2021年10月26日火曜日

おしゃれ映画♪(ネタバレ有り!)からの漢(おとこ)映画祭り

こんにちは。
もうすぐ冬、ですね。
私の記憶では10月末に雪が降った覚えがあるので、まあ、もうほぼ冬です。
ここから3月までは辛抱の季節です。
しかし盛岡、冬長いなあ(/_;)
雪かき、朝の渋滞、道路の凍結、灯油代。。。
考えると頭痛がします。
もう現実逃避して楽しいことだけ考えるようにしましょう!
焼肉、推し活、お酒・・・・・♪♪♪
とはいえ、なんにせよ先立つものが(;´Д`)
・・・・・働きます。まずは働きましょう!!
生きる理由なんて「死にたくない」だけでいいのだ!
と誰かが言っていましたが、
働く理由だって「お金が必要だから」でいいですよね。
働きますよ!
ええ、ええ、働きますとも!
週に一度だけでも発泡酒じゃなくてビールを飲むために!
数か月に一度だけでも焼肉に行くために!
思いっきり、推しを応援するために!
北国には厳しい季節ですが、
みなさんもあまり先のことを考えてブルーにならず、
小さくても目の前の楽しいことを考えて過ごしてくださいね。
そしたらきっとそのうち春が。
そう、春がっ!
・・・・・・雪が溶けるまで半年はかかるけどね(;'∀')

さて、大人シーズン突入の映画業界。
みなさん、映画観てますか??
私も観ました、重い腰を上げて。
キノコのドキュメンタリー(面白かった!)と、そう、これ。
「ショック・ドゥ・フューチャー」
(C) 2019 Nebo Productions - The Perfect Kiss Films - Sogni Vera Films
中劇にしては珍しく、宣材のビジュアルがめちゃくちゃおしゃれでビックリしましたよね!
1978年パリ
エレクトロ・ミュージックの世界的なブレイク前夜。
シンセサイザーやリズムマシーンなどの電子機器が普及しはじめ、
日本ではYMOが結成された年。
若くて、ビジュアルも良くて、しかも好きなことを仕事にしている、
傍目から見たらリア充な女子・アナのほんの些細な一日のお話。
新しい音楽に出会って興奮する気持ち、
大好きなものに熱中してそれ以外見えなくなっちゃってる時期のヲタクの姿、
すごく気が合って仲良くなれそうな人に出会った時の喜び・・・。
そんな、誰にでもあったはずの若かりし時の、
なんでもない日常のほんの一瞬の一コマが、
まるで当時のホームビデオで撮ったかのようなアナログなフィルムの質感で、
全く普通の女の子の一日を映し出しているように見せながらも、
実はオープニングからエンディングまで徹底したこだわり方で、
ストーリーはもちろん家具から小道具、衣装までゴリゴリの音楽ヲタクの監督によってすさまじいほどの「とにかくヤッベー」レベルの、
音楽ヲタクにしかわからない音楽ヲタクのための音楽ヲタク映画として描きだされています。
私のようなごくごく普通の一般ピープルが観ると、
カースト上位の素敵女子のとある一日、なんですけどね。
オープニングがとにかくおしゃれでめちゃくちゃクール!
ここにけっこう時間をかけているところを見ると、
もうなんかこの監督が描きたかったのはここだけなんじゃないかと思うほど。
ここからのワクワク感がたまらない!
主人公アナの、美しさと寝起きのラフな姿の見事なコントラストがリアルだし、
そして全体を包むぼんやりとした気怠い空気感が、
この時代のなんともいえない気配を映し出してて最高。
そして、ここからどうなるのかと思っていたら!
さ!どうする!?どうくる!?
・・・・・なんとなんとずーっとお部屋!
とにかくお部屋にいるんです。
斬新。
あ、「これから観るヨー!」って方は微妙にネタバレしちゃうので、ここから飛ばしてくださいね。
まあ、ネタバレっていうほどの大きな起承転結は無いんですが、
やっぱり楽しみにしている映画は、他人の感想なんか聞かずに観たいですもんね!
そうそう、それでやっと外へ出たかと思うと、別のお部屋へ。
あら、またお部屋なのね。
さあ!そして、いよいよ面白くなってきたぞ!どうなる、どうなる!?
‥‥と思ったら。
終わってました( ゚Д゚)!!!
え、ウソでしょ!?
絶対ここから面白くなるんですよ!
もっと上を目指して、前を向いて進みたい若き主人公と、
ジェネレーションギャップで全く話の通じない上司がいて、
壁にぶち当たり、
でもそれを乗り越えられそうな出会いがあり、
何か光を見出して、
行くぜーーーーー!!!
ってところで。
マジか。。。。。(゚Д゚)!
まあ、そもそもこの映画、90分弱。あっという間なんですが。
アメリカ映画かイギリス映画なら、
このあと絶対エモくて胸キュンな青春か、爽快なサクセスストーリーに持ってくはずなんだけど。
そうだった・・・・これフランス映画だった・・・・!
「ここで終わるからいいんじゃないか!」と豪語する、破格におしゃれな方がいたらその方に私は言いたい。
「このあと絶っっっっっっ対に面白くなるよ(>_<)!続編、作って持ってこーーーーい!!!」
とね。
あ、書きすぎですかね(;´Д`)いや大丈夫。
この映画は、ストーリーじゃないんです。
ディテールがメイン。
私は音楽ヲタクじゃないので、ここでかかってる曲って!とか、
ここに飾ってあるあれは・・・・!?とか、
このマシーンはもしかして!!とか、
そんな楽しみ方はできなかったんですが、
いろんな界隈のヲタクのはしくれではあるのでなんとなく匂いで気がつきました。
「きっとこの場面は、音楽ヲタクがニヤニヤしているのだろうな」
「たぶんここで音楽ヲタクは身悶えするほど喜んでいるのだろうな」ってね。
(C) 2019 Nebo Productions - The Perfect Kiss Films - Sogni Vera Films
そしてそれだけでなく、ほんとに小さな世界でのほんの一日のことを描きながらも、
あちこちでプカプカタバコを吸う姿や、
「女だから」「男はそんなことしない」なんて今なら大騒ぎになっているであろう言葉を発するオッサンなど、
その時代の空気や世相なんかを細かくリアルに映し出しているのがいい!
究極のヲタク映画でありながら、誰もが共感できるドラマでもある。
ま、主人公アナの美しいお顔とスラッとして凛とした雰囲気の立ち姿もこの作品を究極にオシャレに、センスよく仕上げている大きな要因なんですけどね。
その美しい容姿のせいで、「美人なんだからもっと違うことやったら」とか言われてしまうフラストレーションや、
偶然のスゴイ出会いがあってここから怒涛の快進撃!?かと思いきやそんな甘くないんだよこの業界は。ってシビアなエピソードもあり、
音楽業界の裏を覗き見ることもできて興味深い。
アナがその未来的な音の響きに魅せられるリズムマシーンが日本製だったり、
監督・製作・脚本・音楽を手掛けたのが国際的に活躍する音楽ユニット〝ヌーベル・ヴァーグ”のプロデューサーであるマーク・コリンだったり(音楽業界の裏側に詳しくて当たり前!)、
主人公・アナを演じるアルマ・ホドロフスキーも祖父が映画監督のアレハンドロ・ポドロフスキーだったりと、
掘れば掘るほどいろいろ小ネタが出てくるこの映画。
音楽ヲタクなら、壁に飾ってあるレコードやポスターだけでも大興奮なのでしょうね。
私は音楽は詳しくないのでそんな重箱の隅までは楽しめませんでしたが、
この時代の空気を感じ、
自分の若かりし頃の自信と閉塞感と高揚感と絶望なんかが入り混じった複雑な状態だった時期のことを思い出し、
なんともいえないしょっぱい気持ちになりました。
そんな、繊細で、尖ってて、悩んでばかりでもキラキラしてて、
肌もツヤツヤで、お腹も出てなくてミニスカートとかホットパンツとか履いてて、
毎日なんかわかんないけど走ってた(大通りを?酔っぱらって?)あのころをね、
思い出したわけですよ(なんの話?)。
で、だから!
だからこそ、この続きを観せてくれよ(;´Д`)!!
私は映画ヲタクでもかなりわかりやすく単純なほうのヲタクなので、
普通でいいんですストーリーは。
ベタでも、よくあるアオハルでも、んなわけあるかい!なサクセスストーリーでも、
なんなら挫折して別の道を行くほろ苦な群像劇でも。
観たいなあ、この時代のパリの、夢を追いかける女子の青春映画!
この主人公だとかなりのカースト上位のお話になるので、カースト底辺に近かった私とは全く別のステージのお話にはなりますけどね(;'∀')
そして、きっとゴダールトリュフォーみたいな世界観になるんでしょうけど、
それでも観たいなあ。
私の勝手なイメージ的には、ティーンだったころのシャルロット・ゲンズブールが出てた映画たち(大好きでした!)とか、
そのシャルロットのママ・ジェーン・バーキンが出てた映画たちみたいな感じで、
現代の監督が描く、1978年のパリの女の子。
そんな映画、待ってます!!(誰にアピール?)
でももうこの潔く「序章のみ!以上!」といった感じの映画はなかなかないので、
ビックリしましたけど面白かったですよ!
あと1時間までいかずとも、40分くらいあってもよかったけど。
でもそこで終わるのがクールってことなんでしょうか。
ま、なんにせよ私は平凡で普通の映画ヲタクってことを実感した映画でした( `ー´)ノ
映画ヲタクのみなさん、自分のヲタクっぷりを計るためにもぜひこの映画、観てみてくださいね!
サントラももちろん最高♪
公式サイトから聴けますので、ぜひ覗いてみてください。
公式サイトhttps://chocfuturjp.com/


