微量PCB 含有電気機器の課電自然循環洗浄法について


環 廃 産 発 第 1503319 号
平 成 27 年 3 月 31 日
各都道府県・各政令市廃棄物行政主管部(局)長 殿
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長
微量 PCB 含有電気機器の課電自然循環洗浄法について(通知)
廃棄物行政の推進については、かねてから御尽力いただいているところである。
さて、今般、微量ポリ塩化ビフェニル汚染絶縁油を含有している使用中の電気機器(以
下「微量 PCB 含有電気機器」という。)を洗浄する技術である課電自然循環洗浄法につい
て、環境保全と電気保安を確保した浄化手順等を明確化するため、経済産業省及び当省に
おいて、別添のとおり「微量 PCB 含有電気機器課電自然循環洗浄実施手順書」(以下「手
順書」という。)を取りまとめたところである。
ついては、
手順書に基づいて課電自然循環洗浄法により洗浄された微量 PCB 含有電気機
器の取扱いについては、次の点に留意いただきたい。
なお、本通知は、地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)第 245 条の4第1項の規定に基
づく技術的な助言であることを申し添える。記1.
微量 PCB 含有電気機器が手順書に基づき課電自然循環洗浄法により洗浄されたときは、
電気関係報告規則(昭和 40 年通商産業省令第 54 号)第4条の規定により、これを設置
する者は、
当該微量 PCB 含有電気機器が設置されていた場所を管轄する産業保安監督部
長(原子力発電工作物たる微量 PCB 含有電気機器にあっては、原子力発電工作物に係る
電気関係報告規則第4条の規定により、
経済産業大臣及び原子力規制委員会)
に対して、
ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物廃止届出書を届け出ることとなるが、
本届出が適正
に行われた機器(以下「課電洗浄完了機器」という。)が廃棄物となったものは、ポリ
塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する法律(平成 13 年法律第 65 号。以下
「PCB 特措法」という。)第2条に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物並びに廃棄物の
処理及び清掃に関する法律施行令第2条の4第5号に規定する廃ポリ塩化ビフェニル
等及びポリ塩化ビフェニル汚染物に該当しないものであること。
また、課電洗浄完了機器であることは、当該機器を設置する者が手順書3.により保
管した記録を閲覧する又は産業保安監督部等に問い合わせることにより確認できるこ
と。
なお、課電洗浄完了機器は、PCB 特措法第8条により届出されるポリ塩化ビフェニル
廃棄物の保管及び処分状況等届出書において、
ポリ塩化ビフェニル廃棄物に係るポリ塩
化ビフェニル使用製品の状況の記載対象から除かれるものであること。
2.手順書2.(2)により抜油された微量ポリ塩化ビフェニル汚染絶縁油及び当該油が
付着した汚染物は、
ポリ塩化ビフェニル廃棄物として、
適正に処理する必要があること。
3.課電洗浄完了機器が廃棄物となったものについて、当該廃棄物を構成する油含浸性の
紙及び木製の部材については、ポリ塩化ビフェニル廃棄物には該当しないものの、廃油
を含む廃棄物として、適正に焼却する必要があること。
微量PCB含有電気機器
課電自然循環洗浄実施手順書
平成27年3月31日
経済産業省産業技術環境局環境政策課環境指導室
経済産業省商務流通保安グループ電力安全課
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課
目次
1.総則
(1)本手順書の位置づけ.................................................1
(2)本手順書の対象となる機器...........................................1
(3)基本原則...........................................................1
(4)課電洗浄の流れとその後の手続.......................................2
2.課電洗浄
