このようなことから愛媛県は、加茂川総合開発計画を作成し、多目的ダムとして黒瀬ダムを昭和48年3月西条市大字黒瀬地点に完成させた。工事記録、鹿島建設(株)四国支店黒瀬ダム出張所編・発行『黒瀬ダム(写真集)』(昭和48年)によれば、
ダムは次の4つの目的を持っている。
『黒瀬ダム(写真集)』
・洪水調節として、黒瀬ダム地点における計画高水流量1350m3/sのうち、 510m3/sの洪水調節を行い、 840m3/sを放流し、下流基準地点(武丈)で2440m3/sを改修計画に見合う2000m3/sに低減し、下流沿岸の水害を防御する。
・不特定用水として、加茂川下流の耕地に干ばつ時に、農業用水の補給を行うとともに河川維持用水の安定を図る。調整流量( 2.0m3/s〜 6.7m3/s)
・工業用水として、ダム下流4km、西条市長瀬地内に取水堰堤を設け、西条市及びその周辺工業地帯に2.65m3/sを供給する。
・発電として、住友共力電力が最大使用水量 5.0m3/s有効落差51.0mでもって最大出力2000kwを行う。