で。
このおしゃれで、ポップなビジュアルのこの作品が終わってしまうと。
中劇はなぜか、『漢(おとこ)!漢!男!押忍!』といった感じの作品だらけになりますが大丈夫ですか?
前にチラッとご紹介したもののほかに決まったものがいくつかあるんですが、
今やってる「ショック・ドゥ・フューチャー」「マクロス」との振り幅!
高低差!
もう、ロビーのチラシ立てが黒ばっかり!暗い(;´Д`)!
そして男臭い!!
なんかかわいいやつください!
キラキラでふわふわなやつ!
ドキドキでワクワクなやつ!
・・・あ、これ匂わせじゃないですよ?
ほんっとに無いんです!
しばらく先まで、この、黒くて男臭くてどっしりした感じのが続きます。
覚悟してください。
11月19日公開「真・三国無双」
(C) 2019 Guangdong Sublime Media Co., Ltd. All Rights Reserved.
これはシンプルにうちの社長の趣味ですが、
なんと今のところ全国で3館しか上映しない!
すごいの持ってきました!
・・・・・レアすぎるでしょ(*_*;)
中国の「三国志」を題材にした日本の大人気ゲームを、
とにかく中国のお金と、技術と、人員をつぎこんで作ったスゲーやつ。
規模がデカすぎて、
「・・・・・ほぇ~・・・・・!」と変な声が出ます。
中国の最新技術、お手並み拝見といきますか。
公式サイトhttps://sangokumusou.com


12月3日公開「白頭山大噴火」
(C) 2019 CJ ENM CORPORATION, DEXTER STUDIOS & DEXTER PICTURES ALL RIGHTS RESERVED
北朝鮮と韓国の国境にある白頭山が突然噴火。
次に噴火が起これば朝鮮半島は壊滅。
タイムリミット有り、お約束の韓国と北朝鮮の対立有りのてんこ盛りでお贈りする、
超絶アクションでインポッシブルなミッションを達成せよ!なディザスタームービー!!!
・・・・・って、ヘトヘトっすね!!
こちらも韓国がガチで本気出してきたアクションと特撮が必見ですね!
公式サイトhttps://paektusan-movie.com/


12月10日公開「すべてが変わった日」
(C) 2020 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
ケビン・コスナーダイアン・レイン!?
え、今って「令和」で合ってます??
もうこの写真、私が中学生だったころ、リバー・フェニックス目当てに買ってたころの雑誌「ロードショー」の表紙じゃないんかい!
「昭和」感が満載の、円熟?いぶし銀?
そんな二人の極上サイコスリラー!
この二人には、心あたたまる人間ドラマをやっててほしかったですけど。
でも気になるから観るけど。
・・・・ホラー苦手だけど観れるかな(;´Д`)


あ、ちなみに私、ガチでホラー映画無理なので、今週金曜日から公開の
「ハロウィンKILLS」については書けませんよ?
(C)UNIVERSAL STUDIOS
ほら怖い!!もう怖い!!!無理( ゚Д゚)!!!!
「ハロウィン」シリーズの生みの親、鬼才ジョン・カーペンターが製作総指揮です。
って、まあそもそも本気でホラーが好きな方しか観ないと思うので私の説明なんか不要ですよね。
ただ、1作目の「ハロウィン」で主人公を演じて今回も同じ役で続投しているジェイミー・リー・カーティスは、私が高校生の頃、友達がハマってたコリー・ハイム主演の「ドリーム・ドリーム」という映画(どんな映画だったかもう忘れました)を観るためにSY内丸に行ったとき同時上映でかかってた「ブルー・スティール」という警察の映画で主演していて、そっちのほうがダンゼン面白かったという記憶がありまして。
そして私の大好きな映画「マイ・ガール」でもマジで超ー素敵なステップマザーを演じてて「やっぱこの人好きだわー(*´ω`)」と思った女優さんなのでした。
・・・・・・でもやっぱ「ハロウィン」は無理(-_-;)。
公式サイトhttps://halloween-movie.jp/


とまあ、骨太な映画の黒いチラシだらけになった中劇のチラシ立て。
冬休みのアニメまで『呪術廻戦』ときた(*_*;)
もうほんと、かわいいのくれーーーー!!!!!
・・・・・かわいいのとかおしゃれなのとか、決まったら張り切ってご紹介しますので楽しみにしててくださいね!
・・・・・しばらくないけど(/_;)!!!

そんなわけで中劇、冬も頑張ります!
ナウでおしゃれでトレンディな映画、探しますよ~!
でも中劇得意の急遽決定シークレット上映があるかもしれないので、
たまにはHP覗きに来てくださいね!



中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/


2021年10月15日金曜日

フランス人の目から見た一人の男の30年「ONODA」&奇才祭り

こんにちは。
10月なかばですね。
つい数日前までは出勤だけで汗だくだったんですが、
昨日の夜、ふと気付いたら足が寒くてついコタツに電気を入れていました。。。。
さすがにコタツ布団はかけてないですけど。
もう冬!?びっくりです。
1年どころか5年、10年まであっという間のこの感覚。
犬や猫なら10歳で高齢といいますからね、
動物並みに時がたっているよう。
最近、実話系の映画が多い中劇ですが、
「モーリタニアン」の予告を見たときに、
9・11(アメリカ同時多発テロ)が起きたとき仲間がうちに集まって酒盛りをしながらオールナイト桃鉄をやっていて、たまたま誰かが携帯を見てテロを知ったんだったなと、そのとき(2001年)のことをほんとにはっきりと昨日のことのように思い出したり、
なんなら10年20年どころか、先日シェイクを飲んでいたとき急に、高校時代の夏休みに肴町のマックで友達の宿題を写させてもらったことまで先月くらいの感覚で思い出したりして(着ていた服や食べたもの、宿題の内容まで思い出したんです!)、
そのくらいあっという間なんです、30年も40年も(;´Д`)!
現実は、お腹の脂肪も、たるんだ顔も、
手のひらに刺さった棘がボヤけて見えるようになってしまった目も、
1階ぶん階段を上っただけで息が切れてゼエゼエしてしまう体力も、
この体のすべてが、その年齢を立証しているというのに。
残念ですね。。。
人生折り返し地点くらいに来てしまったというのに、
頭の中がマジで中2なことに、自分でドン引きします(-_-)
身体と心がバラバラでしんどい!!
そんなの、誰も教えてくれなかった!
歳をとれば自然と中身も大人になると思ってたのに!
・・・・・まあ、こんな大人もいるってことで、
若い人には自信を持ってもらいましょう。。。


さて、そんなしょうもないゴミみたいな私の人生の話のあとで話題を出すのは申し訳ないのですが、今日ご紹介したいのはこちら。
太平洋戦争終結後30年もの間、フィリピン・ルバング島のジャングルに潜んでいた小野田寛郎さん。
その実話をもとにしたフランス人監督の作品です。
「ONODA 一万夜を越えて」
©bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma
監督が、有名な冒険小説「宝島」のような冒険ものを撮りたくて題材を探していた時にたまたま小野田さんのことを知り、そこから始まったというこの映画。
小野田さんが陸軍中野学校二俣分校で上官(イッセー尾形)から「君たちに死ぬ権利は無い」と言われるところから、
戦地に赴き激しい戦闘をくぐり抜けてジャングルに身を潜めその後日本に帰国するまでの30年間をまるで記録映画のように淡々と写し出しています。
その目線は本当にシビアで客観的。
どこかに感情が入りすぎると、説教臭くなってしまったり嘘っぽくなってしまいがちな実話系。
でもこの映画の、どこにも感情を入れすぎずクールにカメラを回し続けるその撮り方は、
たぶんそもそも冒険映画を撮りたかっただけのフランス人監督だからこそだったのだと思います。
こんなドラマティックでセンセーショナルな題材を、これまで日本ではドラマにも映画にもほとんど使ってこなかったのは、
日本では作るのがなかなか難しくデリケートな問題だったからで、
実際に日本で作られていたら感情が入りすぎた重めの人間ドラマになるかエンタメに走るか、でもそれでは炎上しそうだからと忖度に忖度を重ねた中途半端なものになるか、
だったんじゃないかなと思います。
今回のこの作品は、それとはまったく違うアプローチ。
主人公のバックグラウンドや国、政府、外界の様子などには一切触れず、
本当に淡々とシンプルに、ジャングルのなかで独自の価値観で30年もの時間を過ごした一人の人間の姿を見つめています。
でも、逆に外国人監督でなければここまで踏み込めなかっただろうなという切り口が、潔くて素晴らしい。
描き方だけでなく、基本的なスタンスがとてもクール。
〝戦争映画”ではなく、
〝やむをえずジャングルに30年、身をひそめることになってしまった一人の男の物語”という感じ。
主人公・小野田の壮年期を演じた津田寛治さんも「監督は、〝ジャングル”を描きたかったんだなと思いました」と語っているので、きっと本当にそうなんでしょう。
淡々としているとはいえ、そもそも第二次世界大戦の激戦区に入っていってるので敵襲もあるし、もちろん仲間とのいざこざなんかもあるのですが、
それを見つめる目線がまた、クールなのに生々しくてしんどい!
ジャングルの中、年齢も価値観も全く違う数人の仲間との潜伏生活です。
すべて削ぎ落した究極にシンプルな舞台でのドラマ。
だからこそ役者の演技が重要なんですよね!
この役者たちがとにかく上手い!!
小野田役は、青年期を遠藤雄弥、壮年期を津田寛治の二人で演じていますが、
これがまた全く違和感が無い!
雰囲気もソックリだし、顔も似ている!!
私は二人が入れ替わったときすぐには気付けませんでした!
まず仲間役の俳優さんがやはり壮年期を演じる方になっているのに気付いて、
「あっ、替わってたんだ( ゚Д゚)!?」っていう。
年代的に言えばどちらか一人が全編演じてもよかったくらいなんですが、
そこをあえて二人に分けたというのは、
「ジャングルで30年という壮絶な時間が人間に与えたもの」を表現するためだったとか。
たしかに、ただ老けメイクをするよりも伝わることがあったと思います。
他のメンバーも個性的でナチュラル!
上官役のイッセー尾形の、飄々としていながらも強烈なオーラはもちろんのこと、
©bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma
注目の若手・井之脇海くん(好きなんですよねぇ~、なんかカワイイ!!彼は子供の頃「トウキョウ・ソナタ」で、小学校の給食費でこっそりピアノ教室に通う次男を演じていました!「えっ、あの子なんだ!?」ってなりますよね!)の繊細な存在感が、戦闘シーンもある殺伐とした前半で唯一の心のオアシスだし(?)、
個性派俳優として大ブレイク中の仲野太賀くんも、小野田さんを見つける冒険家(実在)を生き生きと演じていて、こちらは後半の唯一のオアシスです(´ー`)
©bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma
他の仲間を演じている役者さんたちもほんとに上手くて、
それぞれ個性爆発しながらもみんな自然でリアル!
こういう人、いるーーーー!!!!の感じから、
静かななかでジワジワ心に迫る、ギリギリの人間の心情の溢れ方まで、
劇団などを中心に活動する役者さんたちのさすがの演技。
©bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma
3時間弱もある作品ですが、
ごちゃごちゃ広げずにテーマを絞ったシンプルな描き方なので、
話についていけなくなることはないし、
壮絶な30年間の実話を描く作品なのでむしろそのくらいの時間は必要。
端折って2時間におさめるなんてやり方なら作る意味が無いですよね。
もともとエンタメ作品として作ってはいないので淡々としてはいますが、
そのぶんドキュメンタリーのような緊張感とリアリティがあって全然飽きません。
戦争ものはちょっとなー・・・という方も、
戦闘シーンももちろんあるにはありますが、
そもそもジャングルに潜伏しているお話なので、
題材というよりも「舞台が戦地だっただけ」という感じなので、
戦争映画がとにかく苦手な私でも観られたので大丈夫。
たった3時間だけど小野田さんの30年を垣間見て、
私たちが教わってきた戦争とはまた別の角度から見た日本の戦争について考えさせられました。
「すごいものを見た。」
それしかない。
深く、じっくり心に刻まれる映画です。
「絶対に死んではならない」と厳しく命令された上官から直接、任務解除の命令を受けるまでは帰れないと言った小野田さん。
その重さは、私なんかにはとうてい想像できるものではありませんが、
上官の命令通り、とにかく死なずに帰ってきた小野田さんのその後の人生が穏やかで幸せであったならいいなと、
観終わったあとしみじみ思いました。
一貫してクールな目線ではありますが、実際の報道写真に寄せてソックリに撮られたシーンもあり、きちんと細かいところまで丁寧に作られた作品ということがわかります。
映画の公式Facebookに、実際の写真と映画のカットが比較で掲載されているので、
ぜひ見てみてください!
公式サイトhttps://onoda-movie.com/#


