業務用電化厨房施設の換気設備設計指針[解説編] 参考資料-3
(一社)日本エレクトロヒートセンター(JEHC)
電化厨房委員会
2022 年 6 月 1 日更新
業務用電化厨房施設の換気設備設計指針 本文および解説編 QA集
だいやまーく「業務用電化厨房施設の換気設備設計指針(JEHC103-2017)
」の位置づけについて
番号 ご質問 回答
1 電化厨房施設の換気設計に関する公的な図書としては、国土交通省大臣官房官庁
営繕部設備・環境課が監修する「建築設備設計基準」
(以下、茶本)に代表されるが、
茶本に法的規制はあるのか。またはその位置づけは、努力目標や目安的なものか。
業務用電化厨房施設の換気設備設計指針(以下、JEHC 換気設計指針)
の法的な根拠
があれば教えてほしい。
まず、茶本は官庁施設の営繕を実施するための基準として制定されたもので、法的な規制はありません。
また、
電化厨房施設における換気風量は、
火気使用を伴わないため建築基準法等の法的な規制を受けません。
官庁物件などについては、基本的に茶本に従った計画が求められますが、民間建物についてもこれに準拠し
て計画されるケースが多いと考えます。JEHC 換気設計指針は法的規制に対応する指針ではなく、この茶本
(令和 3 年版)の「必要換気量が明らかな場合はその値を用いて算定することを検討してもよい」との項目
に相当します。
2 JEHC 換気設計指針は、建築設備設計基準(令和 3 年版)に適合と考えて良いか。 茶本(令和 3 年版)には、
「厨房(電気)の換気量は、原則として排気フードの面風速(0.3m/s 以上)から
算出した換気量とする。ただし、厨房の使用条件、厨房器具、フード形状等に応じた必要換気量が明らかな
場合は、その値を用いて算定することを検討してもよい。
」と記載されています。本指針の適用は設計者や発
注者等の判断となりますが、JEHC としては、本指針はこの「ただし・・」書きの一つだと考えています。
3 JEHC 換気設計指針は、
建築設備の確認申請や消防検査における指摘に対して、
回答
の根拠になりうるものか。
所轄の行政との事前協議によると考えますが、火災予防上、厨房設備に付属する排気ダクト内の風速は過度
に遅くならないよう配慮する必要があります。JEHC 換気設計指針の採用で以前より換気風量の削減が可能
であっても、既設厨房の改修に適用する場合には、排気ダクト内の平均風速が改修前の平均風速より遅くな
らないよう、口径が小さい排気ダクトに取り替えることが望ましいと考えます。
4 JEHC 換気設計指針(JEHC103-2017)は、今までどのような企業に説明したのか。 JEHC 換気設計指針(JEHC103-2017)発行以降、以下の企業・団体向けに説明会を実施。
✓ 設備設計協会等
北海道建築士事務所協会札幌支部設備設計業務委員会、東京都設備設計事務所協会、新潟県設備設計事
務所協会、長野県設備設計協会、愛知県設備設計監理協会、香川県設備設計事務所協会、大分県設備設
計事務所協会、鹿児島県設備設計事務所協会、沖縄県設備設計事務所協会
✓ 企業・団体等
ユアテック(秋田県)
、アイホー(愛知県)
、北陸電化厨房普及会
✓ JEHC 関係
電化厨房委員会設計基準部会、JEHC 電力正会員会社(北海道電力、東北電力、東京電力エナジーパ-
トナー、北陸電力、中部電力ミライズ、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)
✓ 展示会への出展
フードシステムソリューション、厨房設備機器展
5 JEHC 換気設計指針(JEHC103-2017)の前身である、
「業務用電化厨房施設の設備
設計指針」
(2006 年版)を所有しているが、本書にある換気設計指針について、今後
どのように扱えばよいか。
設備設計指針(2006 年版)は絶版になっており、同書のキャノピーフード換気方式の換気設計指針について
見直された新装版が JEHC 換気設計指針(JEHC103-2017)になります。
その他の換気方式については、高天井方式、天井換気システムによる方式、局部排気フード方式等が想定
されますが、本指針ではその扱いを例示しておりませんので、過去の採用実績に基づき、厨房の使用条
件、厨房器具を考慮した換気量を計画ください。
なお、JEHC 換気設計指針の適用範囲を外れた場合の扱いについては、本指針解説編「1-4 本指針の適用範
囲」の項を参照ください。
6 設計事務所等へキャノピーフード換気方式以外の換気方式を提案したい場合、
「業務
用電化厨房施設の設備設計指針」
(2006 年版)を参考にすることは可能か。
設備設計指針(2006 年版)は絶版になっており、同書のキャノピーフード換気方式の換気設計指針について
見直された新装版が JEHC 換気設計指針(JEHC103-2017)になります。
その他の換気方式については、高天井方式、天井換気システムによる方式、局部排気フード方式等が想定
されますが、本指針ではその扱いを例示しておりませんので、過去の採用実績に基づき、厨房の使用条
件、厨房器具を考慮した換気量を計画ください。
