2021年9月19日日曜日
秋の中劇は音楽映画と実話人間ドラマでぎゅうぎゅうづめ!
こんにちは。
夏のさんさに続いて秋の八幡祭りも無いままに、
風は涼しく空は高く、すっかり秋の盛岡です。
ゆうべ、家の中にコガネムシがいて思わず悲鳴をあげた私ですが、
まあ、虫たちもあまりの夜の涼しさについつい家の中に入ってきてしまったのだろうと、
殺さずにそっと外に出してやりました。
虫、大っ嫌いなので見つけたらいつも速攻ぶっ殺してしまう私ですが、
なんとなく秋の寂しさに一瞬、大嫌いな虫にまで情が湧いたのでしょうか。
それとも歳をとって無意識のうちに無駄な殺生を避けたのか。。。
どちらにしても、ちょっといいことをしたような気になった秋の夜。(は?)
秋、ちょっとせつないけど涼しいから嫌いじゃないです。
アウターを着るタイミングを見極められずに風邪をひいたりしますけど。
まあ、気温は過ごしやすく、虫も減って、良い季節になりました。
映画のハシゴにちょうどいい!
秋はどこの映画館もみな大人の上質な作品が揃う時期でもあるので、
ゆっくり映画を楽しみましょうね。
さて中劇です。
前にも少しご紹介しましたが、
秋の中劇はなかなかシャレオツでセンスのいい作品が揃いました。
いざ並べてみると、『心躍る音楽映画』と『ゴリゴリの実話人間ドラマ』ばかりになってました(´ー`)
すごい!いつもですが中劇、偶然がすごい!
わざと集めたわけじゃなかったんですけどね。
中劇、いつもなんにも考えてないわりに、なかなか運だけはいいようです(*‘∀‘)
まずは音楽映画。
なんといってもみなさま、お待たせしました!
6月に上映して大好評!
たくさんの方にご覧いただき、今までにないくらいのリピーターが出現したこちら。
「アメリカン・ユートピア」
©2020 PM AU FILM, LLC AND RIVER ROAD ENTERTAINMENT, LLC ALL RIGHTS RESERVED
再上映です!!!!
いやあ~・・・・嬉しい!
毎日、場内からこの映画の音が聞こえてくると幸せな気持ちになっていたあの時間が戻ってくる!
前回、上映した時の私の興奮ぎみの感想文はこちらです↓
どうやら本場ブロードウェイで、ご本家舞台の再演も始まったとか( ゚Д゚)
え、中劇、持ってるねーーーー!!!
なんだろう、どんな映画かと聞かれても説明が難しい。
どう説明すれば伝わるんだろう!!
いや、内容は難しくないんですよね、全然。
揃いのスーツを着た裸足のミュージシャンたちがシンプルなステージで楽器を演奏しながら歌い踊る舞台。
ただそれだけ。
でも、「ライブ映像」とか、「見て、聴いて、体で感じるブロードウェイショー。」
なんてそんな単純なものでもないし、
なによりその一体感や満足感、そして観終わったあとの幸福感がハンパない。
って、語彙力が乏しすぎて、きっとまだ観てない方にはこれでは伝わらない(-_-;)
なので6月に上映したときのお客さんの言葉をご紹介します。
シニア(60歳以上)のお客様でした。
「真ん中の人のことも音楽も全然知らないけど、ただ楽しかった。
どんなに気に入っても、同じ映画を何度も映画館に行って観るなんてやったことないけど、
これはどうしてもまた観たくて来てしまった。」
何が、とか、なんで、とか、理屈じゃないんですよね。
ただ、「ちょっと聴いていきなよ」「音楽って楽しいよね」みたいな、
そんなシンプルな気持ちの共有のような。
デヴィッド・バーンって誰?なんの人?どんな曲?
そんなの別にどうでもいいんです。
心地のいい音楽に包まれて、
軽やかで楽しそうなミュージシャンたちのダンスや演奏を眺め、
気がついたら体で小さくリズムをとってる自分がいた。
そしていつのまにか自分が、観客との一体感を体中で浴びてステージが終わる瞬間のミュージシャン側の感覚になっている。
それだけでいい。
でも最後、幕が下りるところで終わらないのがまた粋で。
エンディング、最高です!!!
あの、疾走感と躍動感、そして満足感が溢れるラストのために、
私もやっぱりもう一度、と言わずもうあと何度でも、
スクリーンで観たいと思うのでした。
そして前回の上映のときに大好評だった大音量上映!!
