『点字で大学――門戸開放を求めて半世紀 』
菊島 和子 著、高橋 実 監修 20000601 視覚障害者支援総合センター ,237p.
last update:20120206
■しかく菊島 和子 著、高橋 実 監修 20000601 『点字で大学――門戸開放を求めて半世紀』,視覚障害者支援総合センター,237p. ISBN-10: 4921213305 ISBN-13: 978-4921213305 1600
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■しかく内容
視覚障害学生にも、正規の大学生として点字入試が認められて半世紀。以来、大学の門戸開放や入学後の学習条件整備、卒業後の職域開拓などの実現に向けた取り組みの歴史を、関係者のインタビューを交えて辿る.
1949年(昭和24年)に日本で初の点字による大学入学試験が認められてから半世紀が過ぎた。その後、視覚障害者当事者を中心に「門戸開放運動」が広がりをもち、今では数多くの視覚障害をもつ学生が大学で学んでいる。本書は、その歴史と、現状を、著者が行った50人へのインタビューを中心にまとめている。関連資料も充実している。
■しかく目次
発行にあたって 社会福祉法人視覚障害者支援総合センター理事長 高橋実...3
第1部 点字で大学――門戸開放を求めて半世紀...11
資料1 点字使用者の学習・読書関係用語...12
1 視覚障害者たちは「なぜ」大学を目指すのか――学問、そして同世代体験...13
1-1 「なぜ」大学を目指すのか...14
1-2 大学で「何を」得たのか...18
2 旧学制期の高等教育と視覚障害者――確認されている高等教育入学者は約10名...22
資料2 新・旧学制の概要...23
2-1 旧学制期に高等教育を受けた点字使用者...24
2-2 「鳥居篤治郎の手紙」...27
資料3 1917[大正6]年の鳥居篤治郎の手紙...29
3 点字使用者の大学進学の半世紀――50年間に約500名が正規入学...32
3-1 新制大学の発足と進学適性検査の点字での実施...33
資料4 1949[昭和24]年の『点字毎日』の記事...34
3-2 大学の門戸開放要求運動と点字使用者入学の半世紀...36
資料5 点字使用者の大学入学数の変遷...37
資料6 1956[昭和31]年の『点字毎日』の記事...40
資料7 1972[昭和47]年の早稲田大学への手紙...44
資料8 1975[昭和50]年の国会請願の請願項目...45
3-3 こんな「視覚障害大学生」もいた...49
4 受験勉強と大学との点字受験交渉――盲学校高等部は一般の高等学校と同じ...52
4-1 受験勉強――盲学校教育の中で...53
4-2 大学との点字受験の交渉...60
5 点字使用者の入学試験は千差万別――点字試験1回に数人の協力者が必要...66
5-1 点字使用者の入学試験は千差万別...67
5-2 点字入試の協力者たちと大学への経費保障...73
6 点字使用大学生の学習環境――無償のボランティアに頼る点字教材の作成...79
6-1 大学の支援・社会の支援...80
6-2 授業や定期試験での配慮...88
6-3 教材作成はボランティアの協力が頼り...91
7 コンピュータが開いた別世界――「漢字仮名交じり文」も読み・書きする...99
7-1 オプタコンとコンピュータの登場...100
7-2 漢字仮名交じり文の「読み・書き」の実際...103
資料9 点字文文書の読み・書き...106
資料10 墨字の漢字仮名交じり文文書の読み・書き...107
7-3 大学に備えてほしい機器とスペース...108
資料11 大学に備えてほしい機器など...110
8 視覚障害者が大学を卒業したら――雇用の機会はどこにあるのか...112
8-1 公立学校の「教員」...113
8-2 公務員採用試験、司法試験...117
9 大学が与えるべきもの チャンス――大学で獲得すべきもの 視覚障害者としての自覚...122
9-1 大学が与えるべきもの チャンス...123
9-2 大学で獲得すべきもの 視覚障害者としての自覚...124
第2部 点字で大学 点字使用大学生50人50様...127
資料12 現「筑波大学附属盲学校」の変遷・盲学校教員養成の変遷...128
資料13 理療関係の免許...129
(1)幅広い基礎教養と深い専門研究を 永井昌彦...130
(2)数学研究を続けて博士号も 尾関育三...132
(3)社会の変化を学んで盲学校教員に 富田伴七...134
(4)チャンスを活かして英語を獲得 寺西勇二...136
(5)自慢はいまも続く友人関係 岩山光男...138
(6)「納得できる職業」は新聞記者 高橋実...140
(7)学問は楽しむもの 木塚泰弘...142
(8)学んでから将来を考えたかった 榎本千代乃...144
(9)研究者となって点字受験者を支援 藤芳衛...146
(10)二重障害でも目的意識があれば 藤野高明...148
(11)同じ条件で勉強させてほしかった 落野章一...150
(12)コンピュータの仕事を続けたかった 塩谷靖子...152
(13)きっかけは友人の兄からの「情報」 田中章治...154
(14)一般校の英語科教員になりたかった 田辺邦夫...156
(15)アルバイト体験から福祉に目覚めて 日比野清...158
(16)学生運動から社会運動へ
堀利和...160
(17)苦労は点字から墨字使用への転換 吉野由美子...162
(18)大学は「真理の探求の場」だった 愼英弘...164
(19)弁護士目指してまっしぐら 竹下義樹...166
(20)いつも晴眼者の中で 有本圭希...168
(21)母親の交渉で点字受験が実現 吉田重子...170
(22)最大の収穫は「かみさん」 平重忠...172
(23)失明しても進路は変更なし
石川准...174
(24)統合教育から内部推薦で大学へ 岩間勝美...176
(25)学科内に温かい協力体制があった 佐賀典子...178
(26)小規模国立大学でゆったり勉強 吉泉豊晴...180
(27)大学で見つけた一生の仕事 大塚強...182
(28)アジアに目を向けるきっかけに 青木陽子...184
(29)仕事の現場でも研究は続行 新阜義弘...186
(30)点字図書を作る面白さを仕事に 組地清志...188
(31)女子大学は慣れると気楽だが 安達麗子...190
(32)「職業はコンピュータ関係」に 橋間信市...192
(33)大学へは二段階計画で進学 青木学...194
(34)国際体験を活かして盲学校教員に 青松利明...196
(35)数学に没頭できる環境を求めて 田中仁...198
(36)大学の委員会の支援に感謝 筒井裕子...200
(37)教育実習は普通校で体験 馬場洋子...202
(38)演奏家か教師か、箏を仕事に 松田育子...204
(39)学年指導教員の「ひとこえ」の効果 与座健作...206
(40)成績優秀者演奏会にはすべて出演 澤田理絵...208
(41)法律を学んで国家公務員に 福嶋義忠...210
(42)リーガルカウンセラーを目指して 吉住寛之...212
(43)自己推薦入学し、勉強も水泳も 河合純一...214
(44)地元の大学に推薦入試で 下地美和子...216
(45)全盲の竹下弁護士にあこがれて 大胡田誠...218
(46)国際関係論は昔からの興味 伊藤丈人...220
(47)いまなら建築科に残れただろうか 田中徹二...222
(48)「見えなくてもできるじゃないか」 生井良一...224
(49)墨字で編入学し、点字で勉強 直居鉄...226
(50)墨字で読み、点字で書いた 亀甲孝一...228
資料12 点字使用者の大学進学にかかわる各種の統計...230
資料13 点字使用者に開放されている大学...232
あとがき...236
*作成:
植村 要