そして、芸術の秋。
「午前十時の映画祭」も、秋らしくエッジの効いた鬼才(奇才?)祭りです。
のちに、誰もが知ってるスッゴイ映画を監督することになる、
映画好きの必修科目たちを生み出す人たちの作品を、
絶対にスクリーンで観ておきましょう!
「ユージュアル・サスペクツ」
TM & ©2003 by Paramount Pictures Corporation. All Rigts Reserved.
これは面白かったなあ!!
初めて観たとき、少し酔ってたので(コラ)いまいち話についていけなくて(おいおい)、
翌日もう一度、ちゃんと観たのです。
そしたらめちゃくちゃ面白かったんですよ!!(当たり前)
みなさん、これは絶対お酒無しで観てくださいね!
午前十時~であんまりお酒飲んでる人はみかけませんが(;'∀')
ボールドウィン3兄弟が大好きな私は、
スティーブン・ボールドウィンが出てるだけでも嬉しいのですが、
この作品はベニチオ・デル・トロが大ブレイクするきっかけになった作品でもあるし(たしかに強烈!でしたよね。)、
ケヴィン・スペイシーがとにかくスゴイ!!
この方も、しょうもないスキャンダルで最近あまり見なくなったのが残念ですが、
スッゲー怖い役者だ!と思ったのを覚えています。
監督はブライアン・シンガー
のちに「X-MEN」シリーズで世界中にその名を轟かすことになりますが、
最近は「ボヘミアン・ラプソディ」の途中降板で大騒ぎに。
トラブルメーカーですが、この人の作る独特の世界観はやっぱり天才としか言えない。
またオモロイもん、見せてほしいなー!

「未来世紀ブラジル」
© 1984 Embassy International Pictures, N.V. © 2002 Monarchy Enterprises S.a.r.l. All rights reserved.
こちらもまたいくつかの作品で、途中降板したり中断したりしたことで有名なトラブルメーカー、テリー・ギリアム
奇才といえば、で必ず名前が出てくるお方です。
イギリスのコメディグループ「モンティ・パイソン」のメンバーって時点でなかなかだし、
イラストレーター、アニメーターという肩書もすごい。
名前が有名なわりには監督作品はあまり多くなく、
しかもエキセントリックな映画ばかりなので万人受けはせず(;'∀')
普通の人が観られるまともな映画は「12モンキーズ」くらいか?
私は「Dr.パルナサスの鏡」とか「ローズ・イン・タイドランド」も嫌いじゃないですよ?
ファッション、映像、「なんじゃ、こりゃ?」な展開・・・印象的なシーンがいくつも浮かんできます。
まあ、なんの話だったのか、いまいち説明に苦労はしますけど。。。
この独特の世界観もまた、不思議で面白いんですよねぇ(*´ω`)
この方も最近、映画製作の話はあまり聞かないのですが、
新作、観てみたいなあ。。。
もともと多作なほうではないので、ゆっくり待ちますか!

「ファイト・クラブ」
© 1999 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
これまたゴリゴリのトラブルメーカー、デイヴィッド・フィンチャー監督の作品。
やっぱりこの方も、映画監督デビューの「エイリアン3」からトラブル続き。
どの作品も、細部まで徹底して作りこまれている完璧主義というのが伝わる映像ですもんね。
その後は「ベンジャミン・バトン」「ソーシャル・ネットワーク」などでアカデミー賞の常連に。
この「ファイト・クラブ」は興行的には微妙だったんですが、
あとからジワジワと評価されはじめて映画好きの間ではカルト映画的な人気作品になりました。
「セブン」以来のタッグのブラッド・ピットが、めっちゃカッコいいのにイカレてて最高。
エドワード・ノートンは憑依型俳優の進化系で、コワすぎる( ゚Д゚)
私はビビリなので大きな音とか出るたびにビクーッ!としてましたが、
もうそもそもこの映画じたいもやっぱりイカレてる!
・・・・・それも好きだけど。
殴り合いは苦手!でも、主人公の二人のカッコ良さにハマります。
身体がイイ( *´艸`)!!もちろん顔もね!
目の保養にぜひ♪


とまあ、こんなふうにつめこみましたが、
なんだかんだで秋を楽しもうとしている私です。
寒いけど、雪も降るけど、文句言いません。
本気の冬がやってくる前に、映画もたくさん楽しんでいきましょうね!!


中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/







2021年10月1日金曜日

がっつり人間ドラマに浸る秋。クーリエ

こんにちは。
天高く馬肥ゆる秋。
というわけで食べ物もおいしい季節、
馬に限らず人間も食欲が止まらない秋ですね。
先日の健康診断でまんまと去年より3キロ太っていたことが判明し、
しかたなく休肝日を週3日にして不機嫌な私です(?)。
家にいると食べちゃうので、時間があったらなるべく映画を観に行きます( `ー´)ノ
緊急事態宣言が明けたからといって、いきなりあちこち飛び回るのもどうかと思うので、
映画くらいにしておきましょう♪
引き続き、マスク・手洗い・アルコール消毒と体調管理は各自、心掛けていきましょうね。

