ダムは治水、利水の役割をもっており、日本の経済発展や国民の生活に寄与している。しかしながら、その反面、ダムは河川を横断する構造物であるため、一般的に堆砂と水質と環境の問題が起きる可能性を持っている。この三つの問題はダムにとってはアキレス腱といえるであろう。
100年の耐用年数で造られたダムが、わずか数十年足らずで土砂の堆積が進み、効果が薄れてくるダムも出現している。また、これらのダム堆砂で、河口の海岸に土砂が供給されず、海岸侵食が進む一要因ともなっている。天竜川では階段状にダムが造られ、中田島の砂丘地帯が後退している。
「電力土木」2004年9月号によると、平成15年12月31日現在で、総貯水容量内堆砂率80%以上のダムは次のように記されている。
1) 千頭ダム 大井川 97.7% (昭和10年10月竣工)
2) 大間ダム 大井川 90.7% (昭和13年2月竣工)
3) 春別ダム 静内川 92.0% (昭和38年10月竣工)
4) 黒又ダム 信濃川 89.5% (昭和2年2月竣工)
5) 西山ダム 富士川 86.9% (昭和32年4月竣工)
6) 小屋平ダム 黒部川 85.1% (昭和11年10月竣工)
7) 平岡ダム 天竜川 84.8% (昭和27年1月竣工)
8) 石徹白ダム 九頭竜川 84.1% (昭和43年5月竣工)
9) 雨畑ダム 富士川 83.6% (昭和42年2月竣工)
10) 岩知志ダム 沙流川 83.9% (昭和33年7月竣工)
11) 黒部ダム 鬼怒川 80.9% (大正元年12月竣工)
12) 泰阜ダム 天竜川 78.5% (昭和11年1月竣工)
このように堆砂が進んだダムは、竣工後半世紀近く経た電力用ダムに多く見られる。