2014-11月号 NOVEMBER

特集= まちづくりのタイムライン


Timeline of Community Design

特集 まちづくりのタイムライン

20世紀後半から始まった専門家や市民・行政連携のもとで進められた地域社会の再生を目指す活動─まちづくりやコミュニティデザイン─は、半世紀を経て近年ますますニーズが高まってきている。わが国では少子超高齢化、都市部への人口集中、ライフスタイルの多様化、家族関係の変化、格差社会の構造変容、環境の持続可能性など、時代とともに新しく生み出される社会の課題に対応するため、活動の目的や方法論にも変化と多様化が見られる。

一方でまちづくりやコミュニティデザインを個別のケースとして見たとき、おのおののまちづくり、一つひとつのコミュニティデザインには「はじまり」はあっても明確な「終わり」はない。それぞれに固有のビジョンを持った取組みではあるが、地域やコミュニティが持続する限り、この活動はある意味「終わりなきプロジェクト」であるのかもしれない。

本特集では、さまざまなまちづくり、コミュニティデザインの実例を挙げ、時間軸=タイムラインに沿って比較を試みた。新しく生まれたコミュニティデザインが、どのような短期的目標と長期的ビジョンを掲げて取り組まれているのか。長く持続しているまちづくりは、取組みの過程でどのような歴史を刻み、後継者を生み出してきたのか。それぞれの取組みのタイムラインを併置することによって、地域という「終わりなきプロジェクト」に活き活きとした物語を刻んでいくためのリズムを見いだしたい。

本特集では、始まって1年から数年という新しい取組みから、半世紀を経過してなお継続する取組みまで、計12のまちづくり事例について、関係の深い筆者による論考とタイムラインによって紹介する。

会誌編集委員会特集担当
有岡三恵(Studio SETO)、神吉優美(奈良県立大学)、小林徹平(東北大学)、槻橋修(神戸大学)、原田陽子(福井大学)、福岡孝則(神戸大学)[ 編集協力:平尾盛史(ティーハウス建築設計事務所)]

[目次]

特集|まちづくりのタイムライン

まちづくりのタイムライン
2 会誌編集委員会
主旨
3 ×ばつ藻谷浩介
まちづくり固有の時間を生きるために
10 木藤亮太
自走できる商店街をつくる─日南市油津商店街で起きていること
12 寺内美紀子
木祖村の村づくり
14 前田剛
域学連携による地域づくりの人材循環─対馬
16 山崎亮
【COLUMN 1】 まちづくりにおける部分と全体
18 岡崎正信
オガールプロジェクト─紫波町
20 豊田雅子
尾道空き家再生プロジェクト
22 松富謙一
大阪市空堀地区10年間のまちづくり─ペイフォワードのまちづくり
24 近藤民代
野田北部の自律的継続的な環境改善運動
26 鈴木伸治
【COLUMN 2】 横浜の都市づくり─引き継がれる都市の構想・計画
28 ありむら潜 寺川政司
ねじれた「縁」をつむぎ直すまちづくり─大阪釜ヶ崎/暴動の街からコレクティブなまちへ
30 熊紀三夫
商店街から多機能居住エリアへ転換するための「エリアマネジメント」─丸亀町
32 原和男
地域を受け継ぐ" 自治力"の向上を─色川
34 川向正人
小布施のまちづくりと研究所の10年
36 八甫谷邦明
まちづくりを創出する七つの要件─神戸市長田区真野地区を例に
38 本川祐治郎
【INTERVIEW】
富山県氷見市 本川祐治郎市長インタビュー
市民の叡智と行政が共に創る未来を目指して

連載

EDITORS' CAFÉ11
40 ×ばつ会誌編集委員会
変化するまちづくりの潮流をめぐって

住むことから考える東京20203
44 進士五十八
ランドスケープ・ダイバーシティ・東京

海図の切れ端─現代建築批評再考5
45 千葉元生
「批判的地域主義に向けて─抵抗の建築に関する六つの考察」 ケネス・フランプトン
(ハル・フォスター編『反美学─ポストモダンの諸相』所収)

震災復興ブレイクスルー11
46 山下保博
笑顔の再生「モバイル・すまいる」プロジェクト

未来にココがあってほしいから─名建築を支える名オーナーたち11
48 濱田友緒
濱田庄司記念益子参考館

住むことから考えるU-3511
49 小川愛
世界一住みやすい街に住んで
北上紘太郎
似て非なる
渡邊享子
「楽しい」というリアル

次代を拓く建築展5
50 保坂健二朗
展示空間という建築
ヘルツォーク&ド・ムーロンの建築展

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