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猪ノ鼻ダム
2010年03月02日 Tuesday 22:08

堤高27.9m
G/W 1933年 洲本市

2010年1月30日見学

洒落た老紳士。



猪ノ鼻ダムは、淡路島南部の洲本市営の水道用のダムです。
堤高27.9mのやや小振りながら、切石による石積みのダムで、独特の重厚感が感じられます。

ダムの直下はちょっとした公園のような造りになっていた様ですが、昭和初期に造られた古い施設とあって少しだけ荒廃した雰囲気が漂っていました。

ダムの下から右岸に歩道があるので登ってみます。
現在は使われていない道なので、かなり荒れている為、足元には注意が必要です。



朝8時 朝日を背にした猪ノ鼻ダムの堤体。
湖面に反射した陽射しがクレストの越流部の中を明るく照らします。

整然と切石が積まれた堤体。クレストは少しだけアーチの弧を描いています。
バケットカーブ(石積みでもそう呼ぶのでしょうか?)も美しく、装飾的なディティールは少ないものの、力強いシルエットがとても綺麗です。

天端は立入禁止。
天端の通路幅が狭い事もありますが、高欄がとても重厚に見えます。
この辺りが、猪ノ鼻ダムが男っぽく見える要因かもしれません。
擬人化するなら、小柄ながら背筋がピンと伸びた老紳士のような猪ノ鼻ダム。



ダム湖側からの堤体。越流の高さで随分と色が違いますね。
左岸側にある半円形状の取水設備は、この時代の石積堤体に共通するものです。



再びダム直下に戻って来ました。
天端付近に駐車スペースが無いので、この猪ノ鼻ダムを訪れる時は、ダム直下を目指してもらうと良いと思います。

ダム下に架かる味のある橋。
コンクリートとアイアンで装飾された欄干。ひょっとして当時の水道局などの紋章をモチーフにしてるのかもしれません。
両岸の支柱脇の装飾も要チェックです。とにかく、こういうモノに弱い僕だったりします。

此方の左岸側にアイアンの門が残っていました。左岸側には沈砂池のような水槽の遺構もあり、竣工当時は対岸の右岸側が見物客向けに解放されていたのかな?と想像します。



堤体の最下部。
スカート部分に開いているのは、排砂ゲートでしょうか。



両岸から、石積み堤体を覆い隠さんとばかりに樹木が茂っています。

あまりに堤体の側なので、勝手に生えてしまったものかとも思いましたが、きっと市民の水源地として親しんでもらえる様に植樹された木々だと思います。
それは、今は少し荒廃していますが、狭いながらも美しい公園だったのではないかと思うからです。




どこかしら、うろこ越流と美しい庭園で有名な、愛知の馬ヶ城ダムと同じ匂いを感じた猪ノ鼻ダムでした。

猪ノ鼻ダム
★★★★


おまけ。

ダム下左岸の廃墟。元々ダムに関係した小屋だったと思うのですが、スゴク斜めってます。



反対から見たら、もっとエライ事になってました。

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