(1)事前手続き等.......................................................3
(2)抜油作業...........................................................3
ア)作業前準備........................................................3
イ)抜油作業..........................................................4
(3)注油作業...........................................................5
ア)作業前準備........................................................5
イ)注油作業..........................................................6
ウ)洗浄対象機器作業後の健全性確認....................................7
(4)課電の実施.........................................................7
ア)課電状況の確認....................................................7
イ)課電期間..........................................................7
(5)絶縁油PCB濃度確認作業..............................................7
ア)事前準備..........................................................7
イ)採油作業..........................................................8
ウ)分析操作..........................................................8
(6)洗浄処理の完了.....................................................8
ア)洗浄処理完了判定..................................................8
イ)洗浄処理未完時の扱い..............................................8
ウ)洗浄に使用した絶縁油の扱い........................................8
(7)作業全般に関するその他留意事項.....................................8
3.課電洗浄の記録及び閲覧
(1)課電自然循環洗浄実施報告書の作成...................................9
(2)記録の保管.........................................................9
(3)記録の閲覧.........................................................9
(添付資料)
ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物の課電自然循環洗浄実施報告書............10 11.総則
(1)本手順書の位置づけ
本手順書は、(2)に掲げる対象機器(以下「対象機器」という。)について、課電自然循環洗浄
法による洗浄処理(以下「課電洗浄」という。)を行う場合の、電気保安及び環境保全を確保した
具体的な洗浄手順を定め、安全かつ確実な処理を図ることを目的とする。
なお、本手順書に定める以外の安全対策や機器により必要な追加作業、手続等については、
確実に実施することとする。
また、本手順書に基づき適正に課電洗浄が完了した対象機器と認められるものについては、
所定の手続きを経た上で、電気事業法(昭和39年法律第170号)に規定するポリ塩化ビフェニル
含有電気工作物並びにポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する法律(平成13
年法律第65号。以下「PCB特措法」という。)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45
