エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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第1回「大阪社会労働運動史講座」を開講します(オンライン配信あり)

今年度より連続講座「大阪社会労働運動史講座」を開講します。

多彩なテーマと登壇者によって年2〜3回開講する予定です。

どうぞふるってご参加ください。

大阪社会労働運動史講座

明治から2000年代に至る大阪の経済・産業・技術・労働・社会福祉・労働運動・社会運動を叙述する『大阪社会労働運動史』全10巻は合わせて一万頁を超える大著です。執筆には総勢190名の研究者や当事者が携わってきました。

ここに蓄積された歴史と知識、そこから現在へと導かれる課題と問題意識を「大阪社会労働運動史講座」というかたちで共有し、未来に向けて発信していきたいと思います。

第1回目のご案内です(オンライン配信あり)。

第1回
戦間期大阪市電の労使関係

本講座では戦間期における大阪市電の経営、労使関係、労働運動について考えてみたい。1920年代には東京市電とともに大阪市電は産業別労働組合主義を標榜する労働運動の大きな舞台となるが、経営環境が厳しさを増すなかで大阪市当局と労働組合の関係も変化していく。路面電車という公営交通における労使関係の変化は労働運動だけでなく、戦争へと向かう日本社会のあり方にも大きな影響を与えた。

講師:沢井 実 氏

大阪大学名誉教授、住友史料館館長
『大阪社会労働運動史』第10巻 編集委員共同代表
近著『近代大阪の企業者群像―機械工業を中心に』2025,大阪大学出版会
『戦後日本の形成と東アジアー「入亜」の経済・経営史』2025、名古屋出版会
鉄道関係

『日本鉄道車輌工業史』1998、日本経済評論社
『日本帝国圏鉄道史 技術導入から東アジアへ』2023、名古屋出版会
『鉄道百五十年史』第2巻、2025、公益財団法人交通協力会(編集委員、執筆)
その他著作多数

日時: 2025年12月13日(土)
13時30分(開場13時)〜16時30分
(注記)間にエル・ライブラリー館長が関連所蔵資料を紹介します
場所: エル・おおさか 本館5階研修室2(オンライン配信あり)
参加費:無料
定員:40名

オンライン参加の方は当館HPのお問い合わせフォームから

お申込みください お問合せ - エル・ライブラリー

チラシダウンロード: 第1回講座ちらし.pdf

お問い合わせ
エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)
540-0031
大阪市中央区北浜東3-14 エル・おおさか4階

TEL06-6947-7722
お問い合わせフォーム

新着雑誌です(2025年11月28日)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌の雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4108号 2025年11月14日 (201501129)

賃金事情 No2925 2025年11月20日 (201501210)

労務事情 No1525 2025年11月15日 (201501061)

ビジネスガイド No964 2025年12月10日 (201501152)

労働法学研究会報 No2849 2025年11月15日 (201501079)

労働経済判例速報 2595号 2025年11月10日 (201501186)

労働経済判例速報 2596号 2025年11月20日 (201501095)

労働基準広報 No2222 2025年11月21日 (201501103)

賃金と社会保障 1885号 2025年11月10日 (201501137)

労働法律旬報 2091号 2025年11月10日 (201501160)

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大阪の労働争議あれこれ(4)大正の米騒動2米屋襲撃

大阪で米騒動が爆発したのは、1918年8月11日でした。この日は天王寺公会堂(現在の天王寺動物園の南東部にありました)で、野党の立憲国民党が主催する「米価調節市民大会」が19時から開催されることになっていましたが、すでに16時頃から会場周辺は殺気だっていました。

警察もこの大会開催に厳重な警戒態勢を敷いていました。会場周辺の米屋には「売り惜しみ」を厳禁するとともに、店先の米屋の看板を撤去させるなどしたのです。

しかし、この警戒態勢にも関わらず、会場に入れなかった市民や、天王寺公会堂から南西にあたる今宮町釜ヶ崎の住民は、19時から釜ヶ崎の住吉街道(阪堺線のすぐ西に現存しています)で米屋を襲撃しはじめました。

当時の釜ヶ崎の住民の多くは、日雇い仕事で日銭を稼ぐ貧しい暮らしを送っていました。米をまとめて買うことなどできず、その日に必要なだけの米を行商人から買う毎日を送っていました。しかも、米価高騰によって行商人が休業を余儀なくされたため、釜ヶ崎の住民は米を買うことができなくなりました。そこで町内の米屋に行ったところ、なじみの客ではないからと米を売ってもらえず、住民の怒りは頂点に達していたのです。

大阪朝日新聞号外(1918年8月13日)