今回はどれも
♪中劇音量めいっぱい上映♪
*映画用の音響セッティングで音量を最大限に調整した上映になります。
映画館の大きなスクリーンで、
最高級の音響設備で、
まさに音楽に身をゆだねて、
音楽を体で感じる至福の時!
観終わったあと、心も体も解放されて大満足の充足感で満たされます。
前回のときの大音量上映は、日にちや時間が限定されていたため通常音量でご覧になった方が多いと思うので、
ぜひぜひ今回は音楽を目いっぱい体で感じて楽しんじゃって下さい( `ー´)ノ
そして嬉しいお知らせ!
6月の上映の時は途中で完売して買えなかった方もいたこの映画のパンフレットが、
今回、入荷できました!!!
大人気で、全国の劇場でロングラン上映を続けている「アメリカン・ユートピア」ですが、
ぼちぼち上映が終了してきて、たまたまパンフレットが倉庫に戻ってきたタイミングで中劇の再上映となり、再入荷できたようです(*‘∀‘)
前に買えなくて悲しい思いをしていた方、
またとないチャンスなのでぜひぜひゲットしてくださいね!!
9月23日「OASIS ネブワース1996」
タイトルにも1996とありますが、このライブからもう25年です。
前にチラッとこの映画の紹介をしたときにも書きましたが、
オアシスを聴くと、一瞬で25年前に戻ります。
つい去年くらいのような気がするんですけどね、ほんとに。
先日、健康診断でバリウムを飲んだ時に
「え!なんか、つい先月くらいにバリウム飲んだばかりな気がする( ゚Д゚)!!マジで!!」と思ったんですけど、
どう計算しても前にバリウム飲んでから1年たっていたので愕然としました。(なんの話?)
たしかに!
去年の今頃が先月って感覚なら、
25年前が去年でもおかしくない!
・・・いや、計算が合わないか。
ていうか計算とかどうでもいいんだよね、なんかそのくらい最近な気がするってだけなんで。
そもそも思考が中2で止まってるんだからそのあとなんか全部一緒じゃね?
だからもういっそのこと今も中2で良くない?
・・・・・・は( ゚Д゚)?
自分でも何を言ってるのかわかんなくなってきましたが、
とにかく朝からずっと曇っててどんよりとした天気の休日なんかに二日酔いのままオアシスを聴いてると、
なんとなく自分がまだ二十代前半とかで、
仕事もプライベートもバッチリ!楽しいし!
なんて勝手に無敵な気分になりながら、
ノー天気に自分のことだけ考えてブラブラ遊び呆けてて、
なんとなく明日は何しよっかなーなんて考えてたりして。
・・・・でも違った(-_-)
今日も明日も、あのころとは違う現実があったのだと気付き、ガッカリするという。
・・・・・そんなオアシス。
・・・・・え?
それでも今もよく聴きます。
もう、水を飲むみたいに入ってくるので。
朝、空気みたいに流したりしてます。
なんだかんだで、そんなオアシスが、9月23日に全国の映画館に降臨。
とりあえず一日だけ上映します。
そして他の劇場さんではそのまま1週間上映したりするんですが、
9月の中劇、マジで映画がぎゅうぎゅう詰めで入らないので、
10月15日~21日に再上映!
ちょっと日にちが空いてしまって申し訳ないのですが、
9月23日がどうしても無理だったら、10月にぜひご覧ください。
コンサートじたいがあまり実施できないような今ですが、
なにしろオアシスはどうやってももう家でDVDとかで観るしかできないしね。
世界中の音楽ファンを悲しませた、世紀の兄弟喧嘩が結局どうなったのかわかりませんが、
今回のこの作品はノエルとリアムが監修したらしいです。
ま、だからってまた新しいオアシスが聴けるようになるわけではないし、
例えば万が一、あの、世紀の兄弟喧嘩がおさまってまさかの再結成!なんてことになったとしても。
それは、我々が心を鷲掴みにされたあのときのオアシスではないわけで。
だからこそ今回のこの映像は、ものすごい才能で世界中の音楽ファンを熱狂させたこの兄弟の絶頂期のあのころを、
いま、映画館で観ることができる、身体で感じることができる貴重な機会。
もちろん家のテレビじゃなくて、
映画館のスクリーンで、大音響で、1996年のオアシスが観たい。
シンプルにそう思ったオバチャンでした。
そしてまだまだ続きます。
10月22日公開「ショック・ドゥ・フューチャー」
10月22日公開「ショック・ドゥ・フューチャー」
1978年、パリ。
時はエレクトロ・ミュージックの世界的なブレイク前夜。
誕生したばかりの電子楽器に魅せられ、未来的な音の響きに心躍らせる、若き女性ミュージシャンと友人たちの一日を描く青春音楽映画。
電子楽器が普及しはじめ、日本ではYMOが結成されたころのパリ。
なんだかワクワクしますねえ( *´艸`)
ストーリーはもちろんのこと、映像の色合いや当時のファッションなど、
絶対に見どころ満載なはず!!
