大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
Print ISSN : 1341-4178
ISSN-L : 1341-4178
原著
Fresh sootと、aged sootは、どちらが気道に沈着しやすいか
—粒径分布と吸湿性の気管支・肺胞沈着率への影響—
梶野 瑞王, 五十嵐 康人, 藤谷 雄二
著者情報
  • 梶野 瑞王

    気象庁気象研究所環境・応用気象研究部

  • 五十嵐 康人

    気象庁気象研究所環境・応用気象研究部

  • 藤谷 雄二

    国立環境研究所環境リスク研究センター

責任著者(Corresponding author)

ORCID
キーワード: respiratory tract deposition, aerosol size distribution, hygroscopicity, soot mixing state, long-range transport, PM2.5
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2014 年 49 巻 2 号 p. 101-108

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  • 発行日: 2014年03月10日 受付日: - J-STAGE公開日: 2014年11月11日 受理日: 2013年12月04日 早期公開日: - 改訂日: -
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抄録
呼吸により体内に取り込まれるサブミクロン粒子は気道深部に到達するが、その気管支・肺胞への沈着率は、粒径約10 nmで70%、100 nm〜1 μmで10〜20%、10 μm以上でほぼ0%と大きく異なる(成人男子、軽運動時、鼻呼吸)。また、気管支・肺胞内は水飽和であるため、乾燥径が同じであっても、吸湿性の違いにより、沈着率も変化する。発生時の煤粒子は疎水性 (fresh soot) であっても、一般に長距離輸送中に親水性成分の凝縮を受け、粒径が大きく、吸湿性も高くなるため (aged soot)、気管支・肺胞への沈着率は小さくなると考えられる。したがって、fresh sootを多く含む発生源近傍の都市気塊と、aged sootを多く含む長距離輸送気塊では、大気濃度が同じであっても、気管支・肺胞への沈着量は、前者の方がより多くなる。Fresh sootとaged sootの代表的な粒径分布と吸湿性を仮定すると、fresh sootの沈着率は、aged sootに比べて約2倍高い可能性が示唆された。エアロゾル粒径分布を、対数正規分布を仮定した数基準乾燥幾何平均径で40〜280 nm、幾何標準偏差を1.3〜2.0、吸湿性κを0〜0.7で変化させたとき、気管支・肺胞への沈着率は4.00–42.0%と1桁程度変化した。有害物質の正確な曝露評価のためには、その重量だけでなく、キャリアとなるホストエアロゾルを特定し、その粒径分布と吸湿特性の時空間分布を把握する必要がある。
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