市民や住民は、町内最大の米屋に押しかけて、1升25銭(1918年はじめの価格です)での安売りを要求しました。しかし「米がない」とこれを断られたことで市民や住民は暴徒化し、あちこちの米屋で安売りを要求して、応じた店からは米を持ち去り、拒否された店に対しては、店頭を打ち壊したのです。

大会に参加した人びとの一部もこの動きに同調して暴徒化し、11日の夜だけで、難波警察署管内の米屋412件中25件が襲撃されています。

12日になると、安売りを約束した米屋に早朝から群衆が押しかけ、今宮町も外米30石を1升20銭で売り出すなど極力対応に努めました。しかし、「1升25銭では商売が成り立たない」と、米屋は安売りに消極的立場をとっていました。そのような米屋への群衆の怒りは大阪全市にひろがっていきます。

(エル・ライブラリー特別研究員 黒川伊織。初出は機関紙編集者クラブ「編集サービス」2025年7月号。原文には写真なし)

今週の新着雑誌です(2025年11月14日)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労働法学研究会報 No2848 2025年11月1日 (201501178)

労働判例 No1338 2025年11月15日 (201501202)

労働基準広報 No2219 2025年10月21日 (201501145)

労働基準広報 No2220 2025年11月1日 (201501236)

労働基準広報 No2221 2025年11月11日 (201501269)

賃金と社会保障 1884号 2025年10月25日 (201501277)

労働法律旬報 2090号 2025年10月25日 (201501244)

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『大阪戦災傷害者・遺族の会と代表伊賀孝子関係資料2』頒布中

「大阪空襲被災者・遺族の会」会長・伊賀孝子さん(2022年逝去)から当館に寄託された資料のうち、整理が済んでいなかった資料群の目録がこのたび発行されました。

資料整理と目録作成に取り組まれたのは市民グループである空資研(大阪空襲被災者運動資料研究会)です。空資研が発行した報告書はこれで4冊目となります。

今回の冊子は、2016年に空資研メンバーが段ボール箱5個分の資料を伊賀孝子さん宅から引き取ったもののリストです。

内容は次の7つに分類されています。
1.伊賀孝子自筆資料
2.大阪戦災傷害者・遺族の会資料
3.府戦争資料室・ピースおおさか運営懇談会等関係資料
4.名簿→モニュメント運動関係資料
5.関係団体資料
6.写真など
7.その他

敗戦後80年の節目の年にこの目録が発行できたことを、空資研のみなさんと共に喜びたいと存じます。当館も貴重な資料を寄贈してくださった伊賀さんと久保三也子さんのお気持ちに応えるべく、資料の保存活用についてこれから本格的に考究を進めたいと考えています。

なお、本書(168頁、30cm)を1冊1000円で頒布しています。ご希望の方は事前にお電話(06-6947-7722)かお問い合わせフォームでご予約の上、来館してください。

お問合せ - エル・ライブラリー

既刊本のお知らせ記事は↓

第1集発行のお知らせ:大阪空襲体験の記憶を引き継ぐために8月に「報告書」発行
第2集発行のお知らせ:大阪大空襲の体験を語る会代表久保三也子資料目録
第3集発行のお知らせ:大阪空襲被害者の会報が復刻発行されました

今週の新着雑誌です(2025年11月6日)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4107号 2025年10月24日 (201501038)

賃金事情 No2924 2025年11月5日 (201501053)

労務事情 No1524 2025年11月1日 (201501111)

労働経済判例速報 2593号 2025年10月20日 (201500899)

労働経済判例速報 2594号 2025年10月30日 (201500832)

労働判例 No1337 2025年11月1日 (201500865)

月刊月刊人事労務 441号 2025年10月25日 (201500923)

地域と労働運動 302 2025年10月25日 (201500956)

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11/15 玉本英子さん ウクライナ取材映像報告会

市民グループと共催する「ウクライナ取材報告会」もとうとう4回目を迎えます。以下、主催者代表コメントと共にお知らせします。
小さな会合ですが、趣旨に賛同されるかたはぜひお申込みください!

