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2014年2月のアーカイブ
乳酸菌の最新情報、プロバイオティクスからバイオジェニックスの時代へ! (死菌でも生菌に負けない効果があった。)
- 2014年2月11日 1:17 PM
- マンスリートーク
赤の太字からはリンクします
2013年の11月にメディカル出版からという素晴らしい本が発売されました。内容は今までの乳酸菌に関する考えを一転するくらい活気的です。
今月のマンスリートークでは、その本の概略をお知らせしたいと思います。
その内容を理解することで、当院が平成12年からアトピー性皮膚炎の方に薦めていた乳酸菌生産物質がなぜ有効であるかを読者の皆さんに再認識して頂けると考えて、今月のマンスリートークでこの新刊を紹介することにしました。
それではまず本の要旨をひとつずつ書いていきます。
- 加齢とともに善玉菌は減少する。腸は人体最大の免疫器官である。体全体の免疫細胞の7割もが小腸に集中している。
- 腸内環境が悪玉菌優位を続けると、さまざまな病気引き起こす。有名なものはガン、肥満、認知症であるが、その他、うつ病やアルツハイマー病も腸内細菌に関係あると言われている。
- 腸が元気であれば病気知らずで、若さを保つことが出来る。また、腸内の乳酸菌は腸内細菌叢を改善する力がある。
- 腸内細菌の数は約1000兆個。腸内細菌の種類は「善玉菌」、「悪玉菌」、「日和見菌」の3種類がある。
- 「生きて腸に届くから効果あり」は誤りだった! 100年前からメチニコフは「生菌」「死菌」のどちらでも腸内で「善玉菌」を増やすと指摘していた。
- メチニコフはヨーグルト「不老長寿説」を100年前に説いた。そして、マウスを使った実験で乳酸菌を加熱殺菌して「死菌」として与えても、「生菌」の場合と同じように生育し、なかには成育状態がさらに向上し、糞便中の腐敗菌の菌数が低いケースもあった。このようなことから、腸内腐敗を抑えるのは乳酸菌そのものではなく、乳酸菌生産物質であると論じた。
- 気管支喘息やアトピー性皮膚炎のアレルギーは、腸内環境を改善することで減弱することが判明した。
- 乳酸菌はバイオジェニックスの時代へ進化している。バイオジェニックスとは乳酸菌の分泌物と菌体成分をエキス化したものである。そのエキス化したものは、腸内の悪玉菌の増殖を抑制し、かつ乳酸菌を増やす働きがある。
- 100年前にメチニコフが指摘していた乳酸菌生産物質は、実はバイオジェニックスであった。よって、今では多くの乳酸菌メーカーが「生菌」から「死菌」へシフトしている。
- バイオジェニックスとは、光岡知足先生が新たに提唱した言葉であり、意味するものは「体全体に直接作用し、腸内の免疫機能(腸管免疫)を刺激したり、コレステロール・血糖・血圧を安定させたり、活性酸素を減らしたりすることで、生活習慣病や老化を防止する食品成分の総称」である。
- そして、乳酸菌生産物質こそが、バイオジェニックスである。この乳酸菌生産物質なるものは、免疫力アップ、抗ガン、抗アレルギーetcに驚くべき効果を発揮する。
- 今日では、乳酸菌類は以下の3つに分けられる。
- プロバイオティクス→プロバイオティクスは、「腸内フローラのバランスを整え、健康に有利に働く生きた細菌や酵母」と定義され、具体的にはビフィズス菌や乳酸菌、酪酸菌などの生きた菌を含んだ食品や製剤を指します。ヨーグルト、植物性由来の乳酸菌(醸造乳酸菌)から作られたぬか漬け、味噌、キムチ、納豆菌から作られる納豆なども含まれます。
- プレバイオティクス→プレバイオティクスは「大腸に棲みついている善玉菌(ビフィズス菌)の増殖を促し、腸内フローラのバランスを整える難消化性の食物繊維やオリゴ糖を含んだ食品」が該当します。