公開が今から待ち遠しい♪
公式サイト→https://chocfuturjp.com/
11月公開「サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~」
© 2020 Sound Metal, LLC. All Rights Reserved.
聴覚を失ったドラマーの青年の葛藤を描いた人間ドラマ。
こちらは去年から配信で公開されていた映画ですが、
第93回アカデミー賞で作品、主演男優、助演男優など6部門にノミネート、
編集賞と音響賞の2部門を受賞。
そして劇場で上映してほしいとあちこちから要望があり、
とうとう日本でも劇場での上映が決まったという、
映画マニアも期待大の作品です。
映画制作者と監督の意思により、本作のメッセージ性に配慮して誰もが映画館での鑑賞をお楽しみいただくために、全世界で【バリアフリー】字幕での劇場公開となりました。
どの人もみな、身体で〝音楽”だけでなく〝音”を感じることのできる作品。
ぜひ、配信でなく劇場で、全身で感じたい映画です。
というわけで、年々、かなり良い感じの通好みの映画を上映できるようになってきた中劇ですが、
今年もその面目躍如が期待できそうです( `ー´)ノ
音楽好き、集まれーーーーー!!!!
さてさてそして、イケイケな音楽映画とともに秋の中劇で充実なのが実話系人間ドラマ。
まずは現在、上映中のこちら。
「トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング」
(C) PUNK SPIRIT HOLDINGS PTY LTD, CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION, ASIA FILM INVESTMENT GROUP LTD AND SCREEN AUSTRALIA 2019
・・・・・・・・・・・しんどい( ゚Д゚;)!!!実話なのがまたしんどい。
そして暗い(*_*;)!!!!
19世紀のオーストラリアに実在した無法者ネッド・ケリー。
現地では義賊としてヒーローのように扱われたりもする人物のようですが、
ここでは、貧困に喘ぐ移民のアイルランド人という被差別者ゆえ犯罪の世界でしか生きる術のなかった青年が、
現状を打破し、理不尽な現実に抗い、不器用にも闘う姿を、
幻想的で絵画的かつ重苦しく生々しく描き出します。
ロックで、パンクで、ある意味クール。
でも、ホラーでサイコでクレイジー。
思わず目を背けたくなるような、少年時代の彼を傷つける出来事の数々と、
癒されることもないままに他者に怒りや苛立ちをぶつけるしかない現実。
周囲の大人もクズばかりで、確かに同情はしてしまいます。
でも、主人公のネッド・ケリーを演じているジョージ・マッケイ(イギリス出身)も、
悪名高い盗賊を演じているラッセル・クロウ(オーストラリア出身)も、
主人公の家族を虐めまくる警官役のチャーリー・ハナム(イギリス出身)も、
・・・・・・・・・カッコイイ・・・・・(*'ω'*)
→え、そういう問題(+_+)?
しかもオーストラリアはイギリスの植民地だったので、この映画のメインキャストがイギリス人あるいはイギリス英語圏出身なのも最高だし、
出演者が話す英語がイギリス英語(オーストラリア訛りは入ってますけどね。でも、ネイティブのキングズイングリッシュスピーカーが話すイギリス英語はやっぱり良き!)というのもまたポイント高し!
なぜか昔から英国系男子とキングズイングリッシュにやたら惹かれる私は、
2時間強のイギリス英語を聴いてるだけで満足でした。
お話はしんどいけど。
公式サイト→https://kellygangjp.com/
世界中を核戦争への不安に巻き込んだキューバ危機。(世界史マニアでもある私がまたこのキューバ危機についてのちほど語りますので、しばしお待ちくださいね!)
この危機をギリギリで救ったのは世界を股にかけてあらゆる機密を手玉に取ってきた凄腕のスパイ!