情報は「無料(タダ)」じゃない。
消費者的な立ち位置から、メディアを支える主体へーー

玉本英子さんとともにジャーナリズムを考える会

テレビやインターネット上には常に報道や情報があふれています。
私たちは最新ニュースをお金を払うことなく知ることができます。いや、ちょっと待って。そのニュース、本当に「無料」でしょうか。
ご存知のようにテレビ番組はスポンサーと呼ばれる企業がテレビ局にお金を払い、そのお金で番組が制作されています。
つまり情報や娯楽の対価として本来私たちが払うべきお金を企業が払っているのです。
見返りは視聴者である私たちが広告を見ること。
また、スポンサーの意向をテレビ局は無下にはできません。
インターネット番組にもお金がついて回ります。
もちろん、私たちは誰もがお金と無縁ではいられません。
大切なのはどんな形でお金が関わっているかを知っておくこと、
お金の使い方を自分で考え、選択することではないでしょうか。
情報は「無料」ではありません。
お金を払っていなくとも、購買意欲や不安を煽る広告を一方的に見せられたり、個人情報を吸い取られたりと
何らかの形で私たちは「対価」を払っているのです。
そうして手に入れた情報は、
お金を払う側にとって都合よく編集されている可能性が高いことも
知っておく必要があります。
一方、世界には、もちろん日本にも、
フリーで取材活動をするジャーナリストたちがいます。
フリージャーナリストは「自己責任」で取材をします。
経済的な保障はもちろん、命の保障もありません。
そんなジャーナリストを支えるのは、
「自分の目で見たもの聞いたことを伝えたい」という思いです。
長年にわたって中東の紛争地域を中心に取材してきた玉本英子さんも、
そのひとりです。
私たち「玉本さんとともにジャーナリズムを考える会」は、
玉本さんの取材活動に共感するとともに、
市民としてジャーナリズムの一端を担おうと考えてきました。
情報の受け手のみに甘んじるのではなく、
消費者的な目線でメディア批判をするだけでもなく、
フリージャーナリストと直接つながり、その活動を支えること。
具体的には、取材報告会で集めたカンパを
次回の現地取材の費用(通訳や車の運転など現地の人々に仕事の対価として
支払います)として使ってもらい、帰国後に報告をしてもらいます。
この循環を継続し広めることで
フリージャーナリストの取材活動を少しでも安定、継続できるようにするのが
私たちの目的です。
玉本さんのウクライナ取材は(残念なことに)4年目となりました。
ウクライナの人々の声に耳を傾け、
信頼関係を築いてきた玉本さんの報告をぜひお聴きください。

大阪の労働争議あれこれ(3)大正の米騒動1前史

1914年にはじまった第1次世界大戦による好況は、物価高騰をもたらし、賃上げ要求争議が頻発しました。これに危機感を抱いた大阪市役所は、1917年7月から大阪市電の従業員や市役所で掃除などを行う雑役人夫を対象に、米価手当の支給をはじめています。

この手当は、米1升(=100合)の基準価格を18銭として、それを超過した差額の20倍を支給するものでした。なぜ20倍かというと、夫婦が1ヶ月に食べる米の量を2斗(20升)と計算したためです。2人で月に200合も食べるとは! 米5キロがほぼ33合に相当するので、毎月5キロの米を6袋購入していたことになります。貧しい家では、副菜は味噌汁や漬物などしかなかったので、米を食べて命をつないでいたのです。

1917年11月、ロシア革命により帝政が廃され、世界初となる社会主義国が誕生しました。これに危機感を抱いたアメリカをはじめとする資本主義諸国は、1918年に入ると、ロシア革命をつぶそうと共同出兵を企図し、日本政府もこの動きに同調しました。

ここで暗躍したのが米商人です。軍が出兵するとなると、多くの食糧が必要です。それを見越して、米商人は米を買い占め、出兵がはじまったら政府に高値で売りつけようと目論んだのです。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b5/The_Illustration_of_The_Siberian_War%2C_No._16._The_Japanese_Army_Occupied_Vragaeschensk.jpg/1200px-The_Illustration_of_The_Siberian_War%2C_No._16._The_Japanese_Army_Occupied_Vragaeschensk.jpg?20100827010942

(上の写真はWikipediaより画像リンクを取得して表示。「1918年、ブラゴヴェシチェンスクに入城する日本軍と日の丸を振って出迎える市民などを描いた作品。空からは航空隊により布告文が撒かれた。『救露討獨遠征軍画報』より」https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b5/The_Illustration_of_The_Siberian_War%2C_No._16._The_Japanese_Army_Occupied_Vragaeschensk.jpg)

1918年はじめに1升25銭だった米価は、7月末には40銭近くまで上がり、8月2日に政府がシベリア出兵を発表すると、毎日1銭ずつ値上がりし、9日には50銭に跳ね上がりました。

7月23日に富山県で米騒動がはじまっており、大阪市役所もその動向に危機感を抱いていました。そこで、大阪市役所は、8月5日から市内4カ所の公設市場で朝鮮米を1升37銭で売り出しました。殺到した市民により米は1時間で売り切れ、翌日以降は、朝3時半から並ぶ人もいました。

ただし、朝から並んでいるのは「立派な家の女中や丁稚」ばかりでした。貧乏人は、朝早くから米のために並ぶ暇があったら、日銭を稼ぐために必死に働かなければならなかったからです。この貧乏人の怒りが爆発するさまを、次回で紹介します。

(エル・ライブラリー特別研究員 黒川伊織。初出は機関紙編集者クラブ「編集サービス」2025年6月号。原文には写真なし)

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