さてさて秋の大人映画月間、みなさんはもう何かご覧になりましたか?
私は観ました。
「クーリエ:最高機密の運び屋」
© 2020 IRONBARK, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
キューバ危機の裏にあった、衝撃の実話です。
「キューバ危機」
1962年10月16日~28日の、このたった13日間が、
世界が最も核戦争に近付いた時期「キューバ危機」と言われています。
当時、世界は『アメリカ+西側諸国』vs『ソ連+東側諸国』という形ですっかり関係の冷えきった冷戦状態。
日本も当然、アメリカと同盟を組んでいて米軍基地もあるため、
いざ戦争となればアメリカ側という立場。
全くひとごとではありませんでした。
しかし、アメリカソ連は世界で最も力も影響力も大きすぎる大国同士。
直接戦争をするとなると被害が大きくなりすぎて大変。
でも、どっちが世界のトップに立つか、どちらが強いか、世界中の国々にしらしめてやりたい気持ちは常にあったわけで。
なので、直接やりあうのではなく〝バックにつく”という形で当時、あちこちで縄張りやら独立やら対立で内戦をしていた人たちをそれぞれが支援し、力の誇示と競い合いをしていたんですね。
これがいわゆる『米ソの代理戦争』ってやつで、
当時、北と南が対立していた朝鮮戦争ベトナム戦争も、
今でもゴチャゴチャと内戦を続けているアフガン戦争も、
対立するグループのバックにそれぞれアメリカソ連が首を突っ込んで、
武器やらお金やら最後は人員までつぎこんで戦争をさせていたわけです。
自分たちの土地ではやりあわずに、まるでゲームのように遠くから戦争をけしかける。
なんてひどい話!
まあそれでも、すでにお互い核を保有していることを知っているので、実際に直接対決となったら報復に対する報復の繰り返しでほんとに甚大な被害をだしてしまうことも十分理解している国同士。
そうやって外でやいのやいの言ってるうちはまだマシということでしょうか。
そして当時は、南米でもあちこちで独立やクーデターなんかが多発しており、
ものすごく治安の悪い危険な状況にあったのですが、
なかでも有名なキューバ革命
これが今回の映画のテーマ「キューバ危機」に大きく関わってくるわけなんです。
映画やドキュメンタリー番組なんかでもよく取り上げられていますが、
フィデル・カストロチェ・ゲバラが率いる革命軍がキューバの当時の親米・独裁のバチスタ政権を打倒して権力を握り、
アメリカの植民地状態だったキューバが社会主義国へと舵を切ることになった一連の内戦がキューバ革命です。
カストロ政権になったキューバは、アメリカ資本の追放やアメリカ企業の国有化に対抗し、ソ連と接近していきました。
当然、カリブ海の真ん中に位置し天候も良く、産物からの収入も多く見込めるキューバを支配下においておきたかったアメリカは怒り心頭。
キューバへの禁輸措置を行い、経済的に制裁を加えようとしましたが、
キューバはさらに反発してソ連に支援を求め、
それによってソ連がキューバに核ミサイルの配備を始めたというわけなんです。
そうなってくると当然、キューバとは目と鼻の先にあるアメリカですから、
攻撃されることを想定してアメリカ側も戦闘態勢に入るというものものしい状態になってしまった。
でもアメリカソ連の核戦争なんて絶対に阻止しないといけませんよね。
被害なんてもんじゃない、壊滅です。
そこでアメリカが採ったのは「キューバの海域を全面封鎖」という手段。
アメリカ側には、「さっさとキューバを攻撃して封じ込め」という強硬派ももちろんたくさんいたわけなんですが、
その強硬派を説得し、攻撃でもなく、かといって無視でもない「キューバ海域を全面封鎖」というちょうどいい手段で様子を見るという賢い決断をしたのが当時のアメリカ大統領ジョン・F・ケネディだったんですね。
なるほど!
ケネディ大統領といえば、映像にも残っているショッキングな暗殺事件が世界的にも有名すぎて、
いったい何をした人なのかいまいちよくわからない感じじゃないですか?
でも、実はケネディ大統領、このキューバ危機を回避したその手腕が素晴らしいというのでなんなら英雄クラスの人物だったんです。
たしかに、一瞬の判断や一歩やり方を間違えれば世界中を巻き込んで甚大な被害を及ぼしたであろう核戦争になっていたかもしれない状態。
強硬派の説得ができなければキューバの基地への空爆やキューバ本土への侵攻の可能性もあったわけで、そうなると核による報復の繰り返しという最悪の事態になっていたかもしれません。
世界情勢的にもギリギリの状態だったんですね!
しかもこのときケネディ大統領はなんと45歳(;゚Д゚)!!
すごくないですか!?
まだ40代半ばで大国アメリカの大統領になれるんだ!?
なんか、その時点で大国が大国である所以を見せつけられてる気がしますけど(*_*;)
日本が勝てるわけないなあ。。。
そしてこの「核戦争を回避」できたことにより、勢いがついていたケネディ大統領
さあここからアメリカをもっともっと強く大きな国にしていきますよと盛り上がっていた、このキューバ危機の翌年。
1963年、ジョン・F・ケネディは凶弾に倒れました。
享年46歳。
「アメリカ大統領といえば?」なんて質問があったらまず名前が出てくるくらいに有名なこのケネディ大統領、在任期間はなんとたった3年弱( ゚Д゚)
この方がもう少し長生きできていたら。
任期ギリギリまで大統領を続けることができていたら。。。
政治にも歴史にも、たらればなんて無意味なことはわかっていますが、
ついつい考えちゃいますよね。
アメリカ、どうなっていたんでしょうね。
余談ですがそんなアメリカの選挙について、コメディで垣間見ることができる映画が始まりました。
「スイング・ステート」
©2021 Focus Features, LLC. All Rights Reserved
大統領選挙のプロ集団が田舎町で大波乱を巻き起こす!
いまいちわかりにくい、独特なアメリカの選挙の裏側をリアルに、しかもゴリゴリのコメディで描く痛快エンターテインメント。
こちらもよろしく!
・・・ちょっと話がそれましたが、キューバ危機の結末にいきますね。
そんなこんなでアメリカキューバの海域を封鎖することで直接の戦争を避けつつお互い緊張状態のままにらみあっていたアメリカキューバでしたが。
すでにトルコに核ミサイルの基地を持っていていつでもソ連に攻撃できるんだぜとアピールしていたアメリカがトルコの基地を撤去する代わりに、キューバのミサイル基地も撤去して!という交渉が成立し、
晴れて米ソの核戦争が回避できたのです。
これが、〝キューバ危機”
まさに一触即発からの、九死に一生を得る。
アメリカソ連も、別にお互い戦争がしたいわけじゃないんだということがわかり、
このキューバ危機を機に、ホワイトハウス(アメリカ政府)クレムリン(ソ連政府)がホットラインで繋がるようになったのでした。
で。
映画マニア兼世界史マニアによる「映画をがっつり楽しむための世界史ミニ講座」はここまで!
ほんとはもっと複雑で、細かい裏事情があったようですが、
今回は「クーリエ:最高機密の運び屋」をもっと深く楽しむためのミニ講座なので、
ここでは割愛しますね。
ざっくりと大事な部分だけわかりやすく、を重視して書いたので、
個人的な見解や細かい部分の説明不足などあるかもしれませんが、
長い目で見ていただけると助かります(;'∀')

さてそして、その世界的危機ともいえる「キューバ危機」の裏側で、ソ連の機密情報を西側に運んでいたのは、CIAやMI6なんかで徹底的に鍛え上げられた百戦錬磨のプロフェッショナルなスパイ。
ではなく、ごく普通のセールスマンだった!
という実話をもとに作られたのが、この映画。
「クーリエ:最高機密の運び屋」
© 2020 IRONBARK, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
主演は、出ました!ベネ様!
英国が誇る正統派本格俳優ベネディクト・カンバーバッチ
ゴリッゴリに演劇を学び、しかもイングランド王リチャード三世の血を引くまさに貴公子!
中劇で上映した「ホロウ・クラウン嘆きの王冠」ではそのリチャード三世を演じていましたね!
ちなみにこの映画の監督はドミニク・クック
「ホロウ・クラウン嘆きの王冠」の監督を務めた方!
さすが、監督と役者のコンビネーションがバッチリな雰囲気、出てました!
中劇ではベネ様作品はほかにも、ナショナル・シアター・ライブ「シャーロック 忌まわしき花嫁」、など上映してきましたが、
最近では売れっ子になっちゃってマーベルの「ドクターストレンジ」やアカデミー賞に絡むような作品が相次ぎ、中劇にはなかなか顔を見せてくれなくなっていました。
でもこの「クーリエ」と、来月公開の「モーリタニアン」でやっと中劇に戻って来てくれた!
ありがてえ!
仕事してるだけで、ベネ様の声が聴ける!
ベネ様推しの私にとっては幸せな2か月間。
そう、私はベネ様の映画は迷わず観ます。
良い悪い関係なく。
でも今回、「クーリエ」、すごくよかった。地味だけど。
素敵でした!!!地味だけど。
渋い!上手い!地味だけど。
・・・・褒めてます、もちろん。
地味さって、なかなか難しいと思うんですよ。
なんなら派手な雰囲気を出すよりも難しい。
だって、そもそもがお顔もお体もオーラもパーフェクトな英国紳士ですよ。
そんな人が、世界を飛び回るエリートビジネスマンを演じるってんだから、
地味になるはずがない!
・・・・でもちゃんと地味!!(→思いっきり褒めてます)
© 2020 IRONBARK, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
キューバ危機のカギを握る一般人スパイを、彼が演じることによる説得力。
ベネディクト・カンバーバッチという役者は、
特撮のアメコミ作品の主人公を演じても、
舞台を現代におきかえたシャーロック・ホームズを演じても、
哀しきフランケンシュタインを演じても、
そしてキューバ危機の裏で奔走した一般人スパイを演じても、
なぜか妙にリアルな存在感のある人。
今回の「クーリエ:最高機密の運び屋」では、
主人公が真面目でちゃんとした、ほんとに普通の人なんだっていうことがスクリーンを眺めてるだけでわかる。
そして妻と息子と普通に暮らしていたはずのセールスマンがなぜか急にロシアの機密文書を運ぶことになり、戸惑い悩む姿も、
徐々にプレッシャーの大きさに押しつぶされそうになっていく様子も、
その地味さの説得力がゆえに引き立つという、
存在感だけで描き出す素晴らしい伏線!
いやいや引き受けた任務だったにも関わらず、はからずも核戦争を回避するための同志のようになっていた男たちのなんでもない日常から、
命を懸けた葛藤と決断に至るまでを静かに追うストーリー。
「ミッション・インポッシブル」トム・クルーズのようにアクティブでもなく、
「007」ショーン・コネリーあるいはダニエル・クレイグほどジェントルでもなく、
ハラハラドキドキのアクションシーンも無いけれど、
世界の危機のスイッチをいきなり押し付けられた一般人の苦悩する姿や、
実は重要な国家機密を運んでいるのはこんなふうに普通の一般人なのかもと少し怖くなるくらいにリアルなスパイの描き方が興味深い。
とはいえ、国家機密を握る主人公と行動をともにしているかのような緊張感と、
後半は見ているのもつらいくらいにゲッソリと痩せていくベネ様のお姿には、
もうこのあとほんとにどうなっちゃうんだろうというハラハラはずっとありました。
なにしろ、アメリカソ連がお互いに敵対関係にあった時代のお話。
今だってロシアは、実は裏で何をしているのかわからない怖い大国ですが、
当時のソ連はほんとに今の北朝鮮くらい不気味な存在でしたもんね。
ストーリーも決して派手ではないし(もちろん、目立っちゃいけない任務ですからね)、
スパイものの定番であるエンタメ感は皆無ですが、
実話であるという怖さと歴史の裏側の面白さがあいまって、
今までとは違ったスパイものになっていて面白い!
結局、実際にあった話(しかもわりと最近)なので、
結果どうなったのかというのは周知の事実。
なのに観ていてずっとドキドキです。
派手なアクションシーンはないけど、
ヒリヒリするような緊張感のなか、命をかけて核戦争を回避しようとする男たちの姿にシビれます!
もちろん今日、長々と書いたキューバ危機のミニ講座なんて読まなくても楽しめますよ!!
世界史好き兼映画マニアの私が勝手に趣味で書いただけなので、歴史とか苦手な方はスルーしていただいて大丈夫!
男くさい人間ドラマとしてだけでもじゅうぶん面白いので!
テーマはずっしりと重いのですが、複雑に入り組んだお話ではないし、
シンプルに、本線だけを追った作りになっているので難しくないです!
やっぱりキューバ危機をリアルに体験した世代の先輩方がたくさん観に来てくださってるんですけど、
若い人にも観てもらいたいなあ・・・・!
仲良しこよしじゃなくても、口に出さなくても、たった一つの大事なことのために心だけでつながる男たち。
それぞれがそれぞれの事情で、命をかけたギリギリの綱渡りをする緊張感。
全体的にクールに、落ち着いたテイストで描かれていますが、
国を、時代を、世界の運命を託された者たちの熱い人間ドラマです。
秋なので、じっくり、ゆっくり、知的好奇心をくすぐる上質な映画を楽しんでみてください!


さてさて今回もちょっと熱くなりすぎましたかね。
結局、「クーリエ」だけでおなかいっぱいの回になっちゃいました(;'∀')
作品が多すぎて全部をじっくりは厳しいのですが、
重い腰を上げて映画を観に行き、
適当な宣伝ではなくて自分の言葉で映画を紹介していきたいと思いますので、
気が向いたときだけでいいので覗きに来てくださいね!


中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/




2021年9月19日日曜日

秋の中劇は音楽映画と実話人間ドラマでぎゅうぎゅうづめ!