ではなくなんと、ある一人のセールスマン!?
待望のベネ様。
そうだ、こちらも綺麗なキングズイングリッシュを話すイギリス男子!
場内からイギリス英語が延々聞こえてくるという幸せなシーズンが到来するってこと!
そしてベネ様のお似合いすぎるクラシックなスーツ姿をじっくり拝ませていただきます(*‘∀‘)/
10月8日公開「ONODA 一万夜を越えて」
©bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma
こちらは、終戦後もなお秘密戦の任務を遂行するため約30年間フィリピン・ルバング島で見えない敵と戦い続けた小野田寛郎さんの、
日本現代史に残る衝撃の史実より着想を得た物語。
描き方はフィクションでも、彼の過ごした戦後30年間は紛れもない事実。
フランス人監督が描く日本の戦後の一片。
小野田さんが日本に帰還したのは私が生まれてからのこと。
それを考えると一気に太平洋戦争が身近に感じます。
津田寛治、イッセー尾形、中野太賀・・・
けっこう気になるキャストでしょ!
さらに映画監督の諏訪敦彦や、
最近、私もお気に入りの井之脇海くんも出てるので要チェックな作品です。
10月29日公開「モーリタニアン 黒塗りの記憶」
© 2020 EROS INTERNATIONAL, PLC. ALL RIGHTS RESERVED.
この横顔。まあー、いくつになっても変わらずお美しい横顔ですこと!
久しぶりのジョディ・フォスター大先生です。
アメリカ同時多発テロを引き起こしたとされ、テロリストを専門に収容するために設けられたグアンタナモ収容所に拘束されている男が無実を訴え、
その弁護を担当することになった弁護士を演じているのがジョディ・フォスター。
大ベストセラーを記録した手記を基に描いた社会派ドラマです。
シビレますねえ!!
こちらも大好きなベネ様が出演されるので絶対観なきゃないやつです(*'ω'*)
これまた意図せずしてベネ様特集になりました♪
お楽しみに!!
どうですか!?
音楽と実話系人間ドラマ。
充実の秋になりそうです!
これ以外にもまだまだあるので紹介しきれない!
中劇の公式サイトからチェックしてくださいね!
そしてもう一つ、要チェック作品が上映始まりました!
これはスクリーンで絶対に観ておきたい必修科目〝黒沢明”。
世界中の映画関係者に影響を与えた〝クロサワ”作品のなかでも、
「スター・ウォーズ」の元ネタとして有名なこちら。
「隠し砦の三悪人」
©1958 東宝
スピルバーグやジョージ・ルーカスだけでなく、多くの映画関係者がリスペクトに挙げ続ける世界のクロサワ。
今観ても古さを感じないし、
発想や技術的なものを見てもすごいとしか言いようがありません。
当時の技術ではやれることに限りがあったのは当然ながら、
ラストまで観客をスクリーンに惹きつけて放しません。
どの世代にも、とにかく「七人の侍」と「隠し砦~」だけはスクリーンで観てほしいなあ!
クロサワ作品は、絶対に家のテレビで観るもんじゃありません。
スクリーンで観せることしか考えてなかったんですから!
クロサワ作品は必ず一度は、いや何度でも、機会があったらぜひ映画館の大画面で体感してくださいね!
今回はなんとデジタルリマスター版。
私が初めて「隠し砦~」をスクリーンで観たのはもう20年以上前。
そのときはフィルムだったので、当然、今回のデジタルリマスター版とは映像も音も全然違う!
みなさんも、「前に観たし」なんてつれないことを言わず、
みなさんも、「前に観たし」なんてつれないことを言わず、
ぜひ劇場でご堪能ください!
そんなわけで、書きたいことがありすぎてどんどん更新が遅くなるという残念な悪循環が止まらない私です。
上映作品もたくさんありすぎて、書く前に観るほうが追いつかない(-_-;)
そんななかやっとルミエールさんで「子供はわかってあげない」を観てきました!
いいなあ・・・・なんか、夏!でした(´ー`)
ひと夏の青春映画、大好物なんで!!
私の今年の夏はこれでOK!(?)
すっかり夏を満喫したので、
これで心おきなく秋にシフトチェンジできます♪
キラキラした夏の思い出とともに(映画の中だけですけど)秋に突入した私でしたが、
観なきゃいけないものがまだまだある!!!