年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物等に該当
しないものとなる。
(2)本手順書の対象となる機器
次に掲げる条件を満たす機器とする。
ア) 使用中変圧器の絶縁油のポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という。)濃度が5mg/kg以下
かつ銘板絶縁油量が2,000L以上の大型変圧器であること
イ) 当該変圧器本体に付随し、本体の絶縁油とは別系統となっている、絶縁油のPCB濃度が
5mg/kg以下である次に掲げる部位(以下「別系統部位」という。)であること
1 負荷時タップ切換装置(以下「LTC」という。)及び浄油機
2 エレファント
3 感温部
ウ) 当該変圧器本体に付随するブッシングが次に掲げるものであること
1 共油型
2 密封型及び共油・密封共存型であって、絶縁油中のPCB濃度が0.5mg/kg以下のもの
(注記)PCB濃度が測定できないもの、又は絶縁油中のPCB濃度が0.5mg/kgを超えるものは
対象外
エ) 当該変圧器本体に中間室(開閉器との接続部)が付随しないものであること。
(3)基本原則
本手順書において定める課電洗浄を実施するにあたっての基本原則は、次に掲げるとおりで
ある。
ア) 作業員の安全確保
イ) 周辺環境へのPCBの飛散・流出等の防止
ウ) 洗浄対象機器の電気的健全性確保
エ) 洗浄手順の確実な実施とその記録 2(4)課電洗浄の流れとその後の手続
課電洗浄実施時における一連の流れを図1-1に示す。
図 1-1 課電洗浄フロー図
対象機器であることの確認(1.(2)参照)
洗浄対象機器の抜油(2.(2)参照)
洗浄対象機器への新油を注油(2.(3)参照)
課電洗浄(2.(4)参照)
洗浄処理完了(2.(6)参照)
洗浄実施報告書作成(3.(1)参照)
電気事業法の PCB 含有電気工作物の廃止届出
PCB非含有機器として継続使用
微量 PCB 汚染絶縁油の搬出
保管又は処理
油中濃度≦0.3mg/kg
絶縁油 PCB 濃度分析
(2.(5)参照)
事前手続き等(2.(1)参照)
PCB特措法の届出対象から除外
廃棄物となった際、廃棄物処理法上のPCB
特別管理産業廃棄物とは扱われない
油中濃度
>0.3mg/kg 32.課電洗浄
(1)事前手続等
課電洗浄の作業の実施に先立ち、以下の事前手続等を行う。
ア) 課電洗浄を行う対象機器の絶縁油中のPCB濃度の確認
課電洗浄を行う対象機器の絶縁油中のPCB濃度が5mg/kg以下であることについて、過
去に「電気関係報告規則」(昭和40年通商産業省令第54号)第4条又は「原子力発電工作
物に係る電気関係報告規則」(平成24年経済産業省令第71号)(以下、まとめて「報告規則
等」という。)第4条に基づき届け出た「PCB含有電気工作物の使用届出書」及び当該使用
届出書の届出をする際に絶縁油中のPCB濃度を分析した第三者分析機関が発行した分
析結果報告書(写しを含む)(以下、まとめて「使用届出書等」という。)により確認する。
なお、当該絶縁油中のPCB濃度が不明な場合には、当該絶縁油中のPCB濃度の測定
を分析事業者に依頼し、「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)
(平成23年5月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)」(以下「簡易測定
法マニュアル」という。)に記載の簡易定量法又は「特別管理一般廃棄物及び特別管理産
業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号)別表第2に定める方法
(以下「公定法」という。)により測定し、確認する。
イ) 課電洗浄を行う機器について
1 初回の課電洗浄の扱い
本手順書で対象となる使用中変圧器、別系統部位及び共油型ブッシングのうち、絶縁
油中のPCB濃度が0.5mg/kg以下のものは課電洗浄を実施する必要は無く、絶縁油中のP
CB濃度が0.5mg/kgを超えるもののみ課電洗浄を実施する。
2 2回目以降の課電洗浄の扱い
課電洗浄の結果、2.(6)ア)の洗浄処理完了判定を満たさず、再度課電洗浄を行う場合
は、当該洗浄処理完了判定を満たさないもののみ課電洗浄を実施する。
ウ) 洗浄実施計画書の作成
事業者は、課電洗浄を確実に実施するために、事前に課電洗浄に係る計画書を作成す
る。