こんにちは。
夏のさんさに続いて秋の八幡祭りも無いままに、
風は涼しく空は高く、すっかり秋の盛岡です。
ゆうべ、家の中にコガネムシがいて思わず悲鳴をあげた私ですが、
まあ、虫たちもあまりの夜の涼しさについつい家の中に入ってきてしまったのだろうと、
殺さずにそっと外に出してやりました。
虫、大っ嫌いなので見つけたらいつも速攻ぶっ殺してしまう私ですが、
なんとなく秋の寂しさに一瞬、大嫌いな虫にまで情が湧いたのでしょうか。
それとも歳をとって無意識のうちに無駄な殺生を避けたのか。。。
どちらにしても、ちょっといいことをしたような気になった秋の夜。(は?)
秋、ちょっとせつないけど涼しいから嫌いじゃないです。
アウターを着るタイミングを見極められずに風邪をひいたりしますけど。
まあ、気温は過ごしやすく、虫も減って、良い季節になりました。
映画のハシゴにちょうどいい!
秋はどこの映画館もみな大人の上質な作品が揃う時期でもあるので、
ゆっくり映画を楽しみましょうね。

さて中劇です。
前にも少しご紹介しましたが、
秋の中劇はなかなかシャレオツでセンスのいい作品が揃いました。
いざ並べてみると、『心躍る音楽映画』『ゴリゴリの実話人間ドラマ』ばかりになってました(´ー`)
すごい!いつもですが中劇、偶然がすごい!
わざと集めたわけじゃなかったんですけどね。
中劇、いつもなんにも考えてないわりに、なかなか運だけはいいようです(*‘∀‘)
まずは音楽映画
なんといってもみなさま、お待たせしました!
6月に上映して大好評!
たくさんの方にご覧いただき、今までにないくらいのリピーターが出現したこちら。
「アメリカン・ユートピア」
©2020 PM AU FILM, LLC AND RIVER ROAD ENTERTAINMENT, LLC ALL RIGHTS RESERVED
再上映です!!!!
いやあ~・・・・嬉しい!
毎日、場内からこの映画の音が聞こえてくると幸せな気持ちになっていたあの時間が戻ってくる!
前回、上映した時の私の興奮ぎみの感想文はこちらです↓
どうやら本場ブロードウェイで、ご本家舞台の再演も始まったとか( ゚Д゚)
え、中劇、持ってるねーーーー!!!
なんだろう、どんな映画かと聞かれても説明が難しい。
どう説明すれば伝わるんだろう!!
いや、内容は難しくないんですよね、全然。
揃いのスーツを着た裸足のミュージシャンたちがシンプルなステージで楽器を演奏しながら歌い踊る舞台。
ただそれだけ。
でも、「ライブ映像」とか、「見て、聴いて、体で感じるブロードウェイショー。」
なんてそんな単純なものでもないし、
なによりその一体感や満足感、そして観終わったあとの幸福感がハンパない。
って、語彙力が乏しすぎて、きっとまだ観てない方にはこれでは伝わらない(-_-;)
なので6月に上映したときのお客さんの言葉をご紹介します。
シニア(60歳以上)のお客様でした。
「真ん中の人のことも音楽も全然知らないけど、ただ楽しかった。
どんなに気に入っても、同じ映画を何度も映画館に行って観るなんてやったことないけど、
これはどうしてもまた観たくて来てしまった。」
何が、とか、なんで、とか、理屈じゃないんですよね。
ただ、「ちょっと聴いていきなよ」「音楽って楽しいよね」みたいな、
そんなシンプルな気持ちの共有のような。
デヴィッド・バーンって誰?なんの人?どんな曲?
そんなの別にどうでもいいんです。
心地のいい音楽に包まれて、
軽やかで楽しそうなミュージシャンたちのダンスや演奏を眺め、
気がついたら体で小さくリズムをとってる自分がいた。
そしていつのまにか自分が、観客との一体感を体中で浴びてステージが終わる瞬間のミュージシャン側の感覚になっている。
それだけでいい。
でも最後、幕が下りるところで終わらないのがまた粋で。
エンディング、最高です!!!
あの、疾走感と躍動感、そして満足感が溢れるラストのために、
私もやっぱりもう一度、と言わずもうあと何度でも、
スクリーンで観たいと思うのでした。
そして前回の上映のときに大好評だった大音量上映!!
今回はどれも
♪中劇音量めいっぱい上映♪
*映画用の音響セッティングで音量を最大限に調整した上映になります。
映画館の大きなスクリーンで、
最高級の音響設備で、
まさに音楽に身をゆだねて、
音楽を体で感じる至福の時!
観終わったあと、心も体も解放されて大満足の充足感で満たされます。
前回のときの大音量上映は、日にちや時間が限定されていたため通常音量でご覧になった方が多いと思うので、
ぜひぜひ今回は音楽を目いっぱい体で感じて楽しんじゃって下さい( `ー´)ノ
そして嬉しいお知らせ!
6月の上映の時は途中で完売して買えなかった方もいたこの映画のパンフレットが、
今回、入荷できました!!!
大人気で、全国の劇場でロングラン上映を続けている「アメリカン・ユートピア」ですが、
ぼちぼち上映が終了してきて、たまたまパンフレットが倉庫に戻ってきたタイミングで中劇の再上映となり、再入荷できたようです(*‘∀‘)
前に買えなくて悲しい思いをしていた方、
またとないチャンスなのでぜひぜひゲットしてくださいね!!


9月23日「OASIS ネブワース1996」
(C) 2021 Oasis Knebworth 1996
オアシスです。
タイトルにも1996とありますが、このライブからもう25年です。
前にチラッとこの映画の紹介をしたときにも書きましたが、
オアシスを聴くと、一瞬で25年前に戻ります。
つい去年くらいのような気がするんですけどね、ほんとに。
先日、健康診断でバリウムを飲んだ時に
「え!なんか、つい先月くらいにバリウム飲んだばかりな気がする( ゚Д゚)!!マジで!!」と思ったんですけど、
どう計算しても前にバリウム飲んでから1年たっていたので愕然としました。(なんの話?)
たしかに!
去年の今頃が先月って感覚なら、
25年前が去年でもおかしくない!
・・・いや、計算が合わないか。
ていうか計算とかどうでもいいんだよね、なんかそのくらい最近な気がするってだけなんで。
そもそも思考が中2で止まってるんだからそのあとなんか全部一緒じゃね?
だからもういっそのこと今も中2で良くない?
・・・・・・は( ゚Д゚)?
自分でも何を言ってるのかわかんなくなってきましたが、
とにかく朝からずっと曇っててどんよりとした天気の休日なんかに二日酔いのままオアシスを聴いてると、
なんとなく自分がまだ二十代前半とかで、
仕事もプライベートもバッチリ!楽しいし!
なんて勝手に無敵な気分になりながら、
ノー天気に自分のことだけ考えてブラブラ遊び呆けてて、
なんとなく明日は何しよっかなーなんて考えてたりして。
・・・・でも違った(-_-)
今日も明日も、あのころとは違う現実があったのだと気付き、ガッカリするという。
・・・・・そんなオアシス
・・・・・え?
それでも今もよく聴きます。
もう、水を飲むみたいに入ってくるので。
朝、空気みたいに流したりしてます。
なんだかんだで、そんなオアシスが、9月23日に全国の映画館に降臨。
とりあえず一日だけ上映します。
そして他の劇場さんではそのまま1週間上映したりするんですが、
9月の中劇、マジで映画がぎゅうぎゅう詰めで入らないので、
10月15日~21日に再上映!
ちょっと日にちが空いてしまって申し訳ないのですが、
9月23日がどうしても無理だったら、10月にぜひご覧ください。
コンサートじたいがあまり実施できないような今ですが、
なにしろオアシスはどうやってももう家でDVDとかで観るしかできないしね。
世界中の音楽ファンを悲しませた、世紀の兄弟喧嘩が結局どうなったのかわかりませんが、
今回のこの作品はノエルリアムが監修したらしいです。
ま、だからってまた新しいオアシスが聴けるようになるわけではないし、
例えば万が一、あの、世紀の兄弟喧嘩がおさまってまさかの再結成!なんてことになったとしても。
それは、我々が心を鷲掴みにされたあのときのオアシスではないわけで。
だからこそ今回のこの映像は、ものすごい才能で世界中の音楽ファンを熱狂させたこの兄弟の絶頂期のあのころを、
いま、映画館で観ることができる、身体で感じることができる貴重な機会。
もちろん家のテレビじゃなくて、
映画館のスクリーンで、大音響で、1996年のオアシスが観たい。
シンプルにそう思ったオバチャンでした。


そしてまだまだ続きます。
10月22日公開「ショック・ドゥ・フューチャー」
(C) 2019 Nebo Productions - The Perfect Kiss Films - Sogni Vera Films
1978年、パリ。
時はエレクトロ・ミュージックの世界的なブレイク前夜。
誕生したばかりの電子楽器に魅せられ、未来的な音の響きに心躍らせる、若き女性ミュージシャンと友人たちの一日を描く青春音楽映画。
電子楽器が普及しはじめ、日本ではYMOが結成されたころのパリ。
なんだかワクワクしますねえ( *´艸`)
ストーリーはもちろんのこと、映像の色合いや当時のファッションなど、
絶対に見どころ満載なはず!!
公開が今から待ち遠しい♪
公式サイトhttps://chocfuturjp.com/


11月公開「サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~
© 2020 Sound Metal, LLC. All Rights Reserved.
聴覚を失ったドラマーの青年の葛藤を描いた人間ドラマ。
こちらは去年から配信で公開されていた映画ですが、
第93回アカデミー賞作品主演男優助演男優など6部門にノミネート
編集賞と音響賞の2部門を受賞
そして劇場で上映してほしいとあちこちから要望があり、
とうとう日本でも劇場での上映が決まったという、
映画マニアも期待大の作品です。
映画制作者と監督の意思により、本作のメッセージ性に配慮して誰もが映画館での鑑賞をお楽しみいただくために、全世界で【バリアフリー】字幕での劇場公開となりました。
どの人もみな、身体で〝音楽”だけでなく〝音”を感じることのできる作品。
ぜひ、配信でなく劇場で、全身で感じたい映画です。


というわけで、年々、かなり良い感じの通好みの映画を上映できるようになってきた中劇ですが、
今年もその面目躍如が期待できそうです( `ー´)ノ
音楽好き、集まれーーーーー!!!!