なるべく適当な紹介をしないように、ちゃんと観てから胸を張って紹介したいと思います!
だんだん寒くなってきて外に出るのも億劫になりがちですが、
フットワーク軽くいきたいものですね( `ー´)ノ
・・・・自分に言い聞かせてます。。。
★中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/
2021年9月3日金曜日
続・強い女!必見「プロミシング・ヤング・ウーマン」
こんにちは。
夕方の涼しさに秋を感じるこのごろ。
うっかり上着を忘れ、仕事終わりで外に出て「・・・寒っ( ゚Д゚)」となる、
盛岡の夏の終わり。
暑くてしんどいと騒いでおいて、
いざ夏が振り返りもせずに過ぎ去ろうとすると寂しい。
・・・なんだってそんなもんですよね(-_-)
さてさて、観ました!
ずっと観たかった!
「プロミシング・ヤング・ウーマン」
(C) 2020 PROMISING WOMAN, LLC All Rights Reserved.
どこからどう言えばいいのか難しいんですが。
控えめに言って、すっごく面白かった!!!
もうほんとはラストまで大きな声で語ってしまいたい!
言えないけど!!!
監督も言ってます。
「この物語のエンディングは、キャシー自身から語られないといけない」とね!
オープニングからすっかりやられます。
音楽、作り、映像、衣装、もちろんストーリー。
そしてそれらすべての絶妙ーーーなバランス!
とにかく脚本が素晴らしい!!
「重くて暗い復讐劇じゃなくて、ポップでひたすら面白い復讐劇が作りたかった」と語るエメラルド・フェネル監督。
この作品は、長いアカデミー賞の歴史でも76の賞の候補に70人の女性が選ばれるというかつてない数の女性がノミネートされて話題になった今年のアカデミー賞で、
作品賞・監督賞・脚本賞・主演女優賞・編集賞の5部門ノミネートされ、
4部門は「ノマドランド」に負けてしまいましたが最優秀脚本賞だけは勝ち取ったというのがこの映画の特徴を表していると思います。
「ノマドランド」ももちろん素晴らしかったし、
ほかの作品もすごいのばかりなんですけどね。
でもこの脚本の秀逸さはまさに最優秀脚本賞にふさわしい。
他の4部門もこの「プロミシング~」でもよかったのになあと思いますけどね!
ただ今年は女性が多いだけでもいろいろ言われていたので、
映画の内容的にもあまりにもMe Tooにすり寄りすぎるのも逆に良くないということなのでしょうか。
たしかに、「ノマドランド」のほうが性別問わず、しかも大きなテーマで問題提起できますからね。
まあ、そもそも女性が監督賞にノミネートされることじたいがとても珍しく、
しかも女性が同時に二人、監督賞にノミネートなんてありえなかったので、
今年は「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督と「プロミシング・ヤング・ウーマン」のエメラルド・フェネル監督という女性監督が二人ノミネート、
そして最優秀監督賞もクロエ・ジャオ監督が受賞と、
これまでのアカデミー賞では考えられなかったほどの女性の躍進。
それだけでも大きな進歩。
これまでに実際に女性が最優秀監督賞を受賞したのも2009年のキャスリーン・ビグローのみ(この方が「ターミネーター」「タイタニック」のジェームズ・キャメロンの元奥様というのもまたすごい話!)。
2009年のアカデミー賞では元夫婦で賞を争い(キャスリーン・ビグローは「ハート・ロッカー」、ジェームズ・キャメロンは「アバター」)、
キャスリーン・ビグローに軍配が上がったあのときは鳥肌がたちました。
なんかスゲー夫婦( ゚Д゚)!!
ちょっと話がそれましたね。。。
それで、「プロミシング~」の話に戻りますが、
この作品はとにかくすべてのバランスが絶妙なことに脱帽です。
暗くて重くて、とにかく目には目をと暴力や銃なんかで仇をバッタバッタと倒していく復讐劇なら今までにも観たことがありますが、
この映画はこれまでのどの復讐映画とも違うスタイル。
(C) 2020 PROMISING WOMAN, LLC All Rights Reserved.