エ) 消防法等の関係法令手続
消防法(昭和23年法律第186号)をはじめとするその他の関係法令に基づき、必要な申
請・届出等の適切な対応を行う。
(2)抜油作業(対象機器から微量PCB汚染絶縁油を抜き取る作業)
抜油作業は、電気主任技術者(電気事業法(昭和39年法律第170号)第43条第1項の規定に
基づいて選任された主任技術者であって、同法第44条第1項第1号から第3号までに掲げる種
類の主任技術者免状を有するものをいう。)及び特別管理産業廃棄物管理責任者(廃棄物処理
法第12条の2第8項に規定する特別管理産業廃棄物管理責任者をいう。)の双方の管理の下で、
対象機器の取扱いに習熟した者が行うものとする。
ア) 作業前準備
抜油作業前に以下の事前準備を行う。なお、本手順書に定めの無い事項についても、作業 4員の安全確保、周辺環境へのPCBの飛散、流出等の防止等の観点から必要な事項について
は、確実に実施する。
なお、抜油作業において抜油した微量PCB汚染絶縁油の収集運搬を伴う場合、当該抜油
作業は、当該絶縁油の収集運搬に係る特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を有する者
が行うこととする。
1 危険(作業)区域の設定
作業にあたっては、作業の安全性、周辺設備への影響等を踏まえ、必要に応じて危険
(作業)区域を設定する。また、関係者以外立入禁止とし、危険物の取扱い及び貯蔵に関す
る必要な表示を行う。
2 抜油貯蔵タンク、送油ポンプ、防油堤等の設置等必要な措置
専用タンク、ドラム缶等の抜油後の微量PCB汚染絶縁油を貯蔵するタンク(以下「抜油
貯蔵タンク」という。)は、抜油量に応じた容量のものを準備して設置する。抜油貯蔵タンク
や送油ポンプは、万一の漏洩による地下浸透防止及び周辺環境へのPCBの飛散、流出等
の防止の観点から、オイルパン、防油堤等(単管パイプと耐油シートで作製した簡易なもの
でも差し支えない。)の内側に設置する。あわせて、ウエス、油吸着マット、消火器などを備
え置く。
十分な換気が行える場所であることを確認し、これが行えない場合は、排気装置(必要に
応じ活性炭吸着装置等が接続されたもの)を設置する。
抜油作業中は、微量PCB汚染絶縁油が大気に触れる面積及び時間を最小限にする。
3 洗浄対象機器の外観点検
洗浄対象機器の外観点検を行い、バルブ周辺の損傷、フランジ部等からの漏油等異常
の無いことを確認する。
4 油温・油面位置の記録
洗浄対象機器の油量を把握するため、油面計の値を記録する。油面計は油温により変
化することを考慮し、油温を測定・記録する。
5 保護具の装着
直接、微量PCB汚染絶縁油が人体に触れないよう耐油性ゴム手袋、保護メガネ、保護マ
スク等、適当な保護具を着用する。
イ) 抜油作業
1 洗浄対象機器、送油ポンプ、抜油貯蔵タンクとホース、配管の接続
(a)洗浄対象機器の各種バルブが閉じていることを確認する。
(b)ホース、配管、ポンプ等の接続の際は、ガスケットの装着状況やボルトの緩みの無いことを
確認する。
(c)接続部を有する場合は、微量PCB汚染絶縁油の漏洩が生じない構造となっていることを確
認する。また、その接続部の周囲をビニールで覆い、接続部下部にオイルパンを設置する
等の漏洩防止対策を講じる。
(d)洗浄対象機器に専用の抜油バルブがなく、上部からホースを挿入する場合は、ホースの
先端が確実に機器底部に届いていることを確認する。その際、洗浄対象機器の内部部材に
傷を付けないようにする。
2 抜油 5(a)上記1の作業の完了を確認し、バルブ操作を行い、抜油を開始する。なお、洗浄対象機器
が大型であることから、送油ポンプの起動前に大量の微量PCB汚染絶縁油が流出するお
それがあるため、慎重に操作を行う。
(b)ドラム缶に微量PCB汚染絶縁油を回収する場合は、ドラム缶の容量を超え、油が漏洩しな
いように注意して、作業を行う。
(c)抜油作業中は、洗浄対象機器及びその周囲に異常が無いことを確認する。万一、微量
PCB汚染絶縁油の漏洩等の異常を発見した場合は直ちに抜油を中止し、漏油の状況に応
じてウエス、油吸着マット等を使用し、微量PCB汚染絶縁油の飛散、流出等を防止するなど
適切な処置を講じる。
(d)抜油の終了は、洗浄対象機器下部の抜油バルブより抜油を行う場合は油の排出が止まる
ことで確認する。また、上部からホースを挿入して抜油を行う場合は、ホースを洗浄対象機
器底部まで到達させて、ポンプからの油の排出が止まることで確認する。
3 抜油量の確認と記録
