業務用電化厨房施設の蒸気設備設計指針(JEHC102-2007)


業務用電化厨房施設の
蒸気設備設計指針
JEHC102-2007
2007年7月31日 制定
2019年2月 1日 改定
一般社団法人
日本エレクトロヒートセンター 1目 次
1. 電化厨房施設の蒸気設備設計指針.......................................................................... 2
1.1. 蒸気設備設計フロー ......................................................................................................... 2
1.2. 蒸気供給量の算定............................................................................................................. 3
1.3. 蒸気供給機器選定と蒸気配管設計方法.............................................................................. 4
(参考・引用文献) ................................................................................................... 5 21. 電化厨房施設の蒸気設備設計指針
1.1. 蒸気設備設計フロー
電化厨房施設の蒸気設備の設計は、以下の順序で行う。
1 設計条件設定
2 蒸気供給計画
3 蒸気供給量の算定
4 蒸気供給機器選定と蒸気配管設計
【解説】
3-1. 夜間蓄熱式蒸気発生装置は、夜間電力を利用してヒーターで蓄熱材を昇温し、昼間蒸気が必要
な場合に、軟水処理した水を蓄熱材内に配した伝熱管内を通過させ過熱蒸気とし、さらに蒸気
発生器内の温水を通過させることにより飽和蒸気として供給するシステムである。システムの
外観写真を図 1-1 に、概略図を図 1-2 に示す。
図 1-1 蒸気発生装置外観写真((出典:I 社カタログ)
図 1-2 蒸気発生装置概略図
(出典:I 社カタログ)
3-2. 夜間蓄熱式蒸気発生装置を利用した蒸気供給システムは、夜間の料金単価が割安なメニューを
利用することで、電力量料金の低減を図ることが可能であり、さらに昼間の回転釜や消毒保管
庫などの機器を電気式から蒸気式にすることにより、電力デマンドの低減が図れるため電気基
本料金の低減効果も大きい。 31.2. 蒸気供給量の算定
蒸気供給量は以下の消費熱量から算出する。
1 各機器の蒸気使用熱量 Hkm
各機器の蒸気使用熱量は以下の式により算出する。
Hkm=×ばつ0.76
Hkm :機器定格蒸気使用熱量[kW]
S :蒸気使用量[kg/h]
(注記)蒸気量 1[kg/h]
(ゲージ圧 2kgf/cm2≒0.2MPa)の蒸気の全熱量は 2.73[MJ/kg]
2.73[MJ/kg]÷3.6[MJ/kW]=0.76[kW/kg]
2 各機器の時刻別蒸気使用熱量 Hk(n)
各厨房機器の時刻別蒸気使用熱量は以下の式により算出する。
Hk(n)=Hk×ばつf(n)
Hk(n) :各厨房機器の時刻別蒸気使用熱量[kW]
Hkm :機器定格蒸気使用熱量[kW]
f(n) :各時刻別負荷率
その厨房機器が、定格消費熱量として一時間のうちどの程度の時
間稼働しているのかを示す割合。厨房の使用方法により適宜設定する。
3 日合計消費熱量 Qd
日合計消費熱量は各厨房機器の時刻別使用熱量[kW]の日合計値をすべての機器に
ついて合計した値であり、以下の式により算出する。
Qd=Σ(ΣHk(n))
Qd :日合計消費熱量[kWh]
Hk(n) :各厨房機器の時刻別蒸気使用熱量[kW]
4 時間最大熱量 Htmax
時間最大熱量は各厨房機器時刻別消費熱量を各時刻に合計した値の最大値であり、
以下の式により算出する。
Htmax=Max(Hk1(n)+Hk2(n)+・・・・)
Htmax :時間最大熱量[kW]
Hk(n) :各厨房機器の時刻別蒸気使用熱量[kW] 41.3. 蒸気供給機器選定と蒸気配管設計方法
夜間蓄熱式蒸気発生装置は以下の算出した台数のうち大きい方の台数とする。
1 熱出力による選定台数 Nh