さてさてそして、イケイケな音楽映画とともに秋の中劇で充実なのが実話系人間ドラマ
まずは現在、上映中のこちら。
「トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング」
(C) PUNK SPIRIT HOLDINGS PTY LTD, CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION, ASIA FILM INVESTMENT GROUP LTD AND SCREEN AUSTRALIA 2019
・・・・・・・・・・・しんどい( ゚Д゚;)!!!
実話なのがまたしんどい。
そして暗い(*_*;)!!!!
19世紀のオーストラリアに実在した無法者ネッド・ケリー
現地では義賊としてヒーローのように扱われたりもする人物のようですが、
ここでは、貧困に喘ぐ移民のアイルランド人という被差別者ゆえ犯罪の世界でしか生きる術のなかった青年が、
現状を打破し、理不尽な現実に抗い、不器用にも闘う姿を、
幻想的で絵画的かつ重苦しく生々しく描き出します。
ロックで、パンクで、ある意味クール。
でも、ホラーでサイコでクレイジー。
思わず目を背けたくなるような、少年時代の彼を傷つける出来事の数々と、
癒されることもないままに他者に怒りや苛立ちをぶつけるしかない現実。
周囲の大人もクズばかりで、確かに同情はしてしまいます。
でも、主人公のネッド・ケリーを演じているジョージ・マッケイ(イギリス出身)も、
悪名高い盗賊を演じているラッセル・クロウ(オーストラリア出身)も、
主人公の家族を虐めまくる警官役のチャーリー・ハナム(イギリス出身)も、
・・・・・・・・・カッコイイ・・・・・(*'ω'*)
→え、そういう問題(+_+)?
しかもオーストラリアはイギリスの植民地だったので、この映画のメインキャストがイギリス人あるいはイギリス英語圏出身なのも最高だし、
出演者が話す英語がイギリス英語(オーストラリア訛りは入ってますけどね。でも、ネイティブのキングズイングリッシュスピーカーが話すイギリス英語はやっぱり良き!)というのもまたポイント高し!
なぜか昔から英国系男子とキングズイングリッシュにやたら惹かれる私は、
2時間強のイギリス英語を聴いてるだけで満足でした。
お話はしんどいけど。
公式サイトhttps://kellygangjp.com/


9月23日公開「クーリエ:最高機密の運び屋」
© 2020 IRONBARK, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
こちらもまた衝撃の実話。
世界中を核戦争への不安に巻き込んだキューバ危機。(世界史マニアでもある私がまたこのキューバ危機についてのちほど語りますので、しばしお待ちくださいね!)
この危機をギリギリで救ったのは世界を股にかけてあらゆる機密を手玉に取ってきた凄腕のスパイ!
ではなくなんと、ある一人のセールスマン!?
待望のベネ様。
そうだ、こちらも綺麗なキングズイングリッシュを話すイギリス男子!
場内からイギリス英語が延々聞こえてくるという幸せなシーズンが到来するってこと!
そしてベネ様のお似合いすぎるクラシックなスーツ姿をじっくり拝ませていただきます(*‘∀‘)/


10月8日公開「ONODA 一万夜を越えて」
©bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma
こちらは、終戦後もなお秘密戦の任務を遂行するため約30年間フィリピン・ルバング島で見えない敵と戦い続けた小野田寛郎さんの、
日本現代史に残る衝撃の史実より着想を得た物語。
描き方はフィクションでも、彼の過ごした戦後30年間は紛れもない事実。
フランス人監督が描く日本の戦後の一片。
小野田さんが日本に帰還したのは私が生まれてからのこと。
それを考えると一気に太平洋戦争が身近に感じます。
津田寛治イッセー尾形中野太賀・・・
けっこう気になるキャストでしょ!
さらに映画監督の諏訪敦彦や、
最近、私もお気に入りの井之脇海くんも出てるので要チェックな作品です。
公式サイトhttps://onoda-movie.com/#

10月29日公開「モーリタニアン 黒塗りの記憶」
© 2020 EROS INTERNATIONAL, PLC. ALL RIGHTS RESERVED.
この横顔。
まあー、いくつになっても変わらずお美しい横顔ですこと!
久しぶりのジョディ・フォスター大先生です。
アメリカ同時多発テロを引き起こしたとされ、テロリストを専門に収容するために設けられたグアンタナモ収容所に拘束されている男が無実を訴え、
その弁護を担当することになった弁護士を演じているのがジョディ・フォスター
大ベストセラーを記録した手記を基に描いた社会派ドラマです。
シビレますねえ!!
こちらも大好きなベネ様が出演されるので絶対観なきゃないやつです(*'ω'*)
これまた意図せずしてベネ様特集になりました♪
お楽しみに!!
公式サイトhttps://kuronuri-movie.com/


どうですか!?
音楽と実話系人間ドラマ。
充実の秋になりそうです!
これ以外にもまだまだあるので紹介しきれない!
中劇の公式サイトからチェックしてくださいね!


そしてもう一つ、要チェック作品が上映始まりました!
これはスクリーンで絶対に観ておきたい必修科目〝黒沢明”
世界中の映画関係者に影響を与えた〝クロサワ”作品のなかでも、
「スター・ウォーズ」の元ネタとして有名なこちら。
「隠し砦の三悪人」
©1958 東宝
スピルバーグジョージ・ルーカスだけでなく、
多くの映画関係者がリスペクトに挙げ続ける世界のクロサワ
今観ても古さを感じないし、
発想や技術的なものを見てもすごいとしか言いようがありません。
当時の技術ではやれることに限りがあったのは当然ながら、
ラストまで観客をスクリーンに惹きつけて放しません。
どの世代にも、とにかく「七人の侍」「隠し砦~」だけはスクリーンで観てほしいなあ!
クロサワ作品は、絶対に家のテレビで観るもんじゃありません。
スクリーンで観せることしか考えてなかったんですから!
クロサワ作品は必ず一度は、いや何度でも、機会があったらぜひ映画館の大画面で体感してくださいね!
今回はなんとデジタルリマスター版
私が初めて「隠し砦~」をスクリーンで観たのはもう20年以上前。
そのときはフィルムだったので、当然、今回のデジタルリマスター版とは映像も音も全然違う!
みなさんも、「前に観たし」なんてつれないことを言わず、
ぜひ劇場でご堪能ください!


そんなわけで、書きたいことがありすぎてどんどん更新が遅くなるという残念な悪循環が止まらない私です。
上映作品もたくさんありすぎて、書く前に観るほうが追いつかない(-_-;)
そんななかやっとルミエールさんで「子供はわかってあげない」を観てきました!
いいなあ・・・・なんか、夏!でした(´ー`)
ひと夏の青春映画、大好物なんで!!
私の今年の夏はこれでOK!(?)
すっかり夏を満喫したので、
これで心おきなく秋にシフトチェンジできます♪
キラキラした夏の思い出とともに(映画の中だけですけど)秋に突入した私でしたが、
観なきゃいけないものがまだまだある!!!
なるべく適当な紹介をしないように、ちゃんと観てから胸を張って紹介したいと思います!
だんだん寒くなってきて外に出るのも億劫になりがちですが、
フットワーク軽くいきたいものですね( `ー´)ノ
・・・・自分に言い聞かせてます。。。


中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/

2021年9月3日金曜日

続・強い女!必見「プロミシング・ヤング・ウーマン」

こんにちは。
夕方の涼しさに秋を感じるこのごろ。
うっかり上着を忘れ、仕事終わりで外に出て「・・・寒っ( ゚Д゚)」となる、
盛岡の夏の終わり。
暑くてしんどいと騒いでおいて、
いざ夏が振り返りもせずに過ぎ去ろうとすると寂しい。
・・・なんだってそんなもんですよね(-_-)