変圧器本体及び別系統部位からのそれぞれの抜油量を計量し記録する。抜油量の計量
方法については、抜油貯蔵タンクの油量計による計量、抜油貯蔵タンクの抜油前後の重量
差による計量、抜油貯蔵タンクの液面高さによる計量等があり、実施可能な方法を適宜選択
して行うこととする(液面高さによる計量を行う場合、油温による体積変化に留意する)。また、
実際の抜油量と銘板油量等を比較し、抜油が適切に行われたことを確認する。
4 洗浄対象機器、ポンプ、抜油貯蔵タンクからのホース、配管の取り外し
(a)取り外しの前に、各種バルブが閉じていることを確認する。
(b)取り外しの際は、接続部下部にオイルパンを設置する等の漏洩防止対策を講じる。
5 抜油した微量PCB汚染絶縁油及び微量PCB汚染物の扱い
洗浄対象機器から抜油した微量PCB汚染絶縁油並びに微量PCB汚染絶縁油が付着したウ
エス及び保護具等の汚染物は、廃棄物処理法に基づき、適切に保管し、無害化処理認定施
設等にて処分する。
(3)注油作業(対象機器に新しい絶縁油を注油する作業)
ア) 作業前準備
注油作業前に以下の事前準備を行う。なお、本手順書に定めの無い事項についても、作業
員の安全確保、周辺環境へのPCBの飛散、流出等の防止等の観点から必要な事項について
は、確実に実施する。
1 注油する絶縁油の規格適合性の確認
注油する絶縁油が洗浄対象機器の電気絶縁油として適切な規格に適合していることを確
認する。
2 危険(作業)区域の設定
作業にあたっては、作業の安全性、周辺設備への影響等を踏まえ、必要に応じて危険(作
業)区域を設定する。また、関係者以外立入禁止とし、危険物の取扱い及び貯蔵に関する
必要な表示を行う。
3 絶縁油貯蔵タンク、送油ポンプ、防油堤等の設置等必要な措置
(a)絶縁油貯蔵タンクや送油ポンプは、万一の漏洩による地下浸透防止及び周辺環境への 6PCBの飛散、流出等の防止の観点から、オイルパン、防油堤等(単管パイプと耐油シートで
作製した簡易なものでも差し支えない。)の内側に設置する。あわせて、ウエス、油吸着マッ
ト、消火器などを備え置く。
(b)十分な換気が行える場所であることを確認し、これが行えない場合は、排気装置を設置す
る。
4 保護具の装着
直接、微量PCB汚染絶縁油が人体に触れないよう耐油性ゴム手袋、保護メガネ、保護マス
ク等、適当な保護具を着用する。
イ) 注油作業
1 洗浄対象機器、送油ポンプ、絶縁油貯蔵タンクとホース、配管の接続
(a)洗浄対象機器の各種バルブが閉じていることを確認する。
(b)ホースや配管、ポンプの接続の際は、ガスケットの装着状況やボルトの緩みの無いことを
確認する。
(c)注油により、洗浄対象機器内部の絶縁油が流出する恐れがある部位の接続部については、
周囲をビニールで覆い、下部にオイルパンを設置する等の漏洩防止対策を講じる。
2 空気逃がし口の確保
(a)必要に応じて洗浄対象機器の吸湿呼吸器(ブリーザー)などを利用して空気の排気口を確
保する。
(b)排気には機器内に残ったPCBが含まれる可能性があるので、換気を十分に行う。また、こ
れを行えない場合は、排気装置を介して排気する。
3 注油
下記のとおり注油を行う。なお、注油の際に気泡が発生し、機器内部に残存することにより、
絶縁性能の低下が発生するなど、洗浄対象機器の健全性が損なわれる可能性があるため、
注油の際には十分に注意する必要がある。
(a)1、2の完了を確認し、注油を開始する。
(b)注油作業中は、洗浄対象機器周囲に異常が無いことを確認する。万一、微量PCB汚染絶
縁油の漏洩等の異常を発見した場合は、直ちに注油を中止し、漏油の状況に応じてウエス、
油吸着マット等を使用し、微量PCB汚染絶縁油の飛散、流出等を防止するなど適切な処置
を講じる。
4 注油量の確認と記録
変圧器本体及び別系統部位の注油量を計量し記録する。注油量の計量方法については、
絶縁油貯蔵タンクの油量計による計量、絶縁油貯蔵タンクの注油前後の重量差による計量、
絶縁油貯蔵タンクの液面高さによる計量等があり、実施可能な方法を適宜選択して行うこと
とする(液面高さによる計量を行う場合、油温による体積変化に留意する)。
5 洗浄対象機器、ポンプ、絶縁油貯蔵タンクからのホース、配管の取り外し
(a)取り外しの前に、各種バルブが閉じていることを確認する。
(b)絶縁油が流出する恐れがある部位の接続部については、周囲をビニールで覆い、下部に
オイルパンを設置する等の漏洩防止対策を講じる。
6 微量PCB汚染物の扱い
