参考資料(本資料は日本視覚障害者団体連合が独自にレイアウト等を編集したものです) 1ページ目 令和5年12月8日 各市町村・福祉担当部署殿 日本ロービジョン学会 公益財団法人 日本眼科学会 公益社団法人 日本眼科医会 公益社団法人 日本視能訓練士協会 日常生活用具(視覚障害者用拡大読書器)給付基準額の引き上げに関する要望 代表的な視覚障害者の日常生活用具に視覚障害者用拡大読書器(以下拡大読書器)があります。拡大読書器は読書以外に食品の賞味期限や医薬品の確認等、日常生活全般に欠かすことのできない有用な補助具です。多くの視覚障害者は市区町村の地域生活支援事業の日常生活用具給付制度を利用し、 拡大読書器を給付取得しています。 しかし、その支給に関しては市町村によって対応が異なり、現在多くの自治体において、約30年前に厚生労働省が定めた「198,000円」を給付基準額と設定しています。このような状況の中、近年使用部品の仕入価格高騰や運送コストの急騰、急激な円安により拡大読書器の価格が上昇し、視覚障害者に高額な自己負担を請求する事になっております。 厚生労働省の令和2年度日常生活用具給付等事業の実態把握報告書では、約6割の市町村は基準額の見直しを実施していないという結果でした。またその理由として、「基準額を決定する際に判断基準となるものが少なく、基準額が妥当なものであるのか判断することが難しい」、「他市町村の状況等がわからないため適当な見直しができない」が報告されています。 これらの現状を鑑み、視覚障害者のニーズに応える給付等事業のあり方の検討において、参考となると思われる資料を送付致します。 拡大読書器の最低給付基準額に関して現状に見合った金額への引き上げを検討していただけますよう、日本ロービジョン学会、日本眼科学会、日本眼科医会、日本視能訓練士協会から要望致します。 ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。 この要望書の受領確認と今後の連絡のために、貴自治体の担当部署から、日本ロービジョン学会事務局にメールを頂けますと幸いです。 日本ロービジョン学会 LV.shougai@gmail.com 参考資料 ・ 県庁所在地 基準額 (全国の給付限度額) ・ 拡大読書器 販売価格 2ページ目 参考資料 県庁所在地 基準額 (全国の給付限度額)、拡大読書器 販売価格 くろまる各県庁所在地基準額 札幌市 198,000円 青森市 198,000円 秋田市 198,000円 盛岡市 198,000円 山形市 198,000円 仙台市 239,000円 福島市 198,000円 水戸市 198,000円 宇都宮市 198,000円 前橋市 198,000円 さいたま市 198,000円 千葉市 198,000円 東京 198,000円 横浜市 198,000円 新潟市 198,000円 富山市 198,000円 金沢市 204,000円 福井市 198,000円 甲府市 203,660円 長野市 198,000円 岐阜市 198,000円 静岡市 198,000円 名古屋市 269,000円 津市 198,000円 大津市 198,000円 京都市 198,000円 大阪市 198,000円 神戸市 226,000円 奈良市 198,000円 和歌山市 198,000円 鳥取市 198,000円 松江市 198,000円 岡山市 198,000円 広島市 198,000円 山口市 198,000円 徳島市 198,000円 高松市 198,000円 松山市 198,000円 高知市 198,000円 福岡市 198,000円 佐賀市 268,000円 長崎市 198,000円 熊本市 226,000円 大分市 198,000円 宮崎市 198,000円 鹿児島市 198,000円 那覇市 198,000円 (注記)その他地域 北海道旭川市 203,767円 栃木県大田原市 226,000円 栃木県那須町 226,000円 栃木県那須塩原市 226,000円 千葉県成田市 217,800円 東京都八王子市 400,000円(2級以上) 東京都東久留米市 268,000円 岐阜県笠松町 238,000円 岐阜県関市 226,000円 岐阜県美濃加茂市 238,000円 岐阜県八百津町 226,000円 愛知県稲沢市 207,504円 三重県四日市市 217,800円 滋賀県米原市 226,000円 京都府亀岡市 239,000円 京都府福知山市 226,000円 大阪府島本町 207,000円 福岡県広川町 226,000円 福岡県筑後市 226,000円 くろまる価格比較(アメリカ・日本) クリアビューCOne22 アメリカでの販売価格3,307ドル.00 1ドル140円換算の場合462,980円 日本の販売価格239,000円 メゾ・フォーカス24 アメリカでの販売価格2,995ドル.00 1ドル140円換算の場合419,300円 日本の販売価格259,000円 メゾ・フォーカス20 アメリカでの販売価格2,695ドル.00 1ドル140円換算の場合377,300円 日本の販売価格229,000円 トパーズHDアドバンス アメリカでの販売価格3,081ドル.75 1ドル140円換算の場合431,445円 日本の販売価格238,000円 トパーズPHD アメリカでの販売価格2,530ドル.50 1ドル140円換算の場合354,270円 日本の販売価格198,000円 オニキスデスクセットHD アメリカでの販売価格2,530ドル.50 1ドル140円換算の場合354,270円 日本の販売価格268,000円 Merlin HD24インチ アメリカでの販売価格3,305ドル.00 1ドル140円換算の場合462,700円 日本の販売価格250,000円 Acrobat HD アメリカでの販売価格2,530ドル.00 1ドル140円換算の場合354,200円 日本の販売価格250,000円 i-loview16 アメリカでの販売価格3,302ドル.25 1ドル140円換算の場合462,315円 日本の販売価格298,000円 3ページ 日常生活用具(視覚障害者用拡大読書器)の給付額見直しについて 参考資料 日常生活用具(視覚障害者用拡大読書器)給付基準額の引き上げに関して、給付額を実情に応じてすでに引き上げを行っている仙台市、佐賀市、名古屋市の取り組みです。ご参考にして頂ければ幸いです。 1) 仙台市 仙台市では更生相談所(障害者総合支援センター)が5年に一度財政課と協議の上、日常生活用具全体の種目、性能、基準額等の見直しを行っており、次回は令和6年度を予定しています。この見直しに向けて視覚障害者向け用具の現状調査を行ったところ、物価高騰に伴い、据置型拡大読書器は198,000円以内で購入可能な機器が1台もないこと、差額自己負担が困難な視覚障害者が読み書きに困難を生じ続けていることを把握しました。そこで、緊急的・特例処置として財政課と協議を行った結果、期間限定で増額が認められ、令和5年3月から7月まで拡大読書器の基準額を239,000円に増額し、令和6年3月まで延長することとしています。なお、増額改正が間に合わず自己負担で購入した3名には必要に応じて次回購入時に耐用年数を柔軟に捉え再支給することにしています。その他の用具に関しては令和6年度の見直しに向け、財政課と協議を継続しています。 2) 佐賀市 佐賀市では据置型と携帯型の2台分が認められており、2台可能なのは佐賀県内では佐賀市のみで、拡大読書器の給付は佐賀市と神埼市が268,000円です。佐賀市については、当事者団体が相談や陳情について障害福祉課に出向いており、行政と当事者との良好なネットワークが構築されています。 3) 名古屋市 名古屋市では当事者団体と福祉関連施設が要望を出し、年々の積み重ねによる連携を構築しています。毎年11月に名古屋市身体障害者福祉大会があり、市長をはじめ各局の職員に対し、名古屋市視覚障害者協会が要望を提出しています。その要望を基に名古屋市(健康福祉局障害福祉部)が施設へ現状と対応について連絡を行い、今回の日常生活用具の給付金額見直しについても当事者が自己負担しなければいけない差額(超過額)を把握されたようです。

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