『イギリスの社会福祉と政策研究――イギリスモデルの持続と変化』
平岡 公一 20030915 ミネルヴァ書房,358p
■しかく平岡 公一 20030915 『イギリスの社会福祉と政策研究――イギリスモデルの持続と変化』,ミネルヴァ書房,358p. ISBN-10: 4623036928 ISBN-13: 978-4623036929 3780円
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内容(「BOOK」データベースより)
わが国の制度改革に影響を及ぼしたコミュニティケア改革の背景やその帰結を解明するとともに、家族政策、福祉多元化の動向など、80年代以降の政策展開を多面的に分析。制度改革をめぐる政策論議に一石を投じた普遍主義論をはじめ、イギリスの政策研究に関する論考も収録。一貫して社会福祉政策論に取り組んできた著者初の単著。
内容(「MARC」データベースより)
日本の制度改革に影響を及ぼしたコミュニティケア改革の背景やその帰結を解明するとともに、家族政策、福祉多元化の動向など、80年代以降の政策展開を多面的に分析。普遍主義論、イギリスの政策研究に関する論考も収録。
■しかく目次
第I部 コミュニティケア政策の展開と制度改革
第1章 計画システムの形成と変容――「ガイドライン・アプローチ」から「資源移転アプローチ」へ
1 はじめに
2 10か年計画方式の導入:1972年
3 10か年計画の廃止と政策優先順位の設定
4 3カ年計画方式の導入:1977年
5 「ガイドライン・アプローチ」の成果と限界
6 保健・福祉合同財政制度と「資産移転アプローチ」
7 おわりに
第2章 自治体福祉行政におけるコミュニティ志向アプローチ――パッチ・システムの展開と分権的多元主義
1 はじめに
2 パッチ・システム
3 分権的多元主義の理論
4 パッチ・システムと分権的多元主義の位置
5 分権的多元主義とパッチ・システムへの批判の論点
第3章 改革志向の自治体福祉行政――ケント県におけるコミュニティケアの展開
1 はじめに
2 ケント県の社会福祉行政の概況
3 社会サービス部組織の改革
4 ケースマネジメントの全面的導入
5 施設体系の再編と施設の民間移管
6 多様なサービスの開発
7 自治体の計画・調整機能の強化が意味するもの
第4章 コミュニティケア改革――その背景、内容と実施経過
1 はじめに
2 コミュニティケア政策の展開とその行き詰まり
3 「国民保健サービス及びコミュニティケア法」の成立
4 制度改革後のコミュニティケア実施体制
5 制度改革を分析・評価する視点
第5章 制度改革実施後のコミュニティケア――改革の成果・限界と新たな政策展開
1 はじめに
2 サービス供給
3 地方自治体社会サービスの責任・機能の変化
4 権利保障と権利擁護をめぐる変化と政策課題
5 監査制度をめぐる動き
6 コミュニティケア政策の行き詰まりと打開策の模索
7 社会サービスに関する白書
8 長期ケアに関する王立諮問委員会の提案と政府の対応
9 コミュニティケア政策の持続と変化
第II部 家族・コミュニティと福祉政策
第6章 社会福祉における市民参加――ボランティア活動、インフォーマル・ケア、利用者参加
1 はじめに
2 ボランティア活動の広がり
3 ボランティア活動の特徴
4 インフォーマル・ケアの再発見と近隣ケア事業
5 社会福祉における利用者参加とコンシューマリズム
6 おわりに
第7章 人口・出生動向と家族政策――家族・ジェンダーの変容のなかで
1 はじめに
2 人口と出生の動向
3 出生率とその諸要因
4 人口政策と家族政策
5 女性の就労と出生、子育て
6 保育サービス
7 児童給付
8 出産休業などの諸政策
9 おわりに
第8章 イギリス社会と家族介護――家族介護の限界と新たな支援策の模索
1 はじめに
2 家族介護の現状
3 就労と介護の両立をめぐる問題
4 家族介護への社会的支援 (1) 社会福祉サービス
5 家族介護への社会的支援 (2) 企業の対応と手当制度
6 おわりに
第III部 社会政策研究のイギリス的展開
第9章 社会福祉研究のイギリス的特質とその変容――コミュニティケア政策の展開のなかで
1 はじめに
2 社会福祉研究の学問的伝統と新たな展開
3 コミュニティケアに関する政策科学的な研究の展開
4 おわりに
第10章 普遍主義‐選別主義論の再検討――イギリス・日本の政策展開との関連で
1 はじめに
2 普遍主義と選別主義の概念
3 イギリスにおける社会政策の展開と普遍主義?選別主義論
4 普遍主義?選別主義論の諸論点
5 日本における普遍主義?選別主義論の展開とその特質
6 普遍主義?選別主義論の検討課題
第11章 コミュニティケア実験プロジェクト――その実施経過と評価研究
1 はじめに
2 プロジェクトの概要
3 プロジェクトの評価調査
4 ケント・プロジェクトにおける「ヘルパー」の役割
5 プロジェクトの意義と日本にとっての示唆
第12章 サービス開発への取り組みと評価研究――ケント・プロジェクトと近隣ケア・プロジェクトの事例
1 はじめに
2 ケント・コミュニティケア・プロジェクト
3 近隣ケア事業
4 日本の社会福祉にとっての示唆
終章 社会福祉におけるイギリス研究の意味――まとめに代えて
1 イギリス研究の意味への問い
2 規範としてのイギリスモデル
3 比較の基準としてのイギリスモデル
4 研究対象としてのイギリスの社会政策研究
5 今後の研究の方向
引用・参考文献
初出一覧
索引
■しかく引用
第10章 普遍主義‐選別主義論の再検討――イギリス・日本の政策展開との関連で
→
選別主義・普遍主義
「本章では、資力調査という用語を、フローとしての所得の調査とストックとしての資産の調査の双方を含む意味で用いる。イギリスでもこのような用語法が一般的であるが、前者をincome test、後者を(狭義の)means testと区別する場合もある。なお、歴史的には、資力調査が「ニード・テスト」と呼ばれていたことがあり、また、今日でも資力調査がそのままニードのテストになる場合もありうるが、ここでは、資力調査がそのままニードのテストにはなりえないという前提で議論を進める。」(平岡[2003:266])
■しかく言及
「★02○しろまる平岡は普遍主義の定義に三つをあげており、そのうちの第三の定義「給付・サービスの受給に際して個別的な資力調査を行わなければならない場合のみを「個別主義」、その必要がない場合を「普遍主義」とする定義」(平岡[1991:69][2003:237]、引かれるのはTitmuss[1968=1971:140])が妥当であるとする。平岡の論の一部を批判する里見[2002:75]もこれを採用している。」(立岩[])