漏洩等により、微量PCB汚染絶縁油が付着したウエス、保護具等の汚染物は、廃棄物処 7理法に基づき、適切に保管し、無害化処理認定施設等にて処分する。
ウ) 洗浄対象機器の作業後の健全性確認
1 外観点検
洗浄対象機器の外観点検を行い、注油後において異常の無いことを確認する。特に、バ
ルブ周辺の損傷、漏油が無いことを確認する。
2 健全性確認
洗浄対象機器の健全性については、「電気設備に関する技術基準を定める省令」(平成9
年通商産業省令第52号)及び「原子力発電工作物に係る電気設備に関する技術基準を定め
る省令」(平成24年経済産業省令第70号)への適合及び自主保安の観点から、以下の確認
を行う。
(a)注油後の機器の油量が十分な量であること
(b)その他外観検査、保安装置試験、絶縁耐力試験、負荷試験等、事業者が作業実態に応じ
て電気の保安上必要と判断するもの(必要に応じ(4)において実施)
(4) 課電の実施
ア) 課電状況の確認
1 課電洗浄開始日の記録
洗浄対象機器の課電開始日を課電洗浄開始日として記録表に記録する。なお、健全性確
認試験から引き続き課電を継続する場合には、通常運転開始(確認試験終了)時点を課電
洗浄開始日として扱う。
2 課電状況の確認・測定
課電の開始にあたっては、洗浄対象機器の課電に関連する開閉器(断路器、遮断器等)
の開閉状態を確認するとともに、課電期間中は、関連する開閉器が動作するごとに、その動
作後の状態を現場又は制御所等において確認する。また、電力量計が設置されている場合
には、1ヵ月に1度洗浄対象機器の電力量を測定する。
3 課電状況の記録
2により確認した課電に関連する開閉器(断路器、遮断器等)の開閉状態(課電期間中に
あっては動作日を含む)、電力量の測定値を記録するとともに、洗浄対象機器が洗浄終了前
に点検、故障等により、停止せざるを得ない場合については、洗浄期間から除外するため当
該停止期間を記録する。
イ) 課電期間
課電期間は、その他作業による洗浄対象機器の停止等を除いて、実課電期間が90日以
上となるようにする。なお、課電中であることが作業者以外にもわかるよう、課電実施中は、
課電実施中である旨及び課電期間の掲示を行うこととする。
(5)絶縁油PCB濃度確認作業
ア) 事前準備
必要に応じて分析実施者と測定法等の打合せを行う。この際、分析に必要な試料容量、
採取用具の入手方法などを確認する。分析実施者は第三者分析機関とする。 8イ) 採油作業
簡易測定法マニュアル「1.4 資料の採取」に記載された方法により採油する。
1 採油口の開栓
耐油性ゴム手袋などを着用し、採油口を開栓する。
2 採油
測定分の絶縁油を採取する。なお、採取した絶縁油中のPCB濃度が0.5mg/kgを超えてい
る可能性があるので厳重に保管する。
3 採油の記録
採油日を記録する。
4 採油口の閉止
採油作業終了後、採油口を閉じる。
ウ) 分析操作
1 分析
分析は第三者分析機関に依頼し、分析事業者は、必要量を分取し、簡易測定法マニュア
ルに記載の簡易定量法又は公定法に定める方法により測定する。
2 分析結果の記録
PCB濃度を記録する。なお、第三者分析機関発行の分析結果報告書を保管しておく。
(6)洗浄処理の完了
ア) 洗浄処理完了判定
実課電期間90日以降での絶縁油PCB濃度が、0.3mg/kg以下であることが確認できれば、
課電洗浄完了とする。
イ) 洗浄処理未完時の扱い
1 実課電期間90日以降での絶縁油PCB濃度が、ア)の洗浄処理完了判定を満たさない場合
は、新たな絶縁油による課電洗浄の実施について検討する。
2 なお、再度課電洗浄を実施する場合の作業実施にあたっては、本手順書の2.課電洗浄に
基づき実施する。
ウ) 洗浄に使用した絶縁油の扱い
洗浄対象機器の洗浄に使用した絶縁油は、当該機器において継続的に使用することがで
きるものとする。
(7)作業全般に関するその他留意事項
2.(2)〜(6)に掲げる作業の実施にあたっては、以下の点に留意して行う。
ア) 微量PCB汚染絶縁油に触れるホースや送油ポンプなどは、汚染の拡大を防止するため、P
CBに汚染される恐れのないものと区別して扱う(注油作業時に微量PCB汚染絶縁油が逆
流する恐れがあるなど、PCBによる汚染の可能性があるものについても、PCBに汚染され
る恐れがあるものとして扱う。)
イ) 屋外設置機器の場合、天候・気象状況を踏まえて、作業の実施可否を判断する。特に、降
雨、降雪時には、周辺環境へのPCBの拡散防止を確実に行うとともに、変圧器内に水分を
浸入させないように注意する。 93.課電洗浄の記録及び閲覧
