『年報・死刑廃止2008 犯罪報道と裁判員制度――「光市事件」報道についてのBPO「意見」を受けて』
年報・死刑廃止編集委員会 20081020 インパクト出版会,304p.
■しかく年報・死刑廃止編集委員会 20081020 『年報・死刑廃止2008 犯罪報道と裁判員制度――「光市事件」報道についてのBPO「意見」を受けて』,インパクト出版会,304p. ISBN-10:4755401925 ISBN-13:978-4755401923 2300円+税
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■しかく内容(巻頭言抜粋)
二〇〇六年一二月、長勢甚遠(元法相)が三名の死刑執行を行ってから、翌七年八月にかけて、彼は三回一〇名の死刑執行を行った。彼はそれまでの法相と違って世論の支持を得ていると自分のブログで宣言し、国会会期中にどうどうと執行を繰り返したのだった。
次に法相となった鳩山邦夫は、「判決確定後六ヵ月以内に法相が執行命令をしなくてはならないという法律は守られるべきだ」、「ベルトコンベアーと言ってはいけないけれど、順番どおりなのか乱数表かわからないけれど、自動的に客観的に進む方法を考えてはどうか」と発言、同年一二月から〇八年三月にかけて二ヵ月ごとに計四回一三名の死刑を執行、日本は死刑大国への道を歩み始めた。続いて法相となった保岡興治も、在任一月もたたぬ九月に三名を執行、長勢・鳩山のつくり出した死刑自動化の道を引き継ぐ。この背景には、死刑判決の濫発にともなう死刑確定者の増加がある。一〇年前五一名(九七年末)だった確定者が、いま一〇三名(〇八年九月末現在)だ。それを支える死刑を指示する世論をつくり出したひとつの要因として、センセーショナルな犯罪報道があることは確かだ。その典型が光市事件の裁判報道だといえるだろう。とりわけテレビでのニュースショー番組は、事実の歪曲や間違い、作為や演出過剰、不公平な報道を繰り返した。これに対し、「光市裁判」報道を検証する会はBPOに申立を行ったが、それに対してBPOから回答が出された。それをめぐってのシンポジウムを軸に、犯罪報道と裁判員制度を考える特集を組んだ。(深田卓)
■しかく目次
●くろまる犯罪報道と裁判員制度
「光市事件」報道をBPO申し立てへ 島谷直子
BPO申立の記者会見 浅野健一
「光市事件」裁判を報ずるテレビに猛省をうながしたBPOの「意見」 山際永三
シンポジウム
犯罪報道と裁判員制度――「光市事件」報道についてのBPO「意見」を受けて
日隅一雄・浜田寿美男・綿井健陽・下村健一・足立修一・安田好弘・太田昌国
資料
BPOへの申立書
光市母子殺害事件の差戻控訴審に関する放送についての意見
●くろまる特集2 鳩山ベルトコンベアーに抗して
07年9月鳩山発言
鳩山邦夫法相発言を弾劾する
鳩山法相・死刑廃止団体と面談
鳩山法相の地元で集会・デモをやりぬいたぞ! まえだけいこ
07年12月・第1回目の執行
暴走する死刑のベルトコンベアーを止めよう 安田好弘
池本登さんの思い出 大場知子さんから/藤間さんの友人Oさんから/抗議声明/参議院法務委員会 近藤正道議員の質問議事録
08年2月・二度目の執行
大量執行時代にどう対処するか 安田好弘
執行された松原正彦さんから中道弁護士への手紙から
死刑に直面するものの権利は守られたか 岩井 信
2月1日・参議院予算委員会 福島みずほ議員の質問議事録
08年4月・三度目の執行
死刑判決を一件でも減らすために 安田好弘
追悼・岡下香
岡下香さんを偲ぶ 光本恵子/お別れ会の実現と抗議集会 友野重雄/心優しかったであろう岡下香さんの死 可知亮/岡下さんのこと 太田昌国
08年6月・四度目の執行
死刑のベルトコンベアーにどこで歯止めをかけるか 安田好弘
法相は統合失調症の投薬治療を受けていた
宮崎勤氏を処刑した 田鎖麻衣子
追悼・宮崎勤
「出会い損ない」の連続だった彼との交流 大貫挙学
死刑執行でなにかプラスになるのか 篠田博之
●くろまる死刑をめぐる状況 2006〜2007
第三回 死刑囚表現展について 萬谷義幸著『手記』の問題性 川村 湊
日本弁護士連合会(日弁連)の死刑問題に関する活動報告 小川原優之
死刑関係文献案内 前田 朗
死刑映画を観る 中村一成
死刑廃止に向けた国際的動向2007 辻本衣佐
死刑判決・無期懲役判決(死刑求刑)一覧 菊池さよ子
法務大臣別死刑執行記録
死刑廃止運動にアクセスする 廃止運動団体・フォーラム・ネットワークなど
死刑を宣告された人たち
死刑廃止年表2006
編集後記
■しかく引用
■しかく書評・紹介
■しかく言及
*作成:
櫻井 悟史