なお、キャノピーフード換気方式以外の「その他の換気方式」の扱いについては、本指針解説編「1-4 本指針
の適用範囲」の「その他の換気方式について」の項を参照ください。
7 JEHC 換気設計指針(JEHC103-2017)の採用により電化厨房施設の換気量の削減
が期待できるが、ゆで麺器直上など高湿度となるエリアの結露等が心配である。
JEHC 換気設計指針(JEHC103-2017)の採用による換気風量の削減、省エネルギー性については、本指針
解説編「1-1 本指針の作成経緯」の試算例を参照ください。
また、厨房内の温湿度環境については、本指針解説編「5-1 厨房内の温湿度環境」で解説しています。
なお、本指針の換気風量による実証(参考資料-2)においても、結露のない環境を維持できることを確認
しています。
8 今後の活動予定についてお聞かせ願いたい。 引き続き JEHC 換気設計指針による設計事例の普及拡大に努め、
茶本への具体内容の掲載に向け活動してい
きます。なお、新しい情報はホームページ上に掲示することを考えております。
だいやまーく「業務用電化厨房施設の換気設備設計指針(JEHC103-2017)
」の適用範囲について
番号 ご質問 回答
9 JEHC 換気設計指針の適用条件が、既存の厨房設備には適用困難と思われる内容
(JEHC 換気設計指針に適用させるために設備改修が必要になる等)と思われるが、
結果的には新設の厨房以外への適用は難しいということで良いか。
既設厨房においても JEHC 換気設計指針の適用条件を満たすことができれば、採用は可能です。
ただし、火災予防上、厨房設備に付属する排気ダクト内の風速は過度に遅くならないよう配慮する必要があ
りますので、所轄の消防署と協議ください。場合によっては、口径の小さいダクトへの取り換えが要求され
ることもあります。
10 適用条件に調理数200〜700食/回の中規模施設とあるが、それ以外の施設は
どういう理由で条件から外れているのか。
JEHC 換気設計指針の適用範囲については、本指針解説編「1-4 本指針の適用範囲」の[前提条件について]
の項を参照ください。
本指針の適用条件を満たせば、中規模施設以外においても採用を妨げるものではありません。
11 建築設備設計基準(令和 3 年版)の場合、各排気フードの面風速で換気量が決まるた
め、電気もガスも換気量に差が出ないが、JEHC 換気設計指針ではどうか。
JEHC 換気設計指針では、フードの面風速の制約を受けずに、電化厨房の定格消費電力に係数を掛けて換気
量を算出する方法としております。結果、ガス機器やフードの面風速から算定する換気風量と比較して低減
できるものと考えております。
低減効果は、本指針解説編「1-1 本指針の作成経緯」の試算例を参照ください。
12 壁で区切られた別の部屋がガス併用厨房であった場合、この JEHC 換気設計指針の
適用は部屋ごとになるのか施設として扱うのか。
換気機器・ダクト系統が分かれており、電化厨房エリアが本指針の適用範囲であれば、部屋毎に適用可能で
す。
13 厨房を設計するときに、必ずパンカルーバーを使っている。
JEHC 換気設計指針では、パンカルーバーは絶対に使えないのか。
ガス厨房では、特に加熱調理機器廻りの温熱環境が悪化しやすく、パンカルーバーは調理員に冷風を吹き
付ける目的として採用される事が多いと考えます。電化厨房では厨房機器からの輻射熱が少なく調理員へ
の負担も小さいと考えており、熱気を帯びた上昇排気気流を乱しフードによる排気効率を低下させる原因
となりかねないパンカルーバーの使用は避けてください。
詳細は、本指針解説編「1-4 本指針の適用範囲」のフローチャートを参照ください。
14 社員食堂の設計でカフェテリア方式を採用しようと考えている。この場合、擾乱を
発生させないために厨房側と食堂側を区切る必要がありますか。
食堂から厨房側への移流風量に対して十分な開口がある(移流風速が十分小さい)場合は、厨房側と食堂
側を区切る必要はありません。
通常、厨房臭気の食堂への拡散防止の観点から厨房内は負圧(厨房換気の給気<厨房換気の排気)とする
ため、食堂側から厨房側への気流が発生します。その気流が速い場合(風量が多く、その風量が通過する
開口部面積が小さい場合)で、その速い気流が直接厨房排気フードの排気に直接当たる場合に、排気の擾
乱になることが考えられますが、例えば、一般的な食堂施設で食堂から厨房へ 2000m3/h の気流があり、
厨房と食堂間の開口が幅 ×ばつ高さ 2.4m であった場合でも、その開口を流れる気流は 0.1m/s 以下と指針で
推奨する加熱調理器直上の平均残風速 0.25m/s よりも十分小さくなります。
15 配膳エリアにある麺コーナーカウンターの麺ゆで器直上に壁掛け型のキャノピーフ
ードを設置しようと思うが、開口部が近いため気流擾乱の影響が心配である。
麺コーナーカウンターのように加熱調理器の幅よりも左右 0.5m 以内の範囲に開口部がある場合には、壁掛
け型フードとして必要換気量を計算せず、シングルアイランドフードと見做して必要換気量を計算してく
ださい。
16 弊社の製造する電気加熱式のピザオーブン(釜)やベーカリーオーブンの換気風量