(1)課電自然循環洗浄実施報告書の作成
課電洗浄終了後、変圧器(LTC及び浄油機、エレファント、感温部並びにブッシングを含む。
以下「課電洗浄完了機器」という。)ごとに、様式第1に従って作成した報告書(以下「課電洗浄
報告書」という。)を作成する。また、課電洗浄報告書には、次に掲げる資料を添付するものとす
る。
ア) 使用届出書等
イ) 2.(5)ウ)2に掲げる分析結果報告書
(2)記録の保管
ア) 課電洗浄完了機器の設置者(課電洗浄を実施した機器を譲り受け設置している者を含む)
は、課電洗浄報告書及び3.(1)ア)及びイ)の書類並びに報告規則に基づきPCB含有電気
工作物を洗浄した旨の届出(ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物廃止届出)をした場合にあ
っては、当該届出書の控え(届出先機関の受理印が押印されたもの)(以下「課電洗浄報告
書等」という。)を、課電洗浄完了機器が廃棄物として排出又は資源の再生利用(注)のため
に売却された日から5年を経過する日まで保管するものとする。
(注)資源の再生利用とは、変圧器としてリユースする場合を含まない。
イ) 課電洗浄完了機器の設置者は、課電洗浄完了機器を他者に譲渡(廃棄物として排出又は
資源の再生利用のための売却を除く。)する場合には、課電洗浄報告書等を添付するものと
する。
(3)記録の閲覧
関係都道府県市町村及び地域住民から求めがあった場合には、事業者は課電洗浄報告書等
を閲覧させることが適当である。 10(様式第1)
ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物の課電自然循環洗浄実施報告書
「微量PCB含有電気機器課電自然循環洗浄実施手順書」に基づき洗浄を行い、下記の結
果となりました。
事業場の名称
事業場の所在地 〒
連絡先
実施責任者氏名
対象機器設置場所
LTC エレファント 感温部
定格 有 ・ 無 有 ・ 無 有 ・ 無
銘板油量(L)
製造者名
型式
製造年月
製造番号
元油濃度(mg/kg)
抜油日(年/月/日)
注油日(年/月/日)
課電洗浄開始日(年/月/日)
絶縁油採取日(年/月/日)
課電期間(日)
課電洗浄完了日(年/月/日)
洗浄後絶縁油の濃度(mg/kg)
添付資料番号
備考
洗浄対象機器種類 変圧器
課電確認日(年/月/日)
(注記)本報告書は、
変圧器本体及び付随する全ての機器の絶縁
油中のPCB濃度が規定値以下となる場合のみ、
報告規
則等の「ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物廃止届出
書」に添付すること。
(注記)本報告書に関する必要な書類については、
対象機器が廃
棄物として排出又は資源の再生利用のために売却され
た日から 5 年を経過する日まで保管すること。 11付随の有無 有 ・ 無 構造種類 共油型 ・ それ以外
製造者名 製造番号
型式 元油濃度(mg/kg)
製造年月 添付資料番号
ブッシング
共油型以外のブッシング詳細
(注記)定格の欄のうちLTC、エレファント、感温部については、当該機器の付随の有無を記載する。
(注記)洗浄対象機器の種類:LTCは浄油機を含む。
(注記)抜油とは使用中の変圧器等から微量PCB汚染絶縁油を抜き取る作業をいい、注油とは使用中の
変圧器等にPCBを含まない新しい絶縁油を入れる作業をいう。
(注記)元油濃度及び洗浄後絶縁油の濃度の欄には、絶縁油中のPCB濃度を、有効数字二桁で記入する
こと。
(注記)元油及び洗浄実施後の絶縁油中のポリ塩化ビフェニル濃度分析値は、分析機関による報告書を添
付し、添付資料番号を記載すること。
(注記)課電期間中に変圧器の運転停止があった場合は、その年月日と期間(日)を備考欄に記載するこ
と。
(注記)課電期間とは、課電洗浄開始日から絶縁油採取日までの期間(日)で、変圧器の運転停止期間を
除いた期間(日)を指す。
(注記)課電洗浄完了日とは、抜油及び注油し、90 日以上通電した後に採油した絶縁油中のPCB濃度が
0.3mg/kg 以下となったことが確認された日をいう。
(注記)共油型とは、ブッシング中の絶縁油がトランス本体と共通した構造のブッシングを指す。それ以
外とは、絶縁油が密封構造又は密封構造と共油構造が共存しているものを指す。
(注記)共油型である場合は、ブッシング詳細欄の記載は不要。

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