さてさて、観ました!
ずっと観たかった!
「プロミシング・ヤング・ウーマン」
(C) 2020 PROMISING WOMAN, LLC All Rights Reserved.
どこからどう言えばいいのか難しいんですが。
控えめに言って、すっごく面白かった!!!
もうほんとはラストまで大きな声で語ってしまいたい!
言えないけど!!!
監督も言ってます。
「この物語のエンディングは、キャシー自身から語られないといけない」とね!
オープニングからすっかりやられます。
音楽、作り、映像、衣装、もちろんストーリー。
そしてそれらすべての絶妙ーーーなバランス!
とにかく脚本が素晴らしい!!
「重くて暗い復讐劇じゃなくて、ポップでひたすら面白い復讐劇が作りたかった」と語るエメラルド・フェネル監督。
この作品は、長いアカデミー賞の歴史でも76の賞の候補に70人の女性が選ばれるというかつてない数の女性がノミネートされて話題になった今年のアカデミー賞で、
作品賞・監督賞・脚本賞・主演女優賞・編集賞の5部門ノミネートされ、
4部門は「ノマドランド」に負けてしまいましたが最優秀脚本賞だけは勝ち取ったというのがこの映画の特徴を表していると思います。
「ノマドランド」ももちろん素晴らしかったし、
ほかの作品もすごいのばかりなんですけどね。
でもこの脚本の秀逸さはまさに最優秀脚本賞にふさわしい。
他の4部門もこの「プロミシング~」でもよかったのになあと思いますけどね!
ただ今年は女性が多いだけでもいろいろ言われていたので、
映画の内容的にもあまりにもMe Tooにすり寄りすぎるのも逆に良くないということなのでしょうか。
たしかに、「ノマドランド」のほうが性別問わず、しかも大きなテーマで問題提起できますからね。
まあ、そもそも女性が監督賞にノミネートされることじたいがとても珍しく、
しかも女性が同時に二人、監督賞にノミネートなんてありえなかったので、
今年は「ノマドランド」クロエ・ジャオ監督と「プロミシング・ヤング・ウーマン」エメラルド・フェネル監督という女性監督が二人ノミネート、
そして最優秀監督賞クロエ・ジャオ監督が受賞と、
これまでのアカデミー賞では考えられなかったほどの女性の躍進。
それだけでも大きな進歩。
これまでに実際に女性が最優秀監督賞を受賞したのも2009年のキャスリーン・ビグローのみ(この方が「ターミネーター」「タイタニック」ジェームズ・キャメロンの元奥様というのもまたすごい話!)。
2009年のアカデミー賞では元夫婦で賞を争い(キャスリーン・ビグロー「ハート・ロッカー」ジェームズ・キャメロン「アバター」)、
キャスリーン・ビグローに軍配が上がったあのときは鳥肌がたちました。
なんかスゲー夫婦( ゚Д゚)!!
ちょっと話がそれましたね。。。
それで、「プロミシング~」の話に戻りますが、
この作品はとにかくすべてのバランスが絶妙なことに脱帽です。
暗くて重くて、とにかく目には目をと暴力や銃なんかで仇をバッタバッタと倒していく復讐劇なら今までにも観たことがありますが、
この映画はこれまでのどの復讐映画とも違うスタイル。
(C) 2020 PROMISING WOMAN, LLC All Rights Reserved.
クラシックで重厚感のある家具と、ビタミンカラーのネオンが輝くダイナーみたいな古き良きアメリカの匂いがするインテリアが共存し、
狂気ではなくクールに、そして殺すのではなくキツイお仕置きで、
表では優等生を気取って裏ではゲスなクソ野郎という最低な〝ナイスガイ”と、
それを見ていただけだから自分は何もしていないと言い張る無責任な奴ら、
そしてそんな男どもに迎合することで地位や名誉にあぐらをかくようなオンナどもにまで怒りの鉄槌をくだすブロンド美人のダークヒロインを、
ガーリーな音楽とスタイリッシュな映像で描き出すスーパークールな復讐エンターテインメント。
そのセリフのやり取りも、復讐の方法も、これまたリアルで生々しくてゾッとします。
復讐なんて、ものすごく体を鍛えて武器の扱い方を勉強して敵地に忍び込んで・・・
なんてしなくたって誰でもできるんだな、と目からウロコでした。
韓国映画のようにじっとりと執拗にでもなく、
日本映画のように号泣させるでもなく、
「キル・ビル」のように死体が重なるのでもなくて。
ポップでキャッチーな雰囲気のなか、
凍りついていた心を溶かすようなキラキラのラブストーリーをまぶしながら、
最後の最後まで観客の目も、耳も、心もグッとつかんだまま走り抜ける復讐劇。
せつなくて、苦しくて、でもかわいくて、
ムカついて、胸糞悪くて、けど爽快で、
しんどいけど納得。
そんな映画。
そしてこの映画の中にちりばめられているいろんな仕掛けがまた楽しい!
あえてキリスト像や宗教画に見えるようなアングルで撮影されている緻密なカット割りや、
かかっている音楽にも意味があったりと、
私は観ている途中でいろんな仕掛けがあったことに気付き、
「やっぱりもう一回観たい!」と思いました。
決して、何度も観たいようなハッピーで明るい映画ではないのだけど、
次は映画のつくりや周到な脚本、セリフの一つ一つに画面の端の小物までじっくり観たいなと思う作品でした。
主人公キャシーは決して復讐に囚われて正気を失くしたイカレ女ではないけれど、
昼間は30歳にしては若すぎるかわいらしいカジュアルな服装でバイトに行き、
夜はゴージャスでイケイケな女のファッションに変わるところとか、
どうやっても噛み合わない堅苦しい両親と同居している自宅の彼女の部屋だけはまるで中学生の部屋のように子どもっぽかったりと、
セリフや設定だけでは伝わりにくい彼女のアンバランスで複雑な心のなかを表すようなコンテンツが細かくあちこちに落としこんであったりするのも見事。
キャシーが着ている服はどれもかわいいなあと思って見ていたのですが、
あとで資料を読んでみてビックリ。
この映画の衣装を担当したのは、「リトル・ミス・サンシャイン」ソフィア・コッポラ「ヴァージン・スーサイズ」「ロスト・イン・トランスレーション」などの衣装を手掛けた方!
やっぱりね!!どれも私の好きな映画ばかり!
映画において、衣装や小物、インテリアなんかは脇役のような感じもありますが、
そのお話を象徴する大事なコンテンツにもなるし、
時として主役にもなるような重要なポイントだと思います。
色合い、時代感、主人公の心理状態、全体を包む空気感・・・
そういうのをセリフでも説明でもなく雰囲気や視覚でこちら側に伝えることができるので、
すごく大切な部分ですよね。
この映画のなかでも、キャシーの衣装やメイクはもちろん、
両親と過ごす空間と自室のギャップ、
復讐を決行するときと恋する女子のときの落差、
そして最終ターゲットに向かうときの戦闘服にシビれる!
全編を通して、スクリーンを眺めているだけで気持ちが明るくなるようなカラフルでポップな色合いとは裏腹に、
物語が怒涛のエンディングに向かって少しずつ加速していくエキセントリックなスピード感にハラハラドキドキが止まらない。
まさかね、違うよね、でも・・・。
このお話が、観たあといつまでたっても頭から離れないほど強烈なインパクトを残すのは、
これが決しておおげさなエンタメ作品でもどんよりと暗いドキュメンタリーでもなく、
私のすぐそばにあってもおかしくないお話で、
実際にあちこちで起きている胸糞の悪い卑劣で卑怯で最悪な出来事でもあるから。
この映画のなかで起きているのは犯罪大国アメリカだからの事件ではなく、
私たちが暮らす日本でもよくニュースになっているくらいに身近な事件。
その加害者はたいていお金持ちのボンボンだったり、
有名大学の学生だったりするのがまた腹が立つし、
お勉強がよくできる上流階級の人たちに限ってそうでない人たちのことを見下して理解しようとも思わなかったり、性別や人種やその他どうでもいいようなことで当たり前に差別したりしがち。
あれ?なんか最近、学生のころのいじめ問題で大騒ぎになったいいところのボンボンや、
ホームレスに対するヘイトスピーチでバッシングをうけた頭の良いボンボンのお話を思い出しちゃいますね。
そして、そう言って正義を語ろうとする我々は、というか私は、
ここまで卑劣な行為でなくとも身の回りの小さな不正や、
誰かの悪意や悪質なおふざけに耐えるあの子の姿を見ないフリをしたり気付かないフリをしてはいなかったか?
「私〝は”、やってない」と、心で自分に言い聞かせたりはしなかったのか?
ラスト、スマホに届いたメールの顔文字に胸が痛んだ私は、
たぶん私もいつかの無責任な傍観者だったのだろうと胸が押しつぶされるような気持ちでした。
(C) 2020 PROMISING WOMAN, LLC All Rights Reserved.
主人公のキャシーを演じたキャリー・マリガンがとにかくいい!!
表情に影を持ちながらもそのオーラは天使のように清らかで、
髪をレインボーカラーに染めてナース服を着たビッチの格好をしていても、
スーツ姿で無表情にバールを振り回している姿にさえも品の良さが滲み出るという稀有な空気を持つ魅力的な女優さん。
この映画を包むハイセンスな空気感や、リアルながらもどこかふわふわとした第三者的なアメリカ感は、このキャリー・マリガンと監督のエメラルド・フェネルがふたりともイギリス・ロンドン出身(しかも同い年)であることもあるのかもしれませんね。
この映画の撮影や音楽などの裏方もイギリス出身なのは、なるほどと思いました。
だって全部がおしゃれなんだもーん(*´▽`*)!!(→イギリスびいきなのでお許しください)
そして製作がなんと「スーサイド・スクワッド」「アイ・トーニャ」「スキャンダル」などで今、飛ぶ鳥を落とす勢いの女優マーゴット・ロビー
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でのシャロン・テート役も良かったですね!
腕のいい映画プロデューサーでもある彼女が迷わず製作に名乗りを挙げたこの映画が、面白くないわけない!
自分で主役を演じたがってもおかしくないのですが、やらず。
そこはやっぱりちゃんとプロデューサー目線で決めたんですね。
センスがいいんだなあ!
キャリー・マリガンはこのあと、例のハーベイ・ワインスタインのセクハラと性的暴行事件を描いた新作映画にも主演。来年公開の予定だそうです♪
そちらも楽しみ!
とまあ、そんなこんなで話があっちこっちに飛んで支離滅裂になっちゃいましたが、
この〝前途有望”なナイスガイに人生をめちゃくちゃにされた、〝前途有望”だった彼女と私のガーリーでポップな復讐劇」をぜひ今、スクリーンで観ておいてほしい。
きっと近い将来、「観ておいてよかった映画」そして「絶対に観ておくべき映画」の一本になっているはず!!
公式サイトhttps://pyw-movie.com/


実は先週の時点でしっかり「プロミシング~」を観ていて、
早くこれをアップしようと思ってはいたんですが・・・・・
なぜか1週間たってしまっていました(*_*;)
なんでだろう??気が付くと朝になっている・・・・!
しかも、ほんとに夕べ絶対に更新するぞ!と決めていたのに、
今日も気が付いたらパソコンに突っ伏して寝てしまっていてAM2:30でした。。。
やはり缶チューハイを飲みながらは無理だったか!
(→当然。)
いや、休みの前の日はやっぱり飲みたいじゃないですかー!
だからいつもはアルコール9%のやつだけど、
さすがにブログやらなきゃと思って5%のにしたのにな(*´з`)
(→そういう問題ではありません。)
で、二日酔いでずっと寝てて、やっと今更新します!
ていうか、缶チューハイなんてほぼジュースなのにたった2本で二日酔いになってる自分が情けないっ!!!
これが歳をとるということなのかっ!?(→バカなの?)
まあ、そんなズボラでだらしない私ですが、
この秋は楽しみな映画がたくさんあるのでがんばってブログ書きます!
ほんとは沢山の方に映画を観てもらうための宣伝になっていなきゃいけないんですが、
映画マニアの私はとにかくちゃんと観てから書きたいので、
公開には間に合わないことも多いのはご容赦ください( `ー´)ノ
(→つまり宣伝というよりただの感想文!)
・・・・・・・のんびりお付き合いください(>_<)


中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/

2021年8月26日木曜日

「強い女」特集!まぁ、がんばりましょう♪&ザクザク新作♪

こんにちは。
緊急事態宣言。
ということで、また去年のように1席ずつ空けてお座りいただく形になった中劇です。
いや、宣言がなくても1席どころか綺麗にソーシャルディスタンスができていたので別に問題ありませんけどね。
まあ、なんにせよ下々の我々にできることはとにかく「自分が気を付けること」くらいしかありません。
マスク、消毒、ソーシャルディスタンス。
大事ですね。
去年、コロナによってみんながマスクをつけだしてから、
一度も風邪をひいてないってことに気が付いた私。
毎年、お盆や正月明けとか季節の変わりめなんかによく体調を崩していたものですが、
去年の春頃からずっと、全然体調を崩してないってことに気が付いたら、
なんかマスクやうがい手洗いってホント大事なんだなと実感しました。
深酒と万年睡眠不足はずっと変わらないので、体調を崩していないのはやっぱりマスクのおかげだと思います( `ー´)ノ
地道にコツコツと、しかないですね。