クラシックで重厚感のある家具と、ビタミンカラーのネオンが輝くダイナーみたいな古き良きアメリカの匂いがするインテリアが共存し、
狂気ではなくクールに、そして殺すのではなくキツイお仕置きで、
表では優等生を気取って裏ではゲスなクソ野郎という最低な〝ナイスガイ”と、
それを見ていただけだから自分は何もしていないと言い張る無責任な奴ら、
そしてそんな男どもに迎合することで地位や名誉にあぐらをかくようなオンナどもにまで怒りの鉄槌をくだすブロンド美人のダークヒロインを、
ガーリーな音楽とスタイリッシュな映像で描き出すスーパークールな復讐エンターテインメント。
そのセリフのやり取りも、復讐の方法も、これまたリアルで生々しくてゾッとします。
復讐なんて、ものすごく体を鍛えて武器の扱い方を勉強して敵地に忍び込んで・・・
なんてしなくたって誰でもできるんだな、と目からウロコでした。
韓国映画のようにじっとりと執拗にでもなく、
日本映画のように号泣させるでもなく、
「キル・ビル」のように死体が重なるのでもなくて。
ポップでキャッチーな雰囲気のなか、
凍りついていた心を溶かすようなキラキラのラブストーリーをまぶしながら、
最後の最後まで観客の目も、耳も、心もグッとつかんだまま走り抜ける復讐劇。
せつなくて、苦しくて、でもかわいくて、
ムカついて、胸糞悪くて、けど爽快で、
しんどいけど納得。
そんな映画。
そしてこの映画の中にちりばめられているいろんな仕掛けがまた楽しい!
あえてキリスト像や宗教画に見えるようなアングルで撮影されている緻密なカット割りや、
かかっている音楽にも意味があったりと、
私は観ている途中でいろんな仕掛けがあったことに気付き、
「やっぱりもう一回観たい!」と思いました。
決して、何度も観たいようなハッピーで明るい映画ではないのだけど、
次は映画のつくりや周到な脚本、セリフの一つ一つに画面の端の小物までじっくり観たいなと思う作品でした。
主人公キャシーは決して復讐に囚われて正気を失くしたイカレ女ではないけれど、
昼間は30歳にしては若すぎるかわいらしいカジュアルな服装でバイトに行き、
夜はゴージャスでイケイケな女のファッションに変わるところとか、
どうやっても噛み合わない堅苦しい両親と同居している自宅の彼女の部屋だけはまるで中学生の部屋のように子どもっぽかったりと、
セリフや設定だけでは伝わりにくい彼女のアンバランスで複雑な心のなかを表すようなコンテンツが細かくあちこちに落としこんであったりするのも見事。
キャシーが着ている服はどれもかわいいなあと思って見ていたのですが、
あとで資料を読んでみてビックリ。
この映画の衣装を担当したのは、「リトル・ミス・サンシャイン」やソフィア・コッポラの「ヴァージン・スーサイズ」「ロスト・イン・トランスレーション」などの衣装を手掛けた方!
やっぱりね!!どれも私の好きな映画ばかり!
映画において、衣装や小物、インテリアなんかは脇役のような感じもありますが、
そのお話を象徴する大事なコンテンツにもなるし、
時として主役にもなるような重要なポイントだと思います。
色合い、時代感、主人公の心理状態、全体を包む空気感・・・
そういうのをセリフでも説明でもなく雰囲気や視覚でこちら側に伝えることができるので、
すごく大切な部分ですよね。
この映画のなかでも、キャシーの衣装やメイクはもちろん、
両親と過ごす空間と自室のギャップ、
復讐を決行するときと恋する女子のときの落差、
そして最終ターゲットに向かうときの戦闘服にシビれる!
全編を通して、スクリーンを眺めているだけで気持ちが明るくなるようなカラフルでポップな色合いとは裏腹に、
物語が怒涛のエンディングに向かって少しずつ加速していくエキセントリックなスピード感にハラハラドキドキが止まらない。
まさかね、違うよね、でも・・・。
このお話が、観たあといつまでたっても頭から離れないほど強烈なインパクトを残すのは、
これが決しておおげさなエンタメ作品でもどんよりと暗いドキュメンタリーでもなく、
私のすぐそばにあってもおかしくないお話で、
実際にあちこちで起きている胸糞の悪い卑劣で卑怯で最悪な出来事でもあるから。
この映画のなかで起きているのは犯罪大国アメリカだからの事件ではなく、
私たちが暮らす日本でもよくニュースになっているくらいに身近な事件。
その加害者はたいていお金持ちのボンボンだったり、
有名大学の学生だったりするのがまた腹が立つし、
お勉強がよくできる上流階級の人たちに限ってそうでない人たちのことを見下して理解しようとも思わなかったり、性別や人種やその他どうでもいいようなことで当たり前に差別したりしがち。
あれ?なんか最近、学生のころのいじめ問題で大騒ぎになったいいところのボンボンや、
ホームレスに対するヘイトスピーチでバッシングをうけた頭の良いボンボンのお話を思い出しちゃいますね。
そして、そう言って正義を語ろうとする我々は、というか私は、
ここまで卑劣な行為でなくとも身の回りの小さな不正や、
誰かの悪意や悪質なおふざけに耐えるあの子の姿を見ないフリをしたり気付かないフリをしてはいなかったか?
