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堀江敏幸・評 『敗戦日記』=渡辺一夫・著、串田孫一、二宮敬・編

毎日新聞 2025年9月13日 東京朝刊 有料記事 1333文字

(ちくま学芸文庫・1540円)

1975年に見つかった「読んでもらわねば」

渡辺一夫の『敗戦日記』は、多くの日記がそうであるように、公開を前提に書かれたものではない。編者のひとり、二宮敬(たかし)氏が解題で記されているとおり、一九七五年に著者が亡くなったあと、教え子である二宮氏が、十六世紀フランスの作家ラブレーの研究に関わる蔵書を引き継ぎ、整理していたときに発見されたものである。

日記が残されていたのは、一九三一年に渡辺がフランスに留学したときパリで購入した小さな方眼ノートで、中身はラブレー研究に必要な資料を網羅した手書きの書誌である。日記はその裏表紙のほうから天地を逆にして書かれていた。はじまりは一九四五年三月十一日、東京大空襲の翌日である。

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