さて、夏休みも終わり。
映画業界全体がのんびりとした大人の映画シーズンに突入。
中劇でも続々新作登場です。
というわけでラインナップを見てみると。。。
「茜色に焼かれる」(上映中)
(C) 2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ
母は強し。

「プロミシング・ヤング・ウーマン」(8月27日公開)
(C) 2020 PROMISING WOMAN, LLC All Rights Reserved.
女は強し。

「リスタート」(9月3日公開)
(C) 吉本興業
やっぱり女は強し。
・・・・強い女性の映画、揃っちゃってました( *´艸`)
そういえば「ターミネーター2」から強い女・強い母シリーズ始まってたのね!?
今の時代を象徴してますね。

そして今回、ご紹介するのはこちら。
20日から上映中の「茜色に焼かれる」
(C) 2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ
これね。
もう、なんていうかほんとに。
一言、”しんどい”
オープニングからしんどすぎる。
そしてこの映画の中での尾野真千子の演じる役柄がどんな人間なのかが一瞬でわかるエピソードへつづく。
「これは・・・・・たぶんずっとしんどいな。。。(*_*;)」
という予感通り、ずっとしんどい映画でした。
それが、大きな事件が起こってそれに巻き込まれるみたいなリアリティに欠けるしんどさではなくて、
事故で夫を亡くす、加害者は元高級官僚、そのうえコロナ禍で仕事を失くす、子どもがいじめられてる、職場の上司がクソ、同僚の彼氏もクソ、夫の友人がウザい、もしやと思ったら義父の面倒まで見てる、etc...と、もうそのへんにゴロッゴロ転がってる細かくてやるせない生々しいやつが次から次とのしかかってきて、
「マジしんどいんですけど(;゚Д゚)!!」
尾野真千子は、ちょっと「おや?」って感じの、あまり感情を出さないつかみどころのないタイプのシングルマザーを絶妙に、
「でもこういう人、いるー!!」のリアリティでそこにいる。
ただ、とにかくまっすぐで芯は強そう。
そのため息子はまっすぐないい子。すっごくまっすぐ。
けなげでまっすぐな息子に泣かされます。
そして忘れちゃいけないオダギリジョーと、永瀬正敏
(C) 2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ
(C) 2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ

し・・・・渋い・・・・・!!!
ミニシアター系映画の申し子とも言うべき名俳優二人。
昔ほどゴリゴリに出てくる役じゃないのがまた贅沢!
なのにその存在感といったら!
ちょっとしか出てこないのにその残り香のような強烈な印象がいつまでも消えない。
みごたえありますよ~!
そしてほかにもこの映画に出てくる人間はクソもクズもいるけど、悪党ってほどの悪党じゃなくて、これまたそのへんに普通にいる嫌な奴って感じでそれすらまたリアル。
その後、アラフォー女性の現実(自分を投影)にしょっぱくてせつない気分になりながら、
さらにこれでもかとしんどさの追い打ちをかけられつつ最後はちょっとだけ笑い、
美しすぎる茜色の空に涙した、
共感の嵐のオバチャンは何を隠そうこの私です(;'∀')
尾野真千子、、、、すごいね??
この人、やっぱすごいわ。
ド素人だったこの方が初めて出演した河瀨直美監督の「萌の朱雀」
派手な映画ではなかったけれど、胸に残る映画でした。
あの時は、ほんとうにただの地元の中学生で、
でもなんかどこかが引っかかるような強い目をしてたのが印象的。
そのあとしばらく見なくて、NHK大河ドラマ「義経」に義経(タッキー)の正室で出てきたとき「オォッ!?」と声が出ました。
「萌の朱雀」の子じゃんっ!!」
今ではもう映画もドラマもがんがん出ていて売れっ子女優になっちゃってますが、
私のなかでは彼女は今でも「萌の朱雀」
今も彼女の演技を見ると、あの緑濃い奈良の山奥で、凛とした強い目でカメラを見据えていた田舎の少女の姿が浮かびます。
時はたってもあの強さは変わらないなあと、すっかり母親役も板についた今回の映画を観て思いました。
去年の8月に撮影されたこの映画。
普通の映画では考えられない驚異のスピードでの公開です。
コロナ禍で理不尽にいろんなものが奪われる状況のなか、
それでも懸命に生きる、燃え上がるような生(命)を撮りたいと思ったという監督。
監督自身は7歳で母親を失くしていて、
亡くなったときの母の年齢を越えたとき、母への思いや「今、生きていたら」を考えざるをえなかったと語っています。
やりきれない出来事に押しつぶされそうになりながらも必死で生きる、
愚直なまでにまっすぐなひたすら強い母親の姿を描きたかったそう。
ズルしようとすればできるし、
それだってほんとはズルじゃないから使えばいいのにあえて使わない、
理不尽な社会に真っ向から逆らわず、つらい気持ちを飲み込み「まぁ、がんばりましょう」と相手にも自分にも言い聞かせる母と、
いじめられても弱音も吐かず、まっすぐでひたむきな息子。
この不器用な親子の姿は、
ときにイライラするし「なんで!?」とも思うけど、
逆にそうできない私からすればすごく強くて羨ましくもあり、
最後はクスッと笑い、
泣き笑いしながら絶望のなかのほのかな希望に心が満たされる、そんな映画。
茜色に染まる空の下での親子の会話がすべてでした。
すがすがしいこの親子と、この親子に似た、やりきれないことばかりの世の中にたくさんいるであろう親子たちの幸せを願うばかり。
みんなが行き場の無い気持ちを抱える今だから撮れた映画です。
撮らなきゃいけない映画、
そして今、観せなきゃいけない映画。
作り手側のその思いが伝わる作品です。
「茜色に焼かれる」公式サイトhttps://akaneiro-movie.com/

と、熱く語ってはみたものの、
なんとこちら9月2日で終了が決定してしまいました(;゚Д゚)
まだの方は急いで!
そう、お客さんが少ないのはいつものことなんですが、
大人のシーズンに突入した中劇は、ありがたいし嬉しいことなのですが新作が続々待機中!
もうすでに11月までぎゅうぎゅうに詰まってきています。
中劇は、なるべくたくさんの方に観てもらいたいのでできるだけ一週間のみの上映は避けるようにしているのですが、
それでもどれも長く上映が続けられるとは限らないので、
気になる作品があったらお早めにご覧になってくださいね!
9月なかばからは「トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング」
(C) PUNK SPIRIT HOLDINGS PTY LTD, CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION, ASIA FILM INVESTMENT GROUP LTD AND SCREEN AUSTRALIA 2019
私、これ観られるかなあ。。。最後まで観る自信ないなあ(/_;)
でも観る。しんどそうだけど観る!
チャーリー・ハナムに観るって言っちゃったし(?)!

「クーリエ:最高機密の運び屋」
© 2020 IRONBARK, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
ベネ様ーーーーー!!久しぶりーーーー(*'▽')!!
待ってました!!!この、ちょっと古い、上等なスーツを着こなしてるベネ様、最高。
核戦争回避のために命を懸けた男たちを描くスパイ・サスペンス。
シビレますねえ~( *´艸`)

「OASIS:ネブワース1996」
(C) 2021 Oasis Knebworth 1996
OASISだよぉー!!!
なんか・・・青春なんだよねえ。
青春といってもハタチは過ぎてましたけど、
働き始め、自分のお金を好きなように使えるようになって、
大人になったことや自由なんかを謳歌していたあの、なぜか無敵な気分のあの頃。
今と、せいぜい明日と、自分のことだけ考えていられたあの頃。
それも青春です。
今もしょっちゅう聴いてます。
薄曇りの朝、コーヒーを飲みながら聴いてたり。(OASISは絶対に快晴ではないのです。伝わる??)
あと夜、一人でパソコンに向かうとき、そうまさにこうしてブログを書いたりするようなときに。
あの音が、あの声が聴きたくなるんです。あの頃の音がね。
そんなOASISの、伝説のライブが、ギャラガー兄弟の製作総指揮でドキュメンタリー化。
・・・って、兄弟ゲンカ、どうなった(*_*;)?

そして決まったばかりですが「ONODA」https://onoda-movie.com/
「モーリタニアン」(またまたベネ様ーーーー!!!)https://kuronuri-movie.com/
「エイト・ハンドレッド」http://hark3.com/800/
と、今度はゴリッゴリの硬派な実話が続くので(ここで挙げたものはすべて実話!!)、
それもまた今の「強い女性特集(?)」と面白い対比になっていて楽しみです(*‘∀‘)
気になった方は、中劇公式サイトの近日公開作品のページからチェックしてみてくださいね♪
中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/


さてさて、猛暑のあと、急に涼しくなって「オイオイ!もう秋かよ(;゚Д゚)!?」なんてちょっとビビった私でしたが、
北極の氷もとけ出しちゃってる地球温暖化の今、
そんなにあっさり涼しくなってくれるわけもなく。
毎日、出勤するだけで汗だくの日々。
夜はだいぶ過ごしやすくなりましたけどね。
でももうしばらく夏の名残りをかみしめたいところ。
だって、盛岡の夏が終わればもう冬なんだもの(/_;)
あいつが、あの雪にまみれて寒さに閉じ込められる冬が来る・・・!
というわけで、私も夏、もう少し楽しみます。
まずはルミエールさんで上映中の「子供はわかってあげない」を観ます!
絶対に!私の好きな感じの青春映画なんで!
絶対に行きます!(ダラダラと「やっぱ行くのめんどくさいからいいや~」とならないように自分に言い聞かせてるだけです)
南部さん、ほかにもいっぱいいいのやるけど、うちと同じで新作ぎゅうぎゅうだよ!
そんなに観られないよ!観たいけど!
「海辺の彼女たち」「少年の君」「17歳の瞳に映る世界」も!
みんな前から雑誌やネットで見て「観たいな~」と思ってたやつ!
でもうちのやつも観なきゃないんでスケジュールが厳しいよ・・・(;´Д`)!
だから行けないかもしれないので、せめて行きたいという気持ちを伝えました(は?)
みなさんも、このいい季節、いろいろ面白そうな映画あちこちでやってるので調べてみてくださいね!
そして私のぶんまで楽しんできてください(/_;)
→とうとう諦めた。。。


中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/

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