「私〝は”、やってない」と、心で自分に言い聞かせたりはしなかったのか?
ラスト、スマホに届いたメールの顔文字に胸が痛んだ私は、
たぶん私もいつかの無責任な傍観者だったのだろうと胸が押しつぶされるような気持ちでした。
(C) 2020 PROMISING WOMAN, LLC All Rights Reserved.
主人公のキャシーを演じたキャリー・マリガンがとにかくいい!!
表情に影を持ちながらもそのオーラは天使のように清らかで、
髪をレインボーカラーに染めてナース服を着たビッチの格好をしていても、
スーツ姿で無表情にバールを振り回している姿にさえも品の良さが滲み出るという稀有な空気を持つ魅力的な女優さん。
この映画を包むハイセンスな空気感や、リアルながらもどこかふわふわとした第三者的なアメリカ感は、このキャリー・マリガンと監督のエメラルド・フェネルがふたりともイギリス・ロンドン出身(しかも同い年)であることもあるのかもしれませんね。
この映画の撮影や音楽などの裏方もイギリス出身なのは、なるほどと思いました。
だって全部がおしゃれなんだもーん(*´▽`*)!!(→イギリスびいきなのでお許しください)
そして製作がなんと「スーサイド・スクワッド」や「アイ・トーニャ」、「スキャンダル」などで今、飛ぶ鳥を落とす勢いの女優マーゴット・ロビー。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でのシャロン・テート役も良かったですね!
腕のいい映画プロデューサーでもある彼女が迷わず製作に名乗りを挙げたこの映画が、面白くないわけない!
自分で主役を演じたがってもおかしくないのですが、やらず。
そこはやっぱりちゃんとプロデューサー目線で決めたんですね。
センスがいいんだなあ!
キャリー・マリガンはこのあと、例のハーベイ・ワインスタインのセクハラと性的暴行事件を描いた新作映画にも主演。来年公開の予定だそうです♪
そちらも楽しみ!
とまあ、そんなこんなで話があっちこっちに飛んで支離滅裂になっちゃいましたが、
この「〝前途有望”なナイスガイに人生をめちゃくちゃにされた、〝前途有望”だった彼女と私のガーリーでポップな復讐劇」をぜひ今、スクリーンで観ておいてほしい。
実は先週の時点でしっかり「プロミシング~」を観ていて、
早くこれをアップしようと思ってはいたんですが・・・・・
なぜか1週間たってしまっていました(*_*;)
なんでだろう??気が付くと朝になっている・・・・!
しかも、ほんとに夕べ絶対に更新するぞ!と決めていたのに、
今日も気が付いたらパソコンに突っ伏して寝てしまっていてAM2:30でした。。。
やはり缶チューハイを飲みながらは無理だったか!
(→当然。)
いや、休みの前の日はやっぱり飲みたいじゃないですかー!
だからいつもはアルコール9%のやつだけど、
さすがにブログやらなきゃと思って5%のにしたのにな(*´з`)
(→そういう問題ではありません。)
で、二日酔いでずっと寝てて、やっと今更新します!
ていうか、缶チューハイなんてほぼジュースなのにたった2本で二日酔いになってる自分が情けないっ!!!
これが歳をとるということなのかっ!?(→バカなの?)
まあ、そんなズボラでだらしない私ですが、
この秋は楽しみな映画がたくさんあるのでがんばってブログ書きます!
ほんとは沢山の方に映画を観てもらうための宣伝になっていなきゃいけないんですが、
映画マニアの私はとにかくちゃんと観てから書きたいので、
公開には間に合わないことも多いのはご容赦ください( `ー´)ノ
(→つまり宣伝というよりただの感想文!)
・・・・・・・のんびりお付き合いください(>_<)
★中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/
登録:
コメント (Atom)