は、これまでフード面風速より算定していますが、今回の JEHC 換気設計指針で
は、電気出力が小さいことから非常に小さい排気量となり、熱や蒸気の排気機能が
不足するように感じました。特にガス加熱設備も併用される厨房において、電気加
熱式機器が低出力の場合の係数に適合性アレンジが必要なのでしょうか。
まず、ピザオーブン(釜)やベーカリーオーブンは、今回の JEHC 換気設計指針の加熱調理器の分類に含
まれず、厳密には指針適用外の機器となりますので、本指針解説編「1-4 本指針の適用範囲」に従い、茶本
の原則である、フード面風速より算定ください。
なお、検証データがないため、今回の分類には含まれませんでしたが、輻射熱と水蒸気の発生が少ない機
器である「コンベクションオーブン(密閉型機器)
」と同等の排熱・排湿と考えられます。
17 排気フードを設備しないまま電気加熱機器を使用する場合の排気量算定係数はあり
ますか
排気フードを設置しない厨房換気方式は、JEHC 換気設計指針の対象ではありませんので算定係数はあり
ません。なお、キャノピーフード換気方式以外の「その他の換気方式」の扱いについては、本指針解説編
「1-4 本指針の適用範囲」の「その他の換気方式について」の項を参照ください。
18 JEHC 換気設計指針の分類にない電化厨房機器についてはどのように風量を決定し
たらよいのか。
例)食器洗浄機、グリラー、焼き機など
JEHC 換気設計指針の分類にない電化厨房機器については、原則、指針適用外となります。本指針解説編
「1-4 本指針の適用範囲」に従い、茶本の原則である、フード面風速より算定ください。
19 JEHC 換気設計指針の適用条件に、空調していることが上げられるが、天吊型など
のパッケージエアコンでもよいのか。
パッケージエアコンの採用は妨げませんが、室内機型式のうち天吊り型などは吹出気流が速く、厨房室内
気流を乱し、排気フードでの排気擾乱の要因となるため推奨しません。室内機型式は天井埋込型(ユニバ
ーサル型)などの採用を検討いただくとともに、加熱調理器直上の平均残風速が 0.25m/s 以下となるよ
う、吹出口の風量、設置位置および吹出し角度を適切に設定ください。
詳細は、本指針解説編「1-4 本指針の適用範囲」の[空調擾乱の回避について]をご参考ください。
20 1 つのフードに複数の機器を設置した場合の計算方法は? 計算式の通りです。
機器毎の必要換気量を単純合計してください。
21 給排気フードのような特殊なフードの場合の計算方法は? 特殊フードの給気が調理機器の上昇気流を乱さない仕様か否かの判断となります。
適用範囲であれば、必要換気量(排気量)の計算方法は設置される加熱調理器の仕様に従ってください。
詳細は、本指針解説編「1-4 本指針の適用範囲」の[空調擾乱の回避について]をご参考ください。
22 フローチャートの外気処理の有無の判断で、直接外気導入は NG となっているが、
寒冷地など夏場空調を実施しない地域では本指針を適用できないということか?
HACCP の衛生管理手法に準拠した温湿度条件を実現するため、外気処理された空調を基本としています
が、ご指摘の通り寒冷地では夏場に外気処理をせずとも、この HACCP の衛生管理手法に準拠した温湿度
条件(室温 25°C相対湿度 80%以下)を実現できるケースがあると思いますので、これを設計で確認できれ
ば、採用を妨げるものではありません。
詳細は、本指針解説編「1-4 本指針の適用範囲」の[外気処理について]をご参考ください。
23 従来とは異なる特殊な調理機器を開発した場合の換気量の計算方法は? 今回の JEHC 換気設計指針の加熱調理器の分類に含まれない特殊な調理器具は、本指針適用外の機器とな
りますので、本指針解説編「1-4 本指針の適用範囲」に従い、茶本の原則である、フード面風速より算定く
ださい。
24 キャノピーフード方式で、本指針の適用範囲外と判断した場合、建築設備設計基準
(令和 3 年版)に従えばよいか。
その通りです。
建築設備設計基準(令和 3 年版)に、
「厨房(電気)の換気量は、原則として排気フードの面風速(0.3m/s
以上)から算出した換気量とする。
」と記載されており、本指針の適用を外れる場合は本条文を準用される
ことを推奨します。
詳細は、本指針解説編「1-4 本指針の適用範囲」のフローチャートを参照ください。
25 キャノピーフード方式以外の換気方式を検討する場合、参考とすべき図書にはどの
ようなものがあるか。
その他の換気方式については、高天井方式、天井換気システムによる方式、局部排気フード方式等が想定
されますが、本指針ではその扱いを例示しておりませんので、過去の採用実績に基づき、厨房の使用条
件、厨房器具を考慮した換気量を計画ください。
詳細は、本指針解説編「1-4 本指針の適用範囲」の[その他の換気方式について]を参照ください。
26 JEHC 換気指針の作成経緯について教えてほしい。 本指針の解説編「1-1 本指針の作成経緯」に取りまとめておりますので、参照ください。

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