熱出力による選定台数は以下の式により算出する。
Nh=Htma×ばつα
Nh :熱出力による選定台数[台]
Htmax :時間最大熱量[kW]
Hj :最大熱出力[kW]
(129:表 3-1 参照)
α :余裕率(1.0〜1.1)
2 蓄熱量による選定台数 Nq
蓄熱量による選定台数は以下の式により算出する。
Nq=Qd÷(×ばつη)×ばつα
Nq :蓄熱量による選定台数[台]
Qd :日合計消費熱量[kWh]
Qj :最大蓄熱量[kWh]
(228:表 3-1 参照)
η :蒸気供給機器の総合熱効率(0.73:表 3-1 参照)
α :余裕率(1.0〜1.1)
表 3-1 夜間蓄熱式蒸気発生装置
項目 単位 仕様
ボイラー種類 簡易ボイラー(電気式貫流ボイラー)
検査資格 簡易ボイラー構造規格
取扱者資格 資格不要
定格飽和蒸気圧 MPa 0.3〜0.5
最大蒸気出力 kg/h 170 (注記)1(平均 150kg/h)
最大熱出力 kW 129 (注記)1
電気ヒーター容量(蓄熱用) kW 27
蓄熱最高温度 °C 480
最大蓄熱量 kWh 228
最大出熱量 kWh 174
最大蒸気量 kg 300
総合熱効率 % 73
消費電力 kWh 蓄熱用 27k×ばつ10h 以下
制御用 1.0kW 以下
(注記)1:蒸気出力は蓄熱温度低下と共に低下する。 5(参考・引用文献)
1) 空気調和・衛生工学会編:空気調和・衛生工学便覧(第 14 版)
、空気調和・衛生工学会、
2010 年 2 月
業務用電化厨房施設の蒸気設備設計指針
[解説編]
2007年7月31日 発行
2019年2月 1日 改訂
一般社団法人
日本エレクトロヒートセンター
目 次
1. 蒸気設備設計フロー............................................................................................... 1
2. 蒸気供給方式.......................................................................................................... 2
3. 蒸気供給量の算定................................................................................................... 3
4. 蒸気供給機器選定と蒸気配管設計方法................................................................... 4
(参考・引用文献).................................................................................................... 6 11. 蒸気設備設計フロー
1. 電化厨房施設の蒸気設備の設計は、以下の順序で行う。
1 設計条件設定
2 蒸気供給計画
3 蒸気供給量の算定
4 機器選定と蒸気配管設計
【解説】
電化厨房施設の蒸気設備設計は図 1- 1 に示すフローに従い設計を行う。
設計条件設定
しかく厨房計画の把握
・蒸気利用機器の容量
・蒸気利用機器の時刻別負荷率 しかく蒸気供給設備
・夜間蓄熱式蒸気発生装置
しかく蒸気配管
・通常の蒸気設備と同様
蒸気供給量の算定
しかく1日当り蒸気供給の算定
Σ([各機器の蒸気利用量])
しかく時刻最大供給量の算定
[各機器の蒸気利用量]の時刻合計値の最大値
機器選定と蒸気配管設計
蒸気供給計画
しかく熱出力選定台数
[熱出力選定台数]]=(時間最大熱量÷熱出力÷総合熱効率)×ばつ余裕率
しかく蓄熱量選定台数
[蓄熱量選定台数]=(日消費熱量[kWh]÷最大蓄熱量[kWh]
÷総合熱効率)×ばつ余裕率
しかく台数決定
[熱出力選定台数]と[蓄熱量選定台数]のうち大きい方を台数とする
しかく蒸気配管計画・設計
図 1- 1 電化厨房施設の蒸気設備の設計フロー 22. 蒸気供給方式
1. 電化厨房施設の蒸気供給機器には夜間蓄熱式蒸気発生装置を用いる。
【解説】
夜間蓄熱式蒸気発生装置は、夜間電力を利用してヒーターで蓄熱材を昇温し、昼間蒸気が必要
な場合に、軟水処理した水を蓄熱材内に配した伝熱管内を通過させ過熱蒸気とし、さらに蒸気
