失調症〕の原因は全く不明であり、病因に関するさまざまな説が主張され、渾沌として五里霧中のような状況であった。当時は反精神医学や精神分析学的考えも盛んであり、統合失調症については心理社会的原因を重視する見方のほうが優勢であったかもしれない。
その反面、そのころ既に、抗精神病薬が臨床に導入されており、急性期の統合失調症症状の改善には極めて有効な場合があることを自らも経験していたが、その作用機序については全く不明であった。しかし、当時の私の未熟な思考においても、薬剤の作用メカニズムがわかれば、統合失調症の原因に迫れるのではないかとの漠然とした思いがあった。<0253<
そのような状況下で、カナダのシーマン教授が、抗精神病薬の作用機序はトーパミン受容体遮断作用にあり、統合失調症の病態には脳内ドーパミン機能過剰が関係しているとの論文を続々と発表し、私もそれらを読んで、あたかも霧が晴れわたるような感慨を覚えたことは今も記憶に残っている。」(pp.253-254)
■しかく言及
◆だいやまーく立岩 真也 2011年10月01日 「社会派の行き先・12――連載 71」,『現代思想』39-(2011-10):
資料