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『脳を知りたい!』

野村 進 20010315 新潮社,235p.

last update:20110511

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しかく野村 進 20010315 『脳を知りたい!』,235p. ISBN-10: 4104445010 ISBN-13: 978-4104445011 1575円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) m
(再刊:20040520 講談社(講談社プラスα文庫),340p. ISBN-10: 4062568470 ISBN-13: 978-4062568470 820円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) m)

しかく内容

脳の科学をめぐる研究の最前線を、我々の日常生活と結びつけて平易に解説した本。独断が横行し、センセーショナリズムをあおるジャーナリスト本が少なくないなか、的確な視点と良心の「におい」を感じさせる1冊だ。
まず最近なにかと世間を騒がせている早期教育の現状から入る。早期教育の有効性(あるいは有害性)がほとんど科学的に追加調査されていないと指摘しながら、多くの親が精神的に脅迫されているような悲劇的現状が浮き彫りにされる。幼児教育を鼓舞したソニーの御大が最終的にその考えを改め、賢くなるよりも「幸せになることがより重要」と吐いたことを、ご存じだろうか。子どもは幼児教育という宗教の人質なのである。
また、脳がいかに睡眠をコントロールしているのかはいまだ不明である。睡眠そのものの意味さえわかっていない。しかし、この領域で2人の日本人科学者が、画期的な発見に貢献しているのだ。一方は若く、東大のポストを蹴ってアメリカにとどまり、他方は「定年後は自由にやりたい研究をする」と宣言した退官大学教授である。
幼くして視力をなくし後年視力を取り戻した人が、初めて目にした世界への戸惑いについても興味深い。健常者が当たり前に感じている遠近感は幼少期の習慣や訓練によって脳が獲得する感覚で、生得的でないのだ。また、脳溢血による脳障害で失語症になった女性(この人は看護婦長だった)が、言葉と表現を再構築していく過程も、我々に重要な問いかけをする。話したい意志も内容も明晰だが、言葉にできない。このような身体状態に置かれたときの精神状態は、万人が一度は正しく学んでおくべきだろう。また、老年者の増加する日本の最大の懸念であるアルツハイマーに関しても、その現状が、興味深い事例とともに紹介される。
幼児教育に関心を持つ親、脳に関係したハンディキャップを持つ家族のいる人のみならず、脳科学の現状を知るには絶好の書である。(澤田哲生)

・(「BOOK」データベースより)
私たちの身体の一部である脳―その本質を理解するには、日常から乖離したかのような難解な"啓蒙書"では、なかなかに難しい。そんな脳科学者の"高度"な専門書とは違い、早期教育や失語症、アルツハイマーといった身近な問題と脳の関係を入念な取材によってひもとき、専門用語を極力使わずに脳科学の最先端を平易にリポートする...誰もが知りたい脳の世界を、誰にでもわかるように解き明かした、究極の「脳入門書」。

しかく目次

第1章 脳と早期教育――早期教育で賢い脳は造れるのか
第2章 脳とうつ病――脳が故障するとき
第3章 脳と環境ホルモン――現代人の脳が環境ホルモンに壊される
第4章 脳と睡眠――なぜ眠いのか、眠れないのか
第5章 脳と視覚――ヒトはなぜ人の顔を識別できるのか
第6章 脳と言葉――失語症...脳はいかに言葉を認識するか
第7章 脳とアルツハイマー病――人はいかにしてアルツハイマー病になるのか
第8章 脳と意識――心はどこにあるか

しかく引用


しかく書評・紹介


しかく言及



*作成:山口 真紀
UP: 20110404 REV: 20110511


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