- バイオジェニックス→10番の繰り返しとなりますが、日本を代表する腸内細菌の研究者である東京大学の光岡知足名誉教授が新たに提案している概念で、「体全体に作用することで、腸内の免疫機能(腸管免疫)を刺激したり、コレステロール・血糖・血圧を安定させたり、活性酸素を減らしたりすることで、生活習慣病や老化を防止する食品」のことを指しています。
- 10億~100億〜1000億から「兆」の時代へ。今では世界のトップレベルになった日本の乳酸菌だが、歴史を振り返ると1990年代に森下仁丹etcが発売していたビフィズス菌製剤は1袋に菌が10億程度であった。それが、最近ではも出現してきた。
- が多いが、ストレス解消にはセロトニンという神経伝達物質の活性化が重要である。セロトニンは実は腸内で95%が作られている。うつ病の原因はセロトニン不足であることが分かっている。今まで、うつがなかなか改善されないのは脳ばかり治療していたせいであった。具体例として九州大学医学部の須藤信行教授らは、「10年来まったく改善されなかったうつ病が、腸内環境を改善することによりわずか数ヶ月で劇的に改善した症例。」を報告している。
ここまでがという新刊の要旨です。
次に、いままでの内容の復習となりますが、現在の日本において腸内細菌の大家といわれる4人の意見を紹介したいと思います。
1人目は光岡知足先生(東京大学名誉教授)です。
今まで「生きた菌によって腸内フローラが改善される。」というプロバイオティクスの働きは、「腸管免疫を刺激することでその効果が全身に波及する」というバイオジェニックス的な発想から捉え直す必要がある。バイオジェニックスの発想により「死菌でも全く構わない」ので、長期間発酵させた乳酸菌生成物を加熱処理した粉末や錠剤などにすることで、兆を超える単位の菌が摂取出来る。これがいわゆる乳酸菌生産物質である。
2人目は藤田紘一郎先生(東京医科歯科大学名誉教授)です。
「生きている」「死んでいる」ではなく、乳酸菌が作り出す物質が腸内環境の改善に役立つ。味噌などの発酵食品が腸にいいというのも、「生きた菌」そのもの以上に、発酵食品の中に乳酸菌が作り出す物質が含まれていることにある。
3人目はテレビでおなじみの辨野義巳(べんのよしみ)先生(理化学研究所 特別招聘研究員 農学博士)です。テレビで紹介されるときは、「名前が(べんの)だから便の仕事は天職ですね。」などと司会者からよく揶揄されている方です。
乳酸菌やビフィズス菌は生きている、いないにかかわらず、腸内に細菌が運ばれると、菌体成分(その菌を構成している成分)が免疫細胞を活性化し、体全体の恒常性を保とうとして免疫機能が高まることが期待できる。
4人目は長沼敬憲先生(東京大学 生命化学情報室)です。
最近の研究では菌の死骸が腸壁を刺激し、腸の免疫力(腸管免疫)を活性化することが分かってきています。つまり菌の存在そのものに活性効果があるということです。生きた菌でも死んだ菌でも大きな違いはないのです。
以上が今回のマンスリートークで皆さんに紹介したかった内容です。
さて、皆さんは今回の本文のなかで、数回にわたり乳酸菌生産物質という言葉が出てきたことに気づきましたね。
はじめにも述べましたが、当院では平成12年からアトピー性皮膚炎の方に「腸内細菌叢の改善が必須である。」と説明して、乳酸菌生産物質ビオネの飲用を薦めてきました。HPにおいても、左側のContents のなかの下から10番目で乳酸菌生産物質のコーナーが閲覧出来るようになっています。
また、13番で紹介したような1兆を超えるものは、という名前で昨年発売されました。
現在、当院では乳酸菌生産物質ビオネとナノ型乳酸菌nanoEC を常時おいてあります。アトピーの方はもちろんのこと、それ以外にもに書いてある病気でなかなか改善が認められない方は、是非このバイオジェニックスの考えをご自身の治療に活用して下さい。
谷口雄一
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