応用生態工学
Online ISSN : 1882-5974
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総説
日本の遊水地における生物多様性に関する研究のシステマティックレビュー
田和 康太, 西廣 淳, 境 優, 竹田 稔真, 林 誠二
著者情報
  • 田和 康太

    国立研究開発法人国立環境研究所気候変動適応センター

  • 西廣 淳

    国立研究開発法人国立環境研究所気候変動適応センター

  • 境 優

    国立研究開発法人国立環境研究所福島地域協働研究拠点

  • 竹田 稔真

    国立研究開発法人国立環境研究所福島地域協働研究拠点

  • 林 誠二

    国立研究開発法人国立環境研究所福島地域協働研究拠点

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J-STAGE Data

2024 年 26 巻 2 号 p. 55-69

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  • 発行日: 2024 年 受付日: 2023年06月04日 J-STAGE公開日: 2024年04月17日 受理日: 2023年10月26日 早期公開日: - 改訂日: -
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抄録

国内における遊水地の生物多様性に関する文献のシステマティックレビューを実施し,治水と生物多様性を両立させる遊水地の創出に関する知見を収集した.今回,様々な分類群の生物に対する遊水地の効果を検討するため,鳥類,両生類,魚類,昆虫類,貝類,植物の 6 分類群を対象とした.9,183 件の文献を精査した結果,本システマティックレビューには 242 件の文献を選抜した.対象の遊水地は 33 か所に限定され,これは国内にある遊水地全体の 22%に過ぎなかった.最も文献数が多か ったのは鳥類の 94 件で,最少は両生類の 6 件だった.どの分類群についても,希少種や新種の分布を記載する内容が多かった.また,外来種の定着を記載する文献も鳥類を除く分類群で確認された.全体のうち BACI デザインに基づく研究事例はわずか 15 件に留まり,遊水地の生物多様性評価に関する科学的知見の不足が示唆された.そのため,遊水地の創出が生物多様性に及ぼす正負の効果について十分な検証を行うことができなかった.ただし,いくつかの研究は,湿地創出や植生管理,土壌掘削が複数の在来種の種数増加や個体数増加,希少種の分布拡大などの正の効果をもたらすことを示唆していた.

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