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専攻医らが抵抗続けるわけは...「見返り減り、競争激化という危機意識のせい」=韓国

登録:2024年06月06日 05:47 修正:2024年06月06日 09:20
「厳しい研修と入試に対する見返りがなくなるか不安」
競争激化への懸念を払拭させる政府の代案が必要
ソウル市内のある大型病院で医療スタッフが移動している/聯合ニュース

韓国で医学部定員の増員に反発して医療現場を離れた1万2千人余りの専攻医(インターン・レジデント)たちが選択の岐路に立たされた。政府はこの間強調してきた「法と原則」を崩してまで業務開始命令、辞職届の受理禁止などを撤回し、復帰した場合は専門医資格の取得などに不利益も与えない方針を示した。しかし、100日以上にわたり集団行動を続けている専攻医たちが復帰する可能性は高くない。専門家たちは、医学部の増員で専攻医たちが懸念する未来の不利益が現実化する可能性があり、復帰の可能性は低いと見通した。さらに、専攻医たちの復帰拒否には、定員拡大に向けた政府の準備不足、医師社会の閉鎖性などが影響を及ぼしたと指摘した。

専攻医たちが懸念する未来の不利益としては、競争の激化とそれにともなう所得の減少などが挙げられる。研修期間の4〜5年間、週77.7時間(大韓専攻医協議会、2022専攻医実態調査)の低賃金と長時間労働に耐えられるのは、専攻医研修後に確保できる高所得(2022年基準で3億100万ウォン)と社会的地位があるからだが、医師数が大きく増えれば「将来の見返り」が不透明になる。嘉泉大学医学部のチョン・ジェフン教授(予防医学)は「医療界内には『専攻医期間が終われば、免許で守られる市場に進入できる』という一種の世代間の約束があるからこそ、厳しい研修を耐えているのに、この約束が破られることになった」と語った。

特に「極限の競争」は専攻医の危機意識を刺激する要素だ。高麗大学安岩病院のハン・スンボム院長は「自分たちは激しい競争を勝ち抜いて医学部に入学したのに、突然競争が緩くなるのは到底受け入れられないというのが反発の最も大きな理由」だと指摘した。人道主義実践医師協議会(人医協)のイ・ソヨン企画局長は「医学部の増員によって開院業界で競争がさらに過熱し、奉職医の労働の希少性が低下し、経済的見返りが減るかもしれないという危機意識がある」と語った。このために「競争の激化」への懸念を払拭させる政府の具体的代案が必要だと助言する専門家もいる。「健康権実現のための保健医療団体連合」のチョン・ヒョンジュン政策委員長は「政府は数字を増やすこと以外にはきちんとした改革案を出しておらず、供給を増やせば地域や必須医療の医療陣が増加するという『トリクルダウン医師論』を自ら招いた」とし、「増員された医学部生たちが将来競争に参加しないことを明確にしない限り、専攻医は戻らないだろう」と話した。

さらに、医師になるまでの環境が「集団利益」を重視する構造になっているという指摘もある。医師集団の閉鎖的な文化の中で「配分が問題であり、医師数は不足していない」という主張を医学部生・専攻医が疑問を持たず受け入れるようになるということだ。医学部と研修病院にいる間じゅうずっと医学部生と専攻医同士だけで交流するのが一般的な環境だ。専任医(フェロー)となり各医療機関で定着しても、先輩・後輩関係に基づいた閉鎖的な文化は維持される。人医協のイ・ソヨン企画局長は「医師集団内部の閉鎖性のため、すべての医療問題を診療報酬問題に帰結させ、増員は絶対反対する大韓医師協会などの論理を医学部生や専攻医など多数が習得している」と指摘した。

キム・ユンジュ、ソン・ジミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1143658.html 韓国語原文入力:2024年06月05日 23:28
訳H.J

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