発生器内の温水を通過させることにより飽和蒸気として供給するシステムである。システムの
外観写真を図 2- 2 に、概略図を図 2- 3 に示す。
図 2- 2 夜間蓄熱式蒸気発生装置外観写真(出典:I 社カタログ)
図 2- 3 夜間蓄熱式蒸気発生装置概略図(出典:I 社カタログ) 31-2 「夜間蓄熱式蒸気発生装置」を利用した蒸気供給システムは、夜間の料金単価が割安なメニュ
ーを利用することで、電力量料金の低減を図ることが可能であり、さらに昼間の回転釜や消毒
保管庫などの機器を電気式から蒸気式にすることにより、電力デマンドの低減が図れるため電
気基本料金の低減効果も大きい。
図 2- 4 夜間蓄熱式蒸気発生装置を利用した蒸気供給システム
3. 蒸気供給量の算定
1. 蒸気供給量は以下の消費熱量から算出する。
1 各機器の時刻別蒸気使用熱量
2 日合計消費熱量
3 時間最大熱量
【解説】
1-1 各機器の蒸気使用熱量は以下の式により算出する。
Hkm=×ばつ0.76
Hkm :機器定格蒸気使用熱量[kW]
S :蒸気使用量[kg/h]
(注記)蒸気量 1[kg/h]
(ゲージ圧 2kgf/cm2≒0.2MPa)の蒸気の全熱量は 2.73[MJ/kg]
2.73[MJ/kg]÷3.6[MJ/kW]=0.76[kW/kg]
1-2 各厨房機器の時刻別蒸気使用熱量は以下の式により算出する。
Hk(n)=Hk×ばつf(n)
Hk(n) :各厨房機器の時刻別蒸気使用熱量[kW]
Hkm :機器定格蒸気使用熱量[kW]
f(n) :各時刻別負荷率
(注記)各時刻別負荷率:その厨房機器が、定格消費熱量として一時間のうちどの程度の時間稼働し
ているのかを示す割合。厨房の使用方法により適宜設定する。 41-3 日合計消費熱量は各厨房機器の時刻別使用熱量[kW]の日合計値をすべての機器について合
計した値であり、以下の式により算出する。
Qd=Σ(ΣHk(n))
Qd :日合計消費熱量[kWh]
Hk(n) :各厨房機器の時刻別蒸気使用熱量[kW]
1-4 時間最大熱量は各厨房機器時刻別消費熱量を各時刻に合計した値の最大値であり、以下の式に
より算出する。
Htmax=Max(Hk1(n)+Hk2(n)+・・・・)
Htmax:時間最大熱量[kW]
Hk(n) :各厨房機器の時刻別蒸気使用熱量[kW]
4. 蒸気供給機器選定と蒸気配管設計方法
1. 夜間蓄熱式蒸気発生装置は以下の算出した台数のうち大きい方の台数とする。
1 熱出力による選定台数
2 蓄熱量による選定台数
2. 蒸気配管設計は従来の設計と同様とする
【解説】
1-1 表 4- 1 に夜間蓄熱式蒸気発生装置の仕様を示す。この仕様から必要台数を求める。
表 4- 1 夜間蓄熱式蒸気発生装置
項目 単位 仕様
ボイラー種類 簡易ボイラー(電気式貫流ボイラー)
検査資格 簡易ボイラー構造規格
取扱者資格 資格不要
定格飽和蒸気圧 MPa 0.3〜0.5
最大蒸気出力 kg/h 170 (注記)1(平均 150kg/h)
最大熱出力 kW 129 (注記)1
電気ヒーター容量(蓄熱用) kW 27
蓄熱最高温度 °C 480
最大蓄熱量 kWh 228
最大出熱量 kWh 174
最大蒸気量 kg 300
総合熱効率 % 73
消費電力(量) kWh 蓄熱用 27k×ばつ10h 以下
制御用 1.0kW 以下
(注記)1:蒸気出力は蓄熱モジュールの温度低下と共に低下する。 51-2 夜間蓄熱式蒸気発生装置は以下の算出した台数のうち大きい方の台数とする。
1熱出力による選定台数
熱出力による選定台数は以下の式により算出する。
Nh=Htma×ばつα
Nh :熱出力による選定台数[台]
Htmax:時間最大熱量[kW]
Hj :最大熱出力[kW]
(129:表 4-1 参照)
α :余裕率(1.0〜1.1)
2蓄熱量による選定台数
蓄熱量による選定台数は以下の式により算出する。
Nq=Qd÷(×ばつη)×ばつα
Nq :蓄熱量による選定台数[台]
Qd :日合計消費熱量[kWh]
Qj :最大蓄熱量[kWh]
(228:表 4-1 参照)
η :蒸気供給機器の総合熱効率(0.73:表 4-1 参照)
α :余裕率(1.0〜1.1) 6(参考・引用文献)
1) 空気調和・衛生工学会編:空気調和・衛生工学便覧(第 14 版)
、空気調和・衛生工